日印関係最新情報

月間インドニュース(2016年7月分・8月分)

2016年9月12日掲載


Ⅰ.内政

【内閣改造】
7月5日-7月12日
 5日午後、モディ政権で内閣改造が実施され、5名の閣外相が辞職するとともに、新たに19名の閣外相が宣誓を行った。
 5日深夜、大統領府は、内閣改造に伴い変更が生じた各大臣、閣外相の所掌を発表した。そのうち主なものは次のとおり。ジャヴァデカル環境・森林・気候変動(専管)閣外相には、今回新たに宣誓を行ったアニル・マダヴ・ダヴェ上院議員が就任した。イラニ人的資源開発相は繊維大臣に所掌替えとなった。ジャイトリー財務・企業相が兼任していた情報・放送相はナイドゥ都市開発・住宅・都市貧困問題相が兼任することとなった。ナイドゥ大臣が兼任していた議会相は、アナントクマール化学・肥料相が兼任することとなった。ゴウダ法務相は、法務相に替えて統計・計画実施相に就任し、法務相は、2014年11月の内閣改造で法務相を所掌から外されていたプラサード通信・IT大臣が再び兼任することとなった。鉱山及び鉄鋼相を兼任していたトーマル大臣は、農村開発、町村自治、飲料水・衛生相に所掌替えとなった。鉄鋼相には、これまで農村開発、町村自治、飲料水、衛生を所掌していたビレンドラ・シン大臣が就任した。鉱山(専管)閣外相ポストは、ゴヤル電力(専管)、石炭(専管)、新エネルギー・再生可能エネルギー(専管)担当閣外相が兼任することとなった。ソノワール青年・スポーツ(専管)閣外相には、今回新たに宣誓を行ったヴィジャイ・ゴエル上院議員が就任。ゴエル上院議員は水資源・河川開発・ガンジス河再生閣外相も兼任している。外務担当閣外相には、V.K.シン閣外相に加え、今回新たに宣誓を行ったM.J.アクバル上院議員が就任した。ジャヤント・シンハ財務担当閣外相は民間航空担当閣外相に所掌替えとなり、新たな財務担当閣外相には、サントシュ・クマール・ガンワール下院議員及びアルジュン・ラム・メグワル下院議員の二名が就任した。メグワル下院議員は企業担当閣外相を兼務。
 12日、ヘプトゥッラー・マイノリティ相及びシッデーシュワラ重工業・公企業担当閣外相の2名が辞任した。右辞任に伴い、ムクタル・アッバス・ナクビ・マイノリティ担当閣外相が、マイノリティ担当(専管)閣外相に昇進し、バーブル・スプリヨ都市開発、住宅・都市貧困問題担当閣外相が、重工業・公企業担当閣外相に所掌変更となった。

【モンスーン国会】
7月18日-8月12日
 7月18日、モンスーン国会が開会した。
 8月12日、モンスーン国会が閉会した。26日間の会期のうち、20日間にわたり審議が実施された。
メモ:会期中、物品・サービス税(GST)の改革のための憲法改正法案が可決された他、下院議会で2016-2017年度の補正予算が可決された。大統領令として配布された2つの法案(インド医学審議法(改正)に係る大統領令、及び、歯科医師法(改正)に係る大統領令)が上下両院で可決された。この他、下院では15法案が、上院では14法案がそれぞれ可決されたことで、15法案が上下両院を通過した。

【GSTに係る憲法改正法案】
8月3日-8月8日
 3日、上院議会は、GSTに係る憲法改正法案を全会一致で可決した。
 8日、下院議会は、GSTに係る憲法改正法案を全会一致で可決した。

Ⅱ.経済 

【インフレ・ターゲット】
8月5日
 5日,インド財務省は,金融政策に関して,インド準備銀行(RBI)との協議の下,2016年8月5日から2021年3月31日までの5年間におけるインフレ・ターゲットの目標を4%プラスマイナス2%に設定したと発表した。

【インド準備銀行(RBI)人事】
8月20日
 20日,インド政府は,インド準備銀行(RBI)のラグラム・ラジャン総裁の後任として,ウルジット・パテルRBI副総裁を指名した旨発表した。パテル氏は,2016年9月4日から3年間を任期として,新総裁を務める。
メモ:報道によれば,ウルジット・パテル氏は,現在52歳で1986年にオックスフォード大学を卒業。1990年にイェール大学において経済学博士号を取得した後,国際通貨基金(IMF)のエコノミストとして,米国・インド・バハマス・ミャンマーを担当。その後IMF代表としてRBIに対して債券市場・銀行セクター改革・年金基金改革・為替政策等の政策に関する助言を行った。1998年から2001年までインド財務省経済局のコンサルタントとして勤務し,インフラ開発金融公社(IDFC)運営委員会やインド政府合同エネルギー政策委員会委員,ブルックス研究所シニアフェロー等を歴任した後,ボストンコンサルティンググループのアドバイザーとして勤務。2013年よりRBI副総裁に就任し,金融政策やマクロ経済情勢のリサーチ等を担当している。

Ⅲ.外交 

【インド・パキスタン関係】
7月1日
 インド・パキスタン両国は,両国間の領事アクセスに関する合意の条項に従って,それぞれの国の刑務所に収監されている相手国民のリストの交換を行った。

7月23日
 インド外務省は、バーハン・ワニ殺害後のカシミール住人とインド治安部隊の衝突や、カシミールはいつかパキスタンの一部になるといったシャリフ・パキスタン首相の声明を受けて、JK全体はインドに属しており、カシミールがパキスタンの一部になるというパキスタンの夢は決して実現しないとするスワラージ外相の声明を発表した。

【インド・ハンガリー関係】
7月4日
 シーヤールトー・ハンガリー外務貿易相が訪印し、スワラージ外相、シータラマン商工相と会談した他、アンサリ副大統領を表敬した。

【インド・南アフリカ関係】
7月8日
 印外務省は,モディ首相による南アフリカ訪問時におけるプレスステートメント(PS)をHPに掲載。PSにおいて,今回が自分(モディ首相)にとって初の南アフリカ訪問であるが,既に我が家にいるような気持ちである。本訪問は,自分個人にとって,マハトマ・ガンジー及びネルソン・マンデラという二人の最も偉大な魂に敬意を表する機会であるとモディ首相は述べた。

【アンサリ副題大統領のASEM(モンゴル)出席】
7月14~16日
 アンサリ副大統領は、第11回ASEM首脳会合出席のため、モンゴルを訪問した。同副大統領は、右首脳会合全体会合で演説した他、開催国モンゴルの大統領、首相及び議会議長と会談した。同大統領はまた、右首脳会合に際して、バングラデシュ首相、ブルガリア大統領、エストニア首相、ラトビア大統領、リトアニア首相と会談した。

【東アジア・東南アジア関係】
7月24~26日
 24日、第7回メコン川・ガンジス川協力閣僚会合が開催され(於:ビエンチャン),V.K.シン外務担当閣外相が出席,会合後に共同声明が発出された。
 25日、第14回印・ASEAN外相会合が開催され(於:ビエンチャン),V.K.シン外務担当閣外相が出席した。
 26日、V.K.シン外務担当閣外相は、ビエンチャンで開催された第6回EAS外相会合に出席した。
 26日、シン閣外相は、印・ASEAN外相会合のフジンジで、リム・ジョク・セン・ブルネイ第二外務貿易相、アウン・サン・スー・チー・ミャンマー外相、ルトノ・インドネシア外相、ビショップ豪外相、李容浩北朝鮮外相と会談した。

【インド・中国関係】
7月24日
 24日付インド紙は、デリー及びムンバイに駐在する新華社通信のジャーナリスト3名が、インド当局より査証延長を許可されず、7月31日までに帰国するよう告げられた旨報じた。同報道は、内務省筋の話として、ベンガルールにおいてチベット人活動家と面会したことが問題とされている旨報じている。

8月13日
 王毅外交部長は13日にデリーで実施したスワラージ外相との印中外相会談を行った。
王毅外交部長は、8月12日にゴアに到着(ゴアは本年10月のBRICS首脳会議の開催予定地)。同地においてゴア州首相と会談した後、同日夜にデリーに移動。13日にデリーでスワラージ外相との会談やモディ首相への表敬を行い、14日に帰国した。)
【インド・英国関係】
7月26日
 モディ首相は、メイ英首相と電話会談を行い、メイ首相の就任祝いを述べた。

【インド・スリランカ関係】
7月29日
 スワラージ外相は、インドとスリランカの漁民の問題の恒久的解決を図るための国内の関係者会議を開催した。同会議には連邦政府の関係省庁の他、タミル・ナド州等の州政府関係者も参加した。

【インド・モルディブ関係】
8月16日
 モルディブ外相が訪印し,スワラージ外相とインド洋地域の平和と安全の維持に関する戦略的見解を交わした。

【インド・ミャンマー関係】
8月22日
 スワラージ外相がミャンマー訪問した。今次スワラージ外相のミャンマー訪問は、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟が昨年の選挙に勝利してから初のハイレベル訪問であり、スー・チー氏の訪中直前のタイミングで行われた。

【インド・米国関係】
8月29日
 8月29日,米国防省は,パリカル印国防相の訪米に際し,米印共同声明を発表した。

Ⅳ.日印関係 
中谷元日本国防衛大臣は、マノハール・パリカル・インド国防大臣の招待によりインドを訪問し、7月14日、ニューデリーにて、年次の防衛相会談を行った。両大臣は、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の枠組みの下、建設的、生産的かつ前向きな雰囲気の中、意見交換を行った。


*今月の注目点: 物品・サービス税(GST)に係る憲法改正法案の可決と今後

8月8日,物品サービス税にかかる憲法改正法案いわゆるGST法案がインド下院議会で可決された。GST法案はもともとコングレス党のシン前政権が2011年に下院に提出したもので,2014年の下院議会の任期満了とともに一度廃案になったが,インド人民党(BJP)のモディ政権は,政権発足後最初の2014年度予算案としてGSTの早期導入を打ち出した。当初,モディ政権は2016年4月の導入を目指していたが,2014年の審議開始以降,GST法案のもともとの推進者であるコングレス党を含む野党による反対もあり協議が難航し,これまで先送りされてきた。その後,2015年5月に下院で可決された後,モディ政権は,今度こそ議会通過を実現させるべく,事前にコングレス党以外の地域政党や各州に対して個別にGST法案可決への協力要請を行った他,コングレス党とも地道な協議を行って野党の合意をとりつけ,今回の可決にこぎつけた。
GSTは,従来,国税及び地方税レベルで存在していた物品・サービス税取引に課される様々な種類の間接税(下記※1)を,GST(下記※2)に一元化,簡素化するものである。今後,GSTが創設されることにより,税の累積が解消され,間接税制の簡素化により,企業による税負担の軽減,インドでのビジネス環境の大幅な改善,産業の効率化を通じた成長率の高まりが期待される。なお,酒類はGSTの対象外として,石油関連製品や天然ガス等についてGSTを課税する時期については下記のGST委員会によって今後決定される。
しかしながら,可決から運用までの道のりは単純ではない。今後、大統領による法案認証の後に、同法案に基づいて、法案成立後60日以内にGST委員会(※財務大臣が議長)が設置され、同委員会で税率や除外品等について審議し、Central GST法案及びIntegrated GST法案を作成し、全29州のうち15州以上の議会で本法案が可決される必要がある。中央政府は2017年4月にGSTを導入することを目指しているが、これら手続きを経なければならないことから、GSTの運用開始までには時間を要すると見られている。
※1・・・国税として、物品税、サービス税、中央売り上げ税、相殺関税、特別追加関税等、地方税として、付加価値税、入境税、娯楽税、贅沢税等。
※2・・・州内取引への国税及び地方税、及び州間取引への国税