日印関係最新情報

月間インド・ニュース(2015年11月分)

2015年12月8日掲載


Ⅰ. 内政
11月3日
*種報道によれば、3日、コングレス党議員及び党員は、ソニア・ガンディー・コングレス党総裁やマンモハン・シン前首相を先頭に、インド国内に広がっている不寛容の動きを、モディ首相が黙認しているとして批判し、大統領官邸に向かって、抗議の意思を示す約1キロの行進を実施するとともに、ソニア・ガンディー総裁が、ムカジー大統領に陳情した。
11月8日
*8日、ビハール州議会選挙(全243議席)の開票が行われ、選挙管理委員会は、以下の結果を発表した(カッコ内は獲得議席数及び前回議席数からの増減)。
(1)大同盟(Grand Alliance: GA)(178)
・ジャナタ・ダル統一派(JDU)(71, (-44))
・民族ジャナタ・ダル(RJD)(80, (+58))
・コングレス党(27, (+23))
(2)国民民主連合(National Democratic Alliance: NDA)(58)
・BJP(53, (-38))
・LJP(2, (-1))
・RLSP(2, (+2))
・HAM(1, (+1))
(3)その他
・インド共産党(3, (+2))
・無所属(4, (-2)
11月9日
*9日、議会省はプレス・リリースを発表し、冬期国会は11月26日に開幕し、12月23日に閉幕することを公表した。また、ナイドゥ議会相は、11月26日が、インド憲法の起草者である、アンベドカル博士の125回目の生誕記念日であることから、同日を「憲法の日」と定めるべく、冬期国会の最初の2日間に特別会議を開催する予定であることを併せて発表した。
11月10日
*10日、インド商工省は、投資環境を更に活発化し、海外からの投資を呼び込むため、海外直接投資を15の主要セクターで自由化する改革を発表した。主要15セクターは以下のとおり。
① 有限責任事業組合(LLP)、川下への投資(downstream investment)
② 在外インド人に所有・支配される企業による投資
③ インド企業の設立及び所有と支配の移転
④ 農業と畜産
⑤ プランテーション
⑥ 採鉱、鉱物や鉱石を含むチタニウムの鉱石分離等
⑦ 防衛
⑧ 放送セクター
⑨ 民間航空
⑩ セクター別上限の緩和
⑪ 建設開発セクター
⑫ キャッシュ・アンド・キャリーの卸業、
 または卸売業(中小企業を調節元とするもの)
⑬ 単一ブランドの小売りと免税店
⑭ 民間銀行
⑮ 製造業
11月17日
*17日、ラージナート・シン内務大臣は、パリで発生したテロ事件を受けて、「イスラム国(IS)は特定の国ではなく、世界をターゲットにしている。インドもISを警戒すべき」と発言した。また内務省は、関係機関に対し、外国人が多く訪れる場所や外国公館等の警備を強化すべきとの勧告を発出した。

Ⅱ. 経済
11月5日
*6日付インド各紙は、5日にモディ首相が発表した金の貨幣化等のスキームについて報じた。モディ首相は、金への実物需要を減らすとともに、インドの家計等に休眠する2万トンとも見られる金を使用することを目的としたスキームを立ち上げた。また、モディ首相は、初めてインドで鋳造される金貨も発表した。
11月10日
*10日、インド準備銀行はラグラム・ラジャン総裁が国際決済銀行(BIS)の副議長に就任した旨を発表した。

Ⅲ. 外交
【インド・ネパール関係】
11月2日
*2日、印首相府は、ネパールのビルガンジにおけるネパール警察の発砲によるインド人青年1名の死亡に関連して行われたモディ首相とオリ・ネパール首相の電話会談に関するプレスリリースを発表した。会談において、モディ首相は、インド人青年の死亡事案を非難し、懸念を表明するとともに、詳細情報の提供を求めた。
11月5日
*5日、インド各紙は、4日行われた国連人権理事会の普遍的・定期的レビューにて、インドがネパールの人権状況を非難した旨を報じた。インドは、ネパールにおける「政治的進展の欠如」と「暴力、超法規的殺人、民族的差別」の事案を懸念する旨述べた。

【インド・中国関係】
11月3日~7日
*インド各紙は、11月3日~7日、中国の李源潮国家副主席がインドを訪問したことについて報じている。李国家副主席は、アウランガバード市を訪問し、トゥープ同市長やマハジャン同市行政長官等と会談、コルカタではトリパティ西ベンガル州知事と会談、デリーにてモディ首相を表敬し、アンサリ副大統領と会談した。
11月21日
*インド外務省の発表によれば、21日、モディ首相は、ASEAN首脳会談のために訪問していたクアラルンプールにて、中国の李克強中国首相と首脳会談を行った。会談では、主に、世界経済の停滞、気候変動、国際テロリズムといったグローバルな問題と貿易や投資等の二国間関係に関する問題について議論した。また、モディ首相は、李首相に対し、COP21のフリンジで発足する国際太陽光同盟(International Solar Alliance)への中国の参加について提案した。

【インド・イスラエル関係】
11月5日
*5日付タイムズ・オブ・インディア紙は、モディ首相のイスラエル訪問について、モディ首相は同国訪問を急いでおらず、リヴリン同国大統領の訪印を待ってから来年のイスラエル訪問時期を検討すると報じている。併せて、同紙は、インド政府関係者がモディ首相のイスラエル訪問が来年後半になるとしているとも報じている。

【インド・米国関係】
11月11日
*インド首相府の発表によれば、11日、インドの祭日であるディワリに際して、オバマ大統領がモディ首相に対し、新設されたホットラインを使用して電話をし、ディワリの挨拶の交換をした。

【インド・フランス関係】
11月14日
*14日、インド政府は、同日にパリで発生した同時多発テロを受け、同テロを非難し、フランス国民への連帯を示す旨のムカジー大統領、モディ首相及びアンサリ副大統領のメッセージを発表した。
11月22日
*22日付インド各紙は、来年1月26日の共和国記念日の主賓としてオランド仏大統領が招待された旨報じた。オランド仏大統領が招待を受ければ3年振りの訪印となる。
11月30日
*インド首相府は、パリにおいて、オランド仏大統領の主催のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)首脳会議が開催され、モディ首相が出席した旨発表した。

【インド・英国関係】
11月12日~14日
*11月12日~14日、モディ首相はイギリスを訪問した。12日に、モディ首相はキャメロン英首相と首脳会談し、その後の記者会見にて、印英間の隔年の定期首脳会談を開催していくことに合意したとともに、民生用原子力協定にも合意したことを発表した。また、13日には、サイバー及びテロ対策を含む安全保障問題に関する首脳会談が行われ、両首脳は、印英関係を印英が新たな世界的脅威に対応するために必要な軍事能力の開発に焦点を当てた、深く、長続きする未来志向の平等なパートナーシップへの引き上げることに合意した。

【インド・ASEAN関係】
11月21日
*21日、インド外務省は、同日にクアラルンプールで開催された第13回ASEAN首脳会談の際のモディ首相によるオープニングステートメントを発表した。同ステートメントの中で、モディ首相は、インドはASEANの価値と指導力が、アジア太平洋の統合に向け中心的な役割を担うと考えていると述べた。また、同首相は、インドは、ASEANの国際法に基づいた航行及び上空飛行の自由、妨げられない商業に対するコミットメントを共有していること、及びインドは、南シナ海問題の全当事国が、南シナ海に関する行動宣言を遵守し、早期に行動規範を採択すべく更なる努力を行うことを望む旨述べた。

【インド・オーストラリア関係】
11月15日
*インド各紙の報道によれば、15日、モディ首相はG20のアンタルヤ・サミットのために訪問先のトルコにおいて、ターンブル豪州首相と会談した。両首相は、インド・豪州民生用原子力協定の手続き完了を発表した。

【インド・スペイン関係
11月16日
*インド各紙の報道によれば、16日、モディ首相は、訪問先のトルコにおいて、ラホイ・スペイン首相と会談し、対テロ、鉄道近代化、防衛製造業、再生可能エネルギー、海洋安全保障分野での協力について協議した。

Ⅳ. 日印関係
11月21日
*外務省発表によれば、21日、安倍総理は、ASEAN首脳会談出席のため訪問中のマレーシア・クアラルンプールにて、モディ首相との間で、昼食を取りつつ会談を行った。両首相は、安保協力などの二国間関係、南シナ海等における懸念や国際社会の連携の必要性、地域の平和と安定等について議論を行った。

11月30日
*外務省発表によれば、30日、安倍総理は、COP21出席のため訪問中のパリにて、モディ首相との間で会談を行った。両首相は、気候変動分野を中心に議論を行うとともに、諸般の事情が許せば、安倍総理が12月11日から13日までインドを訪問することで一致した。