Ⅰ. 内政
8月7日
*副大統領選挙管理官は、アンサリ副大統領が次期副大統領に選出された旨発表。ジャスワント・シン候補が238票、アンサリ候補が490票と選出に必要となる過半数を獲得した。11日、大統領官邸においてアンサリ副大統領の就任式が開催された。なお、インド憲法第64条により、同大統領は上院議長を兼任する。
8月8日
*モンスーン国会開幕(8月8日~9月7日)。ヒンドゥー紙によれば、シン首相は、全ての政党が今期国会での円滑な審議の進行のために協力することを期待する旨発言した。
8月9日
*9日付ヒンドゥー紙他は、開幕した国会において、アドバニ下院野党筆頭(元インド人民党党首)が、第二期UPA政権の成立が違法である旨発言し、ソニア・ガンディー・コングレス党党首ら与党の強い反発を受けた旨報じている。後に、アドバニ筆頭は、第二期と発言したのは誤りであり、第一期政権時の米インド原子力協力協定を巡るシン首相の信任投票を意図していたとして、発言を撤回した。
8月11日
*12日及び13日付けのタイムス・オブ・インディア紙他は、11日の午後、ムンバイ南部のアーザード公園において、アッサム州等で発生したイスラム教徒に対する暴力行為に対する抗議集会に参加した参加者の一部が暴徒化、鎮圧しようとする警察との間で暴動事件となり、2名が死亡、警察官含む55名が負傷、警察・メディア関係者の車両や、私用車等が放火や投石の被害を受けた旨報じている。
8月12日
*ロンドンオリンピック閉幕。インド各紙報道によれば、インドは銀メダル2個、銅メダル4個と計6個のメダルを獲得。メダル獲得数では、これまでのオリンピックで最大となっている。
8月13日
*ヒンドゥー紙他によれば、ヨガ指導者のラームデーブ師が数千人とも言われる支援者と共に、コングレス党のブラックマネー及び汚職撲滅の戦いを呼びかけるデモ行進の途中で警察に身柄を拘束。6時間後に釈放されるも、デリー市内のアンベードカル・スタジアムにおいてハンガー・ストライキを開始し、14日には、ガドカリ・インド人民党党首、シャラド・ヤーダブ・ジャナタダル党党首、スワミ・ジャナタ党リーダー他2014年の総選挙をにらんだ野党のリーダーが会場を訪れ、同師のハンストを支持する旨表明。
8月14日
*ヒンドゥスタン・タイムス他インド各紙によれば、肝臓がんのため入院していたデシュムク前科学技術・地球科学・中小企業大臣が入院先の病院で死亡。同人の入院に伴い、8月10日から、ラヴィ海外居住インド人関係大臣がデシュムク前大臣の任務を兼務している。デシュムク前大臣は、マハラーシュトラ州首相を2期努めた他、2011年から科学技術・地球科学大臣、2012年から中小零細企業大臣を務めていた。
8月15日
*独立記念日に際して、シン首相が、レッドフォートにおいて演説を実施。
8月17日
*18日付ヒンドゥー紙によれば、石炭鉱区の採掘権割当てに関する会計検査官の報告書が国会に提出された。同報告書は、当時の石炭省次官が競争入札を提案したにも関わらず、随意契約が締結され、結果2004年~09年に1兆8,400ルピーの損失が出たことを指摘。シン首相は2006年~09年の間に石炭大臣を兼務していたことから、シン首相及び首相府の関与も指摘されている。
8月20日
*エコノミックス・タイムス紙他は、インド全国の北東部諸州出身者に対するイスラム教徒への感情をあおり立てる合成写真や動画が掲載されていることから、フェイスブック、グーグル、ツイッターを含む89のウェブサイトについてインド政府が遮断を命じた(21日時点で約250サイト)ことを報じている。また、ヒンドゥー紙は、シンデ内務大臣が、マーリク・パキスタン内務大臣に対して、架電にて、パキスタン国内から、ソーシャル・ネットワーキングサイトを利用し、インド国内のコミュナル(宗派)対立をあおるような合成写真やねつ造された逸話が意図的に流されていることを懸念している旨伝達、翌21日には、インド政府は、パキスタン国民による扇動的なコンテンツの証拠をパキスタン政府に提出したことを報道している。
8月21日
*ヒンドゥー紙他によれば、石炭鉱区割当てに関する会計検査官の報告書を巡る野党の反発により国会が休会。
*22日付のヒンドゥー紙は、シン首相が、全政党の合意として、指定部族や指定カーストの就職の際の留保制度推進のために憲法改正を行う用意がある旨発言したことを報じている。また、首相府は、政府としてはかかる憲法修正に賛成しており、法的審査を経た後に改正法案を提出する予定であることを明らかにした。インド人民党は、憲法修正には明示的には反対せず、法案を精査したいとしているが、社会大衆党は、その他後進諸階級(OBC)の利益に反する可能性があるとして、OBCや他のマイノリティーに関する規定が置かれない限り反対するとの態度を明らかにしている。
Ⅱ. 経済
8月1日
*インド商工省は、パキスタンからの海外直接投資(FDI)政策を見直し、パキスタンからのFDIを許可する決定を行った旨を発表し、即日適用された。
8月3日
*インド気象庁は、今季モンスーンにおける降水量が、過去50年間平均に比し15%少なく、干ばつに当たることを発表。タイムス・オブ・インディア紙他インド各紙によれば、今季のモンスーンの降雨は局所的であることが特徴で、ハリヤナ、パンジャーブ州等の北西部では平均マイナス30%であるのに対して、アッサムやメガーラヤ州等の北東部は平年並みの水準を維持、また、大雨による洪水も発生している。降雨量不足による農業生産の停滞は、農産品価格の上昇を通じたインフレ率の上昇や、地方における収入低下による経済減速のリスクを高めると予想され、インド準備銀行は、経済成長率予測を7.3%から6.5%に引き下げている。
8月4日
*インド通信IT省通信局は、第二世代(2G)携帯電話周波数のオークションについて、オークション実施機関の決定及び最低入札価格(1,400億ルピー)を発表。同局は、9日に、最高裁による8月末までのオークションの実施指示について、の延長を申し立てた。
8月8日
*インド商工省は、マルチブランドの小売業の外資規制緩和に関し、商工省産業政策振興部(DIPP)は、6月19日付で全ての州政府に対して、マルチブランド小売業の外資規制緩和の受入れを求める書簡を発出し、8日までに、デリー準州、マニプル州、ダマン・ディウ(連邦直轄地)、及びダドラ及びナガル・ハヴェリ(連邦直轄地)から支持表明の回答を得ている旨発表した。
*ヒンドゥー紙によれば、キングフィッシャー航空が、従業員による給料未払いのストライキを原因としてデリー・ムンバイを含む30以上のフライトをキャンセルした。
8月9日
*10日付タイムス・オブ・インディア紙他は、デリー近郊のグレター・ノイダ地区とアーグラーを結ぶヤムナー高速道路が開通した旨報じている。開通式には、アキレシュ・ヤーダブ・ウッタル・プラデーシュ州(UP)首相が出席。この高速道路の開通により、デリーからアーグラーまでの移動時間は2時間半程度となる。
*インド統計局は、2012年6月における鉱工業生産指数(IPP)の速報値が、前年当比マイナス1.8%であることを発表。
8月10日
*10日付アジアン・エイジ紙は、内務省による捜査の結果、マルチ・スズキ社マネサール工場での暴動へのマオイストの関与は無かったことを明らかにした旨報じている。
8月14日
*インド商工省は、2012年7月の貿易額(暫定値)を発表。同報道発表によれば、2012年7月の貿易額は、輸出224億ドル(前年同月263億ドル)、輸入379億ドル(前年同月411億ドル)で貿易赤字が155億ドル。ビジネス・スタンダード紙によれば、7月の輸出額は前年同比で14.8%減と2009年8月以降最も急激な減少であり、輸出入共に3か月連続の減少となっている。これに対して、シャルマ商工大臣は、7月の数値は懸念材料であるも、10月までには輸出が回復することを期待する旨述べ、ラオ商務次官は、欧州の経済危機がインドの輸出に影響していること、米国市場の需要も確実に現象しており、今年度の輸出目標である3,500億ドルの達成が困難な見込みを示している。
*17日付のヒンドゥー紙他は、マルチ・スズキ社が、500名の労働者の解雇及び21日からの操業の開始を発表した旨報じている。
8月17日
*インド政府発表によれば、首相府経済諮問委員会が、「エコノミック・アウトルック2012-2012年」を発表し、2012から2013年の経済成長率が6.7%であるとの見通しを発表。また、同報告書は、今季モンスーンの小雨の影響を受け、6.5-7%の範囲でのインフレ見込み、中央政府での財政不均衡の拡大への懸念、国内の農産品市場の改革や補助金の削減等の農業部門の改革の必要性、経済成長を加速化するための方策として、巨大インフラプロジェクトに対する総合的な意志決定、マルチブランド小売り分野での外国直接投資(FDI)の開放、航空部門におけるFDIの開放、石油製品に対する補助金の抑制等がの必要性について言及。
8月18日
*インド商工省は、17日の閣議において、南アジア自由貿易地域(SAFTA)の取り組みの一環として、パキスタン、スリランカに対する輸入禁止品目を30%相当(264品目)削減し、3年以内に最高関税率を5%とすることを決定したとの報道発表を行った。同決定を受け、パキスタンに対する輸入禁止品目は878品目から614品目となった。エコノミック・タイムス紙によれば、本件措置の実行は、パキスタンが同様の関税削減を行うことが条件となっているが、この背景には、12月末までの貿易正常化に向け、パキスタン側が何らの追加的措置をとっていないことがある。
8月21日
*マルチ・スズキ社・マネサール工場の操業が再開。22日付のビジネス・ライン紙他各紙によれば、工場周辺には400名以上の警察が配置される中で、100名の労働者と500名の班長・管理職が出勤。初日の生産台数は明らかにされていないが150台の半分以下と見られている。同社は27日までに2交代制での操業に戻すことを目指している。
8月23日
*フィナンシャル・エクスプレス紙他によれば、23日から鈴木修スズキ自動車会長兼社長がインドを訪問。グルガオンの施設、人事部門との会議の他、グジャラート州を訪問し、モディ同州首相に面会。26日の記者会見において、同会長はマネサール工場の正常な操業の見込みは立っていないことを明らかにした。
Ⅲ. 外交
8月2日
*2日付のインド外務省プレスリリースによれば、インドとラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の関係構築の協議のため、第1回インド・CELAC・トロイカ会合がデリーにおいて開催された。同会合には、クリシュナ・インド外務大臣、チャメル・チリ外務大臣、マドゥーロ・ベネズエラ外務大臣、シエラ・キューバ外務副大臣が参加。ヒンドゥー紙によれば、本件会合開催の背景には、CELAC諸国が、国連安保理改革、国際的金融危機、気候変動、テロ対策、対中貿易の牽制のために相互の貿易を拡大等においてインドと共通の立場を有していることが背景にある。同会合において、貿易、農業、エネルギー安全保障含む合同委員会の設置が合意された他、二国間関係では、チリとの間で、両国の貿易品目を178品目から1,000品目に拡大することに合意した。
8月7日
*インド外務省プレスリリースによれば、8月1~5及び8~12日の日程で、デディエ・レンデルス・ベルギー副首相兼外相がデリー及びアーグラー、ウダイプル及びジャイプルを訪問し、クリシュナ外務大臣の他、シャルマ商工大臣、ムクル・ロイ鉄道大臣、カラン・シン・インド文化評議会(ICCR)会長の他、ラージャスタン州首相他に面会した。8日に行われた共同記者会見において、クリシュナ外相は、両国関係の強化、インド・EU間の戦略的パートナーシップの強化について意見交換を行ったことを明らかにした。
8月24日
*24日付のインド政府報道発表によれば、8月5日の米国ウィスコンシン州でのグルドワーラー(シク教徒の寺院)襲撃事件(2名の米国市民及び4名のインド人が死亡)について、事件発生直後に、米国政府に対し、インド系住民への影響を懸念する旨外交ルートを通じて伝達、6日には、クリシュナ外務大臣が、クリントン米国務長官に対し、本件事件はインドにとって衝撃的な事件であること、米国政府がインド系住民の安全確保のために必要な措置をとることを架電にて求めた他、8日付のシン首相発オバマ大統領宛書簡についても同様の対応を求めたとしている。
8月27日
*28日付ビジネス・スタンダード紙によれば、中国を訪問中のシャルマ商工大臣と陳徳銘・中国商務部長との間で第9回印中合同経済グループ(9th session of India-China Joint Economic Group)が開催され、貿易均衡是正に向けた作業部会の設置と、両国間の経済協力のための5か年計画の立案が合意された他、インドから中国への輸出1億8,900万ドルに相当する案件の事業覚書が締結された旨報じている。
Ⅳ. 日印関係
8月9日
*インド連邦下院議会において、クマール下院議長が、広島及び長崎の原爆犠牲者を追悼する発言の後、議員全員における黙祷が捧げられた。インドの下院では、毎年8月6日又は9日に原爆犠牲者の追悼が行われている。
8月17日
*ビジネス・スタンダード紙は、国営石油・天然ガス公社(ONGC)が、クリシュナ・ゴダバリに有する鉱区の権益一部(26%)を、国際請求開発帝石株式会社(INPEX)に譲渡する予定である旨報じている。
8月23日
*インド政府報道発表によれば、JBICが、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想開発公社(DMICDC)に26%の資本出資を行うことについての閣議決定がなされた。この決定により、DMICDCの資本割合は、インド政府出資が49%又はそれ以下、JBIC26%、インドの政府系金融機関が25%又はそれ以上となる。
8月7日
*副大統領選挙管理官は、アンサリ副大統領が次期副大統領に選出された旨発表。ジャスワント・シン候補が238票、アンサリ候補が490票と選出に必要となる過半数を獲得した。11日、大統領官邸においてアンサリ副大統領の就任式が開催された。なお、インド憲法第64条により、同大統領は上院議長を兼任する。
8月8日
*モンスーン国会開幕(8月8日~9月7日)。ヒンドゥー紙によれば、シン首相は、全ての政党が今期国会での円滑な審議の進行のために協力することを期待する旨発言した。
8月9日
*9日付ヒンドゥー紙他は、開幕した国会において、アドバニ下院野党筆頭(元インド人民党党首)が、第二期UPA政権の成立が違法である旨発言し、ソニア・ガンディー・コングレス党党首ら与党の強い反発を受けた旨報じている。後に、アドバニ筆頭は、第二期と発言したのは誤りであり、第一期政権時の米インド原子力協力協定を巡るシン首相の信任投票を意図していたとして、発言を撤回した。
8月11日
*12日及び13日付けのタイムス・オブ・インディア紙他は、11日の午後、ムンバイ南部のアーザード公園において、アッサム州等で発生したイスラム教徒に対する暴力行為に対する抗議集会に参加した参加者の一部が暴徒化、鎮圧しようとする警察との間で暴動事件となり、2名が死亡、警察官含む55名が負傷、警察・メディア関係者の車両や、私用車等が放火や投石の被害を受けた旨報じている。
8月12日
*ロンドンオリンピック閉幕。インド各紙報道によれば、インドは銀メダル2個、銅メダル4個と計6個のメダルを獲得。メダル獲得数では、これまでのオリンピックで最大となっている。
8月13日
*ヒンドゥー紙他によれば、ヨガ指導者のラームデーブ師が数千人とも言われる支援者と共に、コングレス党のブラックマネー及び汚職撲滅の戦いを呼びかけるデモ行進の途中で警察に身柄を拘束。6時間後に釈放されるも、デリー市内のアンベードカル・スタジアムにおいてハンガー・ストライキを開始し、14日には、ガドカリ・インド人民党党首、シャラド・ヤーダブ・ジャナタダル党党首、スワミ・ジャナタ党リーダー他2014年の総選挙をにらんだ野党のリーダーが会場を訪れ、同師のハンストを支持する旨表明。
8月14日
*ヒンドゥスタン・タイムス他インド各紙によれば、肝臓がんのため入院していたデシュムク前科学技術・地球科学・中小企業大臣が入院先の病院で死亡。同人の入院に伴い、8月10日から、ラヴィ海外居住インド人関係大臣がデシュムク前大臣の任務を兼務している。デシュムク前大臣は、マハラーシュトラ州首相を2期努めた他、2011年から科学技術・地球科学大臣、2012年から中小零細企業大臣を務めていた。
8月15日
*独立記念日に際して、シン首相が、レッドフォートにおいて演説を実施。
8月17日
*18日付ヒンドゥー紙によれば、石炭鉱区の採掘権割当てに関する会計検査官の報告書が国会に提出された。同報告書は、当時の石炭省次官が競争入札を提案したにも関わらず、随意契約が締結され、結果2004年~09年に1兆8,400ルピーの損失が出たことを指摘。シン首相は2006年~09年の間に石炭大臣を兼務していたことから、シン首相及び首相府の関与も指摘されている。
8月20日
*エコノミックス・タイムス紙他は、インド全国の北東部諸州出身者に対するイスラム教徒への感情をあおり立てる合成写真や動画が掲載されていることから、フェイスブック、グーグル、ツイッターを含む89のウェブサイトについてインド政府が遮断を命じた(21日時点で約250サイト)ことを報じている。また、ヒンドゥー紙は、シンデ内務大臣が、マーリク・パキスタン内務大臣に対して、架電にて、パキスタン国内から、ソーシャル・ネットワーキングサイトを利用し、インド国内のコミュナル(宗派)対立をあおるような合成写真やねつ造された逸話が意図的に流されていることを懸念している旨伝達、翌21日には、インド政府は、パキスタン国民による扇動的なコンテンツの証拠をパキスタン政府に提出したことを報道している。
8月21日
*ヒンドゥー紙他によれば、石炭鉱区割当てに関する会計検査官の報告書を巡る野党の反発により国会が休会。
*22日付のヒンドゥー紙は、シン首相が、全政党の合意として、指定部族や指定カーストの就職の際の留保制度推進のために憲法改正を行う用意がある旨発言したことを報じている。また、首相府は、政府としてはかかる憲法修正に賛成しており、法的審査を経た後に改正法案を提出する予定であることを明らかにした。インド人民党は、憲法修正には明示的には反対せず、法案を精査したいとしているが、社会大衆党は、その他後進諸階級(OBC)の利益に反する可能性があるとして、OBCや他のマイノリティーに関する規定が置かれない限り反対するとの態度を明らかにしている。
Ⅱ. 経済
8月1日
*インド商工省は、パキスタンからの海外直接投資(FDI)政策を見直し、パキスタンからのFDIを許可する決定を行った旨を発表し、即日適用された。
8月3日
*インド気象庁は、今季モンスーンにおける降水量が、過去50年間平均に比し15%少なく、干ばつに当たることを発表。タイムス・オブ・インディア紙他インド各紙によれば、今季のモンスーンの降雨は局所的であることが特徴で、ハリヤナ、パンジャーブ州等の北西部では平均マイナス30%であるのに対して、アッサムやメガーラヤ州等の北東部は平年並みの水準を維持、また、大雨による洪水も発生している。降雨量不足による農業生産の停滞は、農産品価格の上昇を通じたインフレ率の上昇や、地方における収入低下による経済減速のリスクを高めると予想され、インド準備銀行は、経済成長率予測を7.3%から6.5%に引き下げている。
8月4日
*インド通信IT省通信局は、第二世代(2G)携帯電話周波数のオークションについて、オークション実施機関の決定及び最低入札価格(1,400億ルピー)を発表。同局は、9日に、最高裁による8月末までのオークションの実施指示について、の延長を申し立てた。
8月8日
*インド商工省は、マルチブランドの小売業の外資規制緩和に関し、商工省産業政策振興部(DIPP)は、6月19日付で全ての州政府に対して、マルチブランド小売業の外資規制緩和の受入れを求める書簡を発出し、8日までに、デリー準州、マニプル州、ダマン・ディウ(連邦直轄地)、及びダドラ及びナガル・ハヴェリ(連邦直轄地)から支持表明の回答を得ている旨発表した。
*ヒンドゥー紙によれば、キングフィッシャー航空が、従業員による給料未払いのストライキを原因としてデリー・ムンバイを含む30以上のフライトをキャンセルした。
8月9日
*10日付タイムス・オブ・インディア紙他は、デリー近郊のグレター・ノイダ地区とアーグラーを結ぶヤムナー高速道路が開通した旨報じている。開通式には、アキレシュ・ヤーダブ・ウッタル・プラデーシュ州(UP)首相が出席。この高速道路の開通により、デリーからアーグラーまでの移動時間は2時間半程度となる。
*インド統計局は、2012年6月における鉱工業生産指数(IPP)の速報値が、前年当比マイナス1.8%であることを発表。
8月10日
*10日付アジアン・エイジ紙は、内務省による捜査の結果、マルチ・スズキ社マネサール工場での暴動へのマオイストの関与は無かったことを明らかにした旨報じている。
8月14日
*インド商工省は、2012年7月の貿易額(暫定値)を発表。同報道発表によれば、2012年7月の貿易額は、輸出224億ドル(前年同月263億ドル)、輸入379億ドル(前年同月411億ドル)で貿易赤字が155億ドル。ビジネス・スタンダード紙によれば、7月の輸出額は前年同比で14.8%減と2009年8月以降最も急激な減少であり、輸出入共に3か月連続の減少となっている。これに対して、シャルマ商工大臣は、7月の数値は懸念材料であるも、10月までには輸出が回復することを期待する旨述べ、ラオ商務次官は、欧州の経済危機がインドの輸出に影響していること、米国市場の需要も確実に現象しており、今年度の輸出目標である3,500億ドルの達成が困難な見込みを示している。
*17日付のヒンドゥー紙他は、マルチ・スズキ社が、500名の労働者の解雇及び21日からの操業の開始を発表した旨報じている。
8月17日
*インド政府発表によれば、首相府経済諮問委員会が、「エコノミック・アウトルック2012-2012年」を発表し、2012から2013年の経済成長率が6.7%であるとの見通しを発表。また、同報告書は、今季モンスーンの小雨の影響を受け、6.5-7%の範囲でのインフレ見込み、中央政府での財政不均衡の拡大への懸念、国内の農産品市場の改革や補助金の削減等の農業部門の改革の必要性、経済成長を加速化するための方策として、巨大インフラプロジェクトに対する総合的な意志決定、マルチブランド小売り分野での外国直接投資(FDI)の開放、航空部門におけるFDIの開放、石油製品に対する補助金の抑制等がの必要性について言及。
8月18日
*インド商工省は、17日の閣議において、南アジア自由貿易地域(SAFTA)の取り組みの一環として、パキスタン、スリランカに対する輸入禁止品目を30%相当(264品目)削減し、3年以内に最高関税率を5%とすることを決定したとの報道発表を行った。同決定を受け、パキスタンに対する輸入禁止品目は878品目から614品目となった。エコノミック・タイムス紙によれば、本件措置の実行は、パキスタンが同様の関税削減を行うことが条件となっているが、この背景には、12月末までの貿易正常化に向け、パキスタン側が何らの追加的措置をとっていないことがある。
8月21日
*マルチ・スズキ社・マネサール工場の操業が再開。22日付のビジネス・ライン紙他各紙によれば、工場周辺には400名以上の警察が配置される中で、100名の労働者と500名の班長・管理職が出勤。初日の生産台数は明らかにされていないが150台の半分以下と見られている。同社は27日までに2交代制での操業に戻すことを目指している。
8月23日
*フィナンシャル・エクスプレス紙他によれば、23日から鈴木修スズキ自動車会長兼社長がインドを訪問。グルガオンの施設、人事部門との会議の他、グジャラート州を訪問し、モディ同州首相に面会。26日の記者会見において、同会長はマネサール工場の正常な操業の見込みは立っていないことを明らかにした。
Ⅲ. 外交
8月2日
*2日付のインド外務省プレスリリースによれば、インドとラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の関係構築の協議のため、第1回インド・CELAC・トロイカ会合がデリーにおいて開催された。同会合には、クリシュナ・インド外務大臣、チャメル・チリ外務大臣、マドゥーロ・ベネズエラ外務大臣、シエラ・キューバ外務副大臣が参加。ヒンドゥー紙によれば、本件会合開催の背景には、CELAC諸国が、国連安保理改革、国際的金融危機、気候変動、テロ対策、対中貿易の牽制のために相互の貿易を拡大等においてインドと共通の立場を有していることが背景にある。同会合において、貿易、農業、エネルギー安全保障含む合同委員会の設置が合意された他、二国間関係では、チリとの間で、両国の貿易品目を178品目から1,000品目に拡大することに合意した。
8月7日
*インド外務省プレスリリースによれば、8月1~5及び8~12日の日程で、デディエ・レンデルス・ベルギー副首相兼外相がデリー及びアーグラー、ウダイプル及びジャイプルを訪問し、クリシュナ外務大臣の他、シャルマ商工大臣、ムクル・ロイ鉄道大臣、カラン・シン・インド文化評議会(ICCR)会長の他、ラージャスタン州首相他に面会した。8日に行われた共同記者会見において、クリシュナ外相は、両国関係の強化、インド・EU間の戦略的パートナーシップの強化について意見交換を行ったことを明らかにした。
8月24日
*24日付のインド政府報道発表によれば、8月5日の米国ウィスコンシン州でのグルドワーラー(シク教徒の寺院)襲撃事件(2名の米国市民及び4名のインド人が死亡)について、事件発生直後に、米国政府に対し、インド系住民への影響を懸念する旨外交ルートを通じて伝達、6日には、クリシュナ外務大臣が、クリントン米国務長官に対し、本件事件はインドにとって衝撃的な事件であること、米国政府がインド系住民の安全確保のために必要な措置をとることを架電にて求めた他、8日付のシン首相発オバマ大統領宛書簡についても同様の対応を求めたとしている。
8月27日
*28日付ビジネス・スタンダード紙によれば、中国を訪問中のシャルマ商工大臣と陳徳銘・中国商務部長との間で第9回印中合同経済グループ(9th session of India-China Joint Economic Group)が開催され、貿易均衡是正に向けた作業部会の設置と、両国間の経済協力のための5か年計画の立案が合意された他、インドから中国への輸出1億8,900万ドルに相当する案件の事業覚書が締結された旨報じている。
Ⅳ. 日印関係
8月9日
*インド連邦下院議会において、クマール下院議長が、広島及び長崎の原爆犠牲者を追悼する発言の後、議員全員における黙祷が捧げられた。インドの下院では、毎年8月6日又は9日に原爆犠牲者の追悼が行われている。
8月17日
*ビジネス・スタンダード紙は、国営石油・天然ガス公社(ONGC)が、クリシュナ・ゴダバリに有する鉱区の権益一部(26%)を、国際請求開発帝石株式会社(INPEX)に譲渡する予定である旨報じている。
8月23日
*インド政府報道発表によれば、JBICが、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想開発公社(DMICDC)に26%の資本出資を行うことについての閣議決定がなされた。この決定により、DMICDCの資本割合は、インド政府出資が49%又はそれ以下、JBIC26%、インドの政府系金融機関が25%又はそれ以上となる。