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日印関係最新情報

月間インドニュース(2019年8月)

2019年9月20日掲載


1 内政

【連邦政府/連邦議会】

8月2日:上院議会は,非合法活動(防止)改正法(The Unlawful Activities (Prevention) Amendment Bill,2019)を可決した。

8月6日:下院議会における午前中の議事の冒頭,ビルラ下院議長は,広島及び長崎の原爆犠牲者を追悼する発言を行い,その後,出席している全下院議員が起立し黙祷が行われた。

8月6日:下院議会における予算国会は閉会した。今国会で35の法案が可決された。

8月6日:スワラージ前外務大臣(67歳)は,デリー市内の病院で逝去した。

8月15日:モディ首相は,独立72周年となる(73回目の)独立記念日に際し,デリーのレッド・フォートにおいて演説を行った。水の保全にかかる広範な分野への3.5兆ルピーの投資,陸海空3軍を統括する統合参謀長(CDS)ポストの新設,人口の抑制の必要性等に言及した。(→今月の注目点)

8月21日:モディ政権は,ラジーヴ・ゴウダ内閣官房次官(Cabinet Secretary)(8月30日付)及びアジャイ・クマール国防次官(Defence Secretary)(8月24日付)を指命した。

8月21日:チダンバラム元財務・内務大臣は,贈収賄容疑で逮捕された。

8月24日:ジャイトリー前財務大臣(66歳)は,デリー市内の病院で逝去した。

【ジャンム・カシミール州】

8月4日:州治安省局は,アブドゥラー元州首相及びムフティ前州首相を自宅軟禁した。


8月5日:モディ内閣の決定を受けて、ジャンム・カシミール州に独自の憲法を認めていた共和国憲法第370条を無効とする大統領令が発出された。上院議会は,これに従って、JK州をジャンム・カシミール地方とラダック地方の2つの連邦直轄領として再編成する法案を可決した。6日,下院議会は,同法案を可決した。これに対しては、JK州から強い反対の声が上がったほか、パキスタンからも抗議が行われたが、JK州を他の州並みに扱うこの決定は正式のものとなった。

8月14日:モディ首相は,インタビューの中で,JK地方及びラダック地方が住民の望みどおりに発展することを保証したいと述べた。

8月14日:コヴィンド大統領は,独立記念日前日の演説の中で,JK地方及びラダック地方の国民は,最近の変化により,他の国民と同様の権利を享受することができ,計り知れない便益を受けるだろうと述べた。

2 経済

【2019年度第3回金融政策決定会合(利下げ))

8月5日~7日:インド準備銀行(RBI)は、金融政策委員会(MPC)会合を開催し、7日にその結果を公表した。

メモ:MPCステートメントのポイント

(1)政策金利(レポ・レート)を5.75%から5.40%へ引下げ。

(2)金融政策に対するスタンスを「緩和的(accommodative)」で維持。

(3)インフレ率の見通し

 インフレ見通しは、2019年度第2四半期は3.1%、2019年度下半期は3.5~3.7%、2020年度第一四半期は3.6%(注:前回の見通しは、2019年度上半期は3.0~3.1%、2019年度下半期は3.4%~3.7%。)。

(4)経済成長率の見通し(引下げ)

 2019年度の実質GDP成長率は6.9%(同年度前半は5.8~6.6%、同年度後半は7.3~7.5%)を見込む(注:前回の2019年度成長率見通しは7.0%)。

3 外交

【印中関係】

8月12日:ジャイシャンカル外相が外相就任後初めて訪中し、第二回文化・人物交流ハイレベルメカニズム会合に出席したほか、王岐山国家副主席及び王毅外交部長と会談を行った。


【印パキスタン関係】

8月8日:パキスタンが印政府の憲法370条無効化を受けて、印との二国間関係に関して外交関係の格下げを含む特定の一方的措置をとる決定をしたことを受けて、8日、印外務省は声明を発表し、パキスタンが事実に基づかない理由を根拠として一方的措置を決定したことは遺憾であり、通常の外交チャンネルが維持されるよう検討を要請する、と述べた。

【印ブータン関係】

8月17日-18日:モディ首相はブータンを訪問し、ワンチュック第4代国王拝謁及びツェリン首相との会談を行った。今次訪問は二国間の定期的な要人往来の伝統を継続するものであり、経済・開発分野における協力、水力発電にかかる協力、人的交流を含む二国間のパートナーシップを更に強化・多様化し、地域の問題やその他共有の関心事項に関する見方を共有する機会となった。

【印露関係】

8月21日:ドヴァル国家安全保障担当補佐官は9月のウラジオストックにおける東方経済フォーラムへのモディ首相出席及び第20回年次印露首脳会談の準備のため訪露した。印露は「主権・領土保全と第三国による不干渉の原則」への相互支持を改めて強調した。この点をもって、当地メディアは露がカシミール情勢にかかる印政府の立場を支持した旨報じた。

8月27日-28日:ジャイシャンカル外相はモスクワを訪問した。同訪問中,ジャイシャンカル外相はラブロフ露外相等と会談し,モディ首相の訪露等について議論した。

【印仏関係】

8月22日-23日:G7サミットのアウトリーチ会合(G7以外の主要招待国との会合)に招待されて訪仏中のモディ首相はマクロン仏首相と会談した。両首脳は共同声明を発表した。

【印英関係】

8月22日-23日:モディ首相は,ジョンソン英首相とも会談した。両首脳は貿易,投資,安保・防衛,科学技術,教育等の分野での二国間協力強化について議論した。

【印UAE関係】

8月23日-24日:モディ首相はUAEを訪問した。同訪問中,モディ首相はUAE皇太子と会談し,二国間関係,地域・国際情勢について意見交換を行った。モディ首相はUAEの最高勲章を授与された。


【印バーレーン関係】

8月24日-25日:モディ首相はバーレーンを訪問した。同訪問中,両国は宇宙研究,太陽光同盟,文化交流の3つの文書に合意し,両国首脳は共同声明を発表した。

【印ハンガリー関係】

8月25日-27日:ジャイシャンカル外相はハンガリーを訪問した。同訪問中,ジャイシャンカル外相はハンガリー外相と会談を行い,V4諸国(ハンガリーのヴィシェグラードで協力枠組みを発足したチェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア4カ国)との協力を含めた二国間及び多国間の幅広い協力の可能性について議論した

【印ポーランド関係】

8月28日-29日:ジャイシャンカル外相はポーランドを訪問した。同訪問中,ジャイシャンカル外相はモラヴィエッキ・ポーランド首相を表敬し,地域情勢,政治,経済の課題につき意見交換を行った。また,両国外相は共同声明を発表した。


4 日印関係

【日印外相会談】

8月1日:午後2時10分頃から約20分間,ASEAN関連外相会議に出席中の河野太郎外務大臣は,ジャイシャンカル・インド外務大臣と日印外相会談を行った。概要は以下のとおり。

・冒頭,河野大臣より,G20大阪サミットの際にお会いして以来,間を置かず再会できうれしく思う,特別戦略的グローバル・パートナーシップの下,日印間で協力して進めていく課題は多く,引き続き緊密にジャイシャンカル外相と連携していきたいと述べた。

・両外相は,次回の安倍総理大臣の訪印に向けて協力を促進していくことで一致した。また,地域情勢につき意見交換し,引き続き連携していくことを確認した。


今月の注目点:独立記念日に際してのモディ首相の演説(ポイント)

●モディ首相にとって通算6回目,第2次政権樹立後初となる独立記念日首相演説。冒頭の被災地へのメッセージに続き,政権樹立から10週間での成果を強調し,経済,インフラ,安全保障,水資源,衛生等の各分野での決定や今後の方針を強調するものとなった。

●トリプル・タラーク(夫が「タラーク」と3度唱えれば離婚が成立するというイスラム教の慣習法)の禁止を法制化したことを、ムスリム女性の権利を守る成果として強調。

●憲法第370条,35条Aの無効化は,国民の願いであり,ジャンム・カシミールの安定,発展にとって必要であるとして第二次政権の大きな成果として強調。

●全土に一つの憲法が適用されること,GST導入による税制の統一,電力網の統一等による一つの国家としてのインドを強調。統一選挙に関する議論に言及。

●水分野に重点を置くことを強調。全家庭に上水道を配備する計画,水の保全にかかる広範な分野への3.5兆ルピーを投資に言及。

●人口の抑制の必要性に言及。

●汚職と血縁主義の排除に向けた取り組みに言及。

●不必要な法規の廃止によるビジネス環境,生活環境改善の実績に言及。ビジネスのしやすさで世界トップ5に入るという目標に言及。

●各種近代的なインフラ建設のための100兆ルピー投資計画を強調。

●5兆ドル規模経済を目指すことには,困難ではあるが実現可能であると強調。農民の所得倍増,ブルー・エコノミーの発展,農作物・手工芸品の輸出拡大,観光の発展とこれらによる雇用拡大の可能性に言及。

●インドの政治的安定性に対する他国の評価,信頼を強調。インド経済の基盤の強さ及びインフレ制御と経済成長の両立を強調。

●テロ組織,テロ支援組織との戦いに言及。

●アフガニスタン独立100周年に対する祝辞。

●陸海空3軍を統括する統合参謀長(CDS:Chief of Defence Staff)ポストの新設を発表。

●ガンジー生誕150周年を,使い捨てプラスティック使用からの脱却の第一歩とすることに言及。

●インド製品の使用,電子決済の使用・拡大,国内旅行,化学肥料使用の抑制を推奨。

●宇宙,科学技術,スポーツの分野でのインド国民,若者の活躍に言及。