
1 内政
【州議会選挙】
2月10日:ウッタル・プラデシュ(UP)州第1フェーズの投票実施。
2月14日:ウッタル・プラデシュ(UP)州第2フェーズ、ウッタラカンド州、ゴア州で投票実施。
2月20日:ウッタル・プラデシュ(UP)州第3フェーズ、パンジャーブ州で投票実施。
2月23日:ウッタル・プラデシュ州(UP)第4フェーズの投票実施。
2月27日:ウッタル・プラデシュ(UP)州第5フェーズの投票実施。
2月28日:マニプール州第1フェーズの投票実施。
【予算国会】
2月11日:予算国会前期が閉会。上下両院は3月14日に後期審議を再開する。
【ウッタル・プラデシュ(UP)州】
2月9日
現地メディアは、UP州都ラクナウ市内において、プリヤンカ・ガンディー・コングレスUP支部長が同州議会選に向けたマニフェストを発表した旨報じた。マニフェストには、コングレスが州政権を獲得した場合、10日以内に農民のローン免除を実施することや、電気料金の免除、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた家庭に対する2万5000ルピーの助成金の支給、及びあらゆる病気の治療に対する1万ルピーの援助が盛り込まれた。
2月15日
現地メディアは、シャー内相が、BJPが同州で政権を維持した場合、3月のホーリー祭に無料のガスボンベを州民に配布するほか,農民に対する電力の無償化を発表した。
現地メディアは、ヤーダブ・サマージワディ党(ないし社会主義党、SP)の党首が、同党が州政権を獲得した場合、貧困層の州民に対し、5年間に渡り1キロのギー(バターオイル)を毎年提供すると発表した旨報じた。
2月25日
現地メディアは、ヨギUP州首相がTimes of India(TOI)紙のインタビューに対し、「同州議会選挙の半分の投票が終了したが、現与党支持の感情が強く、80%の議席が既にBJPのものであり、残りの3ファーズでも同じ傾向が続く。80対20の傾向があり、80%がBJPに、残りの20%が他の政党に流れるだろう」と述べた旨報じた。
当地メディアは、マヤワティ大衆社会党(BSP)党首が、UP州議会選挙後にBSPがBJPと提携を結ぶという憶測を否定し、同党はいかなる政党の補欠選手(B team)ではないと述べた旨報じた。
【パンジャーブ(PB)州】
2月12日
現地メディアは、BJPが同州議会選挙に向けたマニフェストを発表した旨報じた。同州出身の若者に対し、州内全ての公務員ポストの75%、民間企業ポストの50%を同州出身の若者に留保するほか、失業手当、公務員ポストの35%を女性に留保する為の枠の設置、大規模なインフラ開発が盛り込まれた。
2月26日
現地メディアは、20日に行われたPB州議会選挙に関し、投票率が71.95%を記録したものの、2017年州議会選挙時の77.40%に比べ、投票率が低下した旨報じた。関係者の分析として、①政党の公約が人々に届かなかったこと、②多くの票を動員できる指導者の欠如、③パンジャーブ州民による政党への疎外感と幻滅、④ダリット出身のチャンニ同州首相によるダリット票動員の不発によるものと報じられている。
【ウッタラカンド(UK)州】
2月12日
現地メディアは、ダミ同州首相(BJP)が、同州でBJPが政権を維持した場合、統一民法(uniform civil code、 UCC)の制定に取り組むと発表した旨報じた。ダミ州首相は、UCCは結婚、離婚、土地、財産、相続などについて、あらゆる宗教の人々に平等な法律となると述べた。(注:インドでは宗教ごとに婚姻法や相続法が異なる)
2月18日
現地メディアは、20日に控える同州議会選挙に向け、モディ首相がインド各地よりシーク教の指導者を首相官邸に招いた旨報じた。モディ首相はターバン等、シーク教の宗教装束を身につけ、指導者らに朝食を振る舞ったほか、PB州とパキスタンを結ぶ巡礼路カルタルプール回廊の再開や、タリバン支配後のアフガニスタンからシーク教の聖典を持ち帰った事など、BJP政権がシーク教コミュニティに対して行った成果を説明した。
【マニプール(MN)州】
2月17日
現地メディアは、ナッダBJP総裁が同州議会選挙に向けたマニフェストを発表した旨報じた。女性、若者、農民、漁師および社会・経済的弱者のエンパワーメントに加え、領土保全、文化遺産保護、先住民の権利の保障を打ち出したほか、女性に向けた高等教育費の一部支給や、奨学金制度や医療保険制度の拡充、上級中等教育(12年生)修了者への無償によるノートパソコンの支給が発表された。
2月22日
現地メディアは、モディ首相が同州インパール近郊で行われた選挙集会に参加した旨報じた。モディ首相は、首都インパールの連結性向上に向けた取り組みにつき言及し、「インパールまで列車が繋がる日は遠くない。連結性の向上はこの地域の観光セクターの後押しに繋がる」、「ミャンマーとタイを結ぶ高速道路の完成により、マニプール州は東アジアの重要拠点になるだろう」と述べた。
3月1日
当地メディアは、28日に実施されたMN州議会選挙の第一回目投票に於いて、過去最高となる88.63%の投票率を記録した旨報じた。なお、女性のみの投票率は89.96%であり、男性の投票率87.29%を上回った。
【ゴア(GA)州】
2月19日
現地メディアは、14日に投票が行われた同州議会選挙に関し、いずれの政党も過半数の議席を獲得できない事態を想定し、選挙後の政権獲得に向けた水面下での政党間の交渉が行われていると報じた。
【マハーラーシュトラ(MH)州】
2月18日
現地メディアは、モディ首相が、同州州都ムンバイ近郊のタネ・ディーバ間を結ぶ在来線の増設事業の開通式に参加した旨報じた。モディ首相は式典に於いて、シブセナ・国民会議党(NCP)・コングレスの連立政権によって後回しとなっているムンバイ・アーメダバード間高速鉄道計画に言及し、「同高速鉄道はインドにとって必須であり、夢の都(city of dreams)ムンバイのアイデンティティ強化に繋がる。本計画を迅速に完成させることが優先事項である」と述べた。
【西ベンガル(WB)州】
2月12日
現地メディアは、全印草の根会議派(AITC)が、バナジー同州首相の務める会長職(chair)を除くすべての役職を廃止し、同州首相をトップとする20名の全国作業委員会を設置した旨報じた。
2月13日
現地メディアは、バナジー同州首相が、スターリン・タミル・ナドゥ州首相に電話をかけ、非BJP所属の州首相会議の実施を提案した旨報じた。スターリン州首相は自身のツイッターに、「国政野党の州首相による会議はまもなくデリーで開催される」と投稿した。
2月28日
現地メディアは、バナジー同州首相がモディ首相に宛て書簡を発出し、ウクライナ問題に対しモディ首相を無条件に支持すると伝えたほか、同問題に対する国家の決意を固めるために全党会議(all party meeting)の開催を訴えた旨報じた。
【カルナータカ州】
2月10日
現地メディアは、カルナータカ州高裁が、ヒジャブ着用問題が裁判所に係属するまでの間、ヒジャブを含むいかなる宗教的服装を着用して授業に参加しない様求める命令を発出した旨報じた。
2月11日
現地メディアは、ヒジャブ着用問題の波紋がカルナータカ州外に広がり、UP州やテランガナ州、アンドラ・プラデシュ州などにおいても抗議活動が行われた旨報じた。また、10日、マハーラーシュトラ州マレガオンにおいて5000人ほどの女性が参加したデモ活動を組織した4名が逮捕された。
2月13日、14日
現地メディアは、14日よりカルナータカ州内の高校で、16日より州内の大学でそれぞれ授業が再開される旨報じた。
【グジャラート(GJ)州】
2月18日
2008年7月に発生したアーメダバード市内連続爆破事件を審理していた特別法廷は、被告人49名のうち38名を死刑、11名を終身刑とする判決を下した。
2 経済
2月1日
シタラマン財務大臣は、2022年度予算案を国会に提出し、財政演説を行った。
ポイント:2022年度予算案
シタラマン財務大臣は、演説冒頭においてインドの2021年度の成長率は9.2%と経済大国の中で最高であること、ワクチン接種プログラムの普及や医療インフラの改善等によりインドはコロナに伴う困難に強く立ち向かうことのできる状態にあることを強調。
2022年度予算は、前年度に引き続き成長を刺激するための予算となっており、経済成長のためには民間投資を誘発する公共投資の増加が重要であるという認識の下、インフラ整備のための資本支出を大幅に拡大(対前年度比35.4%増)。
目新しい施策は少ないものの、モディ首相が昨年発表したガティ・シャクテ(インド政府のインフラ近代化に関する国家マスタープラン、日本語訳は「スピードと力」)関連のインフラ拡大策、中小企業支援策、首相による北東部開発イニシアティブ関連策、グリーン債の発行、デジタルルピーの発行、暗号資産に対する課税等が打ち出された。
2022年度の歳出総額は、前年度比13.3%増の39.4兆ルピーとなり、高水準を維持する。税収は経済回復を反映して同25.2%増の19.3兆ルピー、公債金等は同10.2%増の16.6兆ルピーとなる。2022年度の財政赤字(対GDP比)は、本年度(6.9%)からは改善するものの、依然として高い6.4%と見込まれる。
2月8日
インド航空総局(DGCA)は、2020年3月22日より継続してきた国際定期商用旅客便のインドへの飛来禁止の措置を今月26日23時59分をもって終了し、翌27日午前0時より国際定期商用旅客便の通常運航を再開する旨発表した。
3 外交
(印パ関係)
2月9日
現地メディアは、パキスタン政府が、カルナータカ州での女子学生のヒジャブ着用禁止と、インドでの「イスラム恐怖症」の拡大に極度の懸念を表明し、クマール駐パキスタン・インド代理大使を同国外務省に呼び出した旨報じた。
2月17日
印外務省は、刑期を終えた12人のパキスタン人受刑者が、ワガ国境を経由してパキスタンに送還された旨発表した。印政府は、インド人囚人・漁師の送還に注力しており、2022年、既に20人のインド人漁師がパキスタンから送還されている。
(印・スリランカ関係)
2月8日
印外務省は、ジャイシャンカル外相の招待により、ピーリス・スリランカ外相が6日~8日まで公式訪印した旨発表した。両外相は、7日、両国の緊密で友好な関係をさらに強化するため幅広い分野における二国間関係について議論を行った。
(印豪関係)
2月10~13日
ジャイシャンカル外相は豪州を訪問し、11日に第4回日米豪印外相会合、12日に第12回印豪外相枠組対話及び外相サイバー枠組対話に参加した。
(印中関係)
2月12日
現地主要紙は、ジャイシャンカル印外相が、豪外相との共同記者会見において、印豪外相会談で印中関係について協議したとしつつ、中国が国境で兵力を集結しないという合意を2020年に無視したと発言した旨報じた。さらに、大国が合意へのコミットメントを無視することは、国際社会全体にとって懸念されてしかるべき問題であると述べた。
2月15日
現地主要紙は、新型コロナウイルス流行によりインド滞在を余儀なくされている、中国の大学で医学を学ぶインド人留学生たちが、中国への渡航に向けて印政府の介入を望んでいる旨報じた。8日、印国立医療委員会 (Indian Medical Council)は、新型コロナの流行によりインドへの一時帰国を余儀なくされ、以来オンラインで中国の大学の講義を受けているインド人留学生らに対し、オンライン学習で取得した医学の学位はインド国内では認められない旨示した。中国の大学による医学教育を受けているインド人留学生は2万3000人程であり、印政府に対し、渡航に向けた中国政府との対話の開始を求めている。
2月20日
現地主要メディアは、ジャイシャンカル印外相が19日にミュンヘン安全保障会議において、印中関係は非常に困難な段階にあり、印中関係は国境の状況に左右されると述べた旨報じた。また、同外相は、「45年間、平和で、国境管理は安定していたし、1975年以来一人も軍の犠牲者は出ていなかった。それが変わったのは、実効支配線(LAC)に軍を投入しないという合意を中国が破ったからである」と述べた。
(印・ウクライナ関係)
2月17日
バグチ印外務省報道官は定例記者会見において、ウクライナ情勢に関する記者の質問に応答し、出国に関する勧告の発出やコントロール・ルーム設置、ヘルプライン開設等の対応がとられているほか、退避に関する決断は何らされていない、インド政府の対応の焦点はインド国民の退避である旨述べた。また、インドは直ちの緊張緩和と継続的な外交対話による問題の解決を支持するとした。
(印・フィリピン関係)
2月13~15日
ジャイシャンカル外相は、外相として初となるフィリピンを訪問し、外相会談を行った。同外相は、ロクシン外相と会談し、2020年11月にオンラインで行われた二国間協力に関する合同委員会以来の二国間における進展について議論した。
(印・アフガニスタン関係)
2月13日
現地メディアは、印政府が、国連世界食糧計画(WFP)との間で、人道支援の一環としてアフガニスタンへ輸送を約束した5万トンの小麦の配布に関する協定に調印した旨報じた。パキスタンを経由し陸路トラックで輸送を開始するための外交努力が行われており、2月20日のパンジャーブ州議会選挙後に輸送が開始される。
2月22日
印外務省は、シュリングラ外務次官が、駐印アフガニスタン大使及び在印WFP代表と共に、アムリットサルで行われた式典に参加し、インドからパキスタン経由で届けられる2,500トン、トラック50台分の小麦支援の旗揚げを行った。今回の輸送は、今後複数回に渡って行われる合計5万トンの小麦支援の一部。
(印独関係)
2月18~20日
印外務省は、ジャイシャンカル外相が18日~20日までドイツを訪問し、ベアボック独外相はじめ独政府関係者、欧州議会関係者、各国外相や防衛相談等と会談を実施した旨ツイッター等で発表した。同外相はミュンヘン安全保障会議のインド太平洋に関するセッションに登壇した。
(印仏関係)
2月20日
印外務省は、ジャイシャンカル外相がフランスを訪問し、ル・ドリアン仏外相と二国間会談を行った旨発表した。両外相は、コロナによるパンデミック禍において両国が緊密な協力関係を維持したことに満足を表明したほか、更なる戦略的パートナーシップを深化させていくことで一致した。
(印・UAE関係)
2月18日
印外務省は、モディ首相がムハンマド・アブダビ皇太子兼UAE軍副最高司令官とオンライン形式にて首脳会談を行った旨発表した。両首脳は、共同ビジョン声明「印UAEの包括的戦略的パートナーシップの推進:新たなフロンティア、新たなマイルストーン」を発表した。
(日米豪印)
2月11日
ジャイシャンカル外相は、オーストラリア・メルボルンにおいて開催された第4回日米豪印(QUAD)外相会合に出席した。同外相は、日米豪印外相共同記者会見において、日米豪印外相会談における議論は、各国間の強固な二国間関係、戦略の一致、共通の民主主義的価値が合わさり、日米豪印を活発かつ中身のある枠組みであることを明白にしており、引き続き、前向きなアジェンダを前進させるべく、教育プログラムやシンクタンク対話を通じて既存の人的繋がりを強化する旨述べた。
(G20)
2月15日
印外務省は、印政府がG20事務局の設置及び体制について承認した旨発表した。印は、2022年12月1日から2023年11月30日まで、G20議長国を務め、2023年にはインドでG20サミット開催される予定。
4 日印関係
2月11日
日米豪印外相会合出席のため豪州を訪問中の林外務大臣は、ジャイシャンカル外務大臣と会談を行った。
林外務大臣は、オーストラリア・メルボルンで開催された第4回日米豪印外相会合に出席した。
今月の注目点①:日印外相会談
日米豪印外相会合出席のため豪州を訪問中の林芳正外務大臣は、現地時間2月11日、午後3時15分(日本時間同日午後1時15分)から約45分間、ジャイシャンカル・インド外務大臣(H.E. Dr. S. Jaishankar, Minister of External Affairs of India)との間で会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
冒頭、林大臣から、国交樹立70周年の節目を迎えた日印関係をジャイシャンカル大臣と共に盛り上げていきたい旨述べた上で、不確実性を増す国際社会において、基本的価値を共有し、ルールに基づく秩序の重要性を訴えてきた日印両国が、「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の下で、共に共通の課題に対処していくことは益々重要である旨述べました。これに対し、ジャイシャンカル大臣より、国交樹立70周年は既に強固な日印関係をさらに発展させるよい機会である、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のために幅広い分野で協力を進めたい、岸田総理大臣がインドを訪問されるのを心待ちにしている旨述べました。
両大臣は、双方の都合のよい適切な時期に岸田総理大臣の訪印を実現し、首脳の年次往来を再開する重要性を改めて共有しました。また、日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を実施し、安全保障面での協力を進めていくことを確認するとともに、サイバー、宇宙、海洋、軍縮・不拡散、安保理等の分野で重層的に対話や協議を重ね、協力を深めていくことで一致しました。
両大臣は、デジタル、気候変動対策、ヘルスケア等といった経済面での協力や、Beyond 5Gや海底ケーブル、サプライチェーン強靭化等、経済安全保障における協力も進めていくとともに、インド北東部での協力や日印の旗艦プロジェクトである高速鉄道事業を着実に進展させていくことを改めて確認しました。また、70周年の様々な機会も活用しつつ、インドの優秀なIT人材や特定技能人材の活用を含め、人的・文化交流も進めていくことで一致しました。
両大臣は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日印や日米豪印で引き続き緊密に連携していくことを改めて確認し、特に、連結性強化のために、「インド太平洋海洋イニシアティブ」を通じた協力や、第三国における日印での具体的な協力に取り組んでいくことで一致しました。また、両大臣は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のための法の支配の重要性に鑑み、日印間で国際法分野における連携を強化していくことを確認しました。
この他、両大臣は、ミャンマー等の地域情勢での連携や、WTO、軍縮・不拡散、国連安保理改革を含む国際場裡での協力等について意見交換を行いました。
両大臣は、2度の電話会談後の初の対面での会談を通じて率直な議論を行えたことを歓迎し、今後も緊密に意思疎通を行っていくことを確認しました。
今月の注目点②:日米豪印外相会合
現地時間2月11日午後4時(日本時間同日午後2時)から約4時間、オーストラリア・メルボルンにおいて第4回日米豪印外相会合及び夕食会が行われたところ、概要は以下のとおりです。現地訪問中の林芳正外務大臣のほか、マリズ・ペイン・オーストラリア連邦外務大臣、スブラマニヤム・ジャイシャンカル・インド外務大臣、アントニー・ブリンケン米国国務長官が出席し、会合後、共同声明が発出されました。
四大臣は、対面での日米豪印外相会合が実現したことを歓迎し、本年前半に日本で開催される日米豪印首脳会合の成功に向け、外相間でも緊密に連携していくことで一致しました。
四大臣は、一方的な現状変更の試みや、経済的威圧等、様々な分野で既存の国際秩序が挑戦を受けている中、基本的価値を共有し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の推進にコミットする4か国が果たす責任が一層増しているとの認識を再確認しました。
四大臣は、4か国が推進する「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンが、世界中の様々な地域で共鳴し、ASEANの「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」や、EUや欧州諸国のインド太平洋戦略など、各地で主体的取組が進んでいることを歓迎し、このビジョンの実現に向け、各国・地域との連携・協力を更に深めていくことで一致しました。
四大臣は、ASEANの中心性とASEAN主導のアーキテクチャーへの揺るぎない支持を確認するとともに、地域の安定と繁栄の基礎となるAOIPの実施に向けASEAN諸国を引き続き支援していくことでも一致しました。また、四大臣は、本年ASEAN議長国を務めるカンボジアの重要な役割への期待を表明しました。
四大臣は、本年前半に予定される日米豪印首脳会合を見据え、新型コロナ対策をはじめとして昨年3月及び9月の首脳会合の成果を着実にフォローアップしていくとともに、海洋安全保障、サイバーセキュリティ、テロ対策、人道支援・災害救援を含めた様々な分野での実践的な協力を更に進めていくことで一致しました。この関連で、四大臣は、日米豪印4か国それぞれがトンガにおける火山噴火・津波災害への支援に取り組んでいることを歓迎しつつ、インド太平洋地域における人道支援・災害救援につき、今後一層連携して取り組んでいくことで一致しました。
東シナ海・南シナ海について、林大臣から、力を背景とした一方的な現状変更の試みへの深刻な懸念を表明し、四大臣は、ルールに基づく海洋秩序への挑戦に対抗するため、国連海洋法条約に反映された国際法遵守の重要性について一致しました。また、林大臣から、香港、新疆ウイグル、台湾に関する我が国の基本的立場を述べました。
四大臣は、国連安保理決議に違反し、地域を不安定化させる北朝鮮による弾道ミサイル発射を非難し、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認しました。また、林大臣から、拉致問題の即時解決に向けた各国の理解と協力を求め、各国から支持を得ました。
ミャンマー情勢について、四大臣は、現状への重大な懸念を表明するとともに、暴力の停止、被拘束者の解放を呼びかけ、民主的な体制の早期回復の必要性を確認しました。また、四大臣は、完全な人道アクセスへの確保を呼びかけ、ASEANの「5つのコンセンサス」の早期実施の重要性で一致しました。さらに、引き続きASEANによる取組を支援していくことで一致しました。
四大臣は、緊張が高まっている目下のウクライナを巡る情勢について意見交換を行いました。
四大臣は、今後も毎年会合を開催し、日米豪印協力のモメンタムを維持・強化していくとともに、幅広い分野の協力を通じて、引き続き地域に前向きな形で貢献していくことで一致しました。
なお、日米豪印外相会合に先立ち、林大臣、ジャイシャンカル・インド外務大臣及びブリンケン米国国務長官は、モリソン・オーストラリア首相を表敬しました。同表敬では、モリソン首相から、各国外相の訪豪を歓迎する旨述べ、林大臣からは、今回の日米豪印外相会合は、大変時宜を得ており、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日米豪印の協力に一層推進力を与える機会であり、岸田総理は日本での次回日米豪印首脳会合を楽しみにしている旨述べました。その後、日米豪印協力や地域情勢等について意見交換が行われました。