
1 内政
【連邦政府】
12月8日
軍の高官など14人の乗った空軍のヘリコプターがタミル・ナドゥ州で墜落し、ビピン・ラワット国防参謀長とその妻を含む全14人が死亡した。
12月22日
議会省が、2021年冬期国会が閉会した旨プレスリリースを発表した。開会前より審議待ちとなっていた31法案に加え、新たに13の法案が提出され、補正予算案を含む11法案が両院を通過し、33法案が審議待ちのまま閉会した。今会期中に通過した11法案のうち農業法廃止法案や選挙(修正)法などを含む6法案は、今会期中に提出されたもの。農業法廃止法案が、冬期国会初日に提出され、同日の内に両院を通過、それぞれ審議時間は10分以下であった。
【農業法改正】
12月1日
「2021年農業関連法廃止法」が大統領の署名を経て成立し、官報に掲載された。
12月9日
最低支持価格の法的保障等の農民の要求に対する政府からの具体的な約束に関する農業省発出の書簡が農民側の手に渡り、農民団体は抗議活動を停止する旨発表した。
【野党の動き】
12月3日
現地メディアは、野党の団結を目指す全印草の根会議派(AITC)によるコングレス降ろしの動き、及び選挙戦略家プラシャント・キショールとコングレスとの決別につき報じた。これを受けて、全インド・コングレス委員会(AICC)のスポークスマンは、「今もなおコングレスが反BJP勢力の中心的役割を担っており、バナジー州首相こそが野党を分断させ、BJPに有利な様に働いている」と批判した旨報じられた。
【ウッタル・プラデシュ(UP)州】
12月2日
現地メディアは、プリヤンカ・ガンディーが、2022年のUP州議会選挙におけるコングレスの公約として、開発に主軸を置き、200万人の雇用創出や州全土に製造拠点を設ける旨発表したほか、サトウキビ農家への農業ローン免除を確約した旨報じた。
12月7日
現地メディアは、モディ首相がゴーラクプル市において960億ルピー規模の開発計画を発足させた旨報じた。同日、モディ首相は肥料工場、全インド医科大学(AIIMS)ゴーラクプル校、及びRegional Medical Research Centre(RMRC)の落成式に出席した。
12月13日
モディ首相はバラナシ市において、カーシ―・ヴィシュワナート参道整備計画(Kashi Vishwanath Dham Corridor)の序幕式に参加した。総額33億9000万ルピーの工費が投じられた、モディ首相肝いりの本整備計画では、アクセスに問題のあったガンジス川のガート(沐浴場)からカーシ―・ヴィシュワナート寺院の間に参拝路が整備されたほか、同寺院整備の為、寺院周辺の300以上の店舗・家屋が収用され、元々3,000平方フィートであった寺院の敷地が、参道を含め50万平方フィートに拡張された。また、参道周辺には、ツーリストセンター、多目的ホール、貧困者救済施設、宿坊、宗教関連書店など24の関連施設が建設される。
【パンジャーブ(PB)州】
12月4日
現地メディアは、シャー内相が、アマリンダル・シン前PB州首相や、Sukhdev Singh Dhindsaアカリ党党首と協議を進めており、2022年PB州議会選挙において、同盟を結ぶ可能性があると述べた旨報じた。
【ウッタラカンド(UK)州】
12月4日
モディ首相はUK州デラドゥーン市において、830億ルピー規模のデリー・デラドゥーン経済回廊開発計画を含む、総額1800億ルピー相当の複数の開発プロジェクトの定礎式に参加した。
【ゴア(GA)州】
12月7日
現地メディアは、ケジュリワル・デリー準州首相(庶民党首)が、GA州で庶民党が政権を獲得した場合、同州管轄の各種スキームにおける女性向けの補助を増額することに加え、スキーム対象外の女性への経済支援を約束した旨報じた。
【ナガランド(NL)州】
12月5日
現地メディアは、4日、NL州のミャンマー国境近くのモン地区において、過激派勢力を待ち伏せしていたインド軍兵士が、停止命令に従わなかった地元住民の乗った車を誤射し、乗車していた市民8人中6人が死亡、その後発生した暴動で、さらに市民8人及び兵士1人が死亡した旨報じた。
2 経済
12月8日
インド準備銀行(RBI)は12月6~8日にかけて行われた金融政策決定会合の結果を公表し、政策金利を4.00%のまま据え置くことを決定した。据え置きは概ね市場の予想通り。また、今後の経済見通しについては、国内の経済活動が、ワクチン接種率の上昇、コロナ新規感染者数の減少、モビリティの急速な正常化により今後ますます拡大していき、農村部の需要は引き続き堅調に推移するとともに、都市部の需要が、接触型活動の加速や繰延需要の発現により引き続き増加し、政府によるインフラ整備の推進やPLI(Production Linked Incentives生産連動型優遇策)スキームの拡大、構造改革、緩和的な金融市場により民間の投資需要も促進されることを考慮し、インドでコロナ感染が再拡大しないと仮定した場合、2021年度の実質GDP成長率は前年同月比9.5%増となる(前回予測を維持)とした。
3 外交
(印露関係)
12月6日
インド外務省は、12月6日、プーチン大統領が、ニューデリーを訪問し、モディ首相との第21回印露年次首脳会談を行った旨発表した。両首脳は、両国の特別かつ特権的戦略パートナーシップが持続的に進展していることに満足感を示した。また、両首脳は、2021年12月6日のニューデリーにおける、印露外務・国防大臣2+2対話の初会合と、軍事および軍事技術協力に関する政府間委員会の会合開催を歓迎した。また、首脳会談後、印露首脳共同声明として「印露:平和、進歩及び繁栄のためのパートナーシップ」が発出され、印露間の特別かつ特権的戦略パートナーシップへのコミットメントを再確認した。
12月20日
インド外務省は、モディ首相がプーチン露大統領と電話会談を行った旨発表した。両首脳は、最近のプーチン大統領訪問時に議論された事柄についてフォローアップを行った。更なる防衛協力の強化、肥料供給における協力、ロシアとの協力のもと極東におけるインドの関与を強化することなどについて話し合われた。
(印・UAE・クウェート関係)
12月7日
現地メディアは、モディ首相が2022年初の外遊として、1月にアラブ首長国連邦及びクウェートを訪問する予定である旨報じた。モディ首相は、2020年ドバイ国際博覧会を訪問するほか、コロナ第二波の間に、UAE及びクウェートから受けた支援、及び2か国に滞在する多くのインド国籍保有者の保護に対し感謝の意を表明することが目的と報じられている。
(印・アフガニスタン関係)
12月10日
インド外務省は、10日、インド政府のチャーター便でカブールからデリーに特別便が到着し、インド人10人とアフガニスタン人94人を移送した旨発表した。アフガニスタン人少数民族出身者は、シーク教徒の聖典やヒンドゥー教の古代写本と共に移送された。
(印・米・イスラエル・UAE)
12月14日
現地メディアは、印・米・イスラエル・UAEによる初の外相会談が、2022年3月に対面で行われる予定であると報じた。情報筋によると「西アジアクアッド」とも呼ばれ、2020年ドバイ国際博覧会のマージンで会合が開催される予定であり、経済協力やインフラプロジェクト等、具体的なプロジェクトについて取り上げる準備が開始されている旨報じられている。
(印・中央アジア関係)
12月19日
ジャイシャンカル外相の議長のもと、ニューデリーにおいて第3回インド・中央アジア対話が開催された。カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの外相が参加した。中央アジアの各国外相は、2022年のインドと中央アジア諸国の外交関係樹立30周年を共に祝賀する用意があることを表明した。そのほか、各外相は、インド・中央アジア対話の更なる強化について議論し、同対話を毎年定期的に開催することに合意した。
(印・バングラデシュ関係)
12月15日-17日
インド外務省は、コヴィンド大統領が、ハミド・バングラデシュ大統領からの招待により、15日から17日にかけてバングラデシュを訪問し、独立50周年祝賀イベントに主賓として参加した旨発表した。これは、新型コロナウイルス禍拡大以来、コヴィンド大統領による初の海外訪問となった。大統領は、独立記念塔を訪問し、建国の父故ムジブル・ラーマン元首相の親族とボンゴボンドゥ記念館で面会したほか、ハミド大統領と会談し二国間関係の進捗について議論を行った。その他、ハシナ首相がコヴィンド大統領を表敬した。
(印・ブータン関係)
12月18日
現地メディアは、モディ首相がブータンにおける文民最高位である国王勲章(Order of the Druk Gyalpo)を授与された旨報じた。同勲章は、ブータンとインドの類まれな関係の強化に向けたモディ首相のリーダーシップと個人的努力に対して授与された。モディ首相は、同勲章を受章した初めての外国政府首脳である。国王陛下は、モディ首相の国内開発への貢献と、パンデミック時の継続的な医療支援に感謝した。
(印・ミャンマー関係)
12月22日-12月23日
インド外務省は、シュリングラ外務次官が12月22日及び23日にミャンマーを実務訪問し、国家行政評議会議長などの高官に表敬したほか、国民民主連盟をはじめとする市民社会、政党のメンバーと会談した旨発表した。シュリングラ外務次官は関係者との会談において、ミャンマーの早期の民主化、拘束者や収監者の解放、対話による問題の解決、全ての暴力の完全停止に対するインドの関心を強調した。
4 日印関係
12月4日-5日
第5回「インド洋会議」が対面とオンラインのハイブリッド形式で開催され、本田外務大臣政務官がビデオ・メッセージにより出席した。同会議はインド財団が主催し、本田外務大臣政務官やゴタバヤ・ラージャパクサ・スリランカ大統領、ジャイシャンカル・インド外相の他、インド洋関係諸国政府関係者及び識者が参加した。本田政務官は、メッセージの中で、広大なインド洋地域が「自由で開かれたインド太平洋」の実現にとって重要な地域であり、インド洋においても日本が具体的な協力を進めてきた旨述べつつ、会議のテーマであるエコロジー、経済、感染症対策における日本の取組を紹介した。
12月21日
日印トラック1.5対話「第4回日印インド太平洋フォーラム」がオンライン形式で開催された。今回のフォーラムでは、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)と日米豪印」、「新型コロナ後の日印関係」、「FOIPの実現に向けた日印協力の強化と日米豪印の役割」の各テーマに沿った議論が日印両国の政府関係者及び有識者により活発に行われた。
公開セッションとなった「FOIPの実現に向けた日印協力の強化と日米豪印の役割」のセッションでは、林芳正外務大臣及びジャイシャンカル外相がビデオ・メッセージを発出した。林大臣は、メッセージの中で、国際社会が歴史的変動期にある中、日印が緊密に連携していくことが重要であり、FOIPの実現に向けた日印両国の役割に対する世界の期待が大きく高まっている旨述べた。また、FOIPの実現に向けて、日印のみならず日米豪印での協力も着実に進んでおり、本年9月の第2回日米豪印首脳会合でもインド太平洋地域への強いコミットメントが示され、様々な分野での実践的な協力の成果が積み上げられている旨言及した。さらに林大臣は、2022年に日印外交関係樹立70周年を迎えることに触れつつ、日印の「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」が、この節目の年に更に大きく花開くことへの期待を表明した。