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月間インド・ニュース(2013年3月分)

2013年4月10日掲載


月間インド・ニュース(2013年3月分)
内政・経済・外交・日印関係をわかり易くまとめてお届けします。

Ⅰ. 内政
3月3日
*5日付ヒンドゥスタン・タイムズ(HT)紙は、インド人民党(BJP)が、2014年の総選挙の首相候補について、決断できずにいる状況だと報じている。3日、モディ・グジャラート州首相とラージナート・シンBJP党総裁が、総選挙に向けた党のあり方ついて会談。一方で、モディ氏の首相候補擁立については、アドバニ元副首相を含むその他の党指導者の反対が予想され、これら党幹部達の考えが党首の影響力を超える可能性もある、とBJP関係者は語る。
3月5日
*3月6日付HT紙は、ラフル・ガンディー氏が首相になることは、優先事項ではないと述べていると報じている。ガンディー氏は、自身の1月のコングレス党副党首への就任が次期首相候補との噂を引き起こしているが、長期的な政治を信じ、更に、しっかりとした組織を構築することが優先であると述べた。
3月12日
*13日付ヒンドゥー紙他は、12日、国防省国防研究開発機構(DRDO)が、オディシャ州チャンディプルの試験場において、初の国産巡航ミサイルであるニルバイ(恐れを知らない)の発射実験を行った旨報じている。
3月19日
*20日付HT紙他は、ドラビダ進歩連盟(DMK)が、統一進歩連合(UPA)政権からの離脱を発表した旨報じている。DMKは、19日、国連人権理事会のスリランカ人権状況決議案に関し、インド政府が同決議案の内容を強めるための修文を行うことに難色を示していることから、UPAとの9年間の連携を反故にしてUPA政権から離脱することを発表し、閣外協力も否定した。DMKは、下院18議席、上院6議席を有している。20日、DMKの友党、解放の豹党(VCK、下院1議席)も連立を離脱した。
*21日付大統領府発表によれば、大統領は、DMKの閣僚5名(アラギリ化学・肥料相、パラニマニカム財務担当閣外相他)の辞表を受理した。
3月20日
*20日、カルナータカ州選挙管理委員会は、5年の任期満了に伴う州下院選挙を5月5日(日)に実施し、開票は5月8日(水)に行う旨公式発表を行った。
3月21日
*22日付HT紙他は、21日、中央捜査局(CBI)が、輸入車の脱税疑惑により、カルナニディDMK党首の息子であり後継者とされるスターリンの自宅を捜査した旨報じている。スターリンが連立離脱を画策したとの憶測も流れている中、彼は、今回の手入れについて、政治的復讐であると主張。シン首相は、今回の捜査について政府の関与を否定。
3月26日
*26日付当地タイムズ・オブ・インディア紙は、アンドラ・プラデーシュ州沿岸のラムビリに原子力潜水艦も防護可能な戦略的な海軍基地の建設を検討している旨報じている。
3月29日
*30日付HT紙他によれば、29日、ムラヤム・シン・ヤダブ社会主義党(SP)党首は、コングレス党は汚職に満ちていると批判しつつも、連立離脱は否定した。ヤダブ党首は、時期総選挙が本年中に、恐らく11月に行われ、第3の勢力が政権を奪取すると述べ、また、残り僅かである今、何故、政権を崩壊させる必要があろうかと述べ連立離脱を否定した。シン首相は、28日、連立の不安定化の可能性を否定しないが、下院総選挙は任期満了(2014年5月)に伴い行われることに自信を持っていると述べており、ヤダブ党首の上記発言は右を意識したもの。
3月31日
*4月1日付HT紙やザ・ヒンドゥー紙は、ナレンドラ・モディ・グジャラート州首相が、6年ぶりにBJPの最高意思決定機関である議院委員会(Parliamentary Board)に復帰したことを報じている。この任命には、モディ氏に対しより大きな役割を模索する党幹部の声とモディ氏に対して懸念を示す人民党(統一派)(JD(U))とのバランスをとるためというシン党総裁の狙いがある。

Ⅱ. 経済
3月5日
*5日付ザ・ヒンドゥー紙は、エンノール港株式会社が、タミル・ナードゥ州のエンノール港のコンテナ・ターミナル建設に係る入札に関し、近く入札参加企業の資格審査を行う予定と報じている。同社は、エンノール港でのコンテナ・ターミナル建設につき、ドバイ・ポート・ワールド(アラブ首長国連邦)、シンガポール港湾庁(シンガポール)、APMターミナルズ(オランダ)、L&T(インド)等の11社の民間企業から入札の関心表明を得ているとのこと。
3月11日
*インド商工省は、2013年2月の貿易額(暫定値)を発表。12日付インディアン・エクスプレス紙は、主要先進国市場の需要が回復したことを受け、インドの輸出は、前年同月比で2か月連続の増加となった。輸出増加の結果、2月の貿易赤字は、1月より縮小し、149億ドルとなった。ラオ商務次官は、欧州の状況が改善しているとし、輸出額の大きいエンジニアリングや製油の分野が改善し始め、米、油かす、医薬品、化学品も良好であった旨述べた。 
*12日付コルカタ各紙は、11日、2013年度西ベンガル州予算案が州議会に提出された旨報じている。予算案は、累積債務を抱える、厳しい財政状況の改善を目標としつつも、ママタ・バナジー州首相の貧困者層支持の姿勢が反映されたものとなった。
3月19日
*19日、インド準備銀行(RBI)は、金融政策会合を開催し、声明文にて、政策金利であるレポ・レートを現在の7.75%から0.25%引き下げ、7.5%とすることを決定した、と発表。

Ⅲ.外交
3月6日
*6日、インド外務省は、シャアバーン・シリア大統領特使の訪印について、プレス・リリースを発出した。プレス・リリースによれば、シャアバーン特使が、シリアの現状について説明するために公式に訪印しており、クルシード外相ら閣僚と会談。インド側は、シリアにおける治安情勢及び継続する暴力の拡大について深い懸念を改めて表明するとともに、激しい戦闘・紛争によるシリア人民の苦境についても懸念を表明した。
3月9日
*10日HT紙は、9日、アシュラフ・パキスタン首相が家族と共にジャイプルのアジメール・シャリフを訪問した際に、クルシード外相と非公式に昼食を共にした旨報じた。
3月13日
*13日、マタイ外務次官は、インドを訪問した天野IAEA事務局長と会談し、共同記者会見を行った。
3月13日~
*エンリカ・レクシー号事件に関し、12日、インド外務省は、総選挙の投票権行使のためイタリアへ一時帰国中の、インド人漁師を射殺したイタリア海兵隊員2人に関し、イタリア政府がインドへの送還拒否を決定したことに対する抗議の声明を発出した。HT紙他によれば、13日、シン首相は、イタリアに約束を守るよう警告した。14日、最高裁判所は、駐インド・イタリア大使の出国を制限した。
*HT紙他によれば、21日、イタリア政府は、一転して2人をインドに戻すことを決定し、22日に送還した。イタリアの外務次官は、23日、インドから死刑判決を下さないとの保証を得た後に難局が打開された旨述べた。26日、イタリアのテルツィ外相は、イタリア政府による送還の決定に抗議し、辞任した。
3月19日
*19日付ザ・ヒンドゥー紙は、シン首相が、18日から20日まで訪印中のモルシ・エジプト大統領と会談し、インド・エジプト間の防衛協力を強化することに合意したと報じている。首脳会談後の記者発表で、シン首相は、エジプトとその他の社会経済開発計画や高等教育等の分野でも関係を強化することを模索することを表明。両首脳は、サイバー・セキュリティを含む合意書や覚書及びITに関する協定に署名した。
3月21日
*22日付HT紙によれば、21日、ジュネーブにおいて、インドは、国連人権理事会に米国が提出したスリランカ人権状況決議案に賛成票を投じた。しかし、インドは、決議案の内容を強めるための修正は実行しなかった。賛成した25ヵ国中、アジアの国はインドと韓国のみであった。13ヵ国が反対し、8ヵ国が棄権した。
3月28日
*29日付HT紙他によれば、28日、シン首相は、BRICSサミットの際に、習近平中国国家主席と個別に会談し、中国がブラフマプトラ川上流に3つのダムを建設する計画につき、懸念を表明した。

Ⅳ. 日印関係
3月26日
*来日したクルシード・インド外相は、岸田外務大臣と、第7回日インド外相間戦略対話を実施した。二国間関係や地域情勢に関し意見交換を行った他、対インド円借款交換公文の署名を行った。岸田大臣から、シン・インド首相訪日に向け準備を進めたい旨、政治・安全保障分野での政治対話を充実させたい旨述べたのに対し、クルシード外相から、インド側も日本との政治対話を一層深化させていきたい旨述べた。