
1. 内政
【連邦政府/連邦議会】
5月14日 イラニ情報・放送大臣(繊維大臣兼任)に代わり、ラトール情報・放送担当閣外大臣(青年・スポーツ担当閣外大臣(専管)兼任)が情報・放送担当閣外大臣(専管)に就任する等、小規模な内閣改造が行われた。
5月26日 モディ首相は、オディシャ州カタクにおけるNDA政権樹立4周年の大規模集会で演説を行い「クリーンな意志、正しい発展(Saaf Niyat, Sahi Vikas)」というスローガンを掲げ、BJPは村議会から国会にいたるまで多くの議員を擁する真に国民を代表する政党となったと述べた。また、汚職に関与する政党等が不自然な野合(unholy alliance)を組んでBJPに対抗しているとして批判した。他方コングレス党は、BJPは政権樹立後4年経っても公約を守れておらず、国民の信頼を失っているとしてBJPを批判した。
【西ベンガル(WB)州】
5月14日 州内の地方自治体選挙が実施され、各党支持者間の対立による暴力で12人が死亡した。今次選挙に関連する暴力による死亡者は累計で30名を超えた。
5月17日 5月14日に実施されたWB州内の地方自治体選挙の開票が行われた。全印草の根会議派(AITC)が、全農村議会(GP:Gram Panchayat)議席の約67%を(前回52%)、PS(Panchayat Samiti)の約80%を(前回57%)、ZP(Zilla Parishad )の約93%を(前回64%)獲得し、大勝した。BJPは、GP議席の約18%の議席を(前回1%)、PSの約12%を(前回0%)獲得するなど、同州におけるプレゼンスを高める結果となった。
【カルナタカ(KA)州】
5月12日 州議会選挙が実施され、投票率72.36%(前回71.45%)を記録した。
5月15日 州議会選挙の開票が行われた。BJPが104議席を獲得し第一党となったが過半数に至らなかった。第二党のコングレス党は、第三党のジャナタ・ダル世俗派(JDS)を無条件で支援すると発表した。BJP及びJDS両党は、ヴァラKA州知事に、それぞれ自党に対し組閣の指示をするよう求めた。
5月16日 ヴァラ州知事はBJPに組閣を指示し、15日以内に信任投票を実施するよう命じた。これを受け、コングレス党は最高裁に申し立てを行った。最高裁は、17日に予定されるBJPのイエデュラッパ州首相就任の保留の申し立てを棄却した上で、18日に審理を再開することを決定し、BJPが組閣指示を求めて知事に提出した書面を最高裁に提出するようBJPに命じた。
5月17日 KA州議会選挙で第1党となったBJPのイエデュラッパBJP州部長が州首相就任宣誓を行った。これを受け、連立を表明し過半数を確保したコングレス党及びジャナタ・ダル世俗派(JDS)は、州議会議事堂において抗議活動を行った。コングレス党は、昨年実施された州議会選挙で第1党となりながらも組閣の指示を受けなかったゴア州及びマニプール州でも抗議活動を行った。また、ビハール州ではUPA所属の民族ジャナタ・ダル(RJD)が、同様の抗議活動を行った。
5月18日 最高裁は、BJPに19日午後4時に信任投票を実施するよう命じた。19日、イエデユラッパ州首相は、信任投票を実施せずに辞任を表明した。
5月21日 シャーBJP総裁は、デリーにおける記者会見で、KA州民の民意は反コングレス党であり、BJPが州政権樹立を主張することは、BJPの任務(mandate)であったと述べた。また、コングレス党と地域政党の連合は下院総選挙での脅威とはならないと述べた。
5月23日 JDSのクマラスワミ州首相及びコングレス党のパラメシュワラ州副首相が就任した。就任式には、ソニア・ガンディー・コングレス党前総裁、ラーフル・ガンディー・コングレス党総裁、バナジーWB州首相、マヤワティ大衆社会党(BSP)党首、アキレーシュ・ヤーダヴ社会主義党(SP)党首、シャラド・パワル民族主義会議派(NCP)党首、ナイドゥ・アンドラ・プラデシュ(AP)州首相、イェチュリー・インド共産党マルクス主義派(CPI(M))書記長等、多くの野党指導者等が出席した。
5月25日 KA州議会において信任投票が実施され、クマラスワミ政権が信任された。野党BJP所属議員等は、投票をせずに議場から退出した。
2. 経済
【金融政策委員会(MPC)会合】
5月6日 インド準備銀行(RBI)は、金融政策委員会(MPC)会合を開催し、政策金利の引き上げ等結果を公表。RBIによる政策金利の引き上げは、2014年1月以来(7.75%→8.0%)の約4年ぶり、モディ政権下では初めての利上げとなる。インドでは2015年1月以降、断続的な利下げが行われる利下げサイクルに入っていた。なお政策金利の水準の変更は、2017年8月(6.25%→6.0%)以来。
メモ:MPCステートメントのポイント
(1)政策金利(レポ・レート)を6.0%から6.25%へ引上げ。
(2)金融政策に対する中立的(neutral)なスタンスを維持。
(3)インフレ率の見通し
2018年度のインフレ見通しは、年度前半は4.8~4.9%、年度後半は4.7%を見込む(注:前回時点の見通しは、年度前半が4.7~5.1%、年度後半が4.4%)。
(4)経済成長率の見通し
2018年度の実質GDP成長率見通しは7.4%を見込む(年度前半は7.5~7.6%、年度後半は7.3~7.4%)(注:前回時点の見通しは、通年は7.4%、年度前半は7.3~7.4%、年度後半は7.3~7.6%)。
3.外交
【印英関係】
5月7日-8日 マーク・フィールド英外務閣外大臣(アジア太平洋担当)が訪印し、アクバル外務担当閣外相と会談したほか、ハイデラバードを訪問した。
【印露関係】
5月10日 ドヴァル安全保障補佐官はゴーカレ外務次官と共にモスクワを訪問し、ラヴロフ露外務大臣を表敬したほか、パトルシェフ安全保障会議書記と会談した。
5月21日 モディ首相はソチを訪問し、プーチン露大統領との間で初めての非公式首脳会談を実施した。
【印ミャンマー関係】
5月10日-11日 スワラージ外相はミャンマーを訪問し、ウィン・ミン・ミャンマー大統領を表敬したほか、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣と会談、国境に関する問題、平和及び安全保障に関する議題、避難民の帰還を含むラカイン州における進展、ミャンマーに対するインドによる開発支援等に関して議論が行われた。また、ミャンマー訪問中、合意文書が署名された。
【印ネパール関係】
5月11日-12日 KPオリ・ネパール首相からの招待を受け、モディ首相はネパールを公式訪問し、KPオリ首相と代表団協議を行ったほか、印ネパール共同声明が発出された。また、モディ首相はバンダリ大統領及びプン副大統領を表敬したほか、ギャワリ外務大臣と会談した。
【印北朝鮮関係】
5月15日-16日 北朝鮮政府からの招待を受け、VKシン外務担当閣外相は北朝鮮を公式訪問し、VKシン閣外相は、Kim Yong Dae最高人民会議常任委員会副委員長、李容浩(Ri Yong Ho)外務大臣、Pak Chun Nam文化大臣及びChoe Hui Chol副外務大臣との間で、両国間の政治、地域、経済、教育、文化協力等の幅広い議題について議論を行った。
【印バングラデシュ関係】
5月25日-26日 ハシナ・バングラデシュ首相が訪印し、モディ首相と共に、西ベンガル州シャンティニケタンのタゴール国際大学(Visva Bharati University)でバングラデシュ・ハウスの開所式を行った。
【印イラン関係】
5月28日 ザリーフ・イラン外務大臣が訪印し、スワラージ外相と会談、二国間、地域及び国際的な問題について議論した。
4. 日印関係
【日印首脳電話会談】
5月16日 午後4時35分から約20分間、安倍晋三内閣総理大臣は、ナレンドラ・モディ・インド首相と電話会談を行ったところ、概要は以下のとおり。
ア. 安倍総理大臣から、今月2度にわたる砂嵐によりインド北部を中心に多数の死者数を 含む甚大な被害が出たことに哀悼の意を伝えた。
イ. 安倍総理大臣から、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、連携と協力を一層進めたいと述べ、両首脳は、アジアを中心とする地域情勢について 意見交換を行った。
ウ. モディ首相から、本年の訪日を楽しみにしている旨述べ、安倍総理大臣から実りある 訪日になるように最大限調整していきたい旨を述べた。
今月の注目点:印露非公式首脳会談
5月21日、印外務省は、同日ソチで行われた印露非公式首脳会談に関するプレスリリースを発表したところ、概要以下のとおり。
21日、モディ首相とプーチン大統領は、ソチにおいて初めての非公式首脳会談を実施した。同首脳会談は、印露のハイレベル政治交流の伝統に沿って、両首脳が友情を深め、国際問題及び地域問題に関する見方を共有する機会を提供した。
両首脳は、印露の特別(Special and Privileged)戦略的パートナーシップが、グローバルな平和と安定にとって重要な要素であることで一致した。両者は、インドとロシアが、開かれた公平な世界秩序に寄与する重要な役割を担うとの見方を共有した。両者は、グローバルな平和と安定を維持する上での共通の責任を伴う、大国としての互いの役割を確認した。
両者は、主要な国際問題に関し深い議論を行った。両者は、多極的世界秩序を築くことの重要性につき合意した。両者は、インド太平洋地域に関するものを含め、互いに相談と連携を強化することを決定した。両者は、国連、SCO(上海協力機構)、BRICS、G20といった多国間組織を通じて連携を継続することで一致した。
両者は、テロと過激化に対する懸念と、あらゆる形態及び強度のテロと闘う決意を表明した。両者は、テロの脅威のない環境でアフガニスタンの平和と安定を回復することの重要性を支持し、この目的の達成に向けて連携することで一致した。
両者は、国家の開発計画と優先課題に関し詳細な意見交換を行った。両者は、印露関係を特徴付ける深い信頼、互いの尊重と誠意に関し満足の意を表した。両者は、昨年6月にサンクトペテルブルクで実施された首脳会談以降の前向きなモメンタムに対する満足の意を示しつつ、今年後半にインドで予定される首脳会談の具体的成果を準備するよう、それぞれの政府に指示した。
両者は、貿易及び投資分野でのさらなるシナジーを特定すべく、インド行政委員会(NITI Aayog)とロシア経済開発省の間の戦略的経済対話を設立することに合意した。両者は、エネルギー分野での協力拡大に満足の意をもって言及し、ガスプロムとインドガス公社(GAIL)間の長期契約の下、来月、最初のガス託送が到着することを歓迎した。両者は、軍事、安全保障、原子力エネルギー分野での長きにわたるパートナーシップの意義について強調し、これら分野における現行の協力を歓迎した。
両者は、年次首脳会談の他に、首脳レベルでのエンゲージメントの一つとして非公式首脳会談を実施する考えを歓迎した。
モディ首相は、今年後半にインドで実施される第19回年次首脳会談にプーチン大統領を招待した。