Ⅰ. 内政
8月29日
*30日付のヒンドゥスタン・タイムス紙他は、2002年のグジャラート暴動中に発生したナロダ・パティヤ事件(女性と子供を含む97名が殺害された事件)に関与したとして起訴されていた、マヤ・コドナニ元グジャラート州女性・子供開発相とバジュラン・ダルの指導者であるバジランジ容疑者含む32名のうち29名が、特別裁判所において証拠不十分で不起訴となった旨報じている。同紙によれば、コドナニ及びバジランジ容疑者の起訴は、モディー同州首相の責任問題に発展する可能性もあるとしているが、インド人民党は、コドナニ容疑者は暴動発生時に州政府の閣僚の地位に就いていなかったため、影響はないとしている。
9月7日
*8月8日に開幕したモンスーン国会が閉幕。今期モンスーン国会では、アッサム州西部における住民衝突を受けて審議が中断した他、8月17日に提出された会計検査官報告(CAG)を巡り、野党が審議を拒否したため国会が13日間空転、また、会期の最終週には与野党双方の総裁も不在であった。ヒンドゥー紙他によれば、シン首相は、国会審議の中断は、民主主義の否定であるとしてインド人民党を非難、特に、CAG報告書については、国会において議論されるべきものであったにもかかわらず野党は審議中断を選び、国会が空転したことにより会期を無駄にしてしまった旨記者団に語っている。
9月10日
*11日付のヒンドゥー紙他は、タミル・ナードゥ州クダンクラム原子力発電所周辺で、同発電所の稼働反対デモに参加した漁師1名が州警察に襲いかかったため射殺されたことを受け、約5,000名のデモ参加者及び近隣の村落の住民のうち一部が、停車中の列車の車両の窓を破損するなど暴徒化したことを報じている。その後、チェンナイ各地で、全インド・アンナ・ドラビダ同盟(AIDMK)関係者、漁師連盟等が、州警察の発砲に反対するデモを実施し、鉄道車両の通行等を妨害し、25名が拘留された。
9月21日
*テレグラフ紙等は、全インド草の根会議派(AITC)が、同党に所属する閣僚6名の辞任、及び、連立与党統一進歩連盟(UPA)から離脱について全会一致で決定したことを発表した旨報じている。辞表を提出した閣僚は、ムクル・ロイ鉄道相、パンドバティヤイ保健・家族福祉閣外相、サウガタ・ロイ都市開発閣外相、ジャトゥア情報・放送閣外相、スルタン・アーメド観光閣外相、シシル K. アディカリ農村開発大臣。
*大統領府発表によれば、21日午後4時30分、ムクル・ロイ全インド草の根会議派(AITC)幹事長兼国会議員団長率いる同党代表団がムカジー大統領に面会し、同党による統一進歩連盟(UPA)の支持を撤回する旨の書簡を提出。インド各紙報道によれば、同代表団は、大統領との面会に先立ち、シン首相に対しても閣僚を辞任する意向を伝達している。
9月22日
*インド大統領府発表によれば、ムカジー大統領が、全インド草の根会議派(AITC)所属の6名の閣僚の辞任を承認。これを受け、ジョシー道路交通・高速道路相が鉄道省を兼任することになった。
*テレグラフ紙等は、西ベンガル州のコングレス党所属閣僚6名が、ママタ・バナジー同州首相に辞表を提出、併せて同党代表団がナラヤナン同州知事と面会の上、全インド草の根会議派(AITC)による州政権への支持撤回を通告し、同通告をもって同州におけるAITCとコングレス党の間の連立関係が正式に解消されたことを報じている。(注; これは、国の連立政権を脱退したAITCに対する対抗ないし報復措置とされる)
Ⅱ. 経済
8月27日
*インド最高裁判所は、通信・IT省が申し立てていた携帯電話の周波数オークションの実施期限を来年1月11日まで延長することを承認。また、本年2月2日の判決により、免許取り消しを命じられていた事業者についても、来年1月18日までの事業の継続が認められた。併せて同省は、最高裁からの承認を受け、オークションの実施規則を発表した。
8月31日
*インド政府は、12年度第1四半期(4-6月期)のGDP成長率が、5.5%となったことを発表。
*デカン・クロニクル紙は、インドから日本に向けて輸出されたエビからエトキシキンが検出されたことを受け、日本がインドからのエビの輸入を拒否しており、本件解決のため商工省関係社が近く東京を訪問する予定であることを報じている。
9月9日
*10日付タイムスス・オブ・インディア紙は、インド宇宙研究機関(ISRO)が、9日午前9時53分に、アンドラ・プラデーシュ州にあるサティーシュ・ダワン宇宙センターにおいて、極軌道衛星ロケット「PSLV-C21」の打ち上げに成功したことを報じている。打ち上げに同席したシン首相は、インドにとって100回目となる今回の衛星打ち上げは、インドの宇宙開発にとって画期的な打ち上げであり、インドの宇宙産業の競争力を証明するものとの談話を発表した。なお、同ロケットには、大阪工業大学が作製した日本の小型人口衛星「プロイテレス1号機」も搭載されている。
9月10日
*インド鉄鋼省は、本年3月12日に発表された官報公示を受け、同年9月12日に執行を予定していた鉄鋼及び鉄鋼製品への強制規格導入についての修正を発表。これにより、強制規格の対象となっていた9つのインド規格のうち一部の規制及び製品については、2013年3月13日まで試行が延期された。
9月13日
*インド通信・IT省通信局は、ムンバイでの調査に基づいて、新たな電波防護指針に反する基地局からの電波の発射を停止するよう、7つの携帯電話事業者に対して命じた旨発表。
*インド商工省は、8月の貿易額(暫定値)を発表。同発表によれば、輸出は223億ドル(前年同月9.7%減)、輸出380億ドル(前年同月9.7%減)であり、貿易赤字157億ドル。14日付のビジネス・スタンダード紙他は、ユーロ圏の需要減と米国経済の回復待ちという状況の下で、インドの輸出が4ヶ月連続のマイナス成長となり、輸入についても国内経済の減速を受け減少したことを報じているが、前年同月比が15%減であった7月の輸出額に比べると下降のペースは緩やかとなっている。
9月14日
*インド石油・天然資源省は、シン首相が議長を務める内閣政務委員会において、国際石油価格の高騰及びルピー安のために拡大している政府支出抑制のため、ディーゼル価格を1リットル当たり5ルピー値上げすること、及び、補助金付のLPガスシリンダーの消費者一人当たり上限を年間6本とすることを発表した。なお、ガソリン価格は現状維持。
*14日、インド商工省発のプレスリリースによれば、閣議にて、マルチブランド小売業における海外からの直接投資(FDI)を外資比率51%まで認めることが決定された他、シングルブランド小売業の一定の条件でのFDI要件の100%の撤廃、航空業へのFDIの自由化、放送業へのFDI上限比率の引き上げ等が決定された。ビジネス・スタンダード紙他インド各紙によれば、今次決定は、海外投資家に対してインド政府の経済改革に対する前向きな姿勢を示すものとして、インド経済界は概ね歓迎。一方で、与党草の根会議派、閣外協力党である社会主義党(SP)、野党インド人民党(BJP)が反対の意を表明しているとのことである。
9月17日
*インド準備銀行(RBI)は、四半期中間金融政策会合において、レポレートを8%に据え置くこと、預金準備率を現行の4.75%から4.50%に引き下げることを決定した。
9月20日
*インド商工省は、小売業等への海外直接投資自由化に関する閣議決定を実施に移すための通達を発出。通達においては、マルチブランドの小売業における国内小規模産業からの30%の調達義務について、投資実施後5年以内に実施することが明記された。
9月21日
*首相府プレスリリースによれば、シン首相は、ディーゼル等への補助金削減や小売業へのFDI自由化等一連の経済政策に関する演説を行い、政府は、長期的な国民の利益を保護する責任を有しており、統一進歩連盟(UPA)は、第一期政権から、一貫してアーム・アードミー(ヒンディー語で、一般大衆の意)の利益保護を重視していること、今回の措置は世界経済が減速している中で投資家の信頼回復のために必要な措置であるとして、その重要性を説明し、インドの高成長と包摂的成長を軌道に戻すため国民の理解と協力を求めた。
9月28日
*ヒンドゥー紙(チェンナイ版)等は、9月30日に退任予定のスンダラデヴァン・タミル・ナードゥ州工業次官の後任として、ヴィクラム・カプール同州汚染管理委員会総裁が就任する旨報じている。
Ⅲ. 外交
8月29日
*30日付ヒンドゥスタン・タイムス紙他は、非同盟諸国(NAM)サミット出席のためイランを訪問中のシン首相が、29日、アフマディネジャド・イラン大統領及びハメネイ最高指導者と会談を行った旨報じている。同報道によれば、両首脳は、イランのチャバハール港に関する協力を促進することで合意した他、テロとの戦いにおける国際的な協力の必要性、貿易不均衡の改善のためのインドの対インド輸出の促進を含む経済・貿易関係の深化に合意した。
8月30日
*31日付ヒンドゥー紙他は、NAMサミット出席のためイランを訪問中のシン首相が、30日、パキスタンのザルダリ大統領と会談した旨報じている。同会談では、シン首相は、ムンバイ・連続テロ事件の実行犯に対する迅速な裁判の実施は、両国の信頼醸成及びパキスタンとの関係に関する国民全体の意志を形成することに資すると述べた。ザルダリ大統領からの、パキスタン訪問の招請に対しては、シン首相は、適当な時期に訪問する旨応答しており、インド報道は、これは同事件の裁判の実施と関連しているとの見方を示している。8月31日
*インド外務省は、クリシュナ外相が、パキスタンのカル外相の招待に基づいて、8日にパキスタンを訪問することを発表。
9月1日
*1日付のデカン・クロニクル紙は、ベルギーが、チェンナイに総領事館の設置を検討していることを発表した旨報じている。
9月4日
*第6回メコン・ガンガー協力閣僚級会合がデリーにて開催。本会合では、クリシュナ外相が議長、カンボジアのホー・ナムホン副首相兼外相、ラオスのシースリット副首相兼外相、ミャンマーのミン副外相、タイのノンスリチャイ副外相、ベトナムのビン副外相が参加し、貿易、投資、持続的開発、メコン・ガンガー地域諸国の人民の福祉という新しい分野での協力を拡大する潜在的余地についての認識を一致。
*ヒンドゥー紙他は、タミル・ナードゥ州の聖地を訪問中のスリランカ人キリスト教徒巡礼者約180名が、野党の復興ドラビダ進歩連盟(DMK)党員やスリランカのタミル人分離・独立支持者等による抗議に遭遇、空港に向かうバスで移動中に投石等の抗議行動に遭い、乗車中のバスのフロント・ガラス等が破損する被害が発生した旨報じている。インド外務省は、スリランカからの訪問者の安全確保のために全力を尽くす旨発表。
9月5日
*インド国防省は、2日から6日の日程でインドを訪問中の梁光烈中国国防部長のインド訪問に関し、インド国防省と中国国防部の共同プレスコミュニケを発表。同訪問は、アントニー・インド国防大臣の招待によるもので、同部長はデリーの他ムンバイを訪問し、デリーではシン首相を表敬した。国防相会談においては、二国間の軍事交流及び協力、地域情勢、両国の国際的な共通の関心事項等について意見交換が行われた。また、今後の軍事交流について、ハイレベルでの交流の強化(2013年のアントニー国防省の中国への公式招待含む)、あらゆるレベル及び分野での人的交流の促進、若手将校の相互訪問、早期の二国間共同訓練の実現、国境警備隊間の安全保障協力強化、軍の教育機関間の交流の強化、海軍艦艇の相互訪問、海賊対策のための協力強化、アジア太平洋地域の平和と安定のための協力について一致した。
9月8日
*パキスタンのイスラマバードを訪問中のクリシュナ外相はカル・パキスタン外相との間で、外相会談を実施。インド外務省発表の共同声明によれば、両外相は、テロ対策、信頼醸成装置、カシミール、管理ライン(LoC)間の往来及び貿易、査証、シアチェン氷河地帯、サー・クリーク等領有権を巡る地域や、インダス水利条約の遵守、貿易・経済協力について意見交換を行った。
9月11日
*国賓としてインドを訪問中のアッバース・パレスチナ大統領が、シン首相との間で首脳会談を行った。インド外務省の発表によれば、シン首相は、パレスチナへの大義への支持はインド外交の基礎として、東エルサレムを首都とする独立・統一したパレスチナ主権国家を達成するためのパレスチナ人の戦いに対するインドの確固たる支援を改めて表明した他、パレスチナ・イスラエル間の包括的紛争解決に向けての和平対話の早期再開への期待を表明した。両首脳は、情報通信技術、職業訓練、学校建設の協力に関する覚書に署名した他、インド政府が本年度予算に対して1,000万ドルの拠出を行ったことを発表した。同大統領のインド訪問は4回目、公式訪問は2回目となる。
9月12日
*インド外務省によれば、インドを訪問中のベアード・カナダ外相が、クリシュナ外相と外相会談を実施。経済面では、包括的経済連携協定、投資促進保護協定、社会保障協定等の進展を歓迎した他、両国の民生原子力協力協定、人の交流等について協議が行われた。
9月23日
*24日付のヒンドゥー紙によれば、在クウェート・インド大使館は、クウェートにおいて拘束されていた650名のインド人出稼ぎ労働者と連絡をとることに成功した旨報じている。拘束されたインド人は、ほとんどが出稼ぎ労働者で、19日に行われた警察の不法滞在捜査の結果逮捕された。2、136名の拘束者のうち、1,500~2,000名がインド人(半数以上がラージャスタン州出身)とされており、100名は既に釈放されている。情報筋は、家事手伝いのカテゴリーに関する査証を取得したにもかかわらず、民間企業で就労するケースが横行していることが、今回の身柄拘束の背景にあると見ている。
Ⅳ. 日印関係
8月31日
*国際協力銀行(JBIC)プレスリリースによれば、同行がインド最大の国営商業銀行であるステート・バンク・オブ・インディア(SBI)と、日本の中堅・中小企業のインド進出支援に関する体制整備に関する覚書を締結した。同覚書の締結により、SBIによる日系企業を専門とする窓口の開設等の具体的な協力について、両行が継続的に協議する枠組みが設置される。
※編集の都合により、9月のニュースは8月28日以降からとなっております。
8月29日
*30日付のヒンドゥスタン・タイムス紙他は、2002年のグジャラート暴動中に発生したナロダ・パティヤ事件(女性と子供を含む97名が殺害された事件)に関与したとして起訴されていた、マヤ・コドナニ元グジャラート州女性・子供開発相とバジュラン・ダルの指導者であるバジランジ容疑者含む32名のうち29名が、特別裁判所において証拠不十分で不起訴となった旨報じている。同紙によれば、コドナニ及びバジランジ容疑者の起訴は、モディー同州首相の責任問題に発展する可能性もあるとしているが、インド人民党は、コドナニ容疑者は暴動発生時に州政府の閣僚の地位に就いていなかったため、影響はないとしている。
9月7日
*8月8日に開幕したモンスーン国会が閉幕。今期モンスーン国会では、アッサム州西部における住民衝突を受けて審議が中断した他、8月17日に提出された会計検査官報告(CAG)を巡り、野党が審議を拒否したため国会が13日間空転、また、会期の最終週には与野党双方の総裁も不在であった。ヒンドゥー紙他によれば、シン首相は、国会審議の中断は、民主主義の否定であるとしてインド人民党を非難、特に、CAG報告書については、国会において議論されるべきものであったにもかかわらず野党は審議中断を選び、国会が空転したことにより会期を無駄にしてしまった旨記者団に語っている。
9月10日
*11日付のヒンドゥー紙他は、タミル・ナードゥ州クダンクラム原子力発電所周辺で、同発電所の稼働反対デモに参加した漁師1名が州警察に襲いかかったため射殺されたことを受け、約5,000名のデモ参加者及び近隣の村落の住民のうち一部が、停車中の列車の車両の窓を破損するなど暴徒化したことを報じている。その後、チェンナイ各地で、全インド・アンナ・ドラビダ同盟(AIDMK)関係者、漁師連盟等が、州警察の発砲に反対するデモを実施し、鉄道車両の通行等を妨害し、25名が拘留された。
9月21日
*テレグラフ紙等は、全インド草の根会議派(AITC)が、同党に所属する閣僚6名の辞任、及び、連立与党統一進歩連盟(UPA)から離脱について全会一致で決定したことを発表した旨報じている。辞表を提出した閣僚は、ムクル・ロイ鉄道相、パンドバティヤイ保健・家族福祉閣外相、サウガタ・ロイ都市開発閣外相、ジャトゥア情報・放送閣外相、スルタン・アーメド観光閣外相、シシル K. アディカリ農村開発大臣。
*大統領府発表によれば、21日午後4時30分、ムクル・ロイ全インド草の根会議派(AITC)幹事長兼国会議員団長率いる同党代表団がムカジー大統領に面会し、同党による統一進歩連盟(UPA)の支持を撤回する旨の書簡を提出。インド各紙報道によれば、同代表団は、大統領との面会に先立ち、シン首相に対しても閣僚を辞任する意向を伝達している。
9月22日
*インド大統領府発表によれば、ムカジー大統領が、全インド草の根会議派(AITC)所属の6名の閣僚の辞任を承認。これを受け、ジョシー道路交通・高速道路相が鉄道省を兼任することになった。
*テレグラフ紙等は、西ベンガル州のコングレス党所属閣僚6名が、ママタ・バナジー同州首相に辞表を提出、併せて同党代表団がナラヤナン同州知事と面会の上、全インド草の根会議派(AITC)による州政権への支持撤回を通告し、同通告をもって同州におけるAITCとコングレス党の間の連立関係が正式に解消されたことを報じている。(注; これは、国の連立政権を脱退したAITCに対する対抗ないし報復措置とされる)
Ⅱ. 経済
8月27日
*インド最高裁判所は、通信・IT省が申し立てていた携帯電話の周波数オークションの実施期限を来年1月11日まで延長することを承認。また、本年2月2日の判決により、免許取り消しを命じられていた事業者についても、来年1月18日までの事業の継続が認められた。併せて同省は、最高裁からの承認を受け、オークションの実施規則を発表した。
8月31日
*インド政府は、12年度第1四半期(4-6月期)のGDP成長率が、5.5%となったことを発表。
*デカン・クロニクル紙は、インドから日本に向けて輸出されたエビからエトキシキンが検出されたことを受け、日本がインドからのエビの輸入を拒否しており、本件解決のため商工省関係社が近く東京を訪問する予定であることを報じている。
9月9日
*10日付タイムスス・オブ・インディア紙は、インド宇宙研究機関(ISRO)が、9日午前9時53分に、アンドラ・プラデーシュ州にあるサティーシュ・ダワン宇宙センターにおいて、極軌道衛星ロケット「PSLV-C21」の打ち上げに成功したことを報じている。打ち上げに同席したシン首相は、インドにとって100回目となる今回の衛星打ち上げは、インドの宇宙開発にとって画期的な打ち上げであり、インドの宇宙産業の競争力を証明するものとの談話を発表した。なお、同ロケットには、大阪工業大学が作製した日本の小型人口衛星「プロイテレス1号機」も搭載されている。
9月10日
*インド鉄鋼省は、本年3月12日に発表された官報公示を受け、同年9月12日に執行を予定していた鉄鋼及び鉄鋼製品への強制規格導入についての修正を発表。これにより、強制規格の対象となっていた9つのインド規格のうち一部の規制及び製品については、2013年3月13日まで試行が延期された。
9月13日
*インド通信・IT省通信局は、ムンバイでの調査に基づいて、新たな電波防護指針に反する基地局からの電波の発射を停止するよう、7つの携帯電話事業者に対して命じた旨発表。
*インド商工省は、8月の貿易額(暫定値)を発表。同発表によれば、輸出は223億ドル(前年同月9.7%減)、輸出380億ドル(前年同月9.7%減)であり、貿易赤字157億ドル。14日付のビジネス・スタンダード紙他は、ユーロ圏の需要減と米国経済の回復待ちという状況の下で、インドの輸出が4ヶ月連続のマイナス成長となり、輸入についても国内経済の減速を受け減少したことを報じているが、前年同月比が15%減であった7月の輸出額に比べると下降のペースは緩やかとなっている。
9月14日
*インド石油・天然資源省は、シン首相が議長を務める内閣政務委員会において、国際石油価格の高騰及びルピー安のために拡大している政府支出抑制のため、ディーゼル価格を1リットル当たり5ルピー値上げすること、及び、補助金付のLPガスシリンダーの消費者一人当たり上限を年間6本とすることを発表した。なお、ガソリン価格は現状維持。
*14日、インド商工省発のプレスリリースによれば、閣議にて、マルチブランド小売業における海外からの直接投資(FDI)を外資比率51%まで認めることが決定された他、シングルブランド小売業の一定の条件でのFDI要件の100%の撤廃、航空業へのFDIの自由化、放送業へのFDI上限比率の引き上げ等が決定された。ビジネス・スタンダード紙他インド各紙によれば、今次決定は、海外投資家に対してインド政府の経済改革に対する前向きな姿勢を示すものとして、インド経済界は概ね歓迎。一方で、与党草の根会議派、閣外協力党である社会主義党(SP)、野党インド人民党(BJP)が反対の意を表明しているとのことである。
9月17日
*インド準備銀行(RBI)は、四半期中間金融政策会合において、レポレートを8%に据え置くこと、預金準備率を現行の4.75%から4.50%に引き下げることを決定した。
9月20日
*インド商工省は、小売業等への海外直接投資自由化に関する閣議決定を実施に移すための通達を発出。通達においては、マルチブランドの小売業における国内小規模産業からの30%の調達義務について、投資実施後5年以内に実施することが明記された。
9月21日
*首相府プレスリリースによれば、シン首相は、ディーゼル等への補助金削減や小売業へのFDI自由化等一連の経済政策に関する演説を行い、政府は、長期的な国民の利益を保護する責任を有しており、統一進歩連盟(UPA)は、第一期政権から、一貫してアーム・アードミー(ヒンディー語で、一般大衆の意)の利益保護を重視していること、今回の措置は世界経済が減速している中で投資家の信頼回復のために必要な措置であるとして、その重要性を説明し、インドの高成長と包摂的成長を軌道に戻すため国民の理解と協力を求めた。
9月28日
*ヒンドゥー紙(チェンナイ版)等は、9月30日に退任予定のスンダラデヴァン・タミル・ナードゥ州工業次官の後任として、ヴィクラム・カプール同州汚染管理委員会総裁が就任する旨報じている。
Ⅲ. 外交
8月29日
*30日付ヒンドゥスタン・タイムス紙他は、非同盟諸国(NAM)サミット出席のためイランを訪問中のシン首相が、29日、アフマディネジャド・イラン大統領及びハメネイ最高指導者と会談を行った旨報じている。同報道によれば、両首脳は、イランのチャバハール港に関する協力を促進することで合意した他、テロとの戦いにおける国際的な協力の必要性、貿易不均衡の改善のためのインドの対インド輸出の促進を含む経済・貿易関係の深化に合意した。
8月30日
*31日付ヒンドゥー紙他は、NAMサミット出席のためイランを訪問中のシン首相が、30日、パキスタンのザルダリ大統領と会談した旨報じている。同会談では、シン首相は、ムンバイ・連続テロ事件の実行犯に対する迅速な裁判の実施は、両国の信頼醸成及びパキスタンとの関係に関する国民全体の意志を形成することに資すると述べた。ザルダリ大統領からの、パキスタン訪問の招請に対しては、シン首相は、適当な時期に訪問する旨応答しており、インド報道は、これは同事件の裁判の実施と関連しているとの見方を示している。8月31日
*インド外務省は、クリシュナ外相が、パキスタンのカル外相の招待に基づいて、8日にパキスタンを訪問することを発表。
9月1日
*1日付のデカン・クロニクル紙は、ベルギーが、チェンナイに総領事館の設置を検討していることを発表した旨報じている。
9月4日
*第6回メコン・ガンガー協力閣僚級会合がデリーにて開催。本会合では、クリシュナ外相が議長、カンボジアのホー・ナムホン副首相兼外相、ラオスのシースリット副首相兼外相、ミャンマーのミン副外相、タイのノンスリチャイ副外相、ベトナムのビン副外相が参加し、貿易、投資、持続的開発、メコン・ガンガー地域諸国の人民の福祉という新しい分野での協力を拡大する潜在的余地についての認識を一致。
*ヒンドゥー紙他は、タミル・ナードゥ州の聖地を訪問中のスリランカ人キリスト教徒巡礼者約180名が、野党の復興ドラビダ進歩連盟(DMK)党員やスリランカのタミル人分離・独立支持者等による抗議に遭遇、空港に向かうバスで移動中に投石等の抗議行動に遭い、乗車中のバスのフロント・ガラス等が破損する被害が発生した旨報じている。インド外務省は、スリランカからの訪問者の安全確保のために全力を尽くす旨発表。
9月5日
*インド国防省は、2日から6日の日程でインドを訪問中の梁光烈中国国防部長のインド訪問に関し、インド国防省と中国国防部の共同プレスコミュニケを発表。同訪問は、アントニー・インド国防大臣の招待によるもので、同部長はデリーの他ムンバイを訪問し、デリーではシン首相を表敬した。国防相会談においては、二国間の軍事交流及び協力、地域情勢、両国の国際的な共通の関心事項等について意見交換が行われた。また、今後の軍事交流について、ハイレベルでの交流の強化(2013年のアントニー国防省の中国への公式招待含む)、あらゆるレベル及び分野での人的交流の促進、若手将校の相互訪問、早期の二国間共同訓練の実現、国境警備隊間の安全保障協力強化、軍の教育機関間の交流の強化、海軍艦艇の相互訪問、海賊対策のための協力強化、アジア太平洋地域の平和と安定のための協力について一致した。
9月8日
*パキスタンのイスラマバードを訪問中のクリシュナ外相はカル・パキスタン外相との間で、外相会談を実施。インド外務省発表の共同声明によれば、両外相は、テロ対策、信頼醸成装置、カシミール、管理ライン(LoC)間の往来及び貿易、査証、シアチェン氷河地帯、サー・クリーク等領有権を巡る地域や、インダス水利条約の遵守、貿易・経済協力について意見交換を行った。
9月11日
*国賓としてインドを訪問中のアッバース・パレスチナ大統領が、シン首相との間で首脳会談を行った。インド外務省の発表によれば、シン首相は、パレスチナへの大義への支持はインド外交の基礎として、東エルサレムを首都とする独立・統一したパレスチナ主権国家を達成するためのパレスチナ人の戦いに対するインドの確固たる支援を改めて表明した他、パレスチナ・イスラエル間の包括的紛争解決に向けての和平対話の早期再開への期待を表明した。両首脳は、情報通信技術、職業訓練、学校建設の協力に関する覚書に署名した他、インド政府が本年度予算に対して1,000万ドルの拠出を行ったことを発表した。同大統領のインド訪問は4回目、公式訪問は2回目となる。
9月12日
*インド外務省によれば、インドを訪問中のベアード・カナダ外相が、クリシュナ外相と外相会談を実施。経済面では、包括的経済連携協定、投資促進保護協定、社会保障協定等の進展を歓迎した他、両国の民生原子力協力協定、人の交流等について協議が行われた。
9月23日
*24日付のヒンドゥー紙によれば、在クウェート・インド大使館は、クウェートにおいて拘束されていた650名のインド人出稼ぎ労働者と連絡をとることに成功した旨報じている。拘束されたインド人は、ほとんどが出稼ぎ労働者で、19日に行われた警察の不法滞在捜査の結果逮捕された。2、136名の拘束者のうち、1,500~2,000名がインド人(半数以上がラージャスタン州出身)とされており、100名は既に釈放されている。情報筋は、家事手伝いのカテゴリーに関する査証を取得したにもかかわらず、民間企業で就労するケースが横行していることが、今回の身柄拘束の背景にあると見ている。
Ⅳ. 日印関係
8月31日
*国際協力銀行(JBIC)プレスリリースによれば、同行がインド最大の国営商業銀行であるステート・バンク・オブ・インディア(SBI)と、日本の中堅・中小企業のインド進出支援に関する体制整備に関する覚書を締結した。同覚書の締結により、SBIによる日系企業を専門とする窓口の開設等の具体的な協力について、両行が継続的に協議する枠組みが設置される。
※編集の都合により、9月のニュースは8月28日以降からとなっております。