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日印関係最新情報

月間インドニュース(2021年4月)

2021年5月21日掲載


1 内政
【農業関連法】
4月10日:トーマル農業・農民福祉大臣は、農民らによる反農業関連法抗議活動が継続する中、中央政府は農業団体と話し合う準備ができている、新型コロナウイルスが拡大しているため活動を一時停止するべきだとツイートした。

【BJP】
4月6日:モディ首相は、BJP創設41周年を迎え、オンラインで党内演説を実施した。同首相は、BJPが選挙マシーンと揶揄されていることに反論し、BJPとはインド国民の心を掴むための継続的かつ絶え間ない活動であると形容、また、改正市民権法(CAA)や農業関連法など中央政府が主導する施策に関して「誤った情報」が流布しているとして、その裏に政治的混乱を招こうとする陰謀が存在すると強調した。

【西ベンガル(WB)州】
4月1日:8フェーズにかけて実施されるWB州議会議員選挙の第2フェーズの投票が実施され、投票率は86%(速報値)であった(前回選挙時の全フェーズ平均:83.02%)。

4月6日:8フェーズにかけて実施されるWB州議会議員選挙の第3フェーズの投票が実施され、投票率は77.68%(速報値)であった。(前回選挙時の全フェーズ平均:83.02%)。

4月10日:8フェーズにかけて実施されるWB州議会議員選挙の第4フェーズの投票が実施され、投票率は79.9%(速報値)であった(前回選挙時の全フェーズ平均:83.02%)。同日、Cooch Behar 地区の投票所において、治安維持部隊として派遣されていた中央産業治安部隊(CISF)が地元住民を攻撃しているとの噂を受け、300名以上の住民が投票所に大挙した。CISFの装備を奪おうと試みた者のうち、4名が発砲を受け死去、4名が負傷した。同事件を受け、選挙管理委員会(EC)は、同投票所での投票を停止し、政党関係者の同地区への立ち入りを72時間禁止する旨発表した。かかる事態を受け、バナジー州首相がシャー内務大臣の辞任を要求、モディ首相が暴力行為を非難し同事案に係る調査を求めるなど、各政党から非難の声があがった。

4月15日:バナジーWB州首相は、新型コロナウイルス禍における8フェーズの投票に反対するとツイートし、選挙管理委員会(EC)に対し残りの4フェーズを一括投票とするよう要求した。同日、ECスポークスパーソンは、すでに発表済の投票日程を変更することは法的に困難であるとして残りのフェーズ一括実施は検討していないと発表した。

4月16日:シャー内務大臣は、ヒンドゥー教徒移民であるMathuaなどが多数派の地域での選挙キャンペーンにおいて、BJP州政権が樹立されれば同コミュニティには1週間以内に市民権を付与すると述べるとともに、14日にWB州で初めて選挙キャンペーンに参加したラーフル・ガンディー・コングレス前総裁につき、選挙終盤での参加であり観光客同然であると批判した。

4月17日:8フェーズにかけて実施されるWB州議会議員選挙の第5フェーズの投票が実施され、投票率は78.36%(速報値)であった(前回選挙時の全フェーズ平均:83.02%)。
4月21日:8フェーズにかけて実施されるWB州議会議員選挙の第6フェーズの投票が実施され、投票率は79.09%(速報値)であり、過去5フェーズに比べ最も低い投票率であった。

4月26日:8フェーズにかけて実施されるWB州議会議員選挙の第7フェーズの投票が実施され、投票率は75.06%(速報値)であった。
4月29日:8フェーズにかけて実施されるWB州議会議員選挙の第8フェーズの投票が実施され、投票率は75.7%(速報値)であった。

【アッサム(AS)州】
4月1日:3フェーズにかけて実施されるAS州議会議員選挙の第2フェーズの投票が実施され、投票率は77%(速報値)であった(前回選挙時の全フェーズ平均:84.72%)。
4月6日:3フェーズにかけて実施されるAS州議会議員選挙の最終フェーズの投票が実施され、投票率は82.33%(速報値)であった。(前回選挙時の全フェーズ平均:84.72%)。

【ケララ(KL)州】
4月6日:KL州議会議員選挙の投票が実施され、投票率は74.02%(速報値)であった(前回選挙時:77.53%)。

【タミル・ナド(TN)州】
4月6日:TN州議会議員選挙の投票が実施され、投票率は71.79%(速報値)であった(前回選挙時:74.81%)。

【プドゥチェリー(PY)準州】
4月6日:PY準州議会議員選挙の投票が実施され、投票率は81.64%(速報値)であった(前回選挙時:85.08%)。

【グジャラート(GJ)州】
4月1日:GJ州議会において、結婚による強制的もしくは詐欺まがいの改宗を禁止するGujarat Freedom of Religion (Amendment) Bill 2021が可決された。同州法は特定の宗教を対象としたものではないものの、ラブ・ジハード対策目的と見られる。同様の州法を可決したマディヤ・プラデシュ州、ウッタル・プラデシュ州に次いで3州目。(注:ラブ・ジハードとは、イスラム教徒が恋愛や結婚を口実にヒンドゥー教徒の女性を改宗させようとしているというヒンドゥー教徒側の訴え。ラブ・ジハードの禁止は、改正市民権法を可決させたBJPの次なるミッションであるとされている。)

【マハーラーシュトラ(MH)州】
4月5日:ボンベイ高等裁判所が中央捜査局(CBI)にデシュムク州内務大臣(国民主義会議派(NCP))の汚職疑惑に係る捜査を命じたことを受け、同州内務大臣が辞任を表明した。

2 経済
4月7日:インド準備銀行(RBI)は5~7日の3日間にわたって行われていた金融政策決定会合(MPC)の結果を公表したところ、概要以下の通り。
ポイント
1. 金融政策決定会合の結果
 政策金利(レポ・レート)は4.00%で据え置き。リバースレポレートも3.35%のまま据え置き(5会合連続で据え置き)。据え置きは市場の予想通り。
新型コロナウイルスによる経済への影響を緩和し、経済成長を持続的に維持するために必要な期間、金融政策に対する緩和的な姿勢を継続することを決定。その間、インフレ率を目標である4%±2%の範囲内に維持する。
2.今後の成長見通し 
農村部の需要は、2020年度の記録的な農業生産が示すように、引き続き好調である。都市部の需要は、経済活動の正常化を背景に力強く勢いを増しており、また継続的な予防接種による一層推進される。2021年度予算に基づく設備投資への配分増加や、PLIスキームの拡大、設備稼働率の上昇などの財政刺激策により投資需要と輸出拡大が見込まれる。 
 これらの要因を考慮すると、2021年度の実質GDP成長率は10.5%(第1四半期が26.2%、第2四半期が8.3%、第3四半期が5.4%、第4四半期が10.5%)と予想する。

3 外交
(印米関係)
4月7日:インド外務省は、ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)がモディ首相を表敬した旨プレスリリースを発表した。同特使はバイデン大統領からのメッセージを伝達し、野心的な再生可能エネルギー計画を含むインドの気候変動対策を前向きに評価した。

4月20日:現地メディアは、19日、ジャイシャンカル外相がブリケン米国務長官と保健分野に関する協力及び国連安全保障理事会の議題に関する電話会談を実施した旨報じた。

4月26日:インド外務省は、モディ首相がバイデン米大統領と電話会談を実施した旨プレスリリースを発表した。

(印露関係)
4月5日-6日:ラヴロフ露外相がインドを訪問した。

4月28日:インド外務省は、モディ首相がプーチン露大統領と電話会談を実施した旨プレスリリースを発表した。同大統領は、インドにおけるスプートニクVワクチンの緊急使用の承認を高く評価した。また、両首脳は、両国の外務・防衛大臣による2+2を創設することを決定した。 

(印・台湾関係)
4月4日:現地メディアは、少なくとも50人の死者を伴った台湾における列車脱線事故に関して、バグチ報道官が「台湾の鉄道事故で多くの人命が失われたことに深く悲しんでいる。犠牲となったご家族の皆様に対して心よりお見舞い申し上げる。負傷者の早期回復をお祈り申し上げる」とツイートした旨報じた。これに対し、呉台湾外交部長は、「心からの心配と哀悼に感謝。政府は、被災者が必要な支援を確実に受けることができるように救助と回復の努力を継続的に取り組んでいる」とリプライした。

(印中関係)
4月10日:インド外務省及び国防省は、9日に第11回インド・中国軍団司令官会議が開催された旨プレスリリースを発表した。

4月30日:インド外務省は、ジャイシャンカル外相は、中国側の要請を受け、新型コロナ対応等について、王毅・中国外交部長と電話会談を行った旨プレスリリースを発表した。

(印・オランダ関係)
4月9日:インド外務省は、モディ首相が3月に再選を果たしたルテ蘭首相とオンラインによる首脳会談を開催した旨プレスリリースを発表した。

(印英関係)
4月19日:インド外務省は、現下の新型コロナ情勢を踏まえ、ジョンソン英国首相の訪印取り止めに関するバグチ報道官のコメントを発表した。

(印・ミャンマー関係)
4月25日:インド外務省は、24日に開催されたASEANリーダーズ・ミーティングにて発表されたミャンマーに関するコンセンサスについてバグチ報道官のコメントを発表した。同コメントでは、「我々はミャンマーに関するASEANによるイニシアチブを歓迎する。我々のミャンマーに対する外交的関与は、これらの取組の強化を目指すものである。インドは、ミャンマーの友人として、現状の解決を目指す建設的で有意義な役割を果たし続ける。ミャンマーにおける民主化プロセスに対するインドの支持は揺るがない。」と述べた。
 
(日豪印)
4月28日:現地メディアは、27日、オンライン形式により日豪印経済大臣会合が開催された旨報じた。梶山経産相、ティーハン豪貿易・観光・投資大臣及びゴヤル商工大臣は、サプライチェーン強靭化に向けた協力について議論し、共同声明を発出した。 

(BIMSTEC)
4月1日:インド外務省は、ジャイシャンカル外相が、スリランカ政府がオンラインで主催した第17回BIMSTEC閣僚会議に参加した旨プレスリリースを発表した。

4 日印関係
4月26日:菅総理は、モディ首相と日印首脳電話会談を実施した。
4月30日:日本政府は、インドにおける新型コロナウイルス感染の急拡大に対する緊急援助を発表した。

今月の注目点:日印首脳電話会議
4月26日、午後3時45分から約25分間、菅義偉内閣総理大臣は、ナレンドラ・モディ・インド首相と電話会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
 菅総理大臣から、モディ首相のリーダーシップの下、インドにおける新型コロナの状況が早期に改善することを祈念している旨述べ、新型コロナの克服に向けて日印で協力を緊密化していくことを確認しました。
 両首脳は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日印協力や日米豪印を含む多国間協力の重要性を確認し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の構築に向け、引き続き協力していくことで一致しました。
 菅総理大臣から、サイバー、デジタル、脱炭素化、ヘルスケア、連結性強化等の面で協力を更に進展させたい旨述べ、5Gや海底ケーブル敷設、産業競争力強化、サプライチェーン多元化、インド北東部開発、特定技能制度などの協力可能性についても言及しました。両首脳は、最近のインド高速鉄道に関する第12回合同委員会の開催を含め、高速鉄道事業が着実に進展していることを歓迎し、様々な分野で日印協力を引き続き前進させていくことを確認しました。
 菅総理大臣から、海警法を含め、東シナ海や南シナ海での中国の一方的な現状変更の試みの継続・強化を深刻に懸念している旨述べました。
 最後に、両首脳は、コロナの状況も見つつ、双方の都合のよいタイミングでの菅総理大臣の訪印を実現することで一致しました。

今月の注目点2:インドにおける新型コロナウイルス感染の急拡大に対する緊急援助
4月30日、我が国政府は、インドにおける新型コロナウイルス感染の急拡大を踏まえた同国政府からの要請を受け、インド側との調整が整えば、酸素濃縮器(300台)及び人工呼吸器(300台)を供与する手続きを進めることとしました。 我が国としては、友好国でありパートナーであるインドが新型コロナウイルスに対処する努力を支援すべく緊急援助を行うこととしたものです。

 インドにおける新型コロナウイルスの感染状況の緩和・収束に向けて、今後も迅速な支援を検討していきます。
[参考]
 4月29日(現地時間)現在、インドにおける新型コロナウイルス感染状況は、累計感染者数1,837万6,524人、累計死亡者数20万4,832人に上る。