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日印関係最新情報

月間インドニュース(2018年6月)

2018年7月13日掲載


1. 内政
【野党連合に向けた動き】
6月1日  カルナタカ州において連立州政権を樹立したコングレス党とジャナタ・ダル世俗派は、次期下院総選挙で選挙前協力を行うことを決定した。
【ジャイトリー財務相の退院】
6月4日  休職中だったジャイトリー財務相は、腎臓移植手術を終え、全インド医科大学を退院した。同財務相は医療関係者に感謝するツイートをした。
【州知事会議】
6月4日-5日  デリーで州知事会議が開催された。コヴィンド大統領は開会のスピーチの中で、各知事に対し、発展の利益をあまり受けることのできていない人々の生活の改善のための道筋作りへの支援を要請した。また、モディ首相は、連邦政府による旗艦政策がより多くの人々に裨益できるよう各州知事に支援を求め、初めて電化された村々を訪問するよう要請した。
(注:州知事Governorは大統領が各州に任命する官選知事で、プロトコール上は大統領を代表するものとして各州選挙で選出される州首相Chief Ministerの上位にある。)
【バジパイ元首相の入院】
6月11日  長期に亘り自宅療養中のバジパイ元首相(元インド人民党総BIP総裁)が、「定期的な検査のため」全インド医科大学に入院した。モディ首相、シャーBJP総裁、ラーフル・ガンディー・コングレス党総裁等が見舞いに訪れた。12日、同大学は、同元首相の容態は安定していると発表。
【カルナタカ州での選挙】
6月13日  カルナタカ州議会補欠選挙がジャヤナガル選挙区で実施され、ジャナタ・ダル世俗派の支援を受けたコングレス党候補者がBJP候補を僅差で破り勝利した。
【モンスーン国会】
6月25日  インド議会省は、モンスーン国会の日程(7月18日-8月10日)を発表した。

2. 経済
【インド準備銀行による金融政策委員会会合】
6月6日  インド準備銀行(RBI)は、金融政策委員会会合を開催し、その結果を公表した。RBIによる政策金利の引き上げは、2014年1月以来(7.75%→8.0%)の約4年ぶりであり、またモディ政権下では初めての利上げとなる。インドでは2015年1月以降、断続的な利下げが行われる利下げサイクルに入っていた。なお政策金利の水準の変更は、2017年8月(6.25%→6.0%)以来。
MPCステートメントのポイントは以下のとおり。
(1)政策金利(レポ・レート)を6.0%から6.25%へ引上げ。
(2)金融政策に対する中立的(neutral)なスタンスを維持。
(3)インフレ率の見通し:2018年度のインフレ見通しは、年度前半は4.8~4.9%、年度後半は4.7%を見込む(注:前回時点の見通しは、年度前半が4.7~5.1%、年度後半が4.4%)。
(4)2018年度の実質GDP成長率見通しは7.4%。
【国際収支等の発表】
6月13日  RBIが、2017度(通年)の国際収支を発表した。
(1)経常収支
2017年度の経常収支赤字は対GDP比1.9%となり、貿易赤字の増加を背景に、前年度の同0.6%から拡大した。
(2)貿易収支
   2017年度の貿易赤字は▲1,600億ドルとなり、前年度の▲1,124億ドルから拡大した。
(3)海外直接投資
   2017年度の海外直接投資(純流入額)は303億ドルとなり、前年度の356億ドルから減少した。
(4)外貨準備高
   2017年度の外貨準備高は436億ドルの増加となり、前年度の増加分(216億ドル)を上回った。

3. 外交
【インド・シンガポール関係】
5月31日-6月2日  リー・シェンロン シンガポール(以下星)首相からの招待を受け、モディ首相はシンガポールを公式訪問し、ハリマ・ヤコブ星大統領を表敬、リー・シェンロン星首相、ゴー・チョクトン前星首相と会談したほか、印星共同声明の発出及び覚書の署名等がなされた。また、訪星中、モディ首相は、シャングリラ・ダイアローグで基調演説を行い、そのサイドラインでマティス米国防長官と会談したほか、ビジネス兼コミュニティ・イベントで演説を行った。
【インド・南アフリカ関係】
6月3日-7日  スワラージ外相は、BRICS外相会議出席のために南アフリカを訪問し、ラマポーザ南ア大統領を表敬したほか、BRICS外相会議に出席した。
【インド・中国関係】
6月9日-10日  モディ首相は上海協力機構(SCO)首脳会合出席のため訪中した。SCO首脳会合のサイドラインで、モディ首相は習近平国家主席と会談した後、中印二国間で合意文書の署名がなされたほか、同サイドラインでモディ首相は、ミルジヨーエフ・ウズベキスタン大統領、ラフモン・タジキスタン大統領、ナザルバエフ・カザフスタン大統領、ジェエンベコフ・キルギス大統領と会談した。
【インド・ギリシャ関係】
6月16日-19日  パヴロプロス・ギリシャ大統領からの招待を受け、コヴィンド大統領はギリシャを公式訪問し、パヴロプロス大統領と会談、チプラス首相からの表敬を受けた。また、コヴィンド大統領は、印ギリシャ・ビジネスフォーラムで演説を行ったほか、インド人コミュニティに対して演説を行った。
【インド・フランス関係】
6月18日-19日  スワラージ外相はフランスを訪問し、マクロン仏大統領を表敬したほか、ル・ドリアン欧州・外務大臣と会談した。また、スワラージ外相はインド人コミュニティに対して演説を行った。
【インド・ベルギー関係】
6月20日-22日  スワラージ外相はベルギーを訪問し、ユンカー欧州委員会委員長及びタヤーニ欧州議会議長を表敬したほか、モゲリーニEU外交・安全保障上級代表兼欧州委員会副委員長及びレンデルス・ベルギー副首相兼外務大臣と会談した。

4. 日印関係
【日米豪印協議】
6月7日  シンガポールにおいて、日米豪印協議が実施された。同協議において、四か国は、全ての国が主権・国際法、航行・上空飛行の自由、持続可能な開発を尊重する、自由で開かれ、包摂的なインド太平洋地域に対する共通の支持を再確認した。四か国は、共有する民主的価値を念頭に置き、インド太平洋におけるルールに基づく秩序を維持・強化するという共通のコミットメントを確認し、開発・連結性、良い統治(グッドガバナンス)、テロ対策や不拡散を含む地域の安全保障、海洋協力等における共通の目標を達成するための方法を議論した。四か国は、インド太平洋地域におけるASEANの中心性を支持し、また、同地域において、東アジア首脳会議(EAS)やASEAN地域フォーラム(ARF)などのASEAN主導の枠組みが不可欠な役割を果たしていることを改めて確認した。また、四か国が、インド太平洋地域における開放的で透明性があり包摂的かつルールに基づく秩序の擁護・強化において、それぞれ重要な役割を担っていることに留意した。四か国は、インド太平洋地域を平和で繁栄したものとするとの共有されたビジョンを推進するため、地域の国・機関と協力すること及び同協議を定期的に開催することで一致した。

今月の注目点:第5回日印次官級2+2対話
6月19日、インド・デリーにおいて、第5回日印次官級2+2対話が開催された。この対話には、日本側から森健良外務審議官及び真部朗防衛審議官が、インド側からはビジャイ・ゴーカレ外務次官及びサンジャイ・ミトラ国防次官が出席した。この対話では、現下の国際情勢の下、地域やグローバルな諸課題の対応にあたり、日・インド間の連携が一層不可欠となっているとの基本認識を共有するとともに、我が国の「自由で開かれたインド・太平洋戦略」とインドの「アクト・イースト」政策を連携させ、自由で開かれた海洋、地域の安定と繁栄という共通目標の実現に共に取り組むことで一致した。さらに、昨年9月の日印首脳会談において2+2対話等を通じて安全保障・防衛分野の協力に関する対話を強化することを再確認したことを踏まえ、海洋安保協力、防衛装備協力等の分野における協力強化のあり方について議論した。そのほか北朝鮮情勢を含む東アジア、南アジア情勢等の地域情勢についても意見交換し、認識を共有した。