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日印関係最新情報

月間インドニュース(2021年10月)

2021年11月19日掲載


1.内政
【連邦政府】
10月12日:内務省は、ベンガル地域北部のダージリン丘陵部、テライ、ドゥアールのグルカ族(Gorkha)代表者及び西ベンガル州政府との間で、西ベンガル州からの独立運動の解決に向け、グルカ族や同地に関する協議を行った。
10月中旬:北部ウッタラカンド州及び南部ケララ州で発生した豪雨による洪水・土砂崩れにより100名以上が死亡、多数が行方不明になった。
10月21日:国内におけるワクチン接種回数が10億回を超え、22日にはモディ首相がこれを記念して国民に向けた演説を行った。
10月27日:印国防省は、最大5,000km圏内の目標を攻撃する能力を有する地対地弾道ミサイルアグニ5(Agni-5)の発射成功に係るプレスリリースを発表した。

【農業関連法】
10月3日:ウッタル・プラデシュ(UP)州ラキンプル・ケリー県で、農業関連法への抗議デモ中の農民グループの列にBJP関係者を乗せた車が衝突し、4名のデモ参加者と1名のジャーナリストが死亡した。その後衝突した車が襲われ、2名のBJP活動家と1名の運転手が殺害されたほか、衝突した車は他の車両と共に燃やされた。
10月10日:現地メディアは、ラキンプル・ケリー県において、農業関連法に対する抗議デモを行っていた農民グループの列にBJP関係者を乗せた車が衝突し、多数の死傷者が生じた事案に関し,アジェイ・ミシュラ・テーニー内務担当閣外大臣(BJP)の息子アシーシュ・ミシュラが逮捕された旨報じた。

【ウッタル・プラデシュ(UP)州】
10月20日:モディ首相立ち会いのもと釈迦入滅の地・クシナガル国際空港の開港式が行われ、日本、スリランカ、韓国、ベトナム、カンボジア、タイ、シンガポール、ブータンなどの代表者が開港式に出席した。

【ジャンム・カシミール(JK)準州】
10月7日:現地メディアは、JK準州において、テロ関連の事件で多くの民間人が殺害されている旨報じた。報道によると10月5日までに殺害された民間人の数は22名に上り、同時期に殺害された治安部隊関係者数20名を上回った。
10月23日:現地メディアは、アミット・シャー内相が同日より3日間の日程でJK準州を訪問し、10名以上の民間人が死亡した最近の標的型テロ攻撃に関し、同地状況の確認を行うほか、地元政治家やBJP関係者との集会、各種開発プロジェクトの式典に出席する旨報じた。

【パンジャブ(PB)州】
10月19日:現地メディアによると、PB州チャンニ州首相は、都市部における水道代の滞納金及び農村部における未納の水道代と電気代の支払いを免除する旨発表した。これに係る州政府の負担は180億ルピーとなる旨報じられている。また、農村部における水道使用料を70%値下げし、これまでの166ルピーから50ルピーとする旨発表している。
10月19日:現地メディアによると、シンPB州前首相は間もなく自身の政党を立ち上げると述べた旨報じられた。農業関連法の抗議活動解決と引き換えに、BJPとの協力関係を求めていると報道されている。
【ハリヤナ(HR)州】
10月29日:現地メディアは、HR州グルグラム(旧、グルガオン)において、ムスリムの金曜礼拝を妨害したとして30名程が逮捕された旨報じた。逮捕された右翼団体関係者は、数週間にわたり礼拝を妨害していたと報じられている。

【ウッタラカンド(UK)州】
10月30日:現地メディアは、アミット・シャー内相がUK州を訪問し、2022年に控える同州議会選挙に向けたBJPの選挙キャンペーンを開始した旨報じた。

【アッサム(AS)州】
10月30日:現地メディアは、AS州警察がミゾラム(MZ)州から同州に入域したMZ州警察を不法侵入の容疑で逮捕した旨報じた。

【グジャラート(GJ)州】
10月3日:グジャラート州ガンディナガル市議会他3市議会等合計184議席を巡って行われた選挙でBJPが136議席を獲得した。就任後間もないパテルGJ州首相にとって最初の勝利選挙となった。モディ首相は「GJ州の人々とBJPのつながりを再確認するものとなった」とツイートした。

【マハーラーシュトラ(MH)州】
10月5日:デュレイ、ナンドルバル、アコラ、ワシム、ナグプル、パルガルで行われた地方議会選挙では6県合計で、MH州連立政権与党のシブセナ、コングレス、NCPによる獲得議席数はBJPのそれを上回る結果となった。BJPは市議会選挙で単独で最多議席を獲得したが、前回選挙比ではマイナス9議席となった。

【西ベンガル(WB)州】
10月3日:現地メディアは、西ベンガル州で行われた補欠選挙に出馬したママタ・バナジー西ベンガル州首相が、自身の選挙区で対立候補を破って同州議会議員の椅子を確保した旨報じた。

2.経済
10月28日:現地メディアは、インド準備銀行のシャクティカンタ・ダス総裁が再任した旨報じた。任期は3年。

3.外交
(印スリランカ関係)
10月2日:印外務省は、シュリングラ外務次官が2日から5日までスリランカを訪問した旨発表した。シュリングラ次官はラージャパクサ大統領、ピーリス外相、ラージャパクサ財務相を表敬した他、コロンバゲ外務次官と会談を行い、現行二国間プロジェクトの進展状況や新型コロナ関連問題をレビューした。

(印コロンビア関係)
10月3日:3日、印外務省は、コロンビアのラミレス副大統領兼外相が1日から3日までインドを訪問した旨発表した。ナイドゥ副大統領及びジャイシャンカル外相等と会談を行った他、科学技術省関係者とも面会した。

(印米関係)
10月7日:印外務省は、シャーマン米国国務副長官が、10月5日から7日まで、米印首脳会談及び日米豪印首脳会合の成果フォローアップのため訪印した旨発表した。シャーマン副長官は、ドヴァル国家安全保障顧問、ジャイシャンカル外相、シュリングラ外務次官等と面会した。
(印アフガニスタン関係)
10月7日:当地メディアは、バグチ外務報道官が、印アフガン間航空便再開の時期は未定であると述べた旨報じた。インド在住のアフガニスタン人へのビザの延長は内務省が既に行っていると述べた。
10月12日:印外務省は、モディ首相がアフガニスタンに関するG20首脳テレビ会議に参加した旨発表した。モディ首相は、インドは社会経済的な開発や若者や女性に対する開発の促進に過去20年にわたり貢献しており、500もの開発プロジェクトをアフガン国内で実施してきた旨述べた。また、過激主義の拡大を制限するには、女性やマイノリティ―を内包した行政府の運営が必要であり、国連、G20を始めとする国際社会が一致して対応する必要があると述べた。
10月20日:印代表団がタリバーン幹部のハナフィ―氏とモスクワで会談し、インドは人道支援を行う準備がある旨表明した。ロシアからの招待により、印外務省から参加した代表団がアフガニスタンに関する会合に参加し、サイドラインでタリバーン幹部と会談が行われた旨、タリバーン報道官が述べた。

(印中関係)
10月8日:現地メディアは、PLA(人民解放軍)兵士200名が前週、アルナチャル・プラデシュ州のタワン地区LAC(管理ライン又は実効支配線)近傍のブン・ラとヤンツェ間の国境道路において、無人壕を破壊するためにインド側に侵入し、印軍に一時拘束された旨報じた。
10月13日:現地メディアは、中国の税関が発表したデータによると、印中二国間貿易が9月末までに輸出入合計903億7,000万米ドルとなり、前年同期比49.3%の増加となった旨報じた。
10月27日:印外務省は、中国が23日に「陸地国境法」を新たに可決したことに関し、「中国が一方的に、国境管理や境界問題に関する既存の二国間の取り決めに影響を及ぼす可能性のある法律を制定することは、我々にとって懸念すべきことである」との報道官談話を発表した。

(印・中央アジア関係)
10月11日~13日:ジャイシャンカル外相は、インドの「拡大近隣諸国(extended neighborhood)」との関与の強化の一環として中央アジア3カ国(キルギス・カザフスタン・アルメニア)を訪問し、各国首脳と会談した。

(印英関係)
10月11日:印外務省は、モディ首相とジョンソン英首相が電話会談を行った旨発表した。両首脳は、今年初めに行われたオンライン首脳会談以来の二国間関係の進捗をレビューし、前回の会談で合意された2030年ロードマップへの進捗に満足を表明した。
10月22日~24日:トラス外相はインドを訪問し、ジャイシャンカル外相およびヤダヴ環境相と会談し、インド太平洋地域における安全保障および防衛面での協力強化や世界のグリーン成長を高めるための協力について協議したほか、貿易促進バートナーシップの達成に関する進展を歓迎した。

(印デンマーク関係)
10月12日:印外務省は、フレデリクセン首相が9日から11日にかけて国賓として訪印した旨発表した。コロナ禍後初の首脳による訪印となった。フレデリクセン首相は、コヴィンド大統領を表敬し、モディ首相と会談した後首脳共同声明を発出し、グリーン・セクターに加え保健等での協力強化や文化交流の拡大で合意した。

(印イスラエル関係)
10月17日~21日:ジャイシャンカル外相はイスラエルを訪問し、ベネット首相やラピード首相代理兼外相と会談したほか、同首相代理兼外相、アブダッラーUAE外相およびブリンケン米国務長官とテレビ電話会談を行い、経済成長および国際情勢に関するより緊密な協力を議論した。

(印ASEAN関係)
10月27日:印外務省は、モディ首相がオンラインでEAS(東アジア首脳会議)に参加した旨発表した。ブルネイが主催し、ASEAN諸国のほか、オーストラリア、中国、日本、韓国、ロシア、米国及びインドが参加した。モディ首相はEASの重要性を再確認したほか、コロナ禍におけるワクチンや医薬品の提供などを通じた印の貢献について述べ、その他経済活動、自然環境保護、持続可能な生活様式のバランスをとれるような仕組み構築の重要性について強調した。
10月28日:印外務省は、モディ首相がオンラインで開催された第18回印ASEAN首脳会合に出席した旨発表した。印ASEANパートナーシップ30周年の節目を強調しつつ、2022年を印ASEAN友好年とすることを発表した。また、共同声明「地域における平和、安定及び繁栄のためのAOIP(ASEAN Outlook on the Indo-Pacific, アセアン独自のインド太平洋構想)の協力に関するASEAN印共同声明」を発出した。

(G20)
10月29日~30日:モディ首相は、G20ローマ・サミット出席のため10月29日から31日までイタリア・ローマを訪問し、サイドラインでミシェル欧州理事会議長及びフォン・デア・ライエン欧州委員長、ドラギ伊首相、ローマ教皇、リーシンガポール首相及びマクロン仏大統領、サンチェス西首相、メルケル独首相、ウィドド・インドネシア大統領とそれぞれ会談した。

4.日印関係
10月4日~8日:経済産業省資源エネルギー庁が主催する「東京ビヨンド・ゼロ・ウィーク」が行われ、その中でインドを含む20か国のエネルギー担当大臣等が「第1回アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合(AGGPM)」に参加し、アジアにおける現実的なエネルギートランジションの実現に向けた議論がなされた。
10月6日~8日:印海軍及び海上自衛隊との間で、海上自衛隊の戦術技量の向上及びインド海軍との連携の強化のため、第5回日印二国間海上訓練(India-Japan Maritime Bilateral Exercise)「JIMEX」が実施された。
10月12日~15日:印豪米海軍と日本の海上自衛隊は、ベンガル湾における多国間海上演習「マラバール2021・フェーズ2」を実施した。
10月8日:岸田総理は、就任後初めてモディ首相と日印電話首脳会談を行った。

今月の注目点①:日印電話首脳会談
10月8日、午後5時15分から約25分間、岸田文雄内閣総理大臣は、ナレンドラ・モディ・インド首相(H.E. Mr. Narendra Modi, Prime Minister of India)と電話会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

冒頭、岸田総理大臣から、就任直後の祝意ツイートに謝意を伝えた上で、モディ首相とは、外務大臣時代以来東京やデリーでお会いする機会があったが、こうしてまたお話でき嬉しく思う、モディ首相との信頼関係の下、基本的価値を共有する日印関係は近年大きく飛躍している旨述べた。これに対し、モディ首相から、岸田総理大臣の就任に改めて祝意が述べられ、両首脳は、両国関係を共に一層発展させ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて緊密に連携していくことで一致。
両首脳は、来年の日印国交樹立70周年も見据え、政治・安全保障、経済・経済協力、人的交流といった幅広い分野での協力を進め、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」をさらなる高みに引き上げていくことで一致。特に、首脳の年次往来の再開が極めて重要であること、日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)の早期開催に向けて調整を進めること、デジタル、グリーン、ヘルスケア、連結性強化、特定技能制度に基づく人材交流等で協力を進めること、日印の旗艦プロジェクトである高速鉄道事業を着実に推進していくこと等を確認した。
両首脳は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日印や日米豪印で緊密に連携していくことを確認した。その中で両首脳は、力による一方的な現状変更の試みや経済的威圧への強い反対の意を改めて共有するとともに、サプライチェーン強靱化等、経済安全保障の面でも協力を深めていくことを確認した。
岸田総理大臣から、北朝鮮による最近の核・ミサイル活動は、日本、地域、国際社会の平和と安全を脅かすものであると述べた上で、拉致問題について理解と支持を求めた。
この他、両首脳は、新型コロナ対策等の国際社会の課題での連携を進めていくことで一致した。
また、両首脳は、双方の都合のよい適切なタイミングでの岸田総理大臣の訪印を実現することでも一致した。