日印関係最新情報

月間インドニュース(2012年11月)

2012年12月12日掲載


Ⅰ. 内政
11月3日
*4日付ヒンドゥー紙は、レッディー・インド共産党(CPI)事務局長が、同党は、小売分野における外国直接投資(FDI)に関する政府の決定に反対する国会決議であればどのような動きも支持するとの姿勢を明らかにしたことを報じている。
*4日付ヒンドゥー紙によれば、3日、選挙管理委員会は、ヒマーチャル・プラデーシュ州の州議会選挙の準備が完了、4日に投票を実施することを発表。
11月6日
*7日付のヒンドゥー紙によれば、最高裁は、大気汚染を起因とするデリー市内のスモッグの懸念を明らかにし、問題の調査を命じるとともに、最高裁として緊急の対応の提案を行う旨発表。スモッグの原因は、車両からの排気ガスとみられており、特に自家用車の増加により、大気中の排気ガスのレベルが上昇していることが背景にある。
11月9日
*10日付のヒンドゥー紙によれば、9日、インド反汚職(IAC)は、スイス銀行に財産を隠避していることが疑われている人物に関する名簿を公表した。また、HSBC銀行に対し、マネーロンダリングに関与したとして抗議を行い、同銀行の従業員に辞職を呼びかけた。
11月10日
*11日付のヒンドゥー紙によれば、活動家のアンナー・ハザーレー氏が、2013年1月30日(マハトマ・ガンディー氏が暗殺された日)に全国的規模の反汚職運動を行うことを発表。
11月11日
*12日付のヒンドゥー紙は、11日、シン首相が、大衆社会党(BSP)のマヤワティ党首を招き、昼食会を開催したと報じている。同首相は、9日にも、社会主義党(SP)のムラーヤム・シン前党首を招いた夕食会を開催しており、同紙は、22日から開催が予定されている冬期国会において、全インド草の根会議派(AITC)によるマルチブランド小売業への外資規制緩和を巡る不信任案提出の動きを牽制することを狙ったもの、との見方を示している。マヤワティ党首は、同昼食会について、単なる定例の昼食会であるとコメントしているが、同席したカマル・ナート議会担当大臣は、昼食会後、政府は、国会審議が順調に行われ、重要法案が承認されることを期待していると語った。
11月15日
*16日付のヒンドゥー紙他は、全インド・コングレス党委員会(AICC)において、ラフル・ガンディー党幹事長が、選挙調整委員会の委員長に就任したことを報じている。2014年に実施が予定されている下院総選挙を視野に、同委員会及び3つのサブグループ(選挙前連携、マニフェスト・政府施策及び情報・広報)も構成された。
11月17日
*タイムス・オブ・インディア紙等インド各紙は、17日、シブ・セーナのバル・タックレー氏が亡くなり、18日にムンバイ市内において葬儀が行われた旨報じている。ムンバイ市内で行われた同葬儀には、200万人以上が参列した。
11月21日
*22日付のタイムス・オブ・インディア紙他は、21日午前7時30分に、2008年11月26日に発生したムンバイ・テロ事件の実行者であり、10名の実行者のうち唯一生存したまま逮捕されたケサブ受刑者が、プネー市内の刑務所において死刑に処され、遺体が同刑務所内に埋葬されたことを報じている。同紙によれば、ケサブ受刑者の死刑は2011年5月に確定、本年11月8日、ムカジー大統領がケサブ受刑者からの恩赦の嘆願を却下したことを受け、死刑執行の準備が進められていたとのことである。
*議会省は、インド連邦議会冬期国会を11月22日~12月20日までと発表。冬期国会では、オンブズマン制度導入法案、女性枠留保法案、指定カースト・指定部族枠留保法案、2008年保険法改正法案及び年金基金規制法案が審議される予定。
11月25日
*26日付ヒンドゥー紙は、アールビンド・ケジリワル氏が、一般市民党(アーム・アードミー党; AAA)の議長に選ばれたことを報じている。集まった支持者に対して、同氏は、今後1年かけて全国を行脚し、コングレス党及びインド人民党を「暴き」、またAAAへの支持を呼びかけたいとしている。翌26日には、デリー市内で集会が開催され、党名が正式に発表された。
11月30日
*1日付インディアン・エキスプレス紙他は、I. K. グジュラール元首相が、デリー近郊のグルガーオンの病院において、92歳で亡くなり、インド政府は7日間の喪に服すことを決定したことを報じている。同首相の葬儀は12月1日に行われた。

Ⅱ. 経済
11月3日
*3日付のヒンドゥー紙によれば、インド政府は、コングレス党内外の強い反対を受け、家庭用のLPGガス・シリンダーの価格の引き上げを留保するとともに、補助金付シリンダーの購入数の上限(1家族につき、1年間6本)見直しを検討していることを報じている。同紙によれば、デリーにおいては、補助金付きシリンダーの価格が410ルピーであるのに対し、補助金無しシリンダーの価格は2倍近いとのことである。
11月4日
*5日付ヒンドゥー紙は、4日、デリー市内において開催されたコングレス党集会において、ソニア・ガンディー同党総裁が、シン首相が進める外国直接投資(FDI)規制緩和や、燃料価格の引き上げ等の経済政策を支持する旨の演説を行ったことを報じている。
11月6日
*6日付のヒンドゥー紙は、インド工科大学の学費が、年間5万ルピーから9万ルピーに引き上げられる見込みであると報じている。本件は、来年1月にIIT学長等により議論され、決定に至る予定。
11月7日
*8日付のヒンドゥー紙は、マルチ・スズキ社を解雇された労働者が、逮捕された労働者の釈放を求め、7日から2日間のハンガー・ストライキを開始したことを報じている。
11月8日
*9日付フィナンシャル・エキスプレス紙は、サイラス・ミストリー・タタ・サンズ副会長が、タタ・パワーズ会長及びタタ・コンサルタンシー・サービシーズ(TCS)副会長に就任した旨報じている。同氏は、5日タタ自動車の副会長にも就任している。
11月12日
*エコノミック・タイムス紙他によると、12日、インド商工省は、10月の貿易額(暫定値)を発表。10月のインドの輸出は6ヶ月連続で前年同月比減少となり、貿易赤字は過去12ヶ月で最高額となった。
11月18日
*18日付ヒンドゥー紙は、インド鉄道省が、官民連携方式(PPP)による鉄道案件への投資を可能とするためのガイドラインの策定及び鉄道運賃の値上げについての二つの閣議決定を用意していることを報じている。鉄道運賃の値上げは、二等と寝台車が対象となっており、この値上げにより400億ルピーの支出ギャップを埋め、収支のバランスをとることで、インド国鉄の持続可能な発展を確保することが狙い。PPPについては、一般的なインフラ整備における政府のガイドラインがあることから、計画委員会関係者は、鉄道省の動きに懐疑的な見方を示していると報じている。
11月20日
*21日付のヒンドゥー紙は、IKEAが19日に外国投資促進委員会(FIPB)の承認を得た旨報じている。
11月29日
*29日付のヒンドゥー紙は、アンドラ・プラデーシュ州の停電の影響を受け(段階的に電気供給量が減少しており、先月からは50%程度の電力供給減となっている)、生産量が半減したことに伴う氷価格の上昇が、同州の漁業に大きな打撃を与えていることを報じている。製氷業者は、電力価格の上昇及び安定供給について州高裁に提起しているとのことである。

Ⅲ. 外交
11月2日
*3日付ヒンドゥー紙は、2日、デリー近郊で開催された環インド洋地域協力連合(IOR‐ARC)において、米国の対話国としての参加が認められたこと、同連合において海洋安全保障の問題を優先的に協議することが決定されたことを報じている。米国のオブザーバー参加について、既にオブザーバー参加をしている中国政府関係者は、今後中国がメンバーとしての地位を認められることを期待している旨述べたとのことである。
*4日付ヒンドゥー紙によれば、2日、ソウルにおいて、チダンバラン財務大臣及び朴韓国企画財政部長官との間で、マクロ経済についての意見交換、財政上の協力、租税条約の改定、両国の税関システムを近代化するための協力と税務当局間同士の情報交換等についての協議を行ったとのことである。かかる対話は両国において3回目となり、インド財務省の発表によれば、両国関係の強化及び両国間協力の拡大が期待されるとのこと。
11月3日
*4日付ヒンドゥー紙は、3日にムカジー大統領が、カレエダ・ジア・バングラデシュ前大統領と面会し、両国の友好関係と協力関係強化について意見交換を行ったことを報じている。
11月4日
*5日付ヒンドゥー紙は、英国内の経済状況に鑑み、新興国への経済援助を停止するよう求める国内の声を受け、英政府が年間約2億800万ポンドの対インド援助を停止する見込みであることを報じている。
11月6日
*7日付のヒンドゥー紙は、インドを訪問中のハーパー・カナダ首相がシン首相と会談を行い、1974年のインドの核実験以降両国間に存在した不信感を除去すべく、両国間協力について意見交換をしたことを報じている。同報道によれば、両国は、カナダからインドへのウランの輸出を可能とする枠組みの協議について決着した他、社会保障協定の署名を行った。また、パンジャーブ州出身のコール外務担当閣外大臣から、カナダのシク教徒の間で、カーリスターン運動が活発化していていることについてのインド政府の懸念を伝えたのに対し、ハーパー首相は、インド系カナダ人の大部分はインドとの関係強化を望んでいるおり、かかるインド系カナダ人はごく少数に留まる旨回答したとのことである。
11月8日
*9日付のヒンドゥー紙によれば、インドを訪問中のヘーグ英外相は、8日、クルシード外相と会談し、テロ対策、防衛、原子力協力、アフガニスタン、パキスタン及びシリアの情勢について意見交換を行った。共同記者会見において、ヘーグ外相は、輸出管理レジームへのインドの参加を支持、また、国連安保理についてもインドの常任理事国入りを楽しみにしている旨発言した。英政府からのインドへの援助打ち切りについて問われたクルシード外相は、「援助は過去の出来事であり、両国の将来は貿易である」旨回答した。英政府は、ジャンムー・カシミール州の治安状況の変化に応じて、同地域への英国民の渡航禁止を解除したことを発表。また、両政府は、サイバー・セキュリティーに関する共同声明を発表した。
11月12日
*12日、インド外務省発表によれば、カルザイ・アフガニスタン大統領は、ムカジー大統領の招待にて、9日~13日、インドを公式訪問した。両政府は、共同声明を発表し、戦略的パートナーシップの下での両国の協力を確認するとともに、地方政府を通じた小規模開発計画への無償援助、肥料分野での協力、青少年分野及び石炭鉱物資源開発の協力に関する覚書を締結した。カルザイ大統領は、ニューデリーの他ムンバイも訪問し、インドのビジネスリーダーが参加するビジネス会合にも出席。同大統領には、ラスール外相、スパンタ大統領顧問、ラヒン文化情報大臣が同行した。
11月14日
*15日付インディアン・エキスプレス紙他は、14日、インドを訪問中のミャンマーのアウン・サン・スー・チー・ミャンマー国民民主連盟党首がシン首相と30分に亘る会談をおこなった他、ジャハラルラル・ネルー記念公演を行った旨報じている。
11月16日
*17日付のヒンドゥー紙は、スー・チー氏が、母校のデリー大学レディー・シュリラーム校を訪問し、学生への公演を行ったことを報じている。スー・チー氏は、学生に対し、ミャンマーは、完全な民主化を達成しているとは言えず、民主化に向けインドの支援が必要であること、また、どんな困難に直面しても主義を貫くことが重要であることについて語ったとのことである。
11月17日
*18日付ヒンドゥー紙は、17日、7日間のパキスタン訪問を終えパトナに帰国したニティーシュ・クマール・ビハール州首相が、パキスタンの人々は、インド国民への親愛であふれており、滞在を通じてパキスタン国民からインド国民への親愛の情を感じることができた旨語ったことを報じている。同州首相は、ザルダリ大統領やシンド及びパンジャーブ州首相と面会。パキスタン側は、社会的セクターにおけるビハール州の取り組みとその成果に関心を有しており、意見交換を行ったとされる。クマール州首相は、シンド州での演説において、同州首相の下での州行政における法と秩序の問題への取り組みについて説明した他、開発における平和の重要性を強調したとのことである。
11月19日
*19日付のヒンドゥー紙は、プノンペンで同日に予定されている温家宝首相との間の印中首脳会談に向け、両政府は、従来の貿易均衡やインドの医薬品やIT等の中国へのマーケットアクセスの問題に加え、インドのインフラ整備や製造業について両国間で意見交換を行う予定であることを報じている。
11月20日
*21日付のヒンドゥー紙によれば、中国政府が、26日にニューデリーにおいて印中戦略的経済対話を実施する予定であることを明らかにした旨報じている。中国側は、張国家発展改革委員会委員長が議長を努め、中国政府機関、金融・研究機関関係者が参加、インド側はアルワリヤ国家計画委員会副委員長が議長を務める。昨年9月に北京で開催された第1回会合においては、インドの高速鉄道構想における協力についても協議が行われたが、今回のインド訪問には、中国の国営車両メーカーであるCNR社関係者も同行する予定。両国は、鉄道以外のインフラ整備、エネルギー、環境等についても協議を行うとのことである。また、同紙によれば19日にカンボジアで行われた両国の首脳会談では、印中の両首脳は、インフラ分野における協力の構築に合意したとのことである。中国政府は、インドのインフラ案件に投資するよう中国企業を促し、また、中国政府の体制に変更があろうとも、対インド関係に影響がないことを強調したとのことである。
11月26日
*27日付ビジネス・スタンダード紙他は、26日、デリーにおいて、第2回印中戦略的経済対話が開催されたことを報じている。インド側議長を務めるアルワリヤ国家計画委員会副委員長は、記者から、中国による対インド投資についての安全保障上の懸念について問われたのに対し、特定の分野における懸念は存在するものの一般的に問題がある訳ではなく、安全保障関連の問題については議論を行わなかった旨答えたとのこと。両国は、昨年9月に開催された第1回対話において、5分野における作業部会を立ち上げ、本年8月から9月にかけて北京において作業部会を開催している。
11月26日
*27日付ヒンドゥー紙は、26日、デリーを訪問中のシャーマン米国務省次官補が、クルシード外務大臣及びマタイ外務次官との間で、両国の原子力協力、査証を中心とした米国に在住するインド人専門家に関する問題、テロ問題、防衛問題等について幅広い意見交換を行ったことを報じている。

Ⅳ. 日印関係
11月14日
*15日付ヒンドゥスタン・タイムス紙他は、日本の政局を受け、14日、シン首相は、年次の首脳会談のための訪日を延期した旨報じている。延期の決定は、野田総理が衆議院を11月16日に解散し、12月に総選挙を実施すると発言した後に行われた。
11月16日
*16日付ヒンドゥー紙は、日本の政局のためにシン首相が訪日を延期したことを受け、野田総理がシン首相に架電の上、両首脳は両国間の戦略的グローバル・パートナーシップの重要性を確認するとともに、社会保障協定及びレアアースの協力に関する当局間文書の署名について合意したことを報じている。