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日印関係最新情報

月間インドニュース(2020年12月)

2021年1月22日掲載


1 内政

【連邦政府】

12月10日

モディ首相臨席の下、国会議事堂新築に向けた定礎式が行われた。

【農業関連法】

12月4日

現地メディアは、3日に開催された農民代表と中央政府大臣等による協議が結論に至らなかった旨報じた。7時間に渡って行われた同協議では、政府側は農業関連法のレビューを行い、農民の要求に応えるために必要であれば修正を行うことに合意した。中央政府は、農民に対して農業関連法に8点の修正を行い、最低支持価格(MSP)の保証を提供したものの、農民は農業関連法の撤回を強く要求した。

12月7日

現地メディアは、カイラシュ農業閣外大臣が農業関連法は農民の利益に資するものであることを再強調し、同法律が撤廃されることはないが、必要であれば修正を行うと述べた旨報じた。また、同大臣は、作物に対するMSP(最低支持価格)は継続されると述べた。

12月14日

全国で座り込みの抗議が行われ、一部指導者たちは、午前8時から午後5時までのハンガー・ストライキを実施した。また、ケジュリワル・デリー準州首相は、農民への連帯を示すため14日に断食を実施した。

トーマル大臣は、農業関連法への支持を表明しているマハラシュトラ州、ハリヤナ州、ビハール州、テランガナ州、タミル・ナドゥ州の全インド農民調整委員会(AIKCC)と面会した。

12月16日

グジャラート州カッチにおける牛乳加工工場定礎式に出席したモディ首相が、「現在、農民を間違った方向に導いている野党の人々は、自身の政府(コングレス政権)の時はこれらの農業関連法改革に賛成していた。彼ら(コングレス等)は、決定を下すことができなかった。今日、国が歴史的な一歩を踏み出すと、これらの人々は農業を誤った方向に導いた。」と述べた。

【冬季国会】

12月15日

現地メディアは、コングレスが農民の抗議運動等について議論するため短期の冬季国会の開催をビルラ下院議長に要求したが、政府が新型コロナウイルスの感染状況を受け、冬季国会は開催しないことが望ましいと回答した旨報じた。

【全国ストライキ】

12月8日

インド政府の推進する農業関連法に反対する政党(コングレス、左派政党等)、中央労働組合(CTU)等が、全国規模のストライキ(Bharat Bandh)を実施した。

【改正市民権法(CAA)】

12月12日

アッサム州(AS)における州議会選挙を数ヶ月後に控え、同州においてCAAに抗議する新たなラウンドが11日から開始された。同抗議運動は、北東部学生機構(NESO)、全アッサム学生連合(AASU)等、18団体から支持を受けている。

【ジャンム・カシミール(JK)準州】

12月23日

現地メディアは、JKで初の選挙となる地区開発協議会(District Development Councils、DDC)の協議員選挙結果として、全276議席中、BJPが単独で74議席した一方、グプカル宣言のための人民同盟(PAGD)が最大110議席を獲得した旨報じた。

【西ベンガル(WB)州】

12月9日

ナッダBJP総裁は、2021年のWB州議会選挙を視野に、2日間にわたりWBを訪問し、大規模なアウトリーチ・キャンペーンに参加した。翌10日、訪問中のナッダBJP総裁の車両への投石事案が発生、シャー内相(BJP)は州政府に公式報告を求めたがバナジー州首相(TMC)はBJPの自作劇と批判、州警察も事件を否定した。 

12月13日

現地メディアは、全インド統一ムスリム評議会(AIMIM)が2021年のWB州議会選挙に向けた選挙体制を間もなく立ち上げる旨報じた。AIMIM関係者は、「オワイシ代表が間もなくWBを訪問する。我々は、WB州議会選挙を戦う。オワイシ代表が間もなく選挙委員会及び選挙を戦う議席数を発表するであろう。」と述べた。

【タミル・ナドゥ(TN)州】

12月4日

現地メディアは、俳優のラジニカントが2021年に予定されるTN州議会選挙に新たな党を設立し出馬する旨報じた。新たな党は1月に設立される予定。この動きは、反DMK党が分散するため州与党ドラビダ進歩連盟(DMK)にとっては有利に働くとも見られているが、多くは今後の連合の動き次第との見方を立てている。

【テランガナ(TL)州】

12月5日

ハイデラバード市議会選挙の結果が発表され、いずれの党も過半数となる76議席を獲得するに至らなかった(全150議席)。99議席を保有していた与党テランガナ国民会議(TRS)は56議席まで減少した一方、テルグ党(TDP)との連合でわずか4議席を保有していたBJPは単独で48議席を獲得した。全インド統一ムスリム評議会(AIMIM)は1議席減少の43議席を獲得した。

【ビハール(BR)州】

12月8日

ラム・ヴィラス・パスワンLJP党首逝去により実施された上院議会補欠選挙において、スシル・クマール・モディ元BR州副首相が当選した。

【ラジャスタン(RJ)州】

12月10日

州内で実施されたパンチャーヤト(村落レベル)選挙は、BJPがコングレスに勝利。全222パンチャーヤト議会における4371議席の選挙において、BJPは1989議席を獲得、コングレスは1852議席を獲得した。BJPは93のパンチャーヤト議会で勝利した一方、コングレスの勝利は81議会にとどまった。

2 経済

4日、インド準備銀行(RBI)は2~4日の3日間にわたって行われた金融政策決定会合(MPC)の結果を公表したところ、概要以下の通り。

ポイント

1.金融政策決定会合の結果

○政策金利(レポ・レート)は4.00%で据え置き。リバースレポレートも3.35%のまま据え置き。

2.インフレ率見通し

○インフレ率の見通しは、過去2か月の予想に比べて悪化している。卸売インフレ率と小売インフレ率の間の実質的な不和は、供給側の障壁と消費者に課せられる大きな利ざやを表している。

○穀物の価格は豊富なカリフ季作物(雨期作物)の収穫が行き渡ることで軟化する可能性があり、野菜の価格は冬に収穫する作物によって緩和する可能性があるが、他の食品の価格は高水準で持続する可能性がある。

○原油価格は、需要回復による楽観主義、OPECの継続と減産により持ち直しており、当面は変動が続くと予想される。

○価格圧力は引き続きコアインフレに影響を及ぼすが、引き続き堅調であり、経済活動が正常化し、需要が回復するにつれて定まる可能性がある。

○これらすべての要因を考慮に入れると、消費者物価指数インフレ率は第3四半期に6.8%、第4四半期に5.8%と予測する。また2021年上半期では5.2%~4.6%と予測する。

3.今後の見通し

○成長見通しに目を向けると、農村部の需要の回復はさらに強まると予想されるが、都市部の需要も、特にCOVID-19によって移動を余儀なくされた労働者の活動と雇用に拍車をかけることで、勢いを増している。

○しかし、これらの前向きな勢いは、インド国内の一部で感染が増加する可能性があるために暗い見通しとなっており、いくつかの地域でロックダウンによる措置を促している。

○同時に、(感染者の)回復率は94%を超えており、ワクチン試験の成功についてはかなり楽観的である。消費者は引き続き見通しに楽観的であり、製造業の企業心理は徐々に改善している。財政刺激策は、消費と流動性を支援するだけでなく、成長を生み出す投資を支援することへと移行している。

○一方で、民間投資は依然として低迷しており、稼働率は完全には回復していない。輸出の回復はまばらであるが、ワクチン開発の進歩により見通しは明るくなっている。接触集約型サービスの需要は、人々の間に社会的に距離を取るルール(social distancing norms)とリスク回避のために、しばらくの間は抑制され続ける可能性がある。

○これらの要因を考慮に入れると、実質GDP成長率は2020年度に▲7.5%と予測される。また、2020年度第3四半期は+0.1%、第4四半期は+0.7%、2021年度上半期は+6.5~21.9%と予測される。

3 外交

(印加関係)

12月1日

インド外務省は、インド国内で農業関連法に反対する農民の抗議運動が発生していることに対するトルドー加首相のコメントにつき、民主国家の内政事項に関するものであり不当とするスリヴァスタヴァ報道官のコメントを発表した。

12月4日

インド外務省は、駐印カナダ高等弁務官を召致し、インド農民の問題に関するカナダ首相、閣僚、国会議員によるコメントは、インド国内事情への受け入れられない干渉であると伝達した旨プレスリリースを発表した。

(印露関係)

12月2日

インド外務省は、モスクワで印露国連安保理協議が開催された旨発表した。露外務省は、2021年から2022年のインドの国連安保理非常任理事国入りを歓迎した。

(印・EU関係)

12月5日

現地メディアは、2013年5月以降停滞している印EU自由貿易協定の交渉について、停滞の理由は同協定に対するインド政府の懸念が理由かと問われたところ、ジャイシャンカル外相が、「2014年以降の交渉の後ろ向きな姿勢は、インド政府側からではなく、EU側からである。」と述べた旨報じた。

(印英関係)

12月15日

インド外務省は、ラーブ英外相が14~17日にかけて訪印している旨発表した。訪印中、ラーブ外相は、ジャイシャンカル外相と外相会談等を実施したほか、ジャベドカル環境・森林相やポクリヤル教育相とも面会予定である。

(印仏関係)

12月7日

インド外務省は、モディ首相がマクロン仏大統領と電話会談を実施した旨発表した。

(印・スペイン関係)

12月23日

インド外務省は、ジャイシャンカル外相がアランチャ・ゴンサレス・ラジャ・スペイン外務・EU・協力相とテレビ会談を実施した旨発表した。

(印・バングラデシュ関係)

12月17日

インド外務省は、印バングラデシュ首脳テレビ会談の共同声明等を発表した。

(印・オマーン関係)

12月2日

インド外務省は、ジャイシャンカル外相がバドル・アル・ブサイディ・オマーン外相とテレビ会談を実施した旨発表した。

(印・ウズベキスタン関係)

12月11日

インド外務省は、モディ首相がミルジヨーエフ・ウズベキスタン共和国大統領とテレビ首脳会談を実施した旨発表した。

(印・イスラエル関係)

12月7日

インド外務省は、第16回印イスラエル外務協議がビデオ会議形式で開催された旨プレスリリースを発表した。

(印・カタール関係)

12月8日

インド外務省は、モディ首相がシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ・カタール首長と電話会談を実施した旨発表した。

12月28日

インド外務省は、ジャイシャンカル外相が27~28日にカタールを訪問した旨発表した。

(印・ベトナム関係)

12月18日

インド外務省は、モディ首相がフック・ベトナム首相とテレビ首脳会談を実施した旨発表した。

4 日印関係

12月18日

高級事務レベルによる日米豪印協議がテレビ会議形式で実施された。

今月の注目点:日米豪印局長級協議に関する報道発表

12月18日、高級事務レベルによる日米豪印協議がテレビ会議形式で実施されました。概要は以下のとおりです。(参加者:日本からは山田重夫総合外交政策局長及び遠藤和也アジア大洋州局参事官、豪州からはジャスティン・ヘイハースト外務貿易省副次官及びローレン・ベイン次官補(ASEAN及び地域アーキテクチャー担当)、インドからはヴァニ・ラオ外務省米州局長及びナヴィーン・スリヴァスタヴァ東アジア局長、米国からはディビッド・スティルウェル国務次官補及びディーン・トンプソン筆頭国務次官補代理(南・中央アジア担当)が出席。)

1.参加者は、10月6日に東京で開催された第2回日米豪印外相会合のフォローアップとして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、質の高いインフラ、海洋安全保障、テロ対策、サイバーセキュリティ、人道支援・災害救援、教育・人材育成を始め、様々な分野で実践的な協力を更に進めていくことで一致するとともに、北朝鮮、東シナ海・南シナ海を始めとする地域情勢についても意見交換を行いました。

2.参加者は、「自由で開かれたインド太平洋」は地域の平和と繁栄に向けたビジョンであり、ポスト・コロナの世界において益々その重要性を増しているとして、その実現に向け、より多くの国々へ連携を広げていくことの重要性を再確認しました。また、この関連で、日本から、11月の日ASEAN首脳会議において発出した「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」協力についての日ASEAN首脳会議共同声明等について説明し、参加者の間で、ASEANの一体性及び中心性とASEAN主導の地域枠組みに対する強固な支持と、AOIPに対する全面的な支持を改めて確認しました。

3.参加者は、今後も定期的に協議を行うとともに、第2回日米豪印外相会合で四大臣が一致したとおり、来年の適切なタイミングで次回の外相会合を開催すべく調整していくことで一致しました。