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日印関係最新情報

月間インドニュース (2022年5月)

2022年6月17日掲載


1 内政
【BJP】
5月5日
災害にレジリエントなインフラ・コアリションに関する国際会議の開会式で、モディ首相は、「インド政府は、貧しい人々や脆弱な人々の願望を実現するため、次世代インフラの建設により、彼らのニーズに応えることにコミットしている。」と述べた。
5月12日
現地メディアは、ナッダBJP総裁が、6月6日から8日にかけて少数派へのアウトリーチ計画を実施するよう、全ての州のBJP少数派担当部局に指示した旨報じた。

【マディヤ・プラデシュ州】
5月3日
現地メディアは、マディヤ・プラデシュ州議会選挙において、最低51%の得票率を目指すため、BJPが指定カースト及び指定部族への関与を深めることを意図した計画を用意していると関係者が述べた旨報じた。この計画の背景には、同州に居住する約1500万人の部族人口にリーチアウトするためとされており、同州の人口の17%を指定部族が、21%を指定カーストが占めている。

【カルナータカ州】
5月4日
現地メディアは、同日からカルナータカ州を訪問したシャー内相と予定されていたBJP関係者の打ち合わせがキャンセルとなった旨報じた。情報筋によれば、カルナータカ州政権の改革について一致を見られなかったためとされる。

【西ベンガル州】
5月6日
現地メディアは、西ベンガル州を訪問中のシャー内相が、「全インド草の根会議派(TMC)は改正市民権法(CAA)が実施されないという噂を広めている。新型コロナが収束すれば、我々はCAAを実施し、難民の人々に市民権を与えるということを改めてお伝えしたい。バナジー州首相は、WB州への流入、そして我々の市民が市民権を得ないことを見たいだけである。しかし、TMCは、CAAが現実のものであり続けるということに耳を傾けるべき。TMCがその事実を変えることはできない。」と述べた旨報じた。

【ケララ州】
5月8日
現地メディアは、KL州を訪問中のナッダBJP総裁が、演説の中で「ケララにおける民族的変化に対するキリスト教徒の不満」を取り上げた旨報じた。同総裁の「キリスト教徒の懸念」に対する言及は、KL州内において強力な少数派コミュニティーであるキリスト教徒の支持獲得を狙うBJPの新たな試みとされる。

【アッサム州】
5月10日
現地メディアは、シャー内相が、サルマAS州首相とともに、AS州・メガラヤ州・バングラデシュの国境・州境付近を視察した旨報じた。
5月22日
現地メディアは、シャー内相がアルナーチャル・プラデシュ州とAS州の境界を巡る争いは2023年までに解決されると述べた旨報じた。シャー内相は、「メガラヤ州とアッサム州の境界紛争の60%以上は解決された。我々は、アルナーチャル・プラデシュ州とアッサム州の州境が2023年までに解決されるであろう。」と述べた。

【ジャンム・カシミール(JK)準州】
5月10日
現地メディアは、野党や市民社会の代表が、今月上旬に発表されたJK準州の再編成レポートを拒否した旨報じた。彼らは、現地の実際の実情を無視したものであり、政治的に突き動かされたものであると主張した。

【ウッタル・プラデシュ(UP)州】
5月17日
現地メディアは、バラナシの地方裁判所がギャンヴァピ・モスクの一部を封鎖するよう指示を出した旨報じた。同モスクの水タンク内にシヴァ・リングが発見されたとの訴えを受けての対応とされている。

【パンジャブ(PJ)州】
5月18日
現地メディアは、PJ州で農民が再び抗議運動を開始した旨報じた。マンPJ州首相は、農民に対して抗議運動を止め州政府と協力するよう訴えた。

【コングレス】
5月26日
現地メディアは、ラフール・ガンディー氏のコングレス指導部からの引退を要請していたコングレスのシニア・リーダーであるカピル・シバル氏がコングレスを離党し、社会主義党から上院選挙に出馬する旨報じた。

2 経済
5月14日
ゴヤル商工大臣は、ムンバイにおいて、カナダ、英国及びEUと交渉中のインドの自由貿易協定について、業界の様々なセクターとのステークホルダー協議を開催した。同大臣は、自動車、宝石及び宝飾品、繊維、鉄鋼、銅並びにアルミニウムの各セクターの代表者と個別に会合を持ち、交渉中の協定、それぞれのパートナー国との総合的な経済的及び商業的関係をどのように高め、二国間貿易に利益をもたらすのみならず、新たな雇用を創出し、より広範な社会的及び経済的機会を提供するかについて各業界に周知した。 

3 外交
(印・欧関係)
5月2日
モディ首相がドイツを訪問し、ショルツ首相と会談した。また、第6回印独政府間会合及びビジネス・ラウンドテーブルの共同議長を務めた。
5月4日
モディ首相がフランスを訪問し、マクロン大統領と会談し、多岐にわたる議題につき協議した。
ディ・マイオ伊外相が訪印し、ジャイシャンカル外相と会談した(5月4日~6日)。同伊外相は、ゴヤル商工大臣とも会談し、ビジネス・ラウンドテーブルの共同議長を務めた。
5月27日
ジャイシャンカル外相が、5月26日から27日にかけて訪印したシーヤールトー・ハンガリー外相と会談を実施した。
(印・北欧関係)
5月3日
モディ首相がデンマークを訪問し、フレデリクセン首相と会談し、マルグレーテ2世事女王に謁見した。
5月4日
モディ首相が第二回印北欧サミットに参加し、サイドラインにて、各国首相(ノルウェー、スウェーデン、アイスランド、フィンランド)と面会した。

(印・ネパール関係)
5月16日
モディ首相がルンビニ(ネパール)を訪問し、デウバ・ネパール首相とともに釈迦の誕生を祝う仏教行事に参加した。同訪問中、両国は、教育、文化及びエネルギー分野における6つの合意に署名を行った。

(印・カンボジア関係)
5月18日
モディ首相がフン・セン カンボジア首相とオンライン会談を実施した。同会談では、貿易・投資、人材育成、防衛・安全保障、開発協力、接続性、パンデミック後の経済回復及び人的交流を含む二国間協力に関して協議がなされた。

(印・ブータン関係)
5月23日
ジャイシャンカル外相が、5月23日から27日にバンコクで開催された、第78回国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)開会式で演説を行い、ブータンがSDGsにおいて幅広い進展を見せていること等に言及した。

(印・UAE関係)
5月9日
ジャイシャンカル外相がスミス・ジャマイカ外相と電話会談を実施した。
5月14日
ナイドゥ副大統領がアラブ首長国連邦を訪問し、ナヒヤーン大統領殿下の御薨去に哀悼の意を表明した。
5月26日
ジャイシャンカル外相が、スルターン・アル・ジャーベル、アラブ首長国連邦 産業・先端技術大臣兼気候変動担当特使と面会した。

(印・カリブ諸国関係)
5月19日
コヴィンド大統領がセントビンセント及びグレナディーン諸島を訪問し、ゴンザルベス首相らと会談した。同会談では、IT、保健、教育、観光及び文化及び多国間協力の強化について協議がなされた。

(印米関係)
5月12日
バイデン米大統領の招待を受け、モディ首相が第二回「新型コロナ・サミット」にオンラインで参加した。同サミットは、Covid流行による継続的な課題に対処し、より強力な世界保健安全保障体制を構築するための新たな活動の活性化を目的としている。
5月24日
モディ首相が、訪日中にバイデン米大統領と会談した。両首脳は、南アジア及びインド太平洋地域を含む相互に関心のある地域問題関して意見交換を行い、自由で開かれた包括的なインド太平洋地域に対する共通のビジョンを再確認した。

(印豪関係)
5月24日
モディ首相が、訪日中にアルバニージー豪州首相と会談し、選挙での勝利に対し、祝辞を述べた。また、両首脳は、貿易、投資、防衛関連製造、グリーン水素を含む再生可能エネルギー、教育、科学技術、農業研究、スポーツなど、包括的戦略的パートナーシップの下での多面的な協力を検討した。

4 日印関係
5月23日
モディ首相が、訪日中にインドへ投資や事業を実施している日本企業とのイベントに参加し、34社のCEOと面会した。経団連、JETROなども同イベントに参加した。
5月24日
モディ首相が、菅前首相と面会した。
モディ首相が日印協会の新旧会長(森元総理及び安倍元総理)と面会した。
ジャイシャンカル外相が訪日中に林外相と会談した。
岸田文雄内閣総理大臣は、日米豪印首脳会合出席のために訪日中のナレンドラ・モディ・インド首相との間で、迎賓館において、午後6時20分から約70分間、首脳会談を、また、午後7時44分から約50分間、夕食会を行った。

今月の注目点1:日印首脳会談
1. 冒頭
(1) 岸田総理大臣から、3月の訪印時のモディ首相からの温かいおもてなしに謝意を表した上で、日印国交樹立70周年の節目に双方の往来が実現したことは強固な日印関係の証である旨述べました。また、岸田総理大臣から、日米豪印首脳会合で、法の支配の重要性や力による一方的な現状変更への強い反対のメッセージを発出できたことを心強く思う旨述べました。

(2) これに対し、モディ首相から、今回の岸田総理のおもてなしに謝意を表した上で、3月の岸田総理訪印は日印関係を加速化させる画期的なものであった、本年国交樹立70周年を迎えた日印両国は自然なパートナーであり、コロナ後の世界において、価値を共有する両国間のパートナーシップは最も重要となる旨述べました。また、モディ首相から、日米豪印4か国の協力枠組みは、自由で開かれ、包摂的でルールに基づくインド太平洋のビジョンにとって非常に重要であり、今回日本が主催した日米豪印首脳会合の成功を喜ばしく思う旨述べました。

2. 「自由で開かれたインド太平洋」
(1) 両首脳は、厳しい国際情勢の中、こうした状況だからこそ、同志国間で緊密に連携し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を一層推進していくことが重要との認識で一致しました。

(2) 両首脳は、今回の日米豪印首脳会合の成果を踏まえ、様々な分野での実践的な協力を着実に進めて地域諸国に具体的な実益を届けていくことで一致しました。かかる観点から、日米豪印ワクチン・パートナーシップの取組の成果として、JBICとインド輸出入銀行との間で総額1億ドルの融資契約が調印されたことを歓迎しました。
(3) 首脳は、インド太平洋経済枠組み(IPEF)を、地域に実体的な利益をもたらす包摂的な枠組みとするべく共に取り組んでいくことで一致しました。

(4) 両首脳は、スリランカ情勢について議論し、現下の経済危機及びそれに伴う人道状況の悪化を踏まえ、連携していくことを確認しました。

3. 二国間関係
(1) 両首脳は、二国間関係につき幅広く議論し、3月のデリーでの日印首脳会談の成果を基礎に、引き続き、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」を発展させていくことを確認しました。また、両首脳は、二国間の年次相互訪問としてのモディ首相の訪日を、双方の都合のよい時期に実現すべく、調整を行っていくことで一致しました。

(2) 両首脳は、日米豪印4か国が参加する共同訓練「マラバール」の実施、ACSAの活用を含む共同訓練、ハイレベル交流といった防衛協力が活発化していることを歓迎し、初の戦闘機共同訓練の早期実施に向けて調整していくことで一致しました。また、防衛装備・技術協力を始めとする安全保障面での協力推進も念頭に、第2回日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を早期に開催することを確認しました。

(3) 両首脳は、3月の岸田総理大臣訪印に際して、今後5年間で官民合わせて対印投融資5兆円目標を掲げたことを踏まえ、日本企業による積極的な投資を促していくことを確認するとともに、そのためにもインド側において日本企業の円滑な活動のための更なる環境整備を進めていくことが重要であるとの認識で一致しました。また、「産業競争力パートナーシップ」等を通じたサプライチェーンの多元化・強靭化に向けた協力や、安全で信頼性のある通信ネットワークの構築に向けた協力等、経済安全保障上の共通の課題への取組を一層強化していくことを確認しました。

(4) 両首脳は、世界全体でのカーボン・ニュートラルの実現とエネルギー安全保障の確保に向け、3月の岸田総理訪印時に発表した「クリーン・エネルギー・パートナーシップ」を推進し、「日印エネルギー対話」等を通じて、水素、アンモニア、LNGといった分野で具体的な協力を進めていくことで一致しました。また、両首脳は、日印間の二国間クレジット制度(JCM)構築に向けて、協議を継続していくことを確認しました。さらに、両首脳は、今般、インドが推進する「太陽に関する国際的な同盟(ISA)」と日本政府・関係機関との間での協力覚書に署名がなされたことを歓迎しました。

(5) 両首脳は、今般、高速鉄道第3期円借款の署名が行われたことを歓迎し、引き続き、日印の旗艦プロジェクトである高速鉄道事業を着実に進展させていくことを確認しました。

(6) 両首脳は、日印国交樹立70周年における双方の往来を踏まえ、人的交流・文化交流を進めていくことで一致しました。


今月の注目点2:日印外相による懇談
5月24日、午後0時41分から約10分間、林芳正外務大臣は、日米豪印首脳会合に際して訪日中のジャイシャンカル・インド外務大臣(H.E. Dr. S. Jaishankar, Minister of External Affairs of India)との間で懇談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
両大臣は、再会を祝した上で、日印特別戦略的グローバル・パートナーシップを外相間でも着実に強化していくことを確認しました。特に、日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を早期に開催し、防衛装備協力を始めとする安全保障面での協力を進めていくことを確認しました。
両大臣は、いかなる地域においても法の支配や領土一体性等の諸原則は守られなければならないとの認識の下、ウクライナ情勢を始めとする地域情勢について意見交換を行いました。
両大臣は、核・ミサイル活動を活発化させる北朝鮮への対応において、引き続き連携していくことを確認しました。また、両大臣は、ミャンマー情勢について、ASEANの取組を共に支え、事態の打開に向けて引き続き連携していくことを確認しました。更に、スリランカ情勢について、現下の経済危機及びそれに伴う人道状況の悪化を踏まえ、連携していくことを確認しました。