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日印関係最新情報

月間インドニュース(2022年1月)

2022年2月25日掲載


1 内政

【連邦政府】

1月20日:現地メディアは、建設中の新国会議事堂の建設費が当初の予算97億7000万ルピーから、125億ルピーに増加した旨報じた。

1月23日:現地メディアは、モディ首相が、チャンドラ・ボースの生誕125周年記念日において、インド独立に対するボースの貢献を称え、インド門(India Gate)で同氏のホログラム像を公開した旨報じた。

1月25日:現地メディアは、ヘリコプター事故で死亡したビピン・ラワット将軍に対し、パドマ・ビブーシャン(Padma Vibhushan)勲章が贈られた旨報じた。なお、同じタイミングでパドマ・ブーシャン勲章が送られたバタチャルジー元西ベンガル州首相(インド共産党マルクス主義派)は受賞を拒否した。

【州議会】

1月9日:インド選挙管理員会は、近日実施予定の5つの州議会選挙(ウッタル・プラデシュ州、パンジャーブ州、ウッタラカンド州、マニプル州及びゴア州)の選挙日程を発表した。2月10日から3月7日にかけて全7フェーズで投票が行われ、開票は共に3月10日の予定。

【農業法改正】

1月3日:ウッタル・プラデシュ州警察の特別調査チームが、昨年12月3日に同州ラキンプル・ケリー県で発生した、農業関連法反対農民グループのデモ参加者死亡事故および事故車襲撃・BJP活動家殺害事件に関し、アジェイ・ミシュラ・テーニー内務担当閣外大臣の息子アシーシュ・ミシュラを含む14名の名前の載ったチャージシートを治安判事に提出した。

1月5日:パンジャーブ州フィロズプルに移動中のモディ首相の車列が、道路を閉鎖する農民団体のデモと遭遇し、高速道路上で20分程の停車を余儀なくされた上、出発地のバティンダ空港に引き返した。

1月12日:現地メディアは,モディ首相を乗せた車列がパンジャーブ州内で立ち往生した件に関し、インド最高裁が同事件におけるモディ首相のセキュリティ侵害の調査に向けた特別委員を任命した旨報じた。

【ウッタル・プラデシュ(UP)州】

1月7日:現地メディアは、同州議会選挙に先立ち、アディティヤナート州首相が農民に対する電力料金を50%引き下げた旨報じた。これにより農業従事者・関係者約130万人が恩恵を受けることになると報じられている。

1月22日:現地メディアは、BJPが第三回目の候補者リストを公表した旨報じた。今回のリスト85人の構成は、カーストで最下層のダリット(指定カースト)出身者19人、OBC(その他後進カースト)出身者30名と半数以上が下位カースト出身者に割り当てらており、上位カースト出身者はタクール15名、ブラーミン14名、ヴァイシャ4名、パンジャービー3名となっている。

1月24日:現地メディアは、SP(サマージワディ党、UP州の地域政党)党が、1~3フェーズの候補者159人を公表した旨報じた。OBC出身者64人(うち、ヤーダブ12人)、ダリット及びムスリム31人、ヴァイシャ8人、タクール7人、ブラーミン9人他となっており、これは、「ヤーダブ・カーストとムスリム」の党とのイメージを払拭し、幅広い層からの支持を獲得するためとされている。

【グジャラート(GJ)州】

1月7日:現地メディアは、新型コロナウイルス感染症の増加により1月10日から12日まで州都ガンディーナガルで開催を予定していたグジャラートへの投資誘致見本市バイブラント・グジャラート(躍動するグジャラート)が延期を余儀なくされた旨報じた。

【西ベンガル(WB)州】

1月8日:外国貢献規制法(FCRA)に基づき、内務省により更新申請が一旦は却下されていたマザー・テレサ設立の「神の愛宣教会」の再申請が承認され、FCRA登録が有効となった。

【マニプル(MN)州】

1月4日:モディ首相が州都インパール市を訪問し、道路インフラ、飲料水供給、住宅、技能開発、都市開発、保健などの分野で総額480億ルピー相当の22の開発計画の落成式、および定礎式典に出席した。

【パンジャーブ(PB)州】

1月21日:現地メディアは、BJPが第一回目の州議会選挙候補者リストとして34名を公表した旨報じた。そのうち、8名は指定カースト(SC)、13名はシーク教徒である。BJPは全117議席中65議席から候補者を擁立する予定。

2 経済

12月8日:インド準備銀行(RBI)は12月6~8日にかけて行われた金融政策決定会合の結果を公表し、政策金利を4.00%のまま据え置くことを決定した。据え置きは概ね市場の予想通り。また、今後の経済見通しについては、国内の経済活動が、ワクチン接種率の上昇、コロナ新規感染者数の減少、モビリティの急速な正常化により今後ますます拡大していき、農村部の需要は引き続き堅調に推移するとともに、都市部の需要が、接触型活動の加速や繰延需要の発現により引き続き増加し、政府によるインフラ整備の推進やPLI(Production Linked Incentives生産連動型優遇策)スキームの拡大、構造改革、緩和的な金融市場により民間の投資需要も促進されることを考慮し、インドでコロナ感染が再拡大しないと仮定した場合、2021年度の実質GDP成長率は前年同月比9.5%増となる(前回予測を維持)とした。

3 外交

(印・パキスタン関係)

1月1日:インド外務省は、外交ルートを通じてパキスタンとの間で両国に拘留されている人物のリストを取り交わした旨発表した。2008年の合意以来、毎年1月1日にリストの交換が行われている。今般、印側から282人のパキスタン国籍の文民拘留者及び73人の漁師のリスト、パキスタン側からインド国籍を保有する(または保有すると考えられる)51人の文民拘留者及び577人の漁師のリストが提供された。

1月1日:インド外務省は、外交ルートを通じ、パキスタンと「核関連設備・施設攻撃禁止に関する合意(The Agreement on the Prohibition of Attack against Nuclear Installations and Facilities)」により取り決められている核関連設備・施設のリストを交換した旨発表した。当該協定は、1988年に署名され、1991年に発効して以来、両国が毎年年始に核施設リストを提供しているものであり、今年は連続して31回目となる。

1月15日:現地メディアは、パキスタンが14日発表した国家安全保障戦略において、パキスタンはインドとの関係を改善したい意向を示した旨報じた。一方、発表された戦略では「ジャンム・カシミールについての正当で平和的な解決」が引き続き二国間関係における中核課題であるとされている。

(印・アフガニスタン関係)

1月1日:インド外務省はアフガニスタンに対し、50万回分の新型コロナウイルス・ワクチン(COVAXIN)の供与をカブールのインディラ・ガンディ病院に対し行った旨発表した。

1月7日:インド外務省は、アフガニスタンへ第3回目の人道援助として人命救助のための必須医薬品2トンの供与を行い、カブールのインディラ・ガンディ病院に引き渡した旨発表した。

(印・ドイツ関係)

1月5日:インド外務省は、モディ首相がショルツ独首相と電話会談を行った旨発表した。モディ首相はショルツ首相の就任に祝辞を述べるとともに、メルケル前独首相の貢献により強化された印独関係が、シュルツ首相のリーダーシップの下継続されることを期待する旨述べた。

(印・米関係)

1月3日:現地メディアは、ジャイシャンカル外相が3日に米ブリンケン国務長官と電話会談を実施した旨報じた。

1月19日:現地メディアは、シュリングラ外務次官がシャーマン米国務副長官と電話会談を行った旨報じた。両者は直近の二国間関係、ワクチン供給を含む新型コロナウイルス禍、インド太平洋及び中東、国連安保理、インドの近隣国及びウクライナ情勢等について議論した。

(印・カザフスタン関係)

1月11日:現地メディアは、バグチ報道官が最近のカザフスタンにおける騒乱の犠牲者に対し、深い追悼の意を表明した旨報じた。バグチ報道官は犠牲者家族へのお見舞いを述べたほか、友好国であるカザフスタンが早期に安定することを願っている旨述べた。

(印・露関係)

1月3日:現地メディアは、ジャイシャンカル外相がラヴロフ外相と電話会談を実施した旨報じた。

(印・ブータン関係)

1月10日:現地メディアは、シュリングラ外務次官が、インド訪問中のシャルマ・ブータン経済相を表敬訪問した旨報じた。バグチ報道官によると、双方は水力発電分野に焦点を当て、経済協力に関する議論を行った。

(印・韓国関係)

1月10-11日:現地メディアは、印韓二国間貿易対話が11日に行われる旨報じた。印側からは、ゴヤル商工大臣が参加する。

(印・スリランカ関係)

1月15日:インド外務省は、ジャイシャンカル外相が、ラージャパクサ・スリランカ財務相とオンライン会合を行った旨発表した。両者は、両国の共通した進歩と繁栄のため、二国の間経済協力を推進し、引き続き緊密に協力していくことで合意した。

(印・ネパール関係)

1月17日:現地メディアは、モディ首相が12月30日にウッタラカンド州ハリドワールで行った選挙演説において、リプレーク(Lipulekh)における道路拡張計画について述べたことに対し、カルキ・ネパール内閣報道官が、当該地域(Limpiadhura, Lipulekh and Kalapani East of Kali River)はネパールの領土であり、インドによる一方的な道路の建設や拡張は中止すべきであると述べた旨報じた。一方、正式な外交ルートによる抗議は行われなかったとされている。

(印・UAE関係)

1月18日:インド外務省は、ジャイシャンカル外相がアブダッラーUAE外相と電話会談を行った旨発表した。両者は、2人のインド人が犠牲となった、前日発生したUAEにおけるテロ攻撃について議論した。UAE外相は、深い哀悼の意を示すとともに、亡くなった犠牲者の家族に対する支援を行う旨述べた。

(印・モーリシャス関係)

1月20日:インド外務省は、モディ首相が20日にジャグナット・モーリシャス首相と共に、モーリシャスの公営住宅プロジェクトの落成式にオンラインで参加した旨発表した。また、両者は、最先端の公務大学校及び太陽光発電農場プロジェクトの着工式に参加した。

(印・イスラエル関係)

1月24日:現地メディアは、ベネット・イスラエル首相が、両国の外交関係樹立30周年を記念し、インドを訪問する可能性がある旨報じた。ギロン(Gilon)駐印イスラエル大使は、30周年記念ロゴを披露するオンライン・イベントに参加し、多様な分野での二国間協力をさらに深めるため、ベネット首相が、インドを訪問する可能性があると述べた。

(印・トンガ関係)

1月25日:インド外務省は、15日にトンガ王国で発生した津波により、多くの国民が甚大な被害を受けたことに対し、深い哀悼の意を表明する旨発表した。インド太平洋諸島協力フォーラム(Forum for India-Pacific Islands Cooperation:FIPIC)に共に参加するパートナーとして、トンガ王国の救援、復旧、復興支援のため、20万ドルの緊急援助を提供するとされている。

(印・中関係)

1月3日:現地主要メディアは、中国によるパンゴン湖(ラダックのインド連邦直轄地で標高4200mにある)における橋の建設は少なくとも2か月継続していると報道した。

1月7日:現地主要紙は、6日にバグチ印外務省報道官が、中国が東部ラダックのパンゴン湖に建設中の橋は60年間不法に占拠された地域にあると述べたことに対し、翌7日、中国外交部報道官が「領土内における中国のインフラ建設は完全に主権の範囲内である」と反論した旨報じた。

1月15日:現地主要紙は、2021年の印中間貿易額が1,250億ドルを超えた旨報じた。このうちインドの中国からの輸入額は975億ドルであり、これは2019年の両国間の貿易総額を上回る。インドの対中輸出では、鉄鉱石、綿や原材料系商品が最も多く、他方インドは、電気・機械類、医薬品原薬(API)、自動車部品等を大量に輸入した。

(各国外相との電話会談)

1月5日:現地メディアは、ジャイシャンカル外相が、オーストラリア、インドネシア、モルディブ、ブータンの外相と、二国間関係の更なる強化に焦点を当てて個別に電話会談を実施した旨報じた。

(印・南アジア地域協力連合(SAARC)関係)

1月7日:現地メディアは、長年懸案となっているSAARCサミットについてパキスタンがホストを申し出たことに対し、印政府はサミット開催の合意は取れていないとして却下したとする旨報じた。2014年ネパールでの前回サミット以降開催されていない。

(世界経済フォーラム)

1月18日:インド外務省は、世界経済フォーラムにより開催された「ダボス・アジェンダ」にモディ首相がオンライン形式で出席し「世界の状況」と題した特別演説を行った旨発表した。演説ではインドが必須医薬品の提供を通じ多くの命を救ったこと、世界のサプライチェーンにとって信頼できるパートナーとなるよう努めていること、今こそインドに投資する最適な時期であること等述べた。

(印・国連関係)

1月20日:現地メディアは、ティルムルティ印国連常駐代表が、デリーを拠点とするシンクタンク主催のウェビナーで基調演説を行った際、2021年6月に国連総会で可決された国連グローバル・テロ対策戦略(GCTS)第7次レビューについて言及し、「世界的なテロとの戦いにおいて、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教に対する偏見や嫌悪が取り沙汰されているが、ヒンドゥー教、仏教、シーク教に対しても同様に深刻な偏見や嫌悪が存在していることも明記するべきである。」と述べた旨報じた。

(印・中央アジア関係)

1月27日:インド外務省は、モディ首相が中央アジアとの外交樹立30周年となる1月27日に、オンライン形式で、第1回目の印・中央アジアサミットを主催し、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンが参加した旨発表した。

4 日印関係

1月14日:林芳正外務大臣は、ジャイシャンカル外務大臣との間で2回目となる電話会談を行い、国交樹立70周年を迎える日印の二国間関係につき意見交換を行い、岸田総理大臣の訪印や日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)、外相間戦略対話等ハイレベルの往来の機会に、政治・安全保障、経済、人的交流を含む幅広い分野で具体的な成果を出し、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」を更なる高みに引き上げていくことで一致した。

1月23日:現地メディアは、ネタジ研究所(Netaji Research Bureau)より、安倍元総理に対し、「2022年ネタジ賞」が贈られた旨報じた。

1月26日:林芳正外務大臣は、在京インド大使館が都内で主催した「インド共和国73周年記念日祝賀行事」に出席し、二国間関係が政治・安全保障、経済・経済協力のみならず人的・文化交流を含む幅広い分野で一層強化されること、それにより「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」が更に大きく花開くことを期待している旨述べた。また、本田外務政務官も同行事に出席したほか、インド側からはジャイシャンカル外務大臣によるビデオ・メッセージが寄せられた。

今月の注目点:日印外相電話会談

1月14日、午後3時45分から約20分間、林芳正外務大臣は、ジャイシャンカル・インド外務大臣(H.E. Dr. S. Jaishankar, Minister of External Affairs of India)との間で2回目となる電話会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1 両大臣は、昨年の林外務大臣就任直後の電話会談に続き話せることを喜ばしいとした上で、本年国交樹立70周年という節目を迎える日印の二国間関係につき意見交換を行い、岸田総理大臣の訪印や日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)、外相間戦略対話といったハイレベルの往来の機会に、政治・安全保障、経済、人的交流を含む幅広い分野で具体的な成果を出し、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」を更なる高みに引き上げていくことで一致しました。また、そのために、デジタル、サイバー、防衛装備・技術協力、インド北東部の連結性強化などで協力を進めていくとともに、日印の旗艦プロジェクトである高速鉄道事業を引き続き着実に推進していくことを確認しました。

2 両大臣は、最近の一連のミサイル発射を始めとする北朝鮮情勢について意見交換し、拉致問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き連携していくことを確認しました。

3 両大臣は、日米豪印での協力のほか、ミャンマー等の地域情勢についても意見交換を行い、緊密に連携していくことを確認しました。


今月の注目点:インド共和国73周年記念日祝賀行事への林外務大臣、本田外務大臣政務官の出席

1月26日、在京インド大使館主催による「インド共和国73周年記念日祝賀行事」が都内で開催され、日本政府を代表して林芳正外務大臣が出席し挨拶を行いました。また、本田太郎外務大臣政務官も同行事に出席しました。インド政府からは、ジャイシャンカル・インド外務大臣(H.E. Dr. S. Jaishankar, Minister of External Affairs of India)によるビデオ・メッセージが寄せられました。

1 林外務大臣から、祝意を述べた上で、日印両国が外交関係樹立70周年を迎える本年、二国間関係が、政治・安全保障、経済・経済協力のみならず、人的・文化交流を含め、幅広い分野で一層強化されること、また、それにより、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」が更に大きく花開くことを期待している、日印関係を大いに盛り上げ、更なる飛躍の一年となるように取り組んでいきたい旨述べました。

2 また、林外務大臣から、インドが地域や世界の繁栄と安定において大きな役割と責任を有するグローバル・パワーであり、日本にとっても「自由で開かれたインド太平洋」を実現する上で、極めて重要なパートナーであるとした上で、ルールに基づく国際秩序の重要性を訴えてきた日印両国が、二国間の取組に加え、日米豪印の4か国の取組等でも緊密に連携して、共通の課題に対処していくことが重要である旨述べました。

3 ジャイシャンカル外務大臣は、ビデオ・メッセージの中で、過去70年間を通じて日本はインドの発展の自然かつ価値あるパートナーであり続けた、日印関係は、安定し安全で持続可能なインド太平洋地域を形成するための大きな潜在性を有している旨述べました。