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日印関係最新情報

月間インドニュース(2020年3月)

2020年4月24日掲載


1 内政
【連邦政府/連邦議会】
3月2日:予算国会後半会期が開会した。

3月16日:コヴィンド大統領は,現在空席の上院議会大統領任命枠1議席に,ランジャン・ゴゴイ元最高裁長官を任命した。

3月23日:両院議会は,新型コロナウイルスの感染拡大を理由として予算議会後半会期を閉会した。

3月25日:新型コロナウイルスの感染拡大を受け,内務省は,4月から開始予定であった国勢調査及びNPR(全国人口登録簿)更新調査の延長を決定した。

【デリー(DL)準州】
3月23日:DL準州政府は,長らく反対してきた連邦政府のアユシュマン・バーラト制度(医療保障制度)の実施を決定した。

【ジャンム・カシミール(JK)準州】
3月4日:JK準州政府は,印憲法370条無効化以降初めてソーシャルメディアの利用制限を撤廃した。

2 経済
【インド経済(第39回GST委員会会合の決定状況:政府発表)】
3月14日:物品・サービス税(GST)委員会が開催されたところ,概要以下のとおり。
ポイント
(1)携帯電話及び特定の部品に係る税率を12%から18%に引き上げる。
(2)航空機整備等サービスに係る税率を18%から5%に引き下げる。
(3) GST未払額に係る金利は,正味の納税予定額に対して課する(2017年7月1日に遡って適用する。)。

3 外交
(印・バングラデシュ関係)
3月9日:インド外務省は,モディ首相のバングラデシュ訪問の延期を発表した。

(印・イスラエル関係)
3月12日:インド外務省は,モディ首相とネタニヤフ・イスラエル首相の電話会談について発表した。両首脳は,二国間関係のレビューを行い,新型コロナウイルスについても意見交換を行った。

(印英関係)
3月12日:インド外務省は,モディ首相とジョンソン英首相の電話会談について発表した。両首脳は,印英戦略的パートナーシップを更に強化させる意向を示し,気候変動等における印英協力に満足の意を示した。また,両首脳は,新型コロナウイルスについても意見交換を行った。

(SAARC)
3月15日:インド外務省は,新型コロナウイルス対策のため,SAARC首脳陣とテレビ会談を実施した旨発表した。

(印・サウジアラビア関係)
3月17日:インド外務省は,モディ首相とサルマン・サウジアラビア国王の電話会談について発表した。

(印・EU関係)
3月24日:インド外務省は,モディ首相とライエン欧州委員会委員長の電話会談について発表した。両首脳は,新型コロナウイルスの現状と対策について議論し,G20の枠組みにおける協力の可能性等について意見交換した。

(印・アフガニスタン関係)
3月24日:インド外務省は,モディ首相とガーニ・アフガニスタン大統領の電話会談について発表した。

(印露関係)
3月25日:インド外務省は,モディ首相とプーチン大統領の電話会談について発表した。両首脳は,新型コロナウイルスの現状について議論し,同問題について協力していくことに合意した。

(G20)
3月26日:インド外務省は,G20テレビ首脳会談について発表した。

(印・UAE関係)
3月25日:インド外務省は,モディ首相とハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーンUAE大統領の電話会談について発表した。

(印・カタール関係)
3月26日:インド外務省は,モディ首相とサーニ・カタール首相の電話会談について発表した。両首脳は,世界的な新型コロナウイルスのパンデミック及び社会的・経済的影響について意見交換を行った。モディ首相は,新型コロナウイルス対策に関するSAARC及びG20のイニシアチブについても説明した。

(印仏関係)
3月31日:インド外務省は,モディ首相とマクロン仏大統領の電話会談が実施された旨発表した。

今月の注目点(その1):新型コロナウイルス関係(モディ首相によるスピーチ(3月19日))

1.新型コロナウィルスにより世界は大きな危機の中にあり,第二次世界大戦よりも多くの国が影響を受けている。インドは慢心してはならない。全てのインド国民が警戒しなければならない。いまだに治療法やワクチンは見つかっていない中,新型コロナウィルスは急速に拡大している。新型コロナウィルスの戦いには国民の協力が必要である。
 
2.そのためにも,決意と抑制が新型コロナウィルスと戦う鍵である。政府,州政府の指示を遵守し,まず自身をウイルスから守ることで,周囲の人を守るという決意が重要。そして,具体的な方法として,混雑を避ける,家に滞在する等を実施して欲しい。自分は感染しないだろうと思い,マーケット等に出かけるのは間違い。

3. 社会的距離がその鍵である。不要不急の渡航・旅行は控えるべき。3月22日(日)午前7時から午後9時までJanata Curfew(注:一般国民に対する自主的外出抑制)を実施するので,国民に従うよう求める。今回のJanata Curfewの成功が,今後のさらなる困難に打ち勝つ上で役立つことになる。

4.日々,治療に当たっている医療関係者等を称えるため,3月22日(日)午後5時から5分間,ドアの外や窓の外で拍手等,敬意を表するよう求める。真に必要で無い限りは病院での受診を抑制し,軽度であれば,知り合いの医者等に電話で相談することを要請。手術についても,真に必要で無い限りは先延ばしを検討して欲しい。

5. 経済に対する大きな影響があり,財務大臣が主宰するタスクフォースを設置した。今後あらゆる手段をとっていく。

6. 市民による買い占めを控えるよう呼びかける。必要なものを必要な量だけ購入するようにして欲しい。また,使用人等を雇用している人は,彼らに休暇を与えて欲しい。彼らにも家族がいるのである。


今月の注目点(その2):新型コロナウイルス関係(モディ首相によるスピーチ(3月24日))

1.3月22日にJanata Curfewを実施し,すべてに国民の貢献により,Janata Curfewは成功した。この成功は,インドが危機に直面した際にいかに対応するかということを示した成功例である。
 
2.皆,世界の最も発展した国々が,このパンデミックにより困難に陥っているのを見ている。これらの国々の努力が不十分かつ資源が不足しているわけではない。コロナウイルスは,こうした努力,準備にも関わらず,急速に拡大し,各国が対応に苦慮している。コロナウイルスに立ち向かうのであれば,感染の連鎖を止めなければならない。

3.コロナウイルスに立ち向かうには社会的距離が唯一の道。家から出ないことが唯一の予防方法である。

4.感染のサイクルを止めなければならない。自分(モディ首相)を含め社会的距離を守らなければならない。真剣に受け止めない人々により,この感染は広がる。その結果,家族,インド,世界を困難に陥らせる。社会的距離が患者だけを対象とするものと考えるのは間違いである。これは,全市民,各家族に必要である。

5. 今晩深夜0時より,全国で完全なロックダウンが実施される(Complete lockdown)。これは外出禁止令(curfew) のようなものである。Janata Curfewより数段階高く,厳しい措置となる。コロナウイルスの感染拡大に立ち向かうために必要な措置である。インドはこのロックダウンによる経済的代償を払う必要があるであろう。しかし,全国民の命を守ることが,自分(モディ首相)とインド政府の最優先事項である。すべての人に対して,今いる場所にとどまるよう要請する。現状を踏まえ,ロックダウンは21日間続く。今後21日間は我々(インド)にとって極めて重要であり,専門家によれば,最低21日間のロックダウンは感染拡大を防ぐのに極めて重要である。

6.全国的なロックダウンは,国民の家にラクシュマン・レーカー(注:ラクシュマンの線。ラーマーヤナに出てくるラーマ神の妻シータを守るためにラクシュマンがシータの家の周囲に引いた線。)を引いた。家から一歩踏み出すことは,コロナの危険なパンデミックを家の中に持ち込む可能性があることを覚えておかなければならない。コロナウイルス感染した者が発症するには数日かかり,その間に他の人に感染する恐れがある。

7.コロナは,「コ」ーイー(誰も),「ロ」ードパル(道路に),「ナ」ニクレー(出ないように),の標語。各国でコロナの感染が拡大する中,それに立ち向かうには,皆が家から出ないこと。

8.世界で,コロナウイルスの患者が1万人に達するのに67日間かかったが,その後わずか11日で20万人にまで拡大。その後わずか4日間で30万人にまで患者数が拡大した。コロナウイルスに立ち向かうための希望は,感染が拡大した各国の経験から得られる。これらの国の市民は外出せず,政府の指示を遵守した。その結果,収束の方向に向かっている。

9.家にいる間,大きなリスクに身を晒し義務を果たしている人々に思いを馳せてほしい。医者や看護師等,命を守るために日夜病院で働いている人々,感染予防のため街を除染している人々に祈りを捧げてほしい。

10.政府は,ロックダウンにあたり,国民の日々の生活に支障をきたさないよう,努めている。必要不可欠な物品の供給を確保するように決定した。

11.政府は,WHOや国内医療研究期間のアドバイスを聞き,取り入れている。政府は,コロナウイルス対策のために,1兆5千万ルピーの支出を決定した。これにより,コロナウイルスの検査,施設拡充等が進む。州政府にもヘルスケアを最優先事項にせよと指示をした。

12.21日間のロックダウンは長いが,これは国民,家族のために極めて重要である。

<特記ニュース>
4月10日(金)、安倍総理とモディ首相との間で、電話会談が行われ、その概要が掲載されたリンクは以下の通りです。