
1 内政
【中央政府】
●7月6日、上院議員任期の満了に伴い、ナクビ・マイノリティ大臣及びシン鉄鋼大臣が大臣職を辞任した。ナクビ大臣の任期満了に伴い、BJPに所属する連邦議員395名の内、ムスリム出身者の数はゼロとなった。
●7月7日、同月6日に辞任した2名の大臣の後任としてイラ二女性・児童育成大臣がマイノリティ大臣を、シンディア民間航空大臣が鉄鋼大臣をそれぞれ兼任する形で就任した。
【大統領、副大統領選挙】
●7月16日、BJP率いる与党国民民主連合(NDA)は、ジャグディープ・ダンカル元西ベンガル州知事(副大統領候補資格を得るため7月18日に州知事を辞任)を副大統領候補として擁立した。
●7月17日、コングレスを中心とする野党連合は、マーガレット・アルヴァ元ゴア州知事を副大統領候補に擁立した。
●7月18日、大統領選挙の投票が行われた。
●7月21日、大統領選挙の開票が行われ、与党擁立候補のドロウパディー・ムルム候補がインド大統領に選出された。投票の結果与党ムルム候補は67万6803ポイント(全体の約64%$、投票者数2824名)を獲得。対する野党擁立のシンハ候補は38万177ポイント(全体の約36%、投票者数1877人)を獲得した。
●7月21日、全印草の根会議派(AITC)は、副大統領選挙野党側候補マーガレット・アルヴァ氏の選出において、「事前の相談を受けていない」として、8月6日に予定される副大統領選挙の投票を棄権する旨発表した。
●7月25日、ムルム新大統領の就任式が執り行われた。ムルム大統領は就任演説において、インドの多様性や発展、コロナ・パンデミックにおいて国際的にインドが果たした役割、国際社会からのインドへの期待に触れ、インド建国100周年と更なる発展に向け国民の団結と努力を求めた。また、ムルム大統領自身の出自に言及しつつ、インドの僻地出身の指定部族の女性が大統領に選ばれた事を、インドの民主主義の偉大さであると述べたほか、貧困者や女性、若者、社会的弱者らを強く鼓舞した。
【モンスーン国会】
●7月16日、中央政府は円滑なモンスーン国会運営に向けた全政党会議を招集し、同国会で取り上げられる議題につき協議を行ったが、全印草の根会議派(AITC)やシブ・セナ、大衆社会党(BSP)、国民会議派(NCP)等、非コングレス系の野党の多くが欠席した。
●7月18日、モンスーン国会が開会した。
●7月19日から20日にかけて、GSTやアグニパト計画に関する議論を求める野党側連邦議員がプラカード等を掲げ上下両院の議場に押しかけ、議事進行が停止した。
●7月26日、ナイドゥ上院議長は、再三の注意にも関わらず議会の進行を妨げたとして、19名の野党所属上院議員に対し、1週間の国会参加資格停止処分を下した。また、下院においても同様の理由により4名のコングレス所属議員が残りのモンスーン会期全てへの参加停止処分を受けた。
【BJP】
●7月2日から3日にかけて、BJPは2024年総選挙に向けた選挙戦略を議論する全国役員会をハイデラバード市内で開催した。2日、BJPはインド国内におけるナショナリズムの高揚及び国民の団結に向け、国内2億以上の家庭にインド国旗を広める「全ての家にインド国旗を(Har Ghar Tiranga)」キャンペーンを開始することを決定。
●7月3日、ハイデラバード市内で開催されているBJP全国委員会において、モディ首相はBJP幹部陣に対し、「コングレスは何十年にも渡りインドを支配してきたが、今は末期的な衰退に直面しているが、彼らを揶揄してはいけない。そのようなことはせず、失敗から学び、同じことを繰り返さないようにすべきである。また、我々BJPの氏名は、最高のインド(Shreshtha Bharat)に向け、ひとつのインド(Ek Bharat)キャンペーンを推進することである」と述べた。また当地報道によると、モディ首相は今日ではイスラム社会もBJPに支持を寄せていると述べ、BJPによるアウトリーチをダリットや指定部族(ST)を含むヒンドゥー教徒以外にも拡大すべしとの意向を示した。
●7月3日、BJP全国役員会においてシャー内相は、「北東部の抱える全ての課題・問題は2024年までに解決される」、「今後30年から40年はBJPの時代になる」と発言した。
●7月3日、モディ首相はハイデラバードを「バーギャーナガル」と呼び、同市の名前を改名したい意向を示した(注:BJPによる同市名改名の変更は数年前より公約に掲げられている)
●7月24日、モディ首相は、ニューデリーのBJP本部に同党が政権を握る各州の州首相及び副州首相を招集し、各州の開発状況についての会議を実施した。
【コングレス】
●7月9日、コングレスは、インド国内23カ所で記者会見を開き、BJPがナショナリズムの衣をまといインドを空洞化していると非難した。
●7月12日、コングレスは、2022年末に控えるグジャラート州及びヒマーチャル・プラデシュ州の州議会選挙のオブザーバーとして、ゲーロット・ラジャスタン州首相とバゲル・チャッティースガル州首相を任命した。
●7月21日、26日及び27日、ガンディー家に対する、インド英字新聞ナショナル・ヘラルド紙に関する不動産を不法に入手した疑いの関係で、財務省監視局(Enforcement Directorate:ED)はソニア・ガンディー・コングレス暫定総裁から事情聴取を行った。
【ウッタル・プラデシュ(UP)州】
●7月3日、社会主義党(SP)のアキレーシュ・ヤーダブ党首は、全国及び州レベルの幹部、青年部や女性部を含むすべての党組織の指導層の解散を発表した。
●7月7日、モディ首相はUP州バラナシ市を訪問し、177億ルピー相当の開発計画を発表した。
【マハーラーシュトラ(MH)州】
●7月3日、BJP所属のファドナヴィス前MH州首相が、MH州副首相として宣誓を行った。
●7月4日、MH州議会において、シンデ同州首相に対する信任投票が行われ、賛成164名、反対99名で同州首相への信認が証明された。
【グジャラート(GJ)州】
●7月4日、ケジュリワル・デリー準州首相(庶民党(AAP)党首)は2日間の日程でGJ州を訪問し、2022年末に予定されるGJ州議会選挙において、仮に同党が勝利した場合、無料かつ転電の無い電力供給を約束する旨約束した。
●7月28日モディ首相はGJ州を訪問し、同州サダル県において100億ルピー相当の開発計画を発表した他、GIFTシティを訪問した。
【西ベンガル(WB)州】
●7月23日、財務省監視局(Enforcement Directorate:ED)は、パルタ・チャッタルジー西ベンガル州産業省務大臣(AITC)を雇用詐欺に関与した疑いで逮捕した。
【アンドラ・プラデシュ(AP)州】
●7月4日、モディ首相はアンドラ・プラデシュ(AP)を訪問し、インド独立運動時代のフリーダムファイターの一人、アルーリ・シタラマ・ラジュの銅像の除幕式に参加した。
【ジャンムー・カシミール(JK)準州】
●7月3日、JK準州当局は、同準州Reasi地区の村人が重要指名手配を受けていたスンニ派過激組織ラシュカレ・タイバ(LeT)の構成員2名を捕らえた旨発表した。
【テランガナ(TG)州】
●7月10日、チャンドラシェーカル・ラオ州首相(テランガナ民族会議(TRS))は、2023年に予定される同州議会選挙に関し、もしBJPが同州議会選挙で候補者を擁立する場合、同州議会を解散し、早期の選挙実施に踏み切る考えと述べた。
【ビハール(BR)州及びジャールカンド(JH)州】
●7月12日、モディ首相はビハール州とジャールカンド州を訪問し、ソレンJH州首相と面会した他、ビハール州議会100周年記念式典に参加した。
【北東部】
●7月15日、アッサム州とアルナーチャル・プラデシュ州は、両州の州境に位置しその帰属を協議中の村の数を123から86に減らすことを目的とした、両州間の州境紛争解決のための協定「ナムサイ宣言」に署名した。
2 経済
●7月11日
インド中央銀行(RBI)が、インドルピーによる貿易決済メカニズムの導入を発表した。従来、米ドル、ユーロ、円、英ポンド等の自由交換通貨に制限されてきた貿易決済に関し、RBIの承認を取得することにより、承認取引銀行はルピーを使用した貿易決済が可能となる。本メカニズムの下、承認取引銀行は、取引相手国の銀行のためにルピー建てのボストロ口座(銀行間取引での資金決済を行なう先方の決済口座)を開設し、同口座を通じて輸出代金及び輸入代金の決済を行う。余剰ルピーは、国内投資や政府短期証券の購入等に充てられる。RBIは本メカニズムの目的を国際貿易(特にインドからの輸出)の促進と説明しているが、SWIFT網から締め出されたロシアとのルピー建て取引を可能とし、同国に対する経済制裁の効果を薄める可能性がある。また、外貨不足に悩まされているスリランカとの貿易を促進する効果があると見られている。
3 外交
(印露関係)
7月1日
●モディ首相が、プーチン露大統領と電話会談を実施した。
7月8日
●ジャイシャンカル外相が、G20外相会合のサイドラインでラブロフ露外相と会談を実施した。
(中印関係)
7月7日
●ジャイシャンカル外相が、G20外相会合のサイドラインで王毅・中国外交部長と会談を実施した。
7月17日
●第16回印中軍団長級会談がチュシュル・モルドで開催された。
(印仏関係)
7月8日
●ジャイシャンカル外相が、G20外相会合のサイドラインでコロンナ仏外相と会談を実施した。
(米印関係)
7月8日
●ジャイシャンカル外相が、G20外相会合のサイドラインでブリンケン米国務長官と会談を実施した。
(印・オランダ関係)
7月13日
●モディ首相が、ルッテ・オランダ首相と電話会談を実施した。
(印米イスラエルUAE)
7月14日
●モディ首相が、第1回印米イスラエルUAE(I2U2)オンライン首脳会議に出席した。
(印・ナミビア関係)
7月17日
●ンダイトワ・ナミビア副首相兼外相が訪印した。
(その他)
7月28日
●ジャイシャンカル外相が、トレウヴェルディ・カザフスタン副首相兼外相大臣と会談した。
4 日印関係
7月8日
●インド外務省は、安倍元総理の逝去を受け、プレスリリースを発出した。
「インド政府及び国民は、安倍晋三元総理の逝去に深く悲しみ、ご遺族、友人、日本国民に対して心からのお悔やみを申し上げる。
安倍元総理は、人類のために絶えず働いた、明確なビジョンを持った指導者であり政治家であった。彼は、世界中の人々の心と記憶に消えることのない印象を残した。
2007年8月に総理として訪印した際、安倍元総理は、インド議会において有名な「2つの海の交わり」という演説を行った。同演説の中で、安倍元総理は、日印関係が「世界で最も可能性を秘めた二国間関係である」と述べた。安倍元総理の努力は、自由で開かれた、包摂的なインド太平洋を実現するために諸国を一致させてきた。
安倍元総理の多大なる貢献は、日印関係を特別戦略的グローバル・パートナーシップに引き上げた。日印間の多くの象徴的なプロジェクトは、安倍元総理の任期中に開始された。インド国家勲章の中で2番目に高位であるパドマ・ヴィブーシャン賞が安倍元総理に授与されたことは、彼がインド国内で受けている尊敬と真心の現れである。
安倍元総理は、2022年に日印友好議員連盟と日印協会の会長に就任したが、これは、日印関係増進に対する安倍元総理の深いコミットメントの反映である。
インドの偉大な友人を失った悲しみはインド国内に広がっている。本日、インドは、日本と共に喪に服しこの困難な時に日本の兄弟・姉妹とともに連帯する。安倍晋三元総理に対する心からの敬意を表し、2022年7月9日に国を挙げて喪に服すこととする。」