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日印関係最新情報

月間インドニュース(2021年9月)

2021年10月15日掲載


1 内政

【連邦政府】

9月23日:現地メディアは、印政府が(コロナの影響により延期されている)2021年国勢調査において、その他後進階級(OBC)のカースト帰属に関する調査(カースト調査)を行わない旨、最高裁に宣誓供述書を提出した旨報じた。

【農業法改正】

9月5日:現地メディアは、ウッタル・プラデシュ州ムザファルナガル市内において、統一農民戦線(SKM)主催による数千人規模の集会「Kisan Mahapanchayat(農民大議会)」が実施された旨報じた。

9月11日:現地メディアは、SKMが10日に声明を発出し、パンジャブ(PJ)州の各政党に対し、(同州議会選挙に向けた)選挙集会が農業関連法に対する抗議活動に悪影響を及ぼすとして、2022年初頭に選挙日程が公示されるまで選挙活動を控えるよう要請した旨報じた。

9月14日:現地メディアは、シン・パンジャーブ州首相(コングレス)が同州内で農業関連法への抗議を行う農民グループに対し、州内での抗議活動を中止し、他州の農民と共にデリー準州やハリヤナ州で抗議活動を行うよう求めた旨報じた。

【ジャンム・カシミール(JK)準州】

9月2日:現地メディアは、オマール・アブドゥッラー JK民族協議会(NC)副党首が、 JK準州議会選挙実施前に州権(Statehood)を回復させるよう、連邦政府に要請した旨報じた。ムフティJK人民民主党(PDP)党首は、記者団に対し、6月24日にモディ首相とJK準州指導者との会合が開かれてから既に2ヶ月以上が経過するが、「実際には何も動いておらず、会合は(モディ首相とJK準州指導者との)集合写真を撮るためだけのものであった」と述べた。

【アッサム(AS)州】

9月5日:現地メディアは、4日、アッサム州Karbi Anglong地域内の5つの武装組織と中央政府・AS州政府の三者間で和平合意が成立した旨報じた。

【ウッタル・プラデシュ(UP)州】

9月8日:現地メディアは、UP州議会選挙に向け各地域政党が選挙キャンペーンを開始した旨報じた。ムスリム評議会(AIMIM)のオワイシ党首はアヨーディヤから選挙キャンペーンをスタートし、「ムスリムの利益代表として政治的リーダーシップを取る」と述べた。マヤワティ大衆社会党(BSP)党首は、農業関連法抗議運動を支持し、BSPが州政権を奪取した場合、同州内では農業関連法を適応しないと発表した。

9月14日:モディ首相はウッタル・プラデシュ(UP)州アリーガル市を訪問し、ジャート族の王、マヘンドラ・プラタープ・シンの名を冠した大学の定礎式に出席した。

9月25日:現地メディアは、アディティヤナートUP州首相率いる同州BJP政権が内閣改造を行い、7名の新閣僚を任命した旨報じた。

【グジャラート(GJ)州】

9月11日:ヴィジャイ・ルパニGJ州首相が辞任を表明した。

9月13日:ブペンドラ・パテル同州議会議員が同州首相に就任した。

【パンジャブ(PJ)州】

9月20日:シンPJ州首相が辞任し、同日にチャンニ同州議会議員が州首相に就任した。

9月22日:現地メディアは、シン前PJ州首相が、PJ州政府はコングレス党幹部により操られており、明らかに「経験不足」なラーフル前コングレス総裁、とプリヤンカ氏は、(他の経験者らに)誘導されていると述べた旨報じた。

9月24日:現地メディアは、チャンニ新PB州首相のもと、新たな州内閣が発表され、15名の閣僚が宣誓を行った旨報じた。


2 経済

9月17日:インド政府は、第45回GST委員会を開催した。主な決定事項は、コロナ治療薬に対する減税期間の2021年12月31日までの延長、インバーテッド・ストラクチャーによる業者の資金繰り悪化に対応するための鉄道関連物品に係る税率の12%から18%への増税、ガソリン等に対するGST課税の見送り、Amusement Parkに対する税率を18%とする、還付請求や登録取消申請について、アーダール・カード情報を必須とすること等。


3 外交

(印露関係)

9月3日:インド外務省は、モディ首相が、ウラジオストクで開催された第6回東方経済フォーラムのプレナリーセッションにおいてビデオ形式で発言した旨発表した。

(印・UAE関係)

9月3日:インド外務省は、モディ首相がムハンマド・アブダビ皇太子と電話会談を行った旨発表した。

(印・スロベニア・クロアチア・デンマーク関係)

9月2-5日:インド外務省は、ジャイシャンカル外相が2日から3日にスロベニア、3日にクロアチア、4日から5日にデンマークを訪問した旨発表した。

(印豪関係)

9月10日-12日:ペイン豪外相及びダットン豪国防相がインドを訪問し、10日に印豪国防相会談、11日に印豪外相会談及び第一回印豪2+2閣僚会合が行われた、印豪2+2共同声明が発出された。

9月23日:インド外務省は、モディ首相がモリソン豪首相と印豪首脳会談を行った旨発表した。両首相は2国間、地域、国際的重要性のある幅広い課題を議論した。

(印・BRICS関係)

9月9日:インド外務省は、第13回BRICS首脳会合の成果文書であるニューデリー宣言を発表した。

(上海協力機構(SCO))

9月17日:インド外務省は、SCO首脳会合総会でモディ首相が演説を行った旨発表した。インド外務省は、アフガニスタンに関するSCO・CSTOアウトリーチ・サミットにおいてモディ首相が演説を行い、アフガニスタンの最近の動向に関し近隣諸国への影響を議論した旨発表した。

(印中関係)

9月17日:インド外務省は、SCO首脳会合のサイドラインにおいてジャイシャンカル外相が王毅中国国務委員兼外交部長と印中外相会談を実施し、東部ラダックの実行支配線(LAC)沿いの現状について意見交換を行い、問題の早期解決のため、議論を継続することに合意した。

(印・サウジアラビア関係)

9月19日-20日:インド外務省は、ファイサル・サウジアラビア外相が訪印し、モディ首相表敬及びジャイシャンカル外相との印サウジアラビア外相会談及びを実施した旨発表した。

(印・セルビア関係)

9月21日:インド外務省は、セラコビッチ・セルビア外相が19日及び20日にインドを訪問し、ジャイシャンカル外相及びレーキ副大臣と面談し、両国の経済協力強化等について議論を行った旨発表した。

(豪英米三国間安全保障パートナーシップ(AUKUS))

9月21日:インド外務省は、シュリングラ外務次官が記者会見において、AUKUSは3国間の安全保障同盟であり、日米豪印とは関係なく、日米豪印の機能に影響を与えるものでもないと発言した旨公表した。

(印仏関係)

9月21日:インド外務省は、モディ首相がマクロン大統領と電話会談を行った旨発表した。AUKUSに対する仏の強い反発の中、両首脳は、二国間協力の強化及び、インド太平洋地域における印仏のパートナーシップが地域の安定と安全保障の推進に果たす重要な役割について議論した。

(印・カナダ関係)

9月22日:インド外務省は、モディ首相がトルドー・カナダ首相に対し、総選挙での勝利に対して祝辞を述べた旨発表した。

(印米関係)

9月23日:インド外務省は、モディ首相がハリス米国副大統領と会談を行った旨発表した。

9月24日:インド外務省は、モディ首相がバイデン大統領と米印首脳会談を行い、印米首脳共同声明を発出された旨発表した。両国首脳は、印米包括的グローバル戦略的パートナーシップと、二国間協力を更に強化する可能性についてレビューした。

(日米豪印)

9月24日:インド外務省は、モディ首相が日米豪印首脳会合に参加し、日米豪印首脳共同声明が発表された旨発表した。共通の利益、価値観、基本的原則を促進する、極めて有意義な意見交換を行った。

(国連)

9月25日:インド外務省は、モディ首相が第76回国連総会において演説を行った旨発表した。モディ首相はインドを「民主主義の母」としつつ、新型コロナウイルス・ワクチンの輸出再開、テロ、アフガニスタン、海洋、多国間主義改革等について論じた。

(印・メキシコ関係)

9月26日:インド外務省は、ジャイシャンカル外相が26日から28日までメキシコを訪問した旨発表した。

4 日印関係

9月9日:第6回日・インド海洋に関する対話がテレビ会議形式で開催された。この対話には、日本側から大鶴哲也総合外交政策局参事官、インド側からサンディープ・アリヤ外務省軍縮・国際安全保障局長ほか関係者がそれぞれ出席した。

9月23日:現地時間9月23日、米国を訪問中の菅義偉内閣総理大臣は、ナレンドラ・モディ・インド首相と日印首脳会談を行った。

9月24日:現地時間9月24日午後2時から約2時間20分、ワシントンDCを訪問中の菅義偉内閣総理大臣は、スコット・モリソン・オーストラリア連邦首相、ナレンドラ・モディ・インド首相、ジョセフ・バイデン米国大統領との間で首脳会合を行った。会合後、共同声明及びファクトシートが発出された。

今月の注目点①:日印首脳会談

菅総理大臣から、今回の対面での会談を歓迎した上で、基本的価値を共有するインド、とりわけ、かねてよりルールに基づく秩序、法の支配の重要性を訴えてこられたモディ首相は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた重要なパートナーである旨述べた。また、菅総理から、新型コロナの困難な状況が続く中であっても、両国の協力関係が着実に進展していることを歓迎した上で、日本の無償資金協力で建設され、本年7月にモディ首相と共に完成を祝ったヴァラナシ国際協力コンベンションセンターが、「日印友好の証」として活用されることを願う旨述べた。モディ首相からは、菅総理大臣の日印関係への多大な貢献に対し感謝を述べつつ、日本との関係は両国のみならず地域や世界の安定や繁栄にとって極めて重要である旨の発言があった。また、モディ首相から、東京オリンピック・パラリンピックの成功と日本人選手の活躍に対して祝意が述べられ、菅総理大臣からこれに謝意を伝えた。

両首脳は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、海洋安全保障の重要性につき一致するとともに、地域における連結性強化や法の支配に基づく国際秩序の形成のため、日印や日米豪印で緊密に連携していくことを改めて確認した。その中で、両首脳は、経済的威圧や、東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みへの強い反対の意を改めて共有した。

菅総理大臣から、北朝鮮による先般の弾道ミサイル発射は安保理決議違反であり強く非難した、北朝鮮による最近の核・ミサイル活動は、日本、地域、国際社会の平和と安全を脅かすものであり、CVIDの実現に向け、安保理決議の完全な履行が不可欠である旨述べた。また、菅総理大臣から、拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を求めた。

二国間関係については、両首脳は、引き続き、新型コロナ感染症への対応で連携していくことで一致し、日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)の早期開催をはじめとする安全保障分野や、デジタル、グリーン、保健、連結性強化等の経済・経済協力分野での協力を進めていくことを確認した。その中で、菅総理からは、安全で信頼のある5Gや海底ケーブル、産業競争力強化とサプライチェーン強靭化、現実的なエネルギー・トランジッションの実現、特定技能制度に基づくインドからの人材の受入れやIT人材交流の活性化、インド北東部開発等の具体的な協力の可能性に言及した。両首脳はまた、日印協力の象徴的なプロジェクトである高速鉄道事業の着実な進展に向けて協力を進めていくことを改めて確認した。最後に、2022年の日印国交樹立70周年に「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」としての日印関係の更なる飛躍に向けた様々な取組を進めていくことで一致した。

今月の注目点②:第2回日米豪印首脳会合

4か国の首脳は、本年3月の日米豪印首脳テレビ会議で一致したとおり、今般、対面での日米豪印首脳会合が開催されたことを、4か国の強い結束とインド太平洋地域への強いコミットメントを示すものとして歓迎し、地域の安全と繁栄のため、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け取り組んでいくことを再確認した。

4か国の首脳は、日米豪印は基本的価値を共有し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の強化にコミットしており、4か国の協力を一層強化していくこと、また、法の支配、航行及び上空飛行の自由、紛争の平和的解決、民主的価値、領土の一体性といった原則を支持することで一致した。

4か国の首脳は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、引き続き様々なパートナーとの連携を広げ、具体的協力を積み上げていくことで一致した。また、ASEANの主体的な取組である「インド太平洋に関するASEANアウトルック」や、ASEANの一体性及び中心性に対する強い支持も、改めて確認した。また、4か国の首脳は、EUの「インド太平洋における協力のための戦略」も歓迎した。

4か国の首脳は、国際社会が直面する喫緊の課題である新型コロナ感染症対策に関し、日米豪印がワクチン供与や資金拠出を通じて、インド太平洋地域における、安全性、有効性、品質が保証されたワクチンへの公平なアクセスの確保に向け大きな役割を果たしていることを確認するとともに、ワクチンの生産拡大、インド太平洋地域への供給を含め、新型コロナ感染症対策において引き続き協力していくことで一致した。また、インド太平洋諸国に対する4か国のワクチン関連支援実績を取りまとめたダッシュボード(注1)を発表した。

4か国の首脳は、ワクチン協力をはじめとするコロナ対策の他にも、3月の首脳テレビ会議で立ち上げた重要・新興技術、気候変動に関する作業部会でも着実に成果が積み上げられていることを確認した。この関連では、重要・新興技術に関して、「技術の設計・開発・ガバナンス及び利用に関する日米豪印原則」声明を採択した。また、気候変動分野では、菅総理から、バイデン大統領が主導する「グローバル・メタン・プレッジ」への参加を表明した。

日米豪印の間では、これまでも、質の高いインフラ、海洋安全保障、テロ対策、サイバー・セキュリティ、人道支援・災害救援を始め、様々な分野で実践的な協力が行われているが、今回、4か国の首脳は、それらの協力の進展を歓迎し、宇宙、サイバーの分野で作業部会等を立ち上げるとともに、クリーン・エネルギー、人的交流といった分野でも協力を強化することでも一致した。

アフガニスタン情勢について、菅総理からは、希望者等の安全な出国の確保は極めて重大な課題である旨を指摘するとともに、アフガニスタンを二度とテロの温床にさせないよう国際社会が緊密に連携して対応していくことが必要である旨述べ、4か国は引き続き緊密に連携していくことで一致した。

東シナ海、南シナ海情勢については、菅総理から、力を背景とした現状変更の試みについて深刻な懸念を表明し、4か国の首脳は、国連海洋法条約を含む国際法を始めとするルールに基づく海洋秩序への挑戦に対抗するため、連携していくことで一致した。また、菅総理から、香港、新疆ウイグル、台湾に関する我が国の基本的立場を述べた。

北朝鮮について、菅総理から、先般の弾道ミサイル発射は安保理決議に明白に違反するものであり、強く非難したと述べ、4か国の首脳は、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認した上で、北朝鮮に対し、国連の義務に従い、挑発行動を控えるとともに、実質的な対話を行うよう求めた。また、菅総理から拉致問題の即時解決に向けた各国の理解と協力を求め、各国から支持を得た。

ミャンマー情勢について、菅総理から、ミャンマー国軍に対し、暴力の即時停止、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を含む被拘束者の解放、民主的な政治体制の早期回復を粘り強く求めてきている旨述べ、事態の打開に向けて、ASEANの「5つのコンセンサス」を具体的成果につなげていくことが重要である旨述べた。4か国の首脳はミャンマーで早期に民主主義を回復させる必要性を強調し、「5つのコンセンサス」の早期履行を求めた。

4か国の首脳は、今回の首脳会合によって高まった日米豪印のモメンタムを今後も維持・強化していくことを確認し、今後毎年、日米豪印首脳会合を開催することで一致した。

また、日米豪印首脳会合の後、菅総理とモリソン・オーストラリア首相はハリス米国副大統領との懇談を行った。懇談では、菅総理から、今回の日米豪印首脳会合は、「自由で開かれたインド太平洋」という共通のビジョンへのコミットメントを確かなものとする極めて有意義なものとなった旨述べるとともに、先月、ハリス米国副大統領の夫君であるエムホフ氏にパラリンピック開会式に参加いただいたこと、オリンピック・パラリンピックに米国から一貫して力強い支持を頂いたことに、改めて謝意を表明しました。その後、新型コロナ対策、地域情勢、サイバー・技術等について意見交換が行われました。

(注1)ダッシュボード:インド太平洋諸国に対する日米豪印の個別の支援(注2)を取りまとめた一覧表(パイロットとして運用開始)。

(注2)コバックス・ファシリティへの資金拠出に関するプレッジ額、表明されたワクチン供与数量及び実績数、コールド・チェーン体制の整備などを含む「ラスト・ワン・マイル」支援実績、緊急支援実績(酸素関連支援等)など