
1. 内政
【選挙管理委員会】
10月6日:印選挙管理委員会は、チャッティースガル州、マディヤ・プラデシュ州、ミゾラム州、ラジャスタン州、テランガナ州での州議会選挙の日程を発表した。
メモ:州議会選挙日程
(チャッティースガル州(全90議席))
投票日 (第1フェーズ)11月12日(月)、(第2フェーズ)11月20日(火)、開票日 (両フェーズ) 12月11日(火)
(マディヤ・プラデシュ州(全230議席)及びミゾラム州(全40議席))
投票日 11月28日(水)、開票日 12月11日(火)
(ラジャスタン州(全200議席)及びテランガナ州(全119議席))
投票日 12月 7日(金)、開票日 12月11日(火)
【連邦政府/連邦議会】
10月15日:複数の女性ジャーナリストの告発により、ジャーナリスト時代のセクハラ疑惑を受けていたアクバル外務担当閣外相は、女性記者1名に対し、名誉毀損を禁じる刑法に反しているとしてデリー下級裁判所に訴状を提出した。17日、同閣外相は個人として法廷の場で正義を追求するとして辞任を表明した。
10月21日:各報道機関は、中央捜査局(CBI)が15日にアスターナーCBI特別長官(CBIの次席ポスト)を2017年の収賄容疑でFIR(注)を登録したと報じた。22日、モディ首相はヴァルマCBI長官及びアスターナーCBI特別長官を審問した。23日、政府は2名を退任させ、ラオ局長を臨時長官として任命した。24日、ヴァルマ長官は、この処置が違法であるとして最高裁に訴状を提出した。
(注:インドでは、捜査機関はFIR(First Information Report)を作成・登録しなければ、捜査を開始することができない。)
10月21日:モディ首相は、1943年にネタジ・スバス・チャンドラ・ボースによって設立された「自由インド仮政府」の75周年記念式典に出席し演説をおこなった。
2. 経済
【ガソリン及び軽油に係る基本物品税率の引下げ】
10月4日:印財務省は、ガソリン及び軽油に係る中央政府分の基本物品税率を1リットル当たり1.50ルピー引き下げる旨の通達に加え、国営石油販売会社に対して販売価格の1ルピー切下げを依頼し、1リットル当たり計2.5ルピーの切下げを公表。更に印政府は州政府に対して州政府分のガソリン及び軽油に係る物品税の引下げを要請した。
3. 外交
【第1回ISA(国際太陽光同盟)総会】
10月2日:第1回ISA総会がデリーで実施され、モディ首相が演説を行った。
【国連】
10月1日-4日:グテーレス国連事務総長が訪印し、モディ首相を表敬したほか、スワラージ外相と会談した
【印露関係】
10月4日-5日:プーチン露大統領が訪印し、モディ首相と会談したほか、印露間で合意文書の交換及び共同声明が発出された。また、プーチン露大統領はコヴィンド大統領と会談した。
メモ:印露共同声明
昨年6月のモディ首相訪露の際に外交関係70周年を祝して発出された包括的な共同宣言より更に長い68パラグラフに及ぶ声明。5月のソチでの非公式首脳会談の意義を含め、最近の印露関係の緊密さを強調。
【印タジキスタン関係】
10月11日-12日:スワラージ外相はタジキスタンを訪問し、ドゥシャンベで実施された第17回SCO首相会合に参加したほか、サイドラインでアブドッラー・アフガニスタン行政長官と会談した。また、スワラージ外相は、ムフリッディン・タジキスタン外務大臣と会談したほか、インド人コミュニティーに対して演説を行った。
【印仏関係】
10月11日-12日:シタラマン国防相は訪仏し、パルリ仏軍事大臣と会談したほか、フィリップ仏首相を表敬した。
【印スリランカ関係】
10月17日:シリセーナ・スリランカ大統領はモディ首相に架電し、シリセーナ大統領及びスリランカ前国防次官の暗殺計画疑惑について、インドが何らかの形で関与していると自分(シリセーナ大統領)が示唆している、という一部報道を断固として否定する旨述べた
10月18日-20日:ウィクラマシンハ・スリランカ首相がインドを公式訪問し、モディ首相と代表団協議を行ったほか、スワラージ外相等からの表敬を受けた。
メモ:印外務省発表プレスリリース(一部抜粋)
○今次訪問は、最高レベルでのスリランカ政府との継続的な対話(engagement)の一環である。
○この多面的なパートナーシップは最高レベルでの緊密な関係、貿易・投資の促進、広範な開発協力、教育・健康・インフラ、連結性、能力構築、人的交流の拡大に関する分野の連携強化を特徴としている。
○両首脳は、二国間関係のあらゆる分野と歴史的に緊密で友好な関係を一層深化させるための手段について議論した。両首脳は地域とグローバル課題について意見交換を行った。
○また、両首脳は、2017年4月と11月のスリランカ首相の訪印、同年5月の国際ウェサック・デー期間中のモディ首相訪スリランカ及び2018年3月の国際太陽光同盟会議参加のためのスリランカ大統領の訪印等、最近のハイレベルでの意見交換で合意した様々な分野の履行の進捗状況についても議論した。
【印ブータン関係】
10月19日:印首相府は、モディ首相が、前日(18日)に実施された第3回ブータン下院総選挙で勝利したロティ・ツェリン・ブータン協同党(DNT:Druk Nyamrup Tshogpa)党首と電話会談を行った。モディ首相は、ブータン国民と政府の優先事項と関心に基づき社会と経済の変化を国家目標とするブータン新政権に対し、インドは確固たるコミットメントをしていくと繰り返し述べ、ツェリンDNT党首をインドへ招待した。
【印カタール関係】
10月28日-30日:ムハンマド・カタール副首相兼外務大臣からの招待を受け、スワラージ外相はカタールを訪問し、タミーム首長を表敬したほか、ムハンマド副首相兼外務大臣と代表団協議を行った。また、スワラージ外相はインド人コミュニティーに対して演説を行った。
4. 日印関係
【日印関係】
10月28日-29日 モディ首相の訪日(今月の注目点)
今月の注目点:モディ首相の訪日(日印首脳会談)
10月29日(月曜日)18時10分から19時20分まで、安倍総理大臣は、訪日中のインドのモディ首相と日印首脳会談を行ったところ、概要以下のとおり。
なお、会談終了後、両首脳は日印共同声明に署名した。
1. 冒頭
安倍総理から、年に一度の相互訪問は日印関係飛躍の原動力、強いインドは日本のためになり、強い日本はインドのためになる、日印関係は世界で最も可能性を秘めた二国間関係であり、モディ首相と共にその潜在力を全面的に開花させ、地域や世界の平和と繁栄のため貢献していきたい旨述べた。これに対し、モディ首相から、日本側の歓迎に感動、安倍総理の別荘にお招きいただいたことは一生忘れない、強いインドと強い日本はアジアのため、世界のために役割を果たすことができる、歴史ある二国間関係を新しい分野に広げ、交流を強化したい旨述べた。
2. 安全保障
安倍総理から、閣僚級2+2の立ち上げを歓迎、日印両国で地域の連結性を高めるため、バングラデシュ等における協力案件を進めていく旨述べると共に、物品役務相互提供協定(ACSA)の正式交渉開始、海洋安全保障に関する海上自衛隊とインド海軍の協力取決め作成、全軍種間での交流強化、日印宇宙対話の立ち上げ等、着実な協力の進展を歓迎する旨述べた。
モディ首相から、安全保障での協力が進展している、閣僚級2+2の立ち上げや各軍種での協力の進展を評価、今後は海や宇宙での協力が重要であると述べつつ、ACSAの交渉開始、日印宇宙対話、防衛装備協力に言及した。US-2については、引き続き両国で協議をしていくことで一致した。
3. 経済協力、高速鉄道
安倍総理から、高速鉄道では新たな円借款供与等、着実な進展を歓迎、インド在来線の鉄道安全に貢献すべくJICA技術協力を実施中、高速鉄道や連結性強化に資するインド北東部での橋梁建設等を含む7件の円借款供与を決定した旨述べた。モディ首相から、高速鉄道のプロジェクトの進捗を歓迎、日本側の協力に感謝、円借款を含むODAをインド国民は高く評価しており、感謝している旨述べた。
4. 経済関係
安倍総理から、日印通貨スワップの合意に言及しつつ、日印デジタル・パートナーシップの下でスタートアップやIT人材交流の促進、「インド長寿化計画」と日本のアジア健康構想の連携、食品加工等の農業分野での協力、新たな日本式ものづくり学校の開校、特許審査ハイウェイを通じた投資促進、日印エネルギー協力転換プラン合意を含むエネルギー分野での協力等を進めていきたい旨述べた。モディ首相から、日本企業の投資・進出、メイク・イン・インディアへの貢献を歓迎、IT、エネルギー、保健、農業分野における日本との協力を重視しており、協力を具体化していきたい旨述べた。原子力協力について、昨年の合意に基づき作業部会で引き続き議論を進めていくことで一致した。
5. 人的交流
安倍総理から、2020年の東京五輪に向け、観光、ビジネス、スポーツ、有識者、地方政府、国会議員等の人的交流を抜本的に拡大したい、来年1月からのインド国民に対する更なるビザ緩和を決定、デリーでの日本語教師育成センター立ち上げへの協力に感謝、日本語普及に向け、引き続きモディ首相の協力を得たい旨述べた。モディ首相から、人的交流の拡大に賛意を示し、査証緩和を歓迎した。
6. グローバル課題
(1)太陽に関する国際的な同盟(ISA)
安倍総理から、日本はインドが主導する「太陽に関する国際的な同盟」(ISA)の枠組協定の受諾を決定、エネルギー転換・脱炭素化に向けた世界的な取組強化に向けて一層緊密に連携していきたい旨述べた。モディ首相から、日本の枠組協定受諾を歓迎する旨述べた。
(2)国連改革
両首脳は、安保理改革で具体的進展を得るべくG4の取組を加速していくことで一致した。
(3)軍縮・不拡散
安倍総理から、日印両国は核兵器のない世界の実現という目標を共有、日本はNPT普遍化、CTBT早期発効を重視しており、対話を続けたい旨述べた。
モディ首相から、核兵器のない世界を目指すことは共通の目標であると述べた。
(4)東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、WTO
安倍総理から、保護主義への懸念が高まる中、自由で開かれたインド太平洋を実現し、RCEP交渉の年内の実質的な妥結を、インドを含めた16カ国で実現するために、世耕経産大臣とプラブー商工大臣にしっかり取り組んでもらう旨述べた。また、多角的貿易体制維持・強化のためWTO改革は重要である旨述べた。 モディ首相から、RCEPでもよく協力していきたい旨述べた。
(5)シップリサイクル
安倍総理から、インドのシップリサイクル条約の早期締結を期待する旨述べた。
【地方日程】
(非公式昼食会)
10月28日、午後1時10分から約90分間、山梨県のホテルマウント富士において、安倍総理大臣は、訪日中のモディ首相との非公式昼食会を行ったところ、概要は以下のとおり。
この昼食会には、日本側から西村康稔内閣官房副長官、谷内正太郎国家安全保障局長、インド側からアジット・ドバル国家安全保障補佐官、ヴィジャイ・ゴーカレ外務次官他が同席した。
1. 安倍総理大臣とモディ首相は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、地域情勢や連結性強化のための日・インド協力について幅広く意見交換を行った
2. 安倍総理から、昨日までの中国訪問について説明すると共に、北朝鮮情勢については、朝鮮半島の非核化に向けて日印で協力していくことで一致した。また、南アジア情勢についても意見交換を行った。
(非公式夕食会)
安倍総理大臣はモディ首相を自身の別荘に招き、食事をともにしながら、非常に和やかな雰囲気の中で幅広く意見交換を行った。安倍総理が総理大臣として外国要人を別荘に招くのは今回が初めてで、通訳のみが同席した。
[参考]モディ首相訪日
10月27日~29日、実務訪問賓客として訪日。2014年9月、2016年11月に続き3回目の訪日となる。