
インド・ニュース(2023年5月)
1 内政
(コングレス)
●2日、グジャラート高等裁判所は、2019年の名誉毀損事件における有罪判決の停止を求めるラフール・ガンディー・コングレス元総裁の訴えについて、6月の第1週に判決を下すと述べ、同元総裁に暫定保護を与えることを拒否した。同元総裁は3月、モディ姓と泥棒に関する同元総裁の発言に異議を唱えたBJPの州議会議員が起こした訴えで、地方裁判所から刑事名誉毀損で2年の禁固刑を言い渡された。
(マニプール州)
●5月3日、マニプール州政府に対し、中央の指定部族(STs)リストにメイテイ族を含めるよう勧告する同州高等裁判所の命令に反対する全トライバル学生連合(ATSUM)が連帯行進を行った後、マニプールで暴動が発生した。マニプールの人口の約42%を占めるクキ(Kuki)族は、この勧告に反対している。この2つの部族の武装勢力組織による衝突は16地区のうちほぼ9地区に広がり、少なくとも54人が死亡、23,000人が避難。中央政府は、同州の治安を回復するために、インド軍(アッサムライフルズ)を含む中央軍を動かすため,インド憲法355条を発動。また、州政府に安全保障アドバイザーを配置するとともに、1992年卒の州幹部IAS職員でマニプールの古参であるヴィニート・ジョシを州の新しい首席秘書官として派遣。最新の報告によると、1万人近い追加警備員の配置、射殺命令、航空監視の使用、旗を使用した行進、外出禁止令、最も注意が必要な地域におけるインターネット通信の遮断などにより、暴動は鎮圧されつつある。しかし、状況は依然として不安定で、何千人もの人々が州から逃げ出し、他の人々は治安部隊と州政府によって運営されている一時的なキャンプに避難。
●15日、マニプール州の多数派であるメイテイ族とクキ・ゾミ族の間で衝突が発生し、少なくとも60人の死者が発生したことを受け、シン同州首相はデリーにおいてシャー内務大臣と面談した。会談では、マニプールの法秩序状況について話し合われたとされる。
(カルナータカ州)
●10日にカルナータカ州下院議員選挙が実施され、コングレス135議席(得票率42.9%)、BJP66議席(得票率36.0%)、JD(S)19議席(得票率13.3%)の結果であった。コングレスにとっては歴史的勝利、JD(S)にとっては創設以来の歴史的大敗。BJPは、支持基盤が強いといわれていたカルナータカ州北部で大敗、13人の閣僚が議席喪失。
●コングレスの勝因は、現政権の腐敗、地元の生活問題を焦点に当て、カルナータカ州に伝統的に存在する反現政権主義を刺激した選挙戦略、州のプライドに訴え、あらゆる階層に配慮した選挙戦略、州組織の2巨頭の共闘とされる。
●BJPの敗因は、モディ・ブランドへの過度の依存、現政権の腐敗、失政、北部・中部の開発の遅れによる反現政権主義、Lingayat及びイスラム教徒の感情を逆なでする選挙戦展開、候補者選びの失敗とされる。
●20日、シッダラマイア州首相が就任した。
(BJP)
●カルナータカ州議会選挙の敗北を受け、BJPは2023年後半に予定されている次の州選挙に向けた戦略を立て直す見込みである。マディヤ・プラデシュ州、ラジャスタン州、テランガナ州、チャッティースガル州の4つの重要な州議会選挙が予定されている。このうち、BJPが与党であるのはマディヤ・プラデシュ州だけである。
(新しい国会議事堂の落成式)
●28日、ナレンドラ・モディ首相は、インドの新しい国会議事堂の落成式に出席した。モディ首相は、文明の歴史を生かすと同時に、より豊かで公平な未来を約束する国家の人生の瞬間であると述べた。モディ首相は、この建物を復活した「新しいインド」のシンボルと見立て、過去9年間の政府の福祉政策と結びつけた。ドロウパディ・ムルム大統領は、落成式で読み上げられたメッセージの中で、議会の信頼を象徴する首相が建物の落成式を行うことを嬉しく思うと述べました。モディ首相は、新庁舎での最初のスピーチで、「国民の誇り」を繰り返し強調し、新たな国会議事堂は14億のインド人の願望と夢の反映であると述べた。
2 外交
(上海協力機構(SCO))
●4日から5日、SCO外相会合をゴアで開催。ジャイシャンカル外相が、サイドラインで張明SCO事務総長、ラブロフ露外相、秦剛・国務委員兼外交部長、サイードフ・ウズベキスタン外相、ヌルトレウ・カザフスタン副首相兼外相、ムフリッディン・タジキスタン外相、クルバエフ・キルギス外相と会談。
(印イスラエル関係)
●9日、コーヘン・イスラエル外相が訪印し、モディ首相を表敬。また、ジャイシャンカル外相、シン国防相、ドヴァル国家安全保障補佐官、シェカーワット水力相と会談。
(印ミャンマー関係)
●9日、ジャイシャンカル外相が、ヘイザー・ミャンマー担当国連事務総長特使と会談。
(印バングラデシュ関係)
●11日から12日、ジャイシャンカル外相がバングラデシュを訪問し、第6回インド洋会議に出席。ハシナ首相を表敬。サウド・ネパール外相と会談。
(印スウェーデン関係)
●13日から15日、ジャイシャンカル外相がスウェーデンを訪問し、第2回EU・EU議長国共催インド太平洋閣僚フォーラムに出席。13日、サイドラインでリンケービッチ・ラトビア外相、シャレンベルク・オーストリア外相、コロンナ仏外相、ランズベルギス・リトアニア外相、ラビブ・ベルギー外相、コンボス・キプロス外相、アウレスク・ルーマニア外相、コンドフ・ブルガリア外相と会談。14日、ビルストロム・スウェーデン外相、ヨンソン・スウェーデン国防相と会談。15日、ノーレン国会議長、ランデルホルム・スウェーデン国家安全保障補佐官と会談、クリステンション・スウェーデン首相を表敬。インド三極フォーラムに出席。
(印EU関係)
●15日から16日、ジャイシャンカル外相が、ゴヤル商工省及びチャンドラシェーカル技能開発・起業促進、電子・IT閣外大臣と共にブリュッセル訪問。15日、ドゥ=クロー・ベルギー首相を表敬、ライエン欧州委員会委員長と会談。16日、ボレルEU外務・安全保障政策上級代表と会談、第1回印EU貿易技術委員会に出席。
(印・太平洋島嶼国関係)
●21日から22日、モディ首相はパプアニューギニア(PNG)を訪問し、第3回インド太平洋諸国協力フォーラム(FIPIC)に出席。サイドラインで、マラぺPNG首相、ソガバレ・ソロモン諸島首相、クン・ナウル首相、フアカヴァメイリク・トンガ首相、ナタノ・ツバル首相、フィアメ・サモア首相、ブラウン・クック諸島首相、カルサカウ・バヌアツ首相、マーマウ・キリバス首相、プナ太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局長、カブア・マーシャル諸島外務・貿易大臣、ランブカ・フィジー首相、タンゲランギ・ニウエ首相、ウィップス・パラオ大統領、ヒプキンスNZ首相と会談。また、ダダエPNG総督を表敬。
(印豪関係)
●23日から24日、モディ首相が豪州を訪問し、アルバニージー豪首相、ハーレー連邦総督と会談。アルバニージー豪首相とともに、豪州シドニーのインド人コミュニティと交流。
3 日印関係
●11日から12日、シタラマン財相が訪日し、G7新潟財務大臣・中央銀行総裁会議に出席。
●19日から21日、モディ首相がG7サミットに出席するため、広島を訪問。サイドラインで岸田総理、ユン韓大統領、チン・ベトナム首相、ショルツ独首相、ジョコ・インドネシア大統領、グテーレス国連事務総長、ライエン欧州委員会委員長、ミシェル欧州理事会議長、マクロン仏大統領、ゼレンスキー・ウクライナ大統領、ブラウン・クック諸島首相、スナク英首相、ルーラ・ブラジル大統領と会談。日米豪印首脳会合に出席。
5月20日、午前7時35分から約40分間、岸田文雄内閣総理大臣は、G7広島サミットに出席するため訪日中のナレンドラ・モディ・インド首相(H.E. Mr. Narendra Modi, Prime Minister of India)と日印首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭、岸田総理大臣から、G20サミット議長であるモディ首相の広島訪問を歓迎するとともに、3月のインド訪問に際するモディ首相のおもてなしに改めて謝意を表しました。また、岸田総理大臣から、インド訪問の際にモディ首相から授与された菩提樹の苗木は広島の植物園で育てていただくこととした、日印関係と同様、大きく育てていきたい旨述べたところ、モディ首相から、G7サミットへの招待に感謝する、苗木を広島で育てて頂き、大変嬉しく思う、広島でG7サミットを開催することは非常に意義のあることであると述べました。
2 岸田総理より、今回のG7サミットの進め方につき説明し、その中で、主権、領土一体性という国連憲章の原則を守ることの重要性、世界のどこであれ力による一方的な現状変更を許してはならないこと、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持する重要性といった点を強調し、両首脳は平和の実現に向けて協力していく旨で一致しました。また、両首脳は、国際社会が直面する諸課題に、幅広いパートナーが協力して対応することが重要との認識を共有し、G7とG20の議長国同士で引き続き連携していくことを確認しました。
3 両首脳は、二国間関係についても議論し、「自由で開かれたインド太平洋」の重要性につき認識を共有し、様々な分野で協力を進めていくことを確認しました。また、両首脳は、留学生の増加や2023年度「日印観光交流年」等を通じ、人的交流の拡大に努めることで一致しました。
(了)