日印関係最新情報

月間インドニュース(2013年5月分)

2013年6月10日掲載


月間インドニュース(2013年5月分)
内政・経済・外交・日印関係を分かり易くまとめておとどけします。

Ⅰ. 内政
5月5日
*インド選挙管理委員会及び9日付ヒンドゥスタン・タイムズ(HT)紙によれば、5日に実施されたカルナタカ州下院選挙にて、政権与党であったBJPが惨敗を喫し、コングレス党が過半数を制して政権交代を果たした。コングレス党が42議席増の121議席、BJPが70議席減の40議席、JD(S)が12議席増の40議席、その他22議席となった。定数は225議席。
5月8日
*2月20日に開幕した予算国会は、8日に閉幕した。
5月10日~11日
*大統領府発表及び各種報道によれば、10日、バンサル鉄道相及びクマール法務相が辞任し、11日、ジョシ道路交通相が鉄道相を、シバル通信IT相が法務相を兼務することとなった。バンサル鉄道相は、鉄道省人事を巡る贈収賄容疑事件への関与が疑われていた。クマール法相は、炭坑鉱区払い下げを巡るコール・ゲート事件の調査に介入したとの批判を浴びていた。
5月22日
*22日付メール・トゥデー紙は、次期総選挙に関し、同紙グループ会社が3~5月に実施した世論調査の結果を発表した。右調査の結果は以下の通りであり、BJPが第一党となる見通し。
(1)モディ州首相が国民民主連合(NDA)の次期首相候補となる場合は、NDA220議席(前回152議席)、統一進歩連合(UPA)155議席(前回227議席)、諸地域政党168議席(前回164議席)。
(2)モディ州首相以外の者がNDAの次期首相候補となる場合は、NDA179議席、UPA132議席、諸地域政党232議席。
5月25日
*HT紙他によれば、25日、チャッティースガル州バスタール県において、極左過激派(マオイスト、ナクサライト)によるコングレス党州幹部を乗せた車列に対する地雷及び銃を使用した襲撃が発生した。これにより、ナンド・クマール・パテル同州コングレス党代表やマヘンドラ・カルマ同州党幹部他27名が死亡した。
5月27日
*27日付HT紙は、5月前半に調査会社(Gfk Mode)が実施した次期総選挙に関する世論調査結果を発表。「次期首相に最も適している人物は? 」との問いに対する回答は、モディ・グジャラート州首相38%、ラフル・ガンディー・コングレス党副総裁23%他となった。

Ⅱ. 経済
5月7日
*7日付ファイナンシャル・エクスプレス紙は、ドイツの自動車メーカー,ダイムラーのインド法人DICVが、三菱ふそうトラック・バス社のトラック生産を開始する予定と報じている。同社は、価格競争の激しいアジア・アフリカ市場にも進出すべく、三菱ふそうトラック・バス社のブランド名で売り出すとの決定に至った。
5月12日
*12日付当地ヒンドゥー・ビジネス・ライン紙によれば、インドの主要企業が最近発表した12年度第4四半期(13年1月~3月期)決算結果は、依然芳しくない景気の様相を露呈させた。決算を終えた上場509社の第4四半期の売上は前年同期比6.3%増、営業利益は同4.7%増、純利益は同マイナス4.4%。
5月13日
*13日、インド商工省は2013年4月の貿易額(暫定値)を発表。各紙とも、4月は輸出が前年同月比で約1.7%成長となったものの、金の輸入が急増した結果、貿易赤字が大幅に増加したなどと報じた。
5月15日
*8日付ビジネス・スタンダード紙によれば、インド化学肥料省医薬部は、特定の医薬(348種)については、1%以上の市場シェアを有する医薬商品の平均価格を販売上限価格とする旨の薬価統制に関する通達を発出した。1%以上の市場シェアを有する医薬商品の価格を単純平均した価格が、上限価格として固定される。医薬品メーカーは、上限価格が公表された後45日以内に自社の医薬商品の価格をこれに合わせなければならない。
5月31日
*31日、インド政府中央統計局(CSO)は、12年度第4四半期(13年1月-3月)の実質GDP成長率を4.8%、12年度通年(12年4月-13年3月)の実質GDP成長率を過去10年で最低の5.0%と発表。

Ⅲ. 外交
5月5日
*6日の外務省発表及び6日付HT紙他各紙によれば、4月15日、中国軍が、インド・カシミール・ラダック地方北部のデサン渓谷に実効支配線(LAC)を越えて侵入して野営地を設営し、以来、インド側も同規模の国境警備隊を付近に対峙させていた事案について、5日、中国側が撤退に合意した。
5月9日
*10日付HT紙他によれば、9日、北京にて印中外相会談が行われ、クルシード外相は、会談後、記者団に対し、実効支配線での出来事につき話し合い、前向きな反応を得たとしつつも、中国側から侵入の背景の説明はなく、インド側からもそれを尋ねなかった旨述べた。
5月13日
*13日付HT紙は、インドは、中国にどのように見られるかを懸念し、4月、グアム沖での日米との海軍演習計画から突然離脱したと報じている。その代わり、インドは地政学的に影響の少ない日米それぞれとの二国間の演習については継続する。当初、インド国防省は、日本の沖縄沖での演習実施を希望していたが、中国を刺激しないよう軍事演習は当分の間は二国間で維持すべきとの考え方を示し、三カ国合同から離脱した。
5月20日
*20日、デリーにおいて、シン首相と李克強・中国首相との首脳会談が行われた。首脳会談後に行われた両首脳による共同記者発表によれば、シン首相は、国境問題について、印中関係が成長と拡大を続ける基礎は、国境の平和と平穏である、また、両国の特別代表者が近く会合し、公正、合理的及び相互に受け入れ可能な国境問題の解決のための枠組みについて早期に合意が得られるよう議論を続けることで一致した旨述べた。
*首脳会談後に発表された共同声明では、定期首脳相互訪問に合意した他、中国企業による対印投資やインフラ開発への参加を歓迎し、また、本年中に合同訓練の実施で一致した。国境問題については、これまでの合意に従い、国境地域の平穏の維持に協力するとした。河川問題については、越境河川に関する協力を更に強化するとした。 国際問題については、最近、アフガニスタンやテロに関する協議を実施したとした上で、間もなく海洋や軍縮・不拡散・軍備管理に関する協議を実施する予定とした。アジア太平洋地域については、優先事項は、国際法の基本原則の遵守を基礎とする透明・平等で開かれた包括的な安全保障と協力の枠組を設立することであると考えているとした。
5月21日
*21日、李克強・中国首相は、ムンバイを訪問し、チャバン州首相や経済界の代表(ミストリ・タタ会長他)と会談した他、印中ビジネス協力サミットに出席した。
5月20~22日
*20日~22日、カルザイ・アフガニスタン大統領はインドを訪問した。インド外務省発表によれば、21日、シン首相及びムカジー大統領とそれぞれ会談し、同日、シン首相はカルザイ大統領と一行のために晩餐会を開催した。また、デリー滞在中、同大統領は、アドバニBJP議会団長やインド工業連盟(CII)のCEOらとも会談した。

Ⅳ. 日印関係
5月4日
*ミント紙及びデカン・ヘラルド紙によれば、インドを訪問した麻生副総理は、4日、講演会にて、「日印両国は、共に海洋民主主義国家であり、西太平洋で起こることはインドの利益に影響し、インド洋海域で起こることは日本の利益に影響する。両国の海上保安当局及びインド海軍と海上自衛隊の協力をさらに推し進め、共同訓練をより定期的に行うことが必要」と述べた。
5月17日
*インド商工省発表及び各紙は、16~18日のシャルマ商工大臣の訪日について報じ、シャルマ商工大臣が、安倍総理を表敬、岸田外務大臣、茂木経済産業大臣と会談し、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想(DMIC)や日インド包括的経済連携協定(CEPA)等について意見交換を行ったと報じた。
5月27日~30日
*外務省発表によれば、マンモハン・シン・インド首相は、27日から30日まで訪日。首脳会談では、二国間の海上共同訓練を定期的・より頻繁に実施すること、インドによる救難飛行艇US-2の導入に向け、合同作業部会を立ち上げること等につき一致した。また、民生用原子力協力に関し、協定の早期妥結に向け交渉を加速させることが確認された。更に、デリー・ムンバイ間産業大動脈構想やインドの高速鉄道等、大型インフラ分野及びエネルギー分野でも協力していくことを確認。特に、高速鉄道については、ムンバイ・アーメダバード間のルートを念頭に、共同調査を行うことで一致。