会長ご挨拶


#  インドはここ数年来目覚しい発展を遂げてきましたが、最近では21世紀の大国として、政治面のみならず経済面でもその存在感が急速に増しております。わが国にとっても、親日国インドは、二国間のみならず国際場裏においても、一段と重要な存在となってまいりました。

 11年前の2000年8月、私は総理大臣として、インドによる1998年5月の核実験で冷え込んでいた両国関係を打開すべくインドを訪問し、ヴァジパイ首相(当時)との首脳会談によって日印関係を修復するとともに、21世紀における「日印グローバル・パートナーシップ」を打ち上げました。
 以来、インドは新興国の代表として発展の速度を速め、我が国との関係においても、政治、経済、文化、人的交流等各方面での要人の往来や各レベルでの対話が活発となりました。
 現在では、両国関係は新時代にふさわしく、「グローパル・パートナーシップ」を超えて「戦略的グローバル・パートナー」と格上げされており、首脳の相互訪問も毎年行われています。インドからはヴァジパイ首相を継いだマンモハン・シン首相、我が国からは小泉純一郎総理や安倍晋三総理が訪印し、私も可能な限りインドを訪れています。

 一昨年、我が国は民主党政権になりましたが、インドとの関係は超党派の支持を受けておりますので、対インド重視路線は変わりありません。鳩山由紀夫前総理はかねてよりインドと親しく、就任早々第3国での国際会議の場でマンモハン・シン首相と2度にわたり会談したほか、2009年12月末にはインドを訪問して対印重視姿勢を明らかにしました。昨年、鳩山総理の後を継いだ菅 直人総理も、対印重視姿勢を取っております。
 昨年秋、日印友好議員連盟の改組が行われ、会長に福田康夫元総理、副会長に川端達夫前文部科学大臣、幹事長に武正公一前外務副大臣等の役員を超党派的に選出しました。
 昨年10月のマンモハン・シン首相の訪日の際には、菅総理との間で、日印包括的連携協定の合意に達し、近い将来に協定の署名が行われる予定です。長く懸案であった日印原子力協定交渉も開始され、すでに3回の交渉が行われました。社会保障協定の締結も、間もなく開始される見込みです。
 日印間では、首相や閣僚のほか、与野党の政治家、各省レベルの多岐にわたる対話、防衛省・国防省間また海上保安庁・沿岸警備隊の交流や共同演習、経済界や学術文化界の指導者、青少年の相互訪問が発展しており、また各種の国際会議の際には日印間で緊密な協議や協力を行っており、日印関係は多角的かつ重層的に発展しております。

 投資も双方向で拡大しつつありますが、特に日本からのインドへの進出は目覚ましいものがあり、インド各地に進出した日本企業も今や750社になっております。インドからもITエンジニアをはじめますます多くの多くのビジネスマンやエンジニアが訪日し、滞在しています。
 インドは、わが国の政府開発援助(ODA)の最大の受け取り国となり、デリーのほか主要都市において地下鉄建設が行われ、また電力などのインフラ建設、貧困対策、森林や水等の環境問題に大きく貢献しております。両国の間では、デリーとムンバイを結ぶ新たな貨物専用線の建設計画、その貨物新線に沿ってデリーとムンバイの間に24の産業クラスターをつくる壮大な産業大動脈構想が進んでおります。

 インドは今や新興国の雄としてG20(主要20カ国会議)の中での重要なパートナーとなりました。両国は、民主主義を信奉するなどの価値観を共有するのみならず、中国との関係やインド洋でのシーレーンの防護など、安全保障上の利害も共にするパートナーです。また、世界の指導国として両国は、世界が直面する地球温暖化問題、核軍縮や核不拡散、国際的なテロ対策、世界的規模での伝染病対策などに貢献する責務があります。また、引き続き、国連安全保障理事会の改組を行い常任理事国となるために、日印両国は、ドイツやブラジルなどと協力して国際社会に対し働きかけております。

 このような重要かつ良好な日印関係でありますが、両国の重みや潜在力にふさわしい関係を築くためには、更に多くの努力が必要と思われます。私が故櫻内義雄元衆議院議長より引き継いだ(財)日印協会は、法人会員(現在、105社)および個人会員(415名)の増加もあり、ここ4年間で見違えるように強化されました。108年前の1903年に、大隈重信侯、渋澤栄一翁、長岡護美子爵の3人が、日印両国民の交流が将来のアジアの発展には不可欠として、当時まだ英領であったインドとの交流のために日印協会を設立し、両国関係の絆を深めてこられた大隈重信侯や澁澤榮一翁等に始まる諸先輩に対し、多少とも胸を張れるようになりました。

 しかし、協会活動のさらなる活性化のためには、インドに関係する内外の諸機関や団体あるいは草の根での協力と連携が不可欠と考えています。また、協会の組織や事務局の強化と財政基盤の拡充が必要です。昨年10月には、当協会は新たな法律の下で公益財団法人として認可を受け、新たな定款の下で評議員、理事、監事等の任命を行い、11月から新たに公益財団法人日印協会として出発いたしました。ご寄付などを頂く場合には、法人税や所得税が免除されることになりました。

 私及び平林博理事長(1998-2002年の間、駐インド大使)をはじめ協会関係者は、新たな意気込みでこの伝統ある協会を再活性化しようとしております。協会が日印関係の増進とインドに関係する皆様のお役に立てるようにするためには、会員の人的・財政的基盤の強化が必要でございます。長年協会を支援していただいてきた会員や会員企業に対し心から感謝申し上げますとともに、更なるご支援をいただければこの上ない幸甚と存じます。また、インドに進出、また進出を計画されている企業でこれまで当協会と関係をお持ちでない皆様や、インドにご関心をお持ちの方々が、新たに会員となっていただけることを期待しております。

 私や理事長以下いつでも皆様のお役にたてる心づもりでおりますので、何なりとお申し付けくだされば幸甚と存じます。以上、会長としての抱負を申し上げますとともに、皆様の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。

 皆様方の御健勝と御発展をお祈り申し上げます。

敬具

公益財団法人 日印協会
代表理事・会長 森 喜朗