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日印関係最新情報

月間インドニュース(2019年12月)

2020年1月27日掲載


1 内政
【連邦政府/連邦議会】
12月9日:「市民権法改正法案」(CAB:Citizenship Amendment Bill, 2019)が下院で可決されたことを受け、翌10日からアッサム州内各地でデモが発生。

12月11日:「市民権法改正法案」が上院でも可決されたことを受け、アッサム州内各地におけるデモが拡大。
以後、2019年改正市民権法は、The Citizenship (Amendment) Act, 2019(CAA)となった。

12月13日:冬期国会が閉会。会期中、下院議会において18法案が提出された。下院は14法案を、上院は15法案をそれぞれ可決した。「市民権法改正法案」を含む15の法案は、両議院において通過し、法として成立した。

12月24日:2021年に国勢調査の実施及びアッサム州以外におけるインド居住者登録(National Population Register、NPR(注:外国人も含めたインド居住者のリスト))の更新を実施することが閣議決定された。

【コングレス党】
12月4日:資金洗浄容疑で収監されていたチダンバラム元財務大臣が保釈された。

【アッサム州】
12月10日:レディ内務副大臣は、下院議院において、国民登録簿(NRC)更新版からの登録除外者のうち、10月までに異議申し立てを行った12万9千人が外国人と認定され、11万4千人がインド国民であると認定された旨述べた。

12月12日:アッサム州都グワハティ市内及びディブルガル市内を中心に各地で抗議運動が発生。現地報道によれば、グワハティにおいて、警察の発砲により、「改正市民権法」に対する抗議行動の参加者少なくとも3名が死亡、多数の負傷者が発生した。

12月17日:グワハティにおける外出禁止令が撤回された。

【メガラヤ州】
12月12日:シロンで投石等のCAAに反発する抗議活動が起こり、外出禁止令が敷かれ、モバイル・インターネットが遮断された。

【トリプラ州】
12月12日:コングレスによるスト呼びかけを受け、州内の多くの学校が休校となり、一部地域では商店もストを行ったほか、複数の列車がキャンセルされた。
 
【西ベンガル州】
12月14日~15日:CAAに反発する抗議活動により、州内で複数の列車やバスが放火され炎上した。 15日、抗議活動の拡大を受け、州政府は州内の6県でモバイル・インターネットを遮断した。

【デリー準州】
12月13日~15日:デリー市内のジャミア・ミリア・イスラミア大学(JMI)の学生や教職員等による投石抗議活動が行われ、抗議活動側及び治安当局双方合わせて数十人が負傷した。 14日、JMIは1月5日までの大学の閉鎖を発表した。また、学生や活動家等数千人が、デリーのジャンタル・マンタルにおいて抗議活動を行った。15日、JMI周辺の一部が暴徒化、市バスや車両が放火され炎上するとともに警察との衝突により数十人が負傷した。これを受け、デリー警察がJMIに突入し学生等を拘束。大学に対する警察の実力行使を受け、他の大学の学生の間でも反発が強まり、デリー警察本部前でネルー大学の学生等による大規模な抗議活動が行われた。

12月17日:デリー東部のシーランプルにおいて、CAAに反対する約2000人規模の抗議運動が発生し暴徒化。投石を行ったほか、バスや車両が放火された。これに対し、警察は催涙弾等を用いて暴動を鎮圧。衝突により、少なくとも警察官2名が負傷した。

【ウッタル・プラデシュ州】
12月13日:アリーガル市内では、アリーガル・ムスリム大学(AMU)の学生や教職員による抗議活動の拡大を受け、モバイル・インターネットが遮断された。AMUは1月5日までの閉鎖を決定した。

12月22日:UP州内で2名が死亡し、CAA抗議活動による州内での死者は累計18人に達した。

【ジャールカンド州】
12月23日:12月20日に投票された州議会選挙の開票が実施され、ジャールカンド解放戦線(JMM)が第一党となり、コングレス及び国民人民党(RJD)と連立政権を樹立した。BJPは第二党となり、州政権を手放さざるを得なくなった。

2 経済
12月5日:インド準備銀行(RBI)は金融政策委員会(MPC)会合を開催した。

12月20日:インド通信省デジタル通信委員会は、2020年3~4月に周波数オークションを行うことを承認。同オークションは、過去最大規模で、4G又は5G用の8300MHz幅を対象としており、5兆ルピー超を政府にもたらす見込み。

メモ:金融政策委員会(MPC)ステートメントのポイント
●政策金利(レポ・レート)は5.15%のまま据え置き。
●金融政策に対するスタンスを「緩和的(accommodative)」で維持。また、政策スタンスの先行きについては、「インフレ率がインフレ目標範囲内に留まることが確認される間、経済成長を享受するために必要な限り」とのフォワードガイダンスは前回に引き続き維持。
●インフレ率の見通しについてはそれぞれ引上げ、2019年度下半期は4.7~5.1%、2020年度上半期は3.8~4.0%。
●2019年度の実質GDP成長率は6.1%から5.0%へ引下げ(同年度下半期は4.9~5.5%、2020年度第一四半期は5.9~6.3%)。

3 外交
(印豪関係)
12月10日:第3回印豪次官級2+2協議が開催され、インド太平洋における平和・繁栄を確保するため、防衛・安全保障協力を促進することに合意した。

(印米関係)
12月18日:米国ワシントンDCにて、第2回印米閣僚級2+2協議が開催された。

(印中関係)
12月21日:ニューデリーにて、ドヴァル国家安全保障担当補佐官及び王毅・中国外交部長をヘッドとした第22回印中国境問題に関する特別代表会合が開催された。

4 日印関係
12月5日~6日:パンジャブ州(ハリアナ州の州都でもある)チャンディーガルにおいて「パンジャブ州投資イベント」が開催され、日本がパートナーカントリーとして参加。中小企業、スタートアップ、農業・食品、第4次産業化、新モビリティ、ヘルスケア、繊維、IT、観光の各セッションが開催された。

今月の注目点(その1):「市民権法改正法」(CAA)
●CAA(Citizenship Amendment Act)は、インド近隣の3つのイスラム教国家(パキスタン、バングラデシュ、アフガニスタン)からの、ヒンドゥー教、シク教、仏教、ジャイナ教、拝火教、キリスト教に属する不法移民(=ムスリム以外の不法移民)を、宗教的な難民と見做しインド市民権を付与するために、既存の市民権法に条項を追加する法。上記の条件を満たし、2014年12月31日までにインドに入国した者が市民権付与の対象とされる。
●バングラデシュと国境を接するインド北東部では、印パ独立、特に1971年のバングラデシュ独立以来、不法移民の流入が続き、問題となってきた。北東部の人々は、流入した不法移民により地域における就業の機会等が奪われること等の懸念に加え、元々人口の少ない先住民族が、地域における少数派に追いやられる事への懸念から、不法移民の一部に市民権を与えるCAAに強い反発を示してきた。
●モディ政権は、インド北東部の強い反発を受け、北東部の大部分をCAA適用から除外する条項をCAAに追加。他方、一部の丘陵部を除くアッサム州及びトリプラ州にはCAAが適用される。

今月の注目点(その2):ジャールカンド州議会選挙
12月23日に開票が行われた同州議会選挙の選挙結果は以下のとおり。
前回州議会選挙(2014年)では、BJPが連立政権を担い、また今年5月の下院選挙でも同州で圧倒的強さを見せていたが、今次州議会選挙では単独で選挙戦を戦ったBJPが議席を大きく減らした結果となった(2014年:37議席→2019年(今回):25議席)。(括弧内の数字は前回州議会選挙での獲得議席数を表す)

ジャールカンド州(全81議席)
BJP (インド人民党)          25議席(-12)
AJSU(全ジャールカンド学生組合党)   2議席(-3)
JMM(ジャールカンド解放戦線)     30議席(+13)
コングレス               16議席(+10)
RJD(国民人民党)            1議席(+1)
JVM(P)(ジャールカンド開発戦線)   3議席(-5)
NCP(国民主義会議派)          1議席(+1)
BSP(大衆社会党)            0議席(-1)
その他                  3議席(-2)