
◇ インドニュース(2023年3月)◇
1 内政
(中央政府)
●22日:モディ首相は国内で患者が急増するコロナの感染状況を確認するためのハイレベル会合を開いた。
●22日:モディ首相は、第6世代(6G)移動通信システムに関する取り組みをまとめた「構想文書(ヴィジョン・ドキュメント)を発表した。
●22日:ソーマナート・インド宇宙研究機関(ISRO)長官は、月面探査機チャンドラヤーン3号、及び太陽観測機アディティヤL1号の打ち上げが2023年半ばに行われる可能性がある旨発表した。
(州議会選挙等)
●2日:北東三州の州議会選挙結果が発表され、トリプラ(TP)州、ナガランド(NL)州、メガラヤ(ML)州の3州全てBJPが与党としての地位を継続した。7日から8日にかけて、続投する州首相3名が宣誓式に参加し、いずれもモディ首相、シャー内相、ナッダBJP総裁が同席した。
●2日:5州議会補欠選挙の結果が発表された。マハーラーシュトラ(MH)州、西ベンガル州、タミル・ナドゥ州の3州でコングレス候補者が議席を獲得。ジャールカンド州及びアルナーチャル・プラデシュ州ではBJP及びBJPの友党が当選した。
(トリプラ(TP州))
●3日:当地メディアは、BJP党内でTP州首相の交代が噂されている旨報じた。下院選挙に向けてモディ首相の掲げる「女性活躍」のメッセージを北東州に伝えるため、北東州出身の女性として初の連邦閣僚を務めるプラティマ・ボーミク連邦社会正義・能力開発閣外大臣の名前が挙がっている。一方、関係者によると、サハTP州首相は、今次州議会選挙においてBJPの勝利に貢献したため、今すぐにではなく時期を見て検討され、交代に際してサハTR州首相には中央で新たなポジションが与えられる予定。
(国会)
●13日:予算国会が再開し、3月にラーフル元コングレス総裁が訪印した際に「印下院議会では(ラーフル元総裁の)マイクのスイッチが入らず発言出来ないことが何度もあった」と発言した件に関し、上下両院において、ラージナート・シン防衛大臣(BJP)やゴヤル上院議長(BJP)主導のもと、激しい追及がなされた。
●16日:アダニ・グループに関連する不正の調査を求める野党指導者らが国会議事堂敷地内で抗議活動を行い、合同議会委員会による調査を要求した。抗議活動にはコングレス、DMK、社会党、シブセナ(タークレー派)等の議員が参加した。
●17日:予算国会において、連邦議会を侮辱したとされるラーフル元総裁の発言と、アダニ問題を巡り、激しい抗議活動が行われ、議事が終日停止した。
●21日:印議会外務常任委員会(Parliamentary Standing Committee on External Affairs)は下院に報告書を提出し、インドの世界的地位の上昇と外交政策の変化を考慮し、各国大使館の人員強化と、全ての国連加盟国に在外公館を設置するため、連邦予算の少なくとも1%を印外務省(MEA)に配分するよう求めた。同委員会によると、MEAは中央省庁の中で最も資金が不足しており、2020-21年度連邦政府予算における同省予算は、全体の0.4%に過ぎない。
●22日:両院ともに混乱が続くなか、下院において「2023年ジャンムー・カシミール準州歳出法案」が可決された。
(デリー(DL)準州)
●9日:財務省捜査局(ED)は、マネーロンダリングに関与した疑いで庶民党(AAP)所属のシソディア前デリー準デリー準州副州首相を逮捕した。同副州首相は、2月26日に同様の容疑で中央捜査局(CBI)により逮捕され、デリー市内のティハール刑務所に収監されており、10日には、裁判所での保釈審理が予定されていた。
●9日:汚職疑惑などにより辞任したシソディア前DL準州副首相とジェイン前同準州保健大臣の後任として、2名のAAP所属政治家が同準州大臣に就任した。
(ハリヤナ(HR)州)
●12日から14日にかけて、ハリヤナ州パーニーパットにおいて、RSS年次総会が開催され、ナッダBJP総裁及びB.L.サントーシュ書記長を筆頭に、関連する34の組織から約1400人が参加した。
(カルナータカ(KA)州 )
●17日:選挙演説に向かうイエデュラッパ前KA州首相を乗せた車が、KA州議会選挙に向けた候補者選出方法に抗議するBJP党活動家に取り囲まれ、同前州首相は選挙キャンペーンへの参加を中止した。
●21日:ラーフル・ガンディ元コングレス総裁は、カルゲ同党総裁立ち合いのもと、KA州議会選挙に向けたコングレスの選挙公約を発表した。公約には求職中の新卒者に対する月3000ルピーの支給、全家庭への200ワットの電力の無料提供、貧困家庭への米の支給などが盛り込まれた。
(カリスタン運動)
●18日:パンジャブ(PB)州警察は、カリスタン運動活動家アムリットパール・シン及びその支持者への取り締まりを開始。シンは警察の追跡から逃亡したものの、同氏の側近6名を含む78名が警察に拘束された。また、同日から19日正午までPB州内のインターネットが遮断された。
●19日:アムリットパール・シン及びその側近数名に対し、違法武器所持に関する新たな事件登録(FIR)がなされた。
(野党の動き)
●17日:アキレシュ・ヤーダブ社会党(SP)党首が、西ベンガル(WB)州を訪問し、ママタ・バナジーWB州首相と、2024年の総選挙に向けた政党間協力に向けた話し合いを行った。
2 外交
(日米豪印)
●3日、日米豪印外相会合をニューデリーで開催。
(印豪関係)
●3日:ジャイシャンカル外相が、ウォン外相と会談。
●8日から11日まで、アルバニージー豪首相が訪印。9日、グジャラート州アーメダバードでモディ首相とクリケットを観戦。10日、ジャイシャンカル外相が、アルバニージー豪首相を表敬。また、印豪首脳会談を開催。
(印スウェーデン関係)
●3日:ジャイシャンカル外相が、ビルストロム・スウェーデン外相と会談。
(印サウジアラビア関係)
●3日:ジャイシャンカル外相が、ファイサル・サウジアラビア外相と会談。
(印エジプト関係)
●3日:ジャイシャンカル外相が、シュクリ・エジプト外相と会談。
(印バングラデシュ関係)
●3日:ジャイシャンカル外相が、モメン・バングラデシュ外相と会談。
●18日:モディ首相が、ハシナ・バングラデシュ首相と印バングラデシュ友好パイプラインを発足。これは両国間で初のエネルギー輸送パイプラインとなる。
(印仏関係)
●3日:ジャイシャンカル外相が、コロンナ仏外相と会談。
(印シンガポール関係)
●3日:ジャイシャンカル外相が、バラクリシュナン・シンガポール外相と会談。
●13日:ガン・キムヨン・シンガポール貿易産業大臣が訪印し、ジャイシャンカル外相と会談。
(印オマーン関係)
●3日:ジャイシャンカル外相が、バドル・オマーン外相と会談。
(印スロベニア関係)
●3日:ジャイシャンカル外相が、ロガル・スロベニア外相と会談。
(印モルディブ関係)
●3日:ジャイシャンカル外相が、シャーヒド・モルディブ外相と会談。
(印加関係)
●4日:ジャイシャンカル外相が、ジョリー・カナダ外相と会談。
26日:印外務省が、駐印加高等弁務官を召喚し、分離主義者や過激派が在加印高等弁務官事務所及び総領事館に対して行った行動に対する強い抗議を伝達。同週、シーク教徒による独立国家「カリスタン」の樹立を目指す在加支持者らが、独立運動復活を呼び掛けるシーク教徒分離主義者アムリットパール・シン氏逮捕の動きに抗議して、在加印高等弁務官事務所や総領事館の警備を妨害した。19日には在英印高等弁務官事務所、20日には在サンフランシスコ印総領事館でも同様の出来事が起きた。
(印スロバキア関係)
●4日:ジャイシャンカル外相が、カーチェル・スロバキア外相と会談。
(印スリランカ関係)
●4日:ジャイシャンカル外相が、ミルゾヤン・アルメニア外相と会談。
(印ブータン関係)
●4日:ジャイシャンカル外相が、ドルジ・ブータン外相と会談。
(印クロアチア関係)
●4日:ジャイシャンカル外相が、グルリッチ=ラドマン・クロアチア外相と会談
(印米関係)
●4日:モディ首相が、ビル・ゲイツ共同議長(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)と会談。
●20日:印外務省が、在印米臨時大使と会談し、在サンフランシスコ印総領事館所有物侵害に対する強い抗議を伝達し、事件の再発を防止するため適切な措置を講じるよう要請。ワシントンDCの在米印大使館も、米政府に同様の懸念を伝達した。本件は、シーク教徒による国家「カリスタン」の樹立を目指す在米支持者らが、独立運動復活を呼び掛けるシーク教徒分離主義者アムリットパール・シン氏逮捕の動きに抗議して、20日、総領事館敷地内に侵入し、建物の窓や扉への破壊行動を起こしたり、建物への放火を試みたもの。
(印露関係)
●第24回印露貿易・経済・科学・技術・文化協力政府間委員会開催に向け、ジャイシャンカル外相とマントゥロフ露副首相兼産業商務大臣が、レビュー会議をオンラインで共催。
(印ネパール関係)
●17日:ムルム大統領が、パウデル・ネパール大統領と会談。
(印英関係)
●19日:印外務省が、在印英国高等弁務官事務所のシニア外交官を召喚し、分離主義者や過激派が在英印高等弁務官事務所に対して行った行動に対する強い抗議を伝達。同日、シーク教徒による独立国家「カリスタン」の樹立を目指す在英支持者らが、独立運動復活を呼び掛けるシーク教徒分離主義者アムリットパール・シン氏逮捕の動きに抗議して、在英印高等弁務官事務所敷地に入場しインド国旗を下ろした。英国の警備に不備があり、在英印高等弁務官事務所敷地内への入場を許した点について、印外務省から説明が要求された。
(その他)
●18日:モディ首相が、グローバル雑穀会議で開会の挨拶。また、同会議開催にあたり、アリ・ガイアナ大統領及びゼウデ・エチオピア大統領がビデオメッセージを寄せた。同会議は、雑穀の促進及び、生産者、消費者、他関係者間の雑穀への意識向上を目的にデリーで2日間行われた。
●22日:モディ首相が、マーティン国際電気通信連合(ITU)事務総長と会談。
●29日:モディ首相が、米国主導の「第2回民主主義のためのサミット」にオンライン出席。
3 日印関係
●4日:デリー訪問中の林外務大臣は、ジャイシャンカル外相と会談を実施。
●10日:田中JICA理事長が訪印し、モディ首相及びジャイシャンカル外相を表敬。
●20日:岸田総理が訪印し、モディ首相と会談を実施。
現地時間3月3日午後0時35分(日本時間同日午後4時5分)から約60分間、日米豪印外相会合出席のためインドを訪問中の林芳正外務大臣は、ジャイシャンカル・インド外務大臣(H.E. Dr. S. Jaishankar, Minister of External Affairs of India)との間でワーキング・ランチ形式で会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭、林大臣から、今般のG20外相会合及び日米豪印外相会合の議長としてのジャイシャンカル外相のリーダーシップに敬意を表明するとともに、国際社会が大きな危機に立て続けに直面する中、日本は、5月のG7広島サミット及び9月のG20ニューデリー・サミットを見据え、G20議長国であるインドと、引き続きしっかり連携していきたい旨述べました。これに対し、ジャイシャンカル外相より、林大臣の訪印を歓迎した上で、G20議長国としてG7議長国である日本と協力していきたい旨述べました。
2 両大臣は、それぞれG7議長国、G20議長国としての優先課題や、スリランカ情勢や開発金融の問題等について意見交換を行い、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
3 両大臣は、日印関係についても意見交換を行いました。両大臣は、昨年の岸田総理訪印や第2回日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を受け、本年1月の初の日印戦闘機共同訓練を含む安保・防衛分野や経済・経済協力分野において協力が進展していることを歓迎し、引き続き二国間関係を強化していくことを確認しました。
林大臣から、我が国が昨年末に新たな国家安全保障戦略を策定したことについて説明し、ジャイシャンカル外相の理解を得ました。また、林大臣から、脱炭素化に向けた二国間クレジット制度(JCM)構築に向けた議論の進展への期待を表明しました。
4 両大臣は、率直な議論を行えたことを歓迎し、今後も緊密に意思疎通を行っていくことを確認しました。
3月20日(月曜日)、現地時間11時20分頃から12時10分まで、インド・デリーを訪問中の岸田総理大臣は、ナレンドラ・モディ・インド首相(H.E. Mr. Narendra Modi, Prime Minister of India)と日印首脳会談を行ったところ、概要以下のとおりです。
1.冒頭
モディ首相から、岸田総理の訪印を改めて歓迎し、G20議長国として、G7議長国の日本と緊密に連携していきたい、また、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」としての両国関係を更に発展させたい旨述べました。
これに対し、岸田総理から、1年ぶりに訪印し、モディ首相と再び同じ場所で会談できることを歓迎した上で、本年は、日本がG7議長国、インドがG20議長国を務めるところ、5月のG7広島サミット及び9月のニューデリー・サミットを見据え、しっかり議論したい旨述べました。その上で、岸田総理から、こうした観点から、モディ首相をG7広島サミットに御招待したい旨述べ、モディ首相は快諾しました。
2.G7及びG20議長国としての連携
岸田総理から、G7広島サミットでは、法の支配に基づく国際秩序の堅持と、グローバル・サウスと呼ばれる国々を含むG7を超えた国際社会のパートナーとの関係の強化という2つの視点から国際社会が直面する諸課題について取り上げたいという考えを説明しました。
モディ首相からは、インドが主催した「グローバル・サウス・サミット」につき説明した上で、いわゆるグローバル・サウスと呼ばれる国々の観点を含め、G20議長国としてのインドが重視する事項につき説明がありました。
両首脳は、開発金融、食料安全保障、気候・エネルギー等の課題について幅広く意見交換を行い、G7及びG20両方のサミットに向けて、様々な国際社会の諸課題について議論を重ね、連携していくことを確認しました。
3.二国間関係
(1)安全保障・防衛 両首脳は、昨年9月の第2回日印「2+2」の開催以降、初の日印戦闘機共同訓練を始めとする防衛交流が活発化していることを歓迎しました。
(2)経済・経済協力
両首脳は、昨年3月に掲げた今後5年間の対印官民投融資5兆円目標に向け、順調に実績が重ねられていることを歓迎しました。
両首脳は、3,000億円の高速鉄道建設事業の円借款に署名が行われたことを歓迎し、引き続き日印の旗艦プロジェクトとして高速鉄道事業を推進していくことを確認しました。また、両首脳は、インド北東部開発につき、引き続き日印アクト・イースト・フォーラムなどを通じて協力していくことを確認しました。
両首脳は、昨年発表した「日印クリーン・エネルギー・パートナーシップ」の下で両国の協力を促進していくことで一致するとともに、今般、二国間クレジット制度(JCM)構築に向けた意向を確認するエイド・メモワールに署名が行われたことを歓迎し、早期構築に向け協議を加速させることを確認しました。
(3)人的交流
岸田総理より、日印国交樹立70周年の昨年に、多くの文化交流事業が行われたこと、最近日本による青年招へいプログラムも再開したことに言及し、技能実習制度や特定技能制度の活用、学術交流や自治体間交流を更に促進していく旨を表明しました。
両首脳は、インドにおける日本語教育を促進することで一致し、両国の人的交流、ビジネス交流の発展につながることへの期待を表明しました。岸田総理より、日本語教育に関する覚書が改訂されたことを歓迎しました。
岸田総理より、日本の有償資金協力によるインド工科大学(IIT)ハイデラバード校の大学施設建設が進捗していることに言及し、更なる教員や学生間の交流、インド人IT人材の日本企業での活躍などにつながることへの期待を表明しました。
また、両首脳は、インド人学生の日本への留学の増加につき検討していくこと、及び、2023年度を「日印観光交流年」として、観光交流を進めていくことで一致しました。モディ首相からは、留学生増加に向けて同首相自らが積極的に取り組む旨の発言がありました。
3月20日(月曜日)、現地時間12時50分から14時まで、インドを訪問中の岸田総理大臣は、ナレンドラ・モディ・インド首相(H.E. Mr. Narendra Modi, Prime Minister of India)とワーキングランチを行ったところ、概要は以下のとおりです。
法の支配に基づく国際秩序 ロシアによるウクライナ侵略について、岸田総理より、このような国際法に違反する力による一方的な現状変更はアジアを含む世界中のいかなる場所でも許してはならない旨説明しました。
両首脳は、法の支配に基づく国際秩序を維持し、強化していくことに共通の責任を有していることを確認し、G7、G20の場でもこの考えを明確にしていくことの重要性で一致しました。
地域情勢・国際場裡における協力両首脳は、様々な地域情勢等につき意見交換を行いました。
両首脳は、東シナ海や南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みは許容しないことを確認しました。
両首脳は、北朝鮮情勢についても意見交換し、拉致問題を含め、北朝鮮への対応において、引き続き連携していくことを確認しました。
また、両首脳は、スリランカについても意見交換を行い、同国の債務問題を含め、緊密に連携していくことで一致しました。
両首脳は、安保理改革に向け、具体的成果を得るべく、引き続き、日印やG4(日本、インド、ドイツ、ブラジル)で緊密に連携していくことを確認しました。