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日印関係最新情報

月間インドニュース(2019年11月)

2019年12月20日掲載


1 内政
【連邦政府/連邦議会】
11月17-18日:ランジャン・ゴゴイ最高裁長官は,任期満了により引退し,シャラド・アーヴィンド・ボブデ判事が最高裁長官に就任した。

11月18日:冬期国会が開会した。

11月29日:第2四半期のGDP成長率が過去6年で最低の4.5%であるとの発表を受け,シタラマン財務大臣は,上院において,インドは不況に陥っていないと述べた。同日,スルジェワーラー・コングレス・スポークス・パーソンは,BJP政権によってインド経済が危篤状態に追い込まれたとして強く批判した。

【コングレス党】
11月7日:プリヤンカ幹事長は,失業率の増加等の経済問題を取り上げてモディ政権を批判するツイートをした。

【アヨーディヤ問題】
11月9日:最高裁は,バブリ・マスジッド跡地をヒンドゥー側に帰属させ,ラーマ寺院の建設を認める判決を下すとともに、イスラム教徒のためのモスク建設用に代替地を手当てするように政府に促した。

【ラファール戦闘機】
11月14日:最高裁は,2018年12月に棄却されたラファール戦闘機36機の調達に係る汚職疑惑を巡る公益訴訟の再審理を求めるコングレスの訴えを棄却した。他方,ジョセフ最高裁判事は,中央捜査局(CBI)の捜査を妨げるものではない旨の見解を述べた。これを受け,BJPは,コングレスに謝罪を求めた。

【国民登録簿(NRC)】
11月20日:シャー内務大臣は,上院議会において,インド全土においてNRCを更新予定であり,宗教を問わず全インド人が登録される旨述べた。

2 経済
【インド経済(2019年度第2四半期のGDP成長率)】
11月29日:インド政府統計・計画実施省(MOSPI)傘下の中央統計局(CSO)は、2019年度第2四半期(2019年7月~9月)のGDP成長率を発表したところ,概要以下のとおり。
ポイント
(1)2019年度第2四半期の実質GDP成長率は4.5%となり,前年同期(2018年度第2四半期)の同7.0%及び前四半期(2019年度第1四半期)の同5.0%を大きく下回り,また市場予測値4.7%を下回る結果となった。6四半期連続で成長率が低下し,2012年度第4四半期以来,26四半期ぶりの低水準となった。
(2)印財務省は第3四半期(10-12月期)から成長率は持ち直すと期待されるとのコメントを発出。

3 外交
(印スリランカ関係)
11月19日:ジャイシャンカル外相はスリランカを訪問し,29日にゴタバヤ大統領が訪印することを発表した。


(印パキスタン関係)
11月7日:当地メディアは,カルタールプール回廊開通に伴い,印パの平和の回廊となる可能性を指摘しつつも,インド政府関係者が,同回廊はパキスタンにとって戦略的目的にも利用される可能性がある旨述べたと報じた。パキスタン政府が,同回廊開通に伴い公表したビデオの中で,パンジャブ州の分離独立派であるカリスタン人テロリストのポスターが映っていたことにインド政府関係者が反発し,上記の発言をした由。

(ASEAN)
11月3日:ASEAN関連首脳会議出席のためバンコク訪問中のモディ首相は,第16回インド・ASEAN首脳会議に出席した。

(RCEP)
11月4日:当地メディアは,ASEANが主導するRCEPについて,モディ首相は,農家,中小企業,酪農セクターに影響が出ると述べ,同協定にインド政府が合意できない旨報じた。

(BRICS)
11月14-15日:モディ首相はBRICS首脳会合に出席した。

4 日印関係
11月4日:バンコクにおいて,日印首脳会談が開催された。

11月23日:名古屋において,日印外相ワーキングディナーが開催された。

11月30日:デリーにおいて,茂木外務大臣及び河野防衛大臣はモディ首相を表敬した。
デリーにおいて,第12回日印外相間戦略対話が開催された。
デリーにおいて,第1回日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)が開催された。

今月の注目点(その1):日印首脳会談

11月4日午前11時15分(現地時間)から約45分間,ASEAN関連首脳会議出席のためバンコク訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,ナレンドラ・モディ・インド首相と首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。なお会談には、日本側から西村明宏官房副長官ほかが、インド側からジャイシャンカル外務大臣、ゴヤル鉄道・商工大臣ほかが同席しました。
 
1.冒頭,安倍総理大臣から,9月のウラジオストク以来の再会を歓迎するとともに,即位礼正殿の儀にインドからコヴィンド大統領に出席いただいたことに謝意を表しました。モディ首相からは,即礼正殿の儀への祝意とコヴィンド大統領へのもてなしについての感謝が述べられ,安倍総理の訪印とそれに先立つ閣僚級「2+2」を楽しみにしている旨発言がありました。
 
2.両首脳は,防衛協力,日印による第三国協力や投資促進などの連携により,次の総理訪印に向けて日印関係を強化していく施策を意見交換しました。また両首脳は,RCEPや地域情勢についても意見交換を行いました。その中で,安倍総理からは,北朝鮮の拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求めました。

今月の注目点(その2):日印外相ワーキングディナー

11月23日,午後7時頃から約60分間,茂木敏充外務大臣は,G20の名古屋における外相会合出席のため訪日中のジャイシャンカル・インド外務大臣とワーキングディナーを行ったところ,概要は以下のとおりです。
 
1.冒頭,茂木大臣から,「9月の国連総会に続いて,ジャイシャンカル外務大臣と再会できて嬉しい」,「6月の大阪サミットに続き今回のG20外相会合へご出席いただき感謝したい」旨述べました。ジャイシャンカル大臣から,「今回のG20外相会合の成功別ウィンドウで開くに祝意を示したい」旨述べました。
 
2.両大臣は,次の安倍総理大臣訪印やそれに先立つ閣僚級「2+2」を念頭に,日印関係の更なる強化に向けて協力していくことで一致しました。

3.両大臣は, RCEPについても意見交換を行い,茂木大臣からは,インドを含む16か国での2020年のRCEP協定署名に向けて,日本として引き続き主導的役割を果たすとの考えを伝えました。これに対し,ジャイシャンカル大臣から,インドの立場につき説明がありました。

4.また,両大臣は地域情勢につき意見交換を行い,引き続き連携していくことを確認しました。

今月の注目点(その3):茂木外務大臣及び河野防衛大臣によるモディ首相表敬

11月30日午前11時15分(現地時間)から約30分間,日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)に出席するためにインド訪問中の茂木敏充外務大臣は,河野太郎防衛大臣と共にナレンドラ・モディ・インド首相を表敬したところ,概要は以下のとおりです。
 
1.冒頭,茂木敏充外務大臣から,日印関係は,過去5年間,安倍総理とモディ首相との固い絆によりめざましい発展を遂げてきた,また,日印関係強化のため,ひいては「自由で開かれたインド太平洋」の実現のため,引き続きモディ首相のリーダーシップを期待する旨述べました。
  河野太郎防衛大臣から,自衛隊の陸海空それぞれの分野でのインドとの共同訓練ができるようになってきた,こうした防衛協力を深めていきたいと述べました。
  モディ首相からは,初の日印閣僚級「2+2」の開催により,日印の防衛協力をさらに加速させ,地域の平和と繁栄,特にインド太平洋地域に対して建設的なメッセージを送ることができるだろうと述べました。 

2.茂木大臣から,来る日印首脳会談では,今回の日印閣僚級「2+2」の成果を確認し,経済交流・経済協力の推進,青少年交流の拡大,第三国協力の推進等で一致し,幅広い分野での強固な日印関係を示したいとの意向を表明しました。河野大臣からも,安全保障・防衛協力分野の日印関係の推進について発言がありました。
  モディ首相から,アクト・イースト政策について紹介し,この面でも日本と協力したい旨述べつつ,今回の日印閣僚級「2+2」の成果が来たる安倍総理の訪印につながることを期待する旨述べました。

3.また,茂木大臣から,RCEPにつき,来年インドと共に署名したい旨述べました。これに対し,モディ首相から,インドの立場につき説明がありました。

今月の注目点(その4):第12回日印外相間戦略対話

11月30日16時10分頃から約1時間,インド・デリーを訪問中の茂木敏充外務大臣は,スブラマニヤム・ジャイシャンカル印外務大臣との間で日印外相間戦略対話を開催したところ,概要は以下のとおりです。
 
1.冒頭
ジャイシャンカル外務大臣から,茂木大臣のインド訪問を歓迎した上で,茂木大臣とはこの後開催される日印閣僚級「2+2」を含め,一週間で3回会談を行うこととなるが,今回の会談では,安倍総理のインド訪問に向けた準備を行うことを一つの目的としたいと述べました。
  茂木大臣から,外務大臣としては初めてのインド訪問であり,この度,初となる日印閣僚級「2+2」と貴外相との日印外相間戦略対話を開催でき,喜ばしい,本日は,来る総理訪印に向け,戦略対話にふさわしく,二国間関係全般,地域情勢及び国際情勢につき,さらに突っ込んで意見交換したいと述べました。 

2.二国間関係
両外相は,総理訪印に向けて緊密に連携していくことを確認しました。
 茂木大臣から,(1)日印閣僚級「2+2」の結果をその後に繋げること,(2)ACSA(物品役務相互提供協定)の実質合意に向け作業を加速させること,(3)連結性強化のためのインド北東部や第三国における日印協力の推進を確認すること,(4)デジタル分野での協力やスタートアップに関する日印協力の進展を確認すること,(5)人的交流を推進していくこと等の重要性につき述べました。
 ジャイシャンカル外務大臣からは,ACSAの妥結に向けた進展,第三国協力,インド北東部を含む連結性強化等の面で成果を上げていきたいと述べました。
  また,両外相は,高速鉄道事業を着実に進展させていくことの重要性を確認しました。

3.地域情勢及び国際情勢
(1)ジャイシャンカル外相から,東アジアサミット(EAS)で立ち上げた「インド太平洋海洋イニシアティブ」につき説明があったところ,茂木大臣から右イニシアティブの発表を歓迎しました。また,両外相は,「自由で開かれたインド太平洋」の実現のために引き続き連携し,第三国での協力を進めることで一致しました。
(2)両外相は,最近の北朝鮮による弾道ミサイル発射を含め,北朝鮮情勢について意見交換し,茂木大臣から安保理決議の完全な履行が不可欠であると指摘,拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求めました。
(3)両外相は,来年の国連創設75周年の機会を最大限生かし,安保理改革の実質的な進展を得ることの必要性について,認識を共有しました。
(4)また,茂木大臣から,核兵器不拡散条約(NPT)体制の維持・強化及び包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効の重要性につき伝達しました。

今月の注目点(その5):第1回日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)

11月30日,インド・デリーを訪問中の茂木敏充外務大臣及び河野太郎防衛大臣は,スブラマニヤム・ジャイシャンカル印外務大臣及びラージナート・シン印国防大臣との間で第1回日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を実施したところ,概要は以下のとおりです。会合は,現地時間17時15分から19時00分までの協議と19時05分頃から20時00分頃までのワーキングディナーの合計約2時間40分にわたり行われ,会合後に共同声明が発出されました。
 
1.総論
(1)四大臣は,日印にとって初となる外務・防衛閣僚会合(「2+2」)の開催を歓迎。
(2)四大臣は,日印両国が,自由で開かれ,包摂的で,法の支配に基づいたインド太平洋のビジョンを共有することを想起。
(3)四大臣は,今回の成果を次回安倍総理のインド訪問の際の日印首脳会談へとつなげていくことで一致。
 
2.日印安全保障・防衛協力
(1)四大臣は,物品役務相互提供協定(ACSA)について,締結に向けた交渉の大幅な進展を歓迎するとともに,早期の交渉妥結に対する期待を表明。
(2)四大臣は,昨年及び本年に日印両国の各軍種間で共同訓練が行われたことを高く評価。
(3)四大臣は,昨年の海上自衛隊とインド海軍の間の協力の深化に係る実施取決めに基づき,両当局間で情報交換が開始されたことを高く評価。
(4)その他,四大臣は,防衛装備・技術協力等についても意見交換。

3.多国間協力
(1)四大臣は,昨年及び本年の日印米首脳会談を想起しつつ,3か国協力の重要性を確認。
(2)四大臣は,本年9月の日印米豪外務閣僚級協議を歓迎。

4.地域及び国際情勢
(1)四大臣は,インド太平洋の平和と繁栄を促進する上でのASEANの重要性を強調し,ASEANとの協力を推進することを決意。
(2)四大臣は,日本の「自由で開かれたインド太平洋」構想,インドの「インド太平洋海洋イニシアティブ」及びASEANの「インド太平洋に関するASEANアウトルック」の相乗効果への期待を表明。また,日ASEAN防衛協力の指針である「ビエンチャン・ビジョン2.0」を歓迎。
(3)四大臣は,最近の北朝鮮による弾道ミサイル発射を非難するとともに,国連安保理決議の完全な履行を含め,北朝鮮の完全な非核化に向け,緊密に連携していくことで一致。また,日本側から,拉致問題の早期解決に向け,インドの理解と協力を引き続き期待する旨言及。
(4)その他,四大臣は,南シナ海行動規範(COC)や南シナ海情勢を含む地域情勢についても意見交換。