日印関係最新情報

月間インド・ニュース(2016年2月分)

2016年3月10日掲載


Ⅰ.内政
2月12日
*各種報道によれば、12日、ジャワハルラル・ネルー大学(JNU)のクマール学生自治会長が、9日に同大学構内でアフザル・グル(注:2001年12月のインド国会議事堂襲撃事件に関与したとされるテロリスト集団「ジャイシェ・ムハンマド(JeM)」に所属。カシミール出身。2013年2月に死刑が執行された。)の処刑3周年にあたり処刑の是非を問う集会を行ったとの理由で、sedition(反国家的扇動)罪でデリー警察に逮捕された。JNUは、左翼的思想を持つ学生や教授を輩出してきた伝統があり、また様々な政治思想を自由に議論する開かれた大学として知られていることから、今回の騒動を契機に、警察当局が同大学構内に立ち入り、自治会長ら学生運動家を逮捕したことは、警察権力による大学自治の侵犯であるとして大きな社会問題となった。また、自治会長を警察に通報したのは、与党BJPの支持団体である「民族奉仕団」(RSS)傘下の学生組織(ABVP)であったため、モディ政権が大学自治に介入しているとの野党による政権批判にもつながり、政治抗争にも発展した。

*17日、クマール自治会長がデリー地裁に出廷した際、同敷地内にいた弁護士らが同氏及び地裁に集まっていた支持者や報道関係者に対して暴行を加える事件が発生した。ラフル・ガンディーらコングレス党関係者は、18日、ムカジー大統領に面会し、NDA政権下の「無法状態」を強く憂慮する旨の書簡を大統領に提出した。

2月13日
*各種報道によれば、13日、ムンバイにおいてモディ首相出席の下、製造業誘致を目的とした国際見本市「メイク・イン・インディア・ウィーク」の開会式典が行われた。同式典にはフィンランドやスウェーデンの首相らが出席し、日本からは高木経済産業副大臣が参加した。同見本市は1週間に渡って実施され、約50カ国の代表団が訪印し、70カ国からビジネス関係者が集った。

2月14日
*各種報道によれば、ケジリワル・デリー準州首相が、庶民党政権1周年を記念する演説を行い、2017年12月までに安全な飲み水を供給する政策を発表した。

2月19日
*各種報道によれば、2月15日頃から、ハリヤナ州ロータック地区を中心に、ジャート・コミュニティーが、その他後進階級(OBC)のステータスの付与を求めて、鉄道や道路を封鎖する等のデモが始まった。18日にはデモ隊と治安当局が衝突し、19名が死亡、200名以上が負傷(23日、ハリヤナ州警察発表)する事態に発展したほか、ヒサール地区等ハリヤナ州内の他の地域にも抗議活動が拡大した。州政府は8つの地区に対して外出禁止令(curfew)を発動し、治安当局による監視を実施した(24日までに外出禁止令は段階的に解除された)。今回のデモを受けて、州政府は、ジャートとその他の4つのカーストを、「特別後進カースト(Special Backward Communities)」として、留保枠を設ける法律を作成する決定を下した。
メモ: 留保制度:教育機関への入学,雇用と昇進,議会における議席配分等,一定比率を特定のカテゴリーの人々に優先して割り当てる制度。歴史的な差別制度を是正する制度として憲法に規定されているが,対象カテゴリーや対象領域が州毎に異なり,また拡大されるにしたがって政治問題化してきている。OBC:その他後進階級(Other Backward Classes)の略。社会的教育的後進階級の中から,指定カースト・指定部族を除いたもの。OBCに対する留保が広がるにつれ,留保制度対象になるべくOBC枠を獲得しようとする政治運動が各州で見られる。

2月23日
*23日、インド連邦議会の予算国会が開幕した。同国会は5月13日(金)までの予定(この間の休会期間は3月17日~4月24日まで)。

Ⅱ.経済
2月2日
*インド準備銀行(RBI)は、2015年度第6回隔月金融政策会合を開催し、政策金利の据え置き等を発表した。同発表の要旨は以下のとおり。
-政策金利(レポ・レート)は6.75%で据え置く。
-モンスーンが通常通りとなり、国際原油価格及び為替レートが現在の水準で推移すると仮定すると、インフレ率は2016年度末には5%程度となることが見込まれる。
-GVA(粗付加価値)ベースの成長率については、2015年度は下振れする可能性はあるものの、7.4%という予測を維持する。2016年度は、モンスーンの正常化、交易条件の改善、家計の実質所得の改善、企業の投入コストの低下が成長モメンタムの強化に寄与する。民間国内投資、生産設備能力等が逆風となり得るが、成長は穏やかに加速し、2016年度成長率は7.6%となると予測される。

2月4日~5日
*2月4日及び5日、インド財務省が主催する「インド投資サミット」が開催され、国家投資インフラファンド(NIIF)のプロモーションが行われた。同サミットに出席し講演したジャイトリー財務大臣は、NIIFは政府出資と民間出資を併せて約60億ドル(4000億インドルピー)の規模でスタートするとし、インドはインフラ開発が急務であるが、NIIFはインド及び投資家の双方にとってウィン・ウィンなものとなると考えられ、インドの発展のために、国内外の資源が最大限活用されることを期待する旨述べた。

2月8日
*インド政府統計・計画実施省傘下の中央統計局は、2015年度(2015年4月~2016年3月)のGDP成長率見通し及び2015年度第3四半期(10月~12月)のGDP(速報値)を発表した。同発表によれば、2015年度の実質成長率は7.6%となる見込み。2015年度第3四半期の実質GDP成長率は前年度比7.3%となり、前四半期の7.7%を下回った

Ⅲ.外交
【インド・アフガニスタン関係】
2月1日
*インド首相府の発表によると、モディ首相は、1月31日から2月4日の日程で訪印中のアブドゥッラー・アフガニスタン行政長官と面会した。モディ首相及びアブドゥッラー行政長官は、二国間及び地域間における戦略的パートナーシップの更なる深化について見解を共有するとともに、両国の外交パスポート保持者のための査証免除について合意した。

【インド・バングラデシュ関係】
2月1日-2日
*2月1日及び2日、ホック・バングラデシュ外務次官が訪印した。同外務次官は、ジャイシャンカル外務次官、ドバル国家安全保障担当補佐官と会談し、テロ対策における協力の拡大等について協議した。この他、ホック・バングラデシュ外務次官は、シン水資源省特別次官と会談し、ティースタ河水共有問題について協議した。

【インド・ブルネイ関係】
2月1日-3日
*アンサリ副大統領は、2月1日から3日の日程でブルネイを訪問した。同副大統領は、ハサナル・ボルキア・ブルネイ国王、ビラ・ブルネイ皇太子及びブルネイ立法評議会議長と会談した。同副大統領のブルネイ訪問中に、インド・ブルネイ防衛協力に関する覚書が締結された。

【インド・中国関係】
2月4日
*インド外務省の発表によれば、4日、ニューデリーにて、印中海洋問題に関する対話を初めて開催された。インド側は外務省軍縮・国際安全保障局長、中国は外交部長助理がヘッドを務めた。今次対話において、海洋安全保障に関する両国の認識に関する意見交換や、国連海洋法条約(UNCLOS)や国際海事機関等の国際レジームの発展、海洋協力の可能性等を含む双方の関心事項について議論が行われた。

【インド・ネパール関係】
2月10日
*10日付各紙は、スワラージ外相が、9日にネパールのカトマンズで行われたコイララ前ネパール首相の葬儀に参列した旨報じた。スワラージ外相は、逝去したコイララ前ネパール首相に対する弔意を表するために、全ての政党の代表として、代表団を率いてカトマンズを訪問したが、同代表団には、シャルマ前商工相(コングレス党)、ヤダブJDU党首、イエチューリーCPI(M)総書記、ドバル国家安全保障担当補佐官が参加していた。
2月19日-24日
*オリ・ネパール首相は、2月19日から24日の日程で、昨年10月の首相就任以来初の外遊先としてインドを国賓訪問した。オリ首相は、モディ首相と首脳会談を実施した他、ムカジー大統領、アンサリ副大統領、スワラージ外相、シン内相、ジャイトリー財務相とそれぞれ会談した。オリ首相は、デリーの他にウッタラカンド州デヘラドゥーンのテリー水力発電事業、グジャラート州ブージ及びマハラーシュトラ州ムンバイを訪問した。
インド外務省の発表によれば、今次訪印の際に、ネパールの震災復興支援の一部である2.5億ドルの無償資金協力援助の活用方法に関する覚書や、ネパールのタライ地方における道路インフラの強化に関する覚書を含む多数の二国間文書が署名、交換された。

【インド・UAE関係】
2月10日-12日
*12日、インド外務省発表及びヒンドゥー紙他の報道によれば、10日から12日の日程でムハンマド・アブダビUAE皇太子兼連邦軍副最高司令官が訪印した。11日には、ムハンマド皇太子はモディ首相と会談した。同皇太子訪印中に、インドとUAEは、通貨スワップ、文化、インフラ分野への投資、再生可能エネルギー、宇宙研究、保険管理、サイバーセキュリティ、技能開発、商業に関する情報共有分野における協力に関する9つの合意事項に署名した。

【インド・ブータン関係】
2月17日
*2月17日付タイムズ・オブ・インディア紙は、訪印中のトブゲー・ブータン首相とスワラージ外相が16日に会談した旨報じた。会談において、ブータン国内の水力発電その他セクターの開発援助実施を含む二国間及び地域の問題について協議を行った。

Ⅳ.日印関係
2月2日
*2日付外務省発表によれば、我が国は、2月15日から、インド国民の商用目的の方や文化人・知識人に対する短期滞在数次ビザの緩和措置を開始した。
メモ:本緩和措置は、昨年12月の日・インド首脳会談において、安倍総理大臣が決定した旨発表したことを受けて、今般運用を開始するもの。具体的には、従来発給している商用目的の方や文化人・知識人に対する短期滞在数次ビザの発給対象者の範囲を拡大することに加え、有効期間を現行の最長5年から最長10年に延長するもの。有効期間10年の数次ビザを発給するのは、我が国においては初めてのことである。

2月14日
*外務省発表によれば、インドのムンバイにおいて、インド高速鉄道に関する第1回合同委員会が開催された。第1回合同委員会では、今後のスケジュールや、二国間の協議の進め方を含め、資金、技術及び人材育成面での協力について議論を行った他、次回の第2回合同委員会を、2016年5月を目途に開催することとし、それまでの間、課長級の協議を重ねていくことで合意した。

2月26日
*外務省発表によれば、東京において、日本側から齋木昭隆外務事務次官、オーストラリア側からピーター・ヴァーギーズ外務・貿易省次官、インド側からS.ジャイシャンカル外務次官が出席し、第2回日豪印次官協議が開催された。北朝鮮、東シナ・南シナ海を含む地域情勢につき、広く意見交換が行われたほか、ASEANとの関係強化や、海洋の安全の重要性等の認識を共有し、特に北朝鮮問題に関して、国際社会として断固とした対応をとるべく連携していくことを確認した。また、これに合わせて、25日に日豪外務次官協議、26日に第11回日印外務次官対話がそれぞれ開催され、戦略的協力や最近の国際情勢等について、幅広く意見交換が行われた。