日印関係最新情報

月間インド・ニュース(2015年10月分)

2015年11月11日掲載


Ⅰ. 内政
【牛の屠殺問題】
*9月29日にウッタル・プラデシュ州ノイダ近郊で、牛を屠殺したと噂されたイスラム教徒の一家が襲撃され、男性が死亡した事件が政治化したことに関し、10月6日、ムカジー大統領は「多様性や寛容性といったインドの文明的価値は、国家統一のために維持されねばならず、決して無駄にしてはならない」と発言した。
*10月8日、モディ首相は、本件に関連し、「ヒンドゥー教徒は、イスラム教徒と戦うか、貧困と戦うか決めなければならない」、「社会の団結こそが国家を前進させる」と発言。他方、個別の事件と中央政府との関連性を否定した。さらに25日には、ラジオ番組を通じて国民に対し、開発のための調和・団結を呼びかけた。

【国家判事選出委員会(NJAC)問題】
*16日、最高裁判所は、2014年8月に連邦議会で可決され、大統領及び州政府の承認を得た、国家判事選出委員会(NJAC)法(憲法第99次修正)に関して、違憲であるとの判決を下した。NJACは、年長の判事が高等裁判所の判事を選ぶ現行のシステムに代わって、最高裁判事や法務大臣、超党派議員から任命される民間人から成る委員会が、最高裁判事、高等裁判所判事を選出する。
*18日、ジャイトリー財務相は、最高裁判所の決定が、人民主権である立憲民主主義が、憲法の根本規範である点を無視したものであり、政治家批判が判決の主要目的になっていると批判した。

【アンドラ・プラデシュ州新州都】
10月22日
*22日、アンドラ・プラデシュ(AP)州のヴィジャヤワダで、新州都となるアマラヴァティの定礎式が開催された。ナイドゥ州首相の他、モディ首相、テランガナ州ラオ首相、中央政府からナイドゥ都市開発大臣、ラジュ民間航空大臣、シタラマン商工大臣が参加した。海外からは、日本の高木陽介経済産業副大臣が出席したほか、シンガポールのイスワラン投資担当大臣等が参加。高木経産副大臣とナイドゥ州首相との間で州都開発に関する協力覚書(MOC)が締結された(写真参照)。
【ビハール州議会選挙】
*10月12日から始まったビハール州議会選挙は16日(金)、28日(水)と3回の投票が予定どおり行われた。27日、モディ首相は、ビハール州を訪問し選挙演説を行った。

Ⅱ. 経済
10月15日
*15日各紙報道によれば、14日に発表された会計コンサルティング会社アーネスト・ヤングによる調査結果において、インドが世界で最も魅力的な投資先とされた。同社が500以上の投資家、多国籍企業の意思決定者へ実施した調査によると、調査を受けた505の経営者の32%が、インドを最も投資に魅力のある国として挙げた。
10月22日
*23日付各紙報道等によれば、22日、アマラヴァティで挙行されたアンドラ・プラデシュ(AP)州新州都建設の定礎式が行われ、モディ首相、閣僚4名、ナイドゥ同州首相、ラオ・テランガナ州首相が出席した他、高木経産副大臣、シンガポール貿易・工業第二大臣が出席した。

Ⅲ. 外交
【インド・ドイツ関係】
10月5日
*日、訪印したメルケル首相とモディ首相との間で印独首脳会談が行われ、インド外務省は、第3回印独政府間協議に関する共同声明、気候変動及びエネルギー技術協力に関する印独共同声明を発表した。
【インド・モルディブ関係】
10月10日~11日
*インド外務省発表によれば、スワラージ外相は、10日~11日、モルディブを訪問し、第5回インド・モルディブ共同委員会の共同議長を務めた。同外相は、ヤーミン・モルディブ大統領と表敬し、隣国最優先というインド政府の政策を強調した。
*12日付タイムス・オブ・インディア紙は、モルディブ大統領府の発表によれば、「モルディブ政府は国内問題に外国が干渉することを受け入れず、国の統一性と主権が尊重されるべきである」とヤーミン大統領が述べたが、インド外務省が発表した声明にはヤーミン大統領のこうした発言に触れられていないと報じた。
【インド・ロシア関係】
10月20日
*20日、モスクワにて、スワラージ外相とラブロフ露外相との間で、外相会談が行われた。
【インド・アフリカ関係】
10月29日
*インド外務省は、29日に行われた第3回インド・アフリカ・フォーラム・サミットにおいて取りまとめられた成果文書「デリー宣言2015」及び「戦略的協力のための印アフリカ・フレームワーク」を発表した。
【インド・ネパール関係】
10月29日 
*29日付タイムス・オブ・インディア紙は、28日、中国からネパールへの石油製品輸出に関する中国とネパール間の覚書が締結され、インドはネパールへの唯一の燃料供給国という長年のステータスを失ったと報じた。

Ⅳ. 日印関係
9月29日~10月4日
*各種報道及び発表によれば、チョーハン・マディヤ・プラデシュ州首相は、9月29日~10月4日の日程で訪日し、麻生副総理を表敬した(写真参照)ほか、JICA、JETRO、日本企業等と意見交換した。
10月14日~19日
*各種報道や発表によれば、チェンナイ港及びベンガル湾にて日米印の海上共同訓練マラバールが実施された。海自からは護衛艦「ふゆづき」が、米海軍からは、空母「セオドア・ルーベルト」等が、印海軍からは駆逐艦「ランヴィール」等が参加した。
10月22日
*各種報道や発表によれば、22日、高木経産副大臣は、アマラヴァティで挙行されたアンドラ・プラデシュ(AP)州新州都建設の定礎式に出席した。