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日印関係最新情報

月間インドニュース(2021年6月)

2021年7月30日掲載


1 内政

【連邦政府】

6月7日:モディ首相は国民に向けた演説(オンライン)を行い、6月21日以降、18歳以上の全国民に無料でワクチンを提供する旨発表した。また、公共配給制度(PDS)を通じた、食料補償制度を11月のディワリまで継続し、8億人に毎月の食料配給を継続すると表明した。

【改正市民権法(CAA)】

6月3日:現地メディアは、議会委員会が内務省に対してCAAの細則策定のための3ヶ月の期間延長が認められた旨報じた。CAAの効力が停止されるのは2度目。細則の立案期間の延長は、コロナによる影響のためとされ、これによりCAAの運用開始がさらに延期されたことになる。

【農業法改正】

6月26日:統一農民戦線(SKM)は、農民による抗議活動が7か月に及び、改めて抗議の意を示すため、「農業を救い・民主主義を救おう」というスローガンのもと、全国の州首相公邸に向かって行進を行い農業法の改正への抗議活動を行った。

【西ベンガル(WB)州】

6月6日:現地メディアは、バナジー州首相の甥アビシェーク・バナジー連邦下院議員が全インド草の根会議派(AITC)の全国事務総長(National General Secretary)に任命された旨報じた。同議員は、5月のWB州議会選挙の勝利に貢献し、今後はバナジー首相の後継者として、同党を全国政党に引き上げることが期待される旨報じられている。

【ウッタル・プラデシュ(UP)州】

6月14日:現地メディアは、州野党の社会主義党(SP)と庶民党(AAP)の指導部が、アヨーディヤに建設予定のヒンドゥー教寺院であるラーマ寺院のための基金である「ラーマ生誕地巡礼地信託」の構成員による不正疑惑を公表し、中央政府やインド中央調査局に対し、寺院建設のために集められた寄付の用途について調査を行うよう求めた旨報じた。

6月19日:現地メディアは、同州BJP副総裁に元官僚(IAS)のAKシャルマ氏が就任した旨報じた。シャルマ氏はモディ首相がグジャラート州首相時代からの側近であり、1月にIASを退職し、UP州上院議員に就任しており、2022年に行われる州議会選挙に向けた動きが活発化しているとされる。

【ジャンム・カシミール(JK)準州】

6月24日:モディ首相の呼びかけにより、ジャンム・カシミール(JK)準州の主要地域政党指導者がデリーの首相官邸に一堂に会し、中央政府との間で、同準州における準州議会選挙の実施に向けた会合が行われたところ、概要以下のとおり。

ポイント

○今次会合は、2019年にJK州(当時)に特別な地位を与えていたインド国憲法第379条が無効化され、同州がJK準州とラダック連邦直轄領に分割されて以降、中央政府とJK主要政党間で行われた初の会合。

○JK準州からは、コングレス、BJP、人民民主党(PDP)等8つの主要地域政党から、4名の同州首相経験者及び4名の同州副首相経験者を含む14名の政治指導者が参加、中央政府からはモディ首相に加え、アミット・シャー内相、アジット・ドヴァル国家安全保障担当補佐官、P.K.ミシュラ首相府首席秘書官、アジェイ・クマール・バッラ内務次官、及びマノージュ・シンハ同準州暫定知事が参加した。

○中央政府と地域政党指導者との間で、2018年9月以降実施の待たれている準州議会選挙の実現に向けた話し合いが持たれた。他、マノージュ・シンハ暫定知事が政治的な理由で拘留されている人々の措置を検討する委員会を立ち上げることが決定された。


6月25日:「グプカル宣言のための人民連合(PAGD)」のグラーム・ナビ・アーザード元コングレス党国会議員は、現地メディアのインタビューに応じ、昨24日のモディ首相及びシャー内相との会談は時間制限がなく、非常に良い意見交換ができた旨述べた。また、PAGDのメンバー全員が憲法第370条無効化について提起したと報道されており、モディ首相は、「デリー・キ・ドゥーリ―」(デリーからの距離)と「ディル・キ・ドゥーリ―」(心との距離)を取り除きたい、「過去は過去であり、未来について話そう」と述べたと報じられている。

6月30日:現地メディアは、選挙区策定委員会(Delimination Commission of India)が、7月6日から9日までJK準州を訪問し、関係者との協議を行う旨報じた。選挙区の策定は、2019年に制定されたJK準州再編法に基づき現在行われている選挙区策定の状況を確認することが目的であり、JK準州の選挙区見直しは、1981年の国勢調査に基づき1995年に策定されて以来となる。JK準州再編法では、州議会の議席数を107議席から114議席に増やすことを規定しており、再編法施行前の各地域の議席数からそれぞれ増えることが予想されている。

【プドゥチェリー(PY)準州】

6月27日:現地メディアは、コヴィンド大統領により、PY準州内閣として5の閣僚が任命され、宣誓式が行われ旨報じた。3名はランガスワミ準州首相が率いる全インド国民会議(AINRC)から選出され、2名がBJPから選出された。本年5月の選挙以降、ランガスワミ準州首相の体調不良やBJPとの連立政権による調整のため、準州首相の任命が遅れていた。

2 経済

6月28日:シタラマン財務大臣は新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済対策を発表したところ、概要以下のとおり。

ポイント

1.概要

○政府は新型コロナウイルスの第二波で打撃を受けた国内経済の回復を目指し,総額6兆2899億ルピー(約9兆3684億円,対GDP比2.8%)の経済対策を発表。

○新型コロナの影響の大きい分野(中小企業,観光業,医療インフラ等)への救済策に焦点を置き,家計所得・企業所得を支える。

○金額の大きい措置はいずれも融資保証となっており,支出を伴う措置は限定的との見方が強い。支出を伴う措置は、肥料補助金、穀物配給制度の継続、小児医療の改善等、1.3兆ルピー程度となる見込み。

○政府は当初予算において、今年度の財政赤字を対GDP比で6.8%と見積もっているものの、今回の措置の影響等を踏まえると、財政赤字は7.1%まで拡大するとの見方もあり、経済回復に向けて引き続き厳しい経済財政運営を迫られる。

○今回の対策における主な措置は以下2.の通り。

2.経済対策の主な措置

(1)新型コロナの影響の大きい分野に対する融資保証制度の創設(1.1兆ルピー)

・全国信用保証受託公社(NCGTC)を通じて信用保証を供与。

・1.1兆ルピーの保証枠のうち,5000億ルピーは医療分野への支出に紐付け。

・医療分野への支出は医療インフラ整備が遅れた地域を対象として、新規プロジェクトについては75%,既存プロジェクトの拡大については50%まで融資保証を実施。融資額は最大10億ルピー,保証期間は最長3年間,利率は7.95%が上限。

(当館注)融資保証のない場合の標準金利は10-11%。

・その他の分野については,追って決定。現時点で決定している措置として、観光業従事者に対する運転資金や個人融資の提供があり、観光省認可の旅行・観光業者は最大100万ルピー,地方レベルで認可を受けた旅行ガイドは10万ルピーまで100%の融資保証を受けることが可能。利率は8.25%が上限。

(2)医療インフラ改善に対する支援(1500億ルピー)

・支援に当たっては子供及び小児医療・小児用ベッドに重点がおかれ,主に短期の緊急的対応に支出。

・これにより、ICUベッド及び酸素の供給拡大,医療機器及び医薬品の供給,遠隔医療や救急サービスへのアクセスの確保等を図る。

(3)観光査証の無償発給(10億ルピー)

・政府は観光査証の発給を停止しているが,査証発給の開始後,最初に応募した50万人を対象に観光査証を無償で発給。

・(1)の融資保証との相乗効果を期待しての観光業復興策。

(4)緊急与信枠保証制度(ECLGS)の拡張(1.5兆ルピー)

・昨年5月に導入された緊急与信枠保証制度(ECLGS)について,保証枠を現行の3兆ルピーから4.5兆ルピーに引き上げる。

・なお、政府はECLGSを通じて実施開始から現在までに2.69兆ルピーの融資保証を実施済み。

(5)マイクロファイナンス機関向けの融資保証スキームの創設(750億ルピー)

・指定商業銀行によるマイクロファイナンス機関への融資について、1顧客当たり12万5千ルピー以下の少額貸出を行う場合に限り、融資保証を行う。

(6)肥料補助金の拡大(1478億ルピー)

・リン酸二アンモニウム(DAP)肥料及び窒素・リン酸・カリウム(NPK)化成肥料に対する補助金を拡大。

・同時に,政府は栄養増と農民所得の増加を図るため,インド農業研究委員会の指導の下、21の災害に強い特別品種及び高栄養品種の開発・普及を促進。

(7)貧困層向けの食用穀物配給制度(PMGKAY)の期間延長(9387億ルピー)

・6月8日のモディ首相の演説で発表されていた措置。支給終了時期を従来の5月からディワリ(ヒンドゥー教の祝祭日)の11月まで延長。

・この措置により配給を受ける8億人の生活を支援。

(8)北東州農産流通公社(NERAMC)の救済策(7.7億ルピー)

・NERAMCの債務再構築及び資金注入を行い、北東州における農業、調達、加工、販売に係るインフラの改善を図る。

(9)国家輸出保険勘定(MEIA)及びインド輸出信用保証会社(ECGC)への追加出資による輸出信用の強化(計1.21兆ルピー)

・MEIAは商工省により設定され,インド輸出信用保証会社(ECGC)により管理されている信託勘定。

・5年間にわたる追加支出を通じて,インド輸出入銀行による海外プロジェクト向けの信用保証やECGCの提供する輸出保証を強化。

(10)デジタル・インディア推進のためのブロードバンド整備(1904億ルピー)

・全インドに高速インターネットを引く「バーラトネット」プロジェクトに対する追加支援。

(11)配電改革に対する支援(9763億ルピー)

・小売・配電公社(DISCOM)に対して成果連動型スキームを導入し、電力セクター改革及び新しい電力供給スキームの確立を目指す。

・当初予算で発表・手当済みの措置。

(12)生産連動型奨励制度の対象期間の延長(なし)

・13業種を対象とする生産連動型奨励制度の対象期間を1年間延長。

(13)従業員の新規雇用に対する補助スキームの延長(なし)

・実施期間を従来の2021年6月30日から2022年3月31日まで延長。

3 外交

(印・タイ関係)

6月9日:インド国防省は、印海軍とタイ海軍がアンダマン海で第31回印・タイ共同偵察(Indo-Thai CORPAT)を開始した旨発表した。両国間の海洋関係を強化し、国際貿易のためにインド洋の安全を確保することを目標とし、両海軍は2005年以降年2回Indo-Thai CORPATを実施している。

(印・クウェート関係)

6月9日:ジャイシャンカル外相は、9日から11日までクウェートを訪問した。2021-22年は両国外交関係樹立60周年にあたり、ジャイシャンカル外相にとって外相として初めての訪問となる。

(印・ケニア関係)

6月12日:インド外務省は、12日から14日まで、ジャイシャンカル外相がケニアを訪問した旨発表した。同外相は、オマモ・ケニア外務長官と会談した他、関連大臣との円卓会議に参加し、ケニヤッタ・ケニア大統領を表敬した。また、第3回印・ケニア合同委員会を開催し、二国間協力拡大に向けた共同声明を発出した。

(印・カタール関係)

6月15日:インド外務省は、15日、ジャイシャンカル外相がドーハを訪れ、ムハンマド外相兼副首相と会談した旨発表した。

(印・ギリシャ関係)

6月26日:インド外務省は、ジャイシャンカル外相が、25日から27日にかけてギリシャを公式訪問した旨発表した。同外相は、ミツォタキス ギリシャ首相を表敬訪問し、デンディアス外相と会談した他、アテネ市内でのマハトマ・ガンジーの銅像の除幕式に参加した。

(印・モーリシャス関係)

6月4日:インド外務省は、モディ首相がプラヴィン・クマール・ジャグナット・モーリシャス首相と電話会談を行った旨プレスリリースを発出した。

(印・スイス関係)

6月9日:インド外務省は、ジャイシャンカル外相がカシス・スイス連邦外相と電話会談を行った旨プレスリリースを発出した。

(印・リトアニア関係)

6月9日:インド外務省は、ジャイシャンカル外相がランズベルギス・リトアニア外相と電話会談を行った旨プレスリリースを発出した。

(印・デンマーク関係)

6月10日:インド外務省は、ジャイシャンカル外相がコフォズ外相と電話会談を行った旨プレスリリースを発出した。

(印・イスラエル関係)

6月17日:インド外務省は、ジャイシャンカル外相がラピド・イスラエル外相が電話会談を行った旨プレスリリースを発出した。

(印・ブータン関係)

6月18日:インド外務省は、インドがブータンと環境分野での協力に関する覚書を締結した旨発表した。大気汚染、廃棄物管理、化学物質管理、気候変動等の分野での協力を推進する。

(印ASEAN関係)

6月16日:現地メディアは、シン国防相が拡大AESAN国防省会議に出席し、中国について議論した旨報じた。シン国防省は、「南シナ海における動きが注目を集めている。インドはこれらの国際的な海路における航行、上空通過、妨げられない商業の自由を支持する」と述べた。

(印・上海協力機構(SCO))

6月23日:現地メディアは、ドヴァル安全保障担当首相補佐官が、22日及び23日にタジキスタン・ドゥシャンベで実施される上海協力機構(SCO)の会合に参加した旨報じた。

(G20)

6月28日~30日:ジャイシャンカル外相は、28日から30日にかけて開催されたG20マテーラ外相会合及び開発大臣関連会合に出席した。

(国連)

6月8日:現地メディアは、インドが国連経社理選挙において理事国に選出された旨報じた。2022年から2024の間、任期を務めることになる。

4 日印関係

6月11日:東京において、日・インド物品役務相互提供協定(日印ACSA)効力発生のための外交上の公文の交換が行われた(本年7月11日に効力を生ずる)。

6月25日:日本政府は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるインドに対する支援として、緊急無償資金協力を通じて約926万ドル(約10億円)相当のコールド・チェーン機材の供与等を実施することを決定した。

今月の注目点1:日・インド物品役務相互提供協定(日印ACSA)の効力発生のための外交上の公文の交換

(1)本協定は、自衛隊とインド軍隊が物品・役務を相互に提供する際に適用される決済手続等の枠組みを定めるもの。日印間の安全保障・防衛協力が深化・拡大する中で、自衛隊とインド軍隊との間で物品・役務を相互に円滑に提供する必要性について認識を共有した結果、平成30年(2018年)10月の日印首脳会談において交渉を開始することで一致し、令和2年(2020年)9月9日、ニューデリーにおいて鈴木哲駐インド日本国特命全権大使とアジャイ・クマール・インド国防次官との間で署名。

(2)本協定は、主に以下のものを協定の対象とする。

ア 自衛隊とインド軍隊の双方が参加する訓練のための物品・役務提供

イ 国連平和維持活動(PKO)、人道的な国際救援活動、大規模災害への対処のための活動のための物品・役務提供

ウ 外国での緊急事態における自国民等の保護措置又は輸送のための物品・役務提供

エ 連絡調整その他の日常的な活動のための物品・役務提供

オ それぞれの国の法令により物品・役務提供が認められるその他の活動のための物品・役務提供。


今月の注目点2:インドに対するコールド・チェーン整備のための緊急無償資金協力

6月25日、我が国政府は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるインドに対する支援として、緊急無償資金協力を通じて約926万ドル(約10億円)相当のコールド・チェーン機材の供与等を実施することを決定しました。

1.今回の協力では、国連児童基金(UNICEF)を通じ、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるインドを対象に、ワクチン接種体制を構築する「ラスト・ワン・マイル支援」として、冷蔵・冷凍設備等の機材供与等を通じて、コールド・チェーンの整備を実施します。

2.新型コロナウイルス感染症の収束に向けて、途上国を含めてワクチンへの公平なアクセスを確保し、各国におけるワクチン接種を加速していくことが国際社会共通の課題となっています。我が国は、国際的なワクチン調達メカニズムであるCOVAXファシリティの形成を主導し、既に合計2億ドルを拠出し、先般8億ドルの追加拠出を発表しました。今回の協力は、ワクチンを途上国内の隅々まで運び、一人ひとりに届ける支援の一環であり、COVAXファシリティの取組を補完するものです。

3.我が国としては、過去数十年にわたり、途上国の隅々まで届く医療供給網の整備に貢献してきた経験を活かし、引き続き、新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束に向け、ワクチンを世界の一人ひとりに届けるための支援を行っていきます。