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日印関係最新情報

月間インドニュース(2019年9月)

2019年10月21日掲載


1 内政
【連邦政府/連邦議会】
9月8-9日:シャー内務大臣は,グワハティにおける北東部委員会(NEC)及び北東部民主連合(NEDA)の会合で,各州首相等から市民権法改正法案に対する懸念が示される中,同法案は北東部の特別地位を保証する憲法第371条を犯すものではなく,北東部の人々が恐れる必要はないと述べた。

9月14日:シタラマン財務大臣は,輸出業者への5000億ルピーのインセンティブ,1000億ルピーの住宅ローンを含む経済活性化政策を発表した。
シャー内務大臣は,デリーにおけるイベントにおいて,政府機関でのヒンディー語の使用を促進すべきであると述べた。また,「インドには様々な言語があり各言語は重要であるが,世界的にインドのアイデンティティーとなりえる国全体用の言語を持つことが大変重要である」,「今日,一つの言語が国を統一することができるとすれば,それは最も多く話されているヒンディー語である」とツイートした。これを受け,他言語を使用する地域の政党やコングレス等が批判や遺憾の意を示した。

9月20日:シタラマン財務大臣は,法人税の大幅減税を発表した。課徴金適用後の実質法人税は,現行の35.94%から25.17%に引き下げられる。

9月23日:シャー内務大臣は,デリーにおけるイベントにおいて,2021年の国勢調査は紙媒体による記入式ではなく電子化して実施すると発表した。

【コングレス党】
9月12日:ソニア暫定総裁は,デリーにおける党幹部会合において,「2019年のマンデート(国民の負託)を最も危険なやり方で悪用している」としてモディ政権を批判した。また,10月15日から25日の間,経済鈍化に対する全国規模の抗議運動を実施することを発表した。

9月13日:ソニア暫定総裁は,コングレスが政権を握る各州の州首相を招集し,コングレスによる公約が実現されているか,各州政府のパフォーマンスをレビューした。

2 経済
【インド経済(2019年度第4回金融政策委員会(利下げ))】
9月4日:インド準備銀行(RBI)は金融政策委員会(MPC)会合を開催し,その結果を公表したところ,概要以下のとおり。今回,成長率見通しを引き下げるとともに,今年に入って5回連続となる利下げを決定した。

メモ:MPCステートメントのポイント
(1)政策金利(レポ・レート)を5.40%から5.15%へ引下げ。
(2)金融政策に対するスタンスを「緩和的(accommodative)」で維持。
(3)インフレ見通しは,2019年度第2四半期は3.4%,2019年度下半期は3.5~3.7%,2020年度第一四半期は3.6%。
(4)2019年度の実質GDP成長率は6.9%から6.1%へ引下げ。

3 外交
【印モルディブ関係】
9月3日-4日:ジャイシャンカル外相はインド洋会議出席のためモルディブを訪問した。訪問中,ジャイシャンカル外相はソーリフ大統領,ナシード国会議長,シャーヒド外相等との会談も行った。

【印露関係】
9月4日-5日:モディ首相はウラジオストクを訪問した。同訪問中,モディ首相はプーチン大統領との印露首脳会談,東方経済フォーラム等に出席した。両首脳は印露共同宣言を発表した。

【印中関係】
9月5日:印メディアは,特別代表メカニズムにおける国境をめぐる対話が延期された旨報じた。中国外務省は声明で,王毅外相は同会議出席等のため訪印予定だったが,インド側の都合で延期となった旨発表した。

9月10:日印メディアは,10月10日から12日にかけて訪印予定の習近平国家主席がモディ首相との非公式首脳会談において実行管理ライン(Line of Actual Control)について焦点をあて議論する予定である旨報じた。

【印パキスタン関係】
9月30日:印メディアは,クレーシー・パキスタン外相がカルタールプール回廊の開通式にマンモハン・シン前首相を招待する旨述べたと報じた。

【印豪関係】:9月16日
印メディアは,シン国防大臣が11月に豪州を訪問予定である旨報じた。訪問中,印豪は相互後方支援協定及び海洋協力にかかる協力に合意する予定。

【SAARC】
9月27日:印メディアは,国連総会会期中に開催されたSAARC外相会合で印パ両国が相互のステートメントをボイコットした旨報じた。ジャイシャンカル外相は発言後退出し,クレーシー・パキスタン外相の発言を聞かなかった。また,クレーシー外相もジャイシャンカル外相の後に入室し,お互いが顔を合わせることはなかったと報じられている。

4 日印関係
9月5日:東方経済フォーラム開催中、ロシアのウラジオストクにおいて,日印首脳会談が開催された。(詳細は以下)

9月26日:国連総会開催のニューヨークにおいて,日印外相会談が開催された。(詳細は以下)

今月の注目点(その1):日印首脳会談
9月5日,午前10時35分から約45分間,東方経済フォーラム出席のためロシア・ウラジオストク訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,ナレンドラ・モディ・インド首相と首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。
 
1.冒頭,安倍総理大臣は,G20大阪サミット,ビアリッツのG7サミットに続き,モディ首相と再会したことを歓迎し,モディ首相の誕生日(9月17日)に祝意を表しました。モディ首相からは,先日インド国防大臣が訪日して日印防衛相会談が開催され,防衛や戦略的関係構築につき意見交換できたことをうれしく思う,自分も安倍総理も同じ9月生まれであり,共に日印関係を前進させていきたい,日印物品役務相互提供協定(ACSA)の合意に向け前進していると承知しており,安倍総理大臣のインド訪問の前に閣僚級2+2を開催する準備ができている旨述べました。
 
2.両首脳は,次回の安倍総理大臣のインド訪問に向けた準備を加速化させていくことで一致しました。安倍総理大臣からは,閣僚級「2+2」の早期実現,各軍種間協力を含む防衛協力,サイバー分野,IT分野,食品加工分野,健康医療分野,高速鉄道事業,人的交流などでの具体的な進展を得て,日印関係の幅を広げたいとの意向を表明しました。モディ首相から,インド太平洋の共通ビジョンの実現に向けた取組,安全保障分野,デジタル分野,第3国協力といった分野での協力を具体化させていきたい旨述べました。

3.また両首脳は,RCEP,地域情勢,グローバルな課題について意見交換を行いました。カシミール情勢について,モディ首相から説明があり,安倍総理大臣からは,緊張の拡大を避けるために関係国の自制が必要であり,当事者間の対話により平和的に解決されることを期待する旨述べました。

今月の注目点(その2):日印外相会談

9月26日,午後4時30分から約30分間,第74回国連総会出席のためニューヨークを訪問中の茂木敏充外務大臣は,ジャイシャンカル・インド外務大臣と日印外相会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。
 
1.冒頭,茂木大臣から,「外相就任後,早いタイミングで重要なパートナーであるインドとの間で外相会談を開催できることをうれしく思う」,「特別かつ重層的な日印関係を更なる高みに引き上げていきたく,今後貴大臣と緊密に連携していきたい」と述べました。
 
2.これに対し,ジャイシャンカル大臣からは,茂木大臣の外務大臣就任に祝意を表した上で,早期にインドを訪問いただき閣僚級「2+2」を実施したい旨,今後日印関係強化のために茂木大臣と緊密に協力していきたい旨述べました。

3.両外相は,次回の安倍総理大臣の訪印が特別な訪問となるよう協力していくことで一致しました。また,RCEPや地域情勢につき意見交換を行い,緊密な連携を確認しました。

今月の注目点(その3):モディ首相による国連総会での一般討論演説

9月27日,印外務省は国連総会において実施されたモディ首相による一般討論演説の英文のトランスクリプトを発出したところ,ポイント以下のとおり。
 
1.13億人のインド人を代表して第74回国連総会に出席することは、大変な名誉である。今年は、ガンジー生誕150周年であり、世界中がこれをお祝いする非常に特別な機会である。ガンジーの真実と非暴力のメッセージは、今日でも我々とって、世界の平和、発展及び進歩にとって非常に重要である。

2.今年、世界最大の選挙が行われた。世界最大の民主主義では、かつてないほど多くの有権者が私(モディ首相)と政府の第2期政権のために投票した。そして、マンデートのおかげで、再びここに立っている。しかし、マンデートが伝えるメッセージは更に重要であり、より広く、より勇気を与えるものである。

3.(インドのような)発展途上国が世界最大の公衆衛生キャンペーンを成功裏に実施し、国民のためにわずか5年間で1億1千万個以上のトイレを建設できるようになり、その成果と結果は全て、世界全体にインスピレーションを与えるメッセージとなる。発展途上国が世界最大の健康保険制度を成功裏に運営すると、5億人の人々に対し、無料の治療のため、年間50万ルピーの健康保険を提供することになる。このスキームの結果である成果と対応するシステムは、世界に新しい道を示している。

4.発展途上国が世界最大の金融包括スキームを成功裏に運営すると、わずか5年間で3億7千万以上の銀行口座が貧困層に開かれ、その結果として世界中の貧困層に信頼を築くことになる。

5.発展途上国が世界最大のデジタル識別プログラムを国民のために立ち上げ、生体認証IDを付与することにより、彼らが権利を活用できるようにし、そこから生じる現代のシステムである不正をチェックすることで200億ドル以上を節約し、世界に新たな希望を与える。

6.建物の入り口にある「使い捨てプラスチックはもういらない」という標示に気がついた。インドでは使い捨てプラスチックを使用しないようにするため、非常に大規模なキャンペーンが全国で実施されていることを国連総会でお知らせできることを嬉しく思う。

7.今後5年間で、節水を促進するだけでなく、1億5千万世帯への水の供給を確保する。今後5年間で、12万5千キロメートル以上の新しい道路を建設する。

8.インドが第75回独立記念日を祝う2022年までに、貧困層のために2千万戸の家を建てることを計画している。

9.世界は2030年までに結核撲滅の目標を設定しているが、インドでは2025年までに結核を根絶することに取組んでいる。

10.インドは何千年も前からの素晴らしい文化があり、独自の活気に満ちた伝統を持ち、普遍的な理想を取り込んだ文化である。我々の価値観と文化は、あらゆる存在に神性を見出し、全ての人の包括的福祉に努めている。

11.したがって、我々のアプローチの中心は、国民参加による公共福祉であり、この公共福祉は、インドだけでなく全世界のためのものである。

12.それが我々のモットーからインスピレーションを引き出せる理由である:皆の信頼と共に全ての成長のための総合的取組み(sabka sath、sabka vikas、sabka vishwas)。これもインド国内に限定されていない。

13.我々の取組みは、哀れみの表明でも見せかけでもなく、義務感や義務だけに触発されている。我々の全ての努力は、13億人のインド人を中心に集まっている。しかし、これらの努力が成し遂げようとしている理想は、世界全体、全ての国、そして全ての社会が持っているものと同じ理想である。取組みは我々のものだが、その成果は全ての人、全世界のためである。

14.この信念は、インドのように、それぞれ独自の方法で開発に取り組んでいる国のことを考えると、日増しに強くなっている。喜びや悲しみを聞いたとき、夢を知るとき、インドをより速いペースで発展させるという決意は更に強くなり、インドの経験は有益となる。

15.3000年前、インドの偉大な詩人、カリヤン・プングン・ドラ・ナールは、世界で最も古代の言語であるタミル語で“   Ya-dum, Oo-ray, Yaav-rum Ke-rir”と記した。これは、我々は全ての場所と全ての人に帰属するという意味である。この国境を越えた帰属意識は、インド特有のものである。

16.過去5年間、インドは何世紀にも渡る国家間の友愛と世界の福祉という偉大な伝統の強化に取り組んできたが、これはまさに国連の主要な目標に沿ったものである。

17.インドが提起している問題、つまりインドが構築するために前進している新しい国際的なプラットフォームは、深刻な世界的な課題と問題に対処するための総合的な取組みを求めている。

18.歴史的及び一人当たりの排出量の観点から見ると、地球温暖化に対するインドの貢献は非常に低い。しかしながら、インドはこの問題に対処するための措置を講じるという点において、先進国の1つである。

19.一方、450ギガワットの再生可能エネルギーの目標の達成に向けて取組んでおり、国際太陽光同盟を創設するためのイニシアチブも取っている。

20.地球温暖化の影響の1つは、自然災害の数と深刻さの増大であり、同時に新しい地域と形態で現れている。このため、インドは「レジリエントなインフラに関するコアリション」(CDRI)の形成を開始しており、CDRIは自然災害に耐えられるインフラの構築を支援している。

21.国連平和維持活動のための兵士の最大数の犠牲はインドである。我々は、戦争ではなく、仏陀の平和のメッセージを世界に与えている国である。悪について世界に警告するため、テロに対する我々の声が真剣さと怒りで響き渡る。

22.これは1つの国ではなく、世界全体及び人類にとって最大の課題の1つであると考えている。テロの問題について、我々の間で全会一致の欠如は、国連創設の基礎である原則に害となる。

23.人類のために、世界がテロに対して団結し、テロに反対することが絶対に不可欠であると強く信じている。

24.21世紀の現代の科学技術は、社会生活、私生活、経済、安全、連結性及び国際関係に抜本的な変化をもたらしている。このような状況において、断片化された世界では、誰の利益にもならない。境界内に自分自身を閉じ込める選択肢もない。

25.この新しい時代に、多国間主義と国連に新しい方向性とエネルギーを与えなければならない。

26.125年前、スワミ・ヴィヴェカナンダ導師は、シカゴの世界宗教会議で「調和と平和…不和ではない」というメッセージを世界に伝えた。

27.今日、国際社会に対する世界最大の民主主義からのメッセージは、「調和と平和」であり、同じである。