アイキャッチ画像
日印関係最新情報

月間インドニュース(2020年6月)

2020年7月17日掲載 NEW!



1 内政
【連邦政府/連邦議会】
6月1日:ビルラ下院議会議長及びナイドゥ上院議長(副大統領)は、夏期国会の開会方法につき、オンライン技術を活用する可能性も含めて検討を開始した。
6月17日:モディ首相は、新型コロナウイルスに係る州首相らとの会合において、印中国境実効支配線(LAC)沿いでの印中両軍の衝突によるインド軍兵士の死去に触れ、インドは戦闘において我々の兵士が死去したことを誇りとするだろう、インドは平和を望むが挑発に対してはふさわしい対応をとると述べた。
6月19日:モディ首相は、印中国境LAC沿いの衝突等に関するコンセンサスを図るため、主要政党の党首とビデオ会議を実施し、インド軍兵士20名は最大の犠牲を払った、誰も我々の国境の中に侵入しなかった、インドは平和と友情を望んでいるが主権を守ることが第一であると述べた。
本年4月に任期満了となったインド上院議会18議席(新型コロナウイルス拡大の影響を受け選挙延期となっていた)及び6~7月に任期満了する6議席の上院議会議員選挙が計10州議会で実施された。(10州のうち2州議会5名の立候補者は、対立候補なしのため、無投票で当選)
6月29日:内務省は、6月30日までとされていたインドのロックダウン(Unlock1.0)について、延長措置(Unlock2.0)の通達を発出し、Containment Zoneでのロックダウンは7月31日まで継続することとした。

【コングレス】
6月12日:ラーフル・ガンディー前総裁は、ニコラス・バーンズ元米国外交官とのビデオ対談において、中央政府が新型コロナウイルス対応において一方的な決定を行っている、国内には恐怖の雰囲気が蔓延しているとして、中央政府を批判した。
6月17日:ソニア・ガンディー暫定総裁は、印中国境の実効支配線(LAC)沿いで起きたインド軍兵士の死去につき、現場の状況はどうなっているのか、中国はインド領地をどの程度占領しているのかなどの説明をモディ首相に求めるビデオメッセージを発出した。
6月18日:印中国境LAC沿いにおけるインド軍兵士の死去につき、ラーフル・ガンディー前コングレス総裁は、中国は非武装の兵士をよくも殺害できたものだ、なぜインド軍兵士は非武装で殉教したのか、とツイートした。それを受け、ジャイシャンカル外務大臣は、国境任務に従事するすべての部隊は、特にポストを離れる際も、常に武器を所持する、6月15日においてもそうであった、対峙した際に銃器を使用しないのが長年の慣行である、とツイートした。
6月23日:党内会議において、ソニア・ガンディー暫定総裁は、印中国境沿いでの衝突に関し、中央政府が対応を誤ったのではという国民の懸念が拡大していると述べた。また、同党内会議において、ゲロト・ラジャスタン州首相ら複数の党員は、ラーフル・ガンディー前総裁が再度党総裁として復帰するべきであると述べた。
6月24日:ゴゴイ下院議員は、党記者会見において、印中国境沿いのアルナーチャル・プラデシュ州に中国の侵入が見られるとして、LAC沿いでの事案を含め国家安全保障につき討議するため、特別国会の召集を中央政府に要求すると発表した。

【ジャンム・カシミール(JK)準州】
6月3日:2019年8月の印憲法370条無効化以降、軟禁状態にあったシャー・ファイサルJK人民運動党(JKPM)党首が解放された。
6月14日:ラージナート・シン国防大臣は、全国でのBJPデジタルキャンペーンの一環でJK準州党員に向けたビデオ演説を行い、JK準州はこれからの5年間で急激な発展を遂げると述べるとともに、昨年無効化された印憲法370条は過去の汚点であると述べた。

【ウッタラカンド(UK)州】
6月8日:UK州政府は、同州知事の合意のもと、正式にゲールセーン(Gairsain)を夏の州都と定めた。

【タミル・ナド(TN)州】
6月11日:TN州政府は、TN州都市コインバトール(Coimbatore)をコーヤンプットゥール(Koyampuththoor)に改名するなど、TN州1018か所の名称を英語名から現地語の名称に変更する4月1日付けの通知を発表した。

【マニプル(MN)州】
6月17日:BJP所属MN州議会議員3名は辞表を提出、コングレスに移籍した。また、MN州副州首相を含む国民人民党(NPP)及びAITC及び無所属の州議会議員6名は、BJP州政権への支持撤回を表明した。
6月25日:BJP支持を撤回していたMN州副州首相を含む国民人民党所属の州議会議員4名は、ヘプトゥッラ州知事に面会し、引き続きBJPを支持すると記載した自己申告書を提出した。

【ナガランド(NL)州】
6月30日:内務省は、NL州が引き続き民間人の支援に武器使用が必要な危険地域であるとして、Armed Forces (Special Powers) Act, 1958のもと、NL州全土を「動乱地域(disturbed area)」と定める期間を6か月延長すると発表した。同法により、武装警官には捜査・逮捕及び公共の秩序維持に必要と思われる場合は発砲する権限が与えられている。

2 経済
6月1日:ムーディーズは、インド国債(外貨建及び自国通貨建て)の格付け及びアウトルックをBaa2(ネガティブ)からBaa3(ネガティブ)へ格下げした。
6月3日:インド政府は国内投資を一層促進するため、政府内に、各省次官から構成される会議体として"Empowered Group of Secretaries (EGoS)"を、また、その下部組織として全省それぞれに局長級の"Project Development Cell (PDC)" を新たに設置した。
6月23日:インド通信省は、通信機器に係る試験・認証の義務化(Mandatory Testing and Certification of Telecommunications Equipment)のフェーズ2を2020年10月1日に開始すると発表した。

3 外交
【印パ関係】
6月3日:インド外務省は、パキスタン実効支配カシミール(PoK)のギルギット・バロチスタン(GB)内の仏教遺跡への損害行為を批難するコメントを発表した。同損害行為は、GB内で中パ両政府がダム(Diamer-Bhasha dam)を共同建設することで仏教遺跡が損なわれるとして反対運動が起こっていたところ、それに対するイスラム主義者の抗議の形で発生した。
現地メディアは、インド政府の反対にも関わらず、中国がCPECのもとでPoKに1124メガワットの電力プロジェクト(コハラ水力発電プロジェクト)を立ち上げる旨報じた。
6月5日:現地メディアは、パキスタン外務省がギルギット・バロチスタン(GB)内の仏教遺跡への損害行為に対するインド外務省の懸念表明について、(懸念は)本末転倒であるとして拒否した旨報じた。
6月10日:現地メディアは、印パ国境付近におけるサバクトビバッタ危機に共同で対処するためインド政府が提案した共同ペスト・コントロールについて、パキスタン政府から未だ回答がない旨報じた。
6月23日:インド外務省は、スパイ容疑及びテロ関連組織との関係を理由として、在印パキスタン大使館の職員数を半減させる旨発表した。

【印・ネパール関係】
6月7日:現地メディアは、ネパール政府発表の新たな地図を巡り、ネパール政府がインド政府に対して、ネパール政府は二国間関係を脅かしている国境問題解決のため外務次官級ヴァーチャル協議にオープンであると伝えた旨報じた。
6月9日:現地メディアは、ギャワリ・ネパール外相が下院議会において、ネパールはインドとの国境問題を外交的に解決することを望むと述べた旨報じた。
6月10日:現地メディアは、ネパール下院議会がネパールの新たな地図に向けた憲法改正法案の審議を開始した旨報じた。
現地メディアは、ギャワリ外相がネパール国内の新型コロナウイルスの85%はインドから持ち込まれたと発言した旨報じた。

【印中関係】
6月6日:5月上旬以降続くラダック東部地区のLAC沿いにおける印中両軍の緊張状態を解決するため、中印将官級会談が実施された。
6月8日:中国外務省報道官は、両国ともLAC沿いの平和の維持に取り組むこと及び対話を通じ両国の緊張を解決することに合意し、さらに、現在の東部ラダック地区のLAC沿いの状況について、安定しておりコントロール下にあり、両国とも当該問題を解決していくため、対話をする用意があると述べた。
6月11日:インド外務省報道官は、定例記者会見において、インドと中国は、国境沿いの平和と安寧を確保すべく、軍事及び外交双方においてLACに関する問題を早期に平和的に解決するための話し合いを継続していると述べた。
6月15日:印中両軍の対峙が続いていたラダック東部地区のLAC沿いのうち、ガルワン地区において死傷者を伴う衝突が発生した。インド側は、インド軍兵士20名が犠牲となった旨発表。印中衝突による死者の発生は、1975年にアルナーチャル・プラデシュ州におけるLAC沿いの衝突で印軍4名が死亡した事案以来、45年ぶり。
6月17日:ジャイシャンカル印外相は、ラダックにおける印中両軍の衝突について、王毅中国国務委員兼外相と電話会談を行った。
6月18日以降:現地メディアは、15日の印中衝突による印軍の死者発生を受け、中国企業・製品・投資等へのボイコットを多数報じ始めた。
6月23日:6月6日に実施された将官級会談に引き続き、中印軍将官級会談が実施された。
【印・韓国関係】
6月25日:インド外務省は、ソウルで開催された朝鮮戦争開戦70周年記念式典で、朝鮮半島の平和のために犠牲となった勇者たちに哀悼の意を表したモディ首相のビデオメッセージが上映された旨発表した。

【印・マレーシア関係】
6月9日:現地メディアは、カシミール情勢や改正市民権法を繰り返し批判していたマハティール前マレーシア首相の辞任後、インド政府がマレーシア政府との関係改善に取り組んでいる旨報じた。

【印・フィリピン関係】
6月9日:インド外務省は、モディ首相がロドリゴ・ドゥテルテ・フィリピン大統領と電話会談を実施した旨発表した。
【印・カンボジア関係】
6月10日:インド外務省は、モディ首相がフン・セン・カンボジア首相と電話会談を実施した旨発表した。
【印・ラオス関係】
6月12日:インド外務省は、モディ首相がシースリット・ラオス首相と電話会談を実施した旨発表した。

【印・アフガニスタン関係】
6月2日:インド外務省は、アフガニスタンに関する国連安保理分析支援及び制裁モニタリング・チームの報告書(a report submitted by the UN Security Council’s Analytical Support and Sanctions Monitoring Team concerning Afghanistan)に関するスリバスタバ報道官のコメントを発表した。

【印米関係】
6月2日:インド外務省は、モディ首相がトランプ米大統領と電話会談を実施した旨発表した。

【印加関係】
6月16日:インド外務省は、モディ首相がトルドー加首相と電話会談を実施した旨発表した。

【印仏関係】
6月2日:シン国防相は、パルリ仏軍事大臣と電話会談を実施し、両大臣は、新型コロナウイルス及び地域安全保障について議論し、二国間防衛協力を強化させることに合意した。
6月5日:現地メディアは、サイクロン「アンファン」を受けてマクロン仏大統領がモディ首相に対していかなる支援も提供する旨の書簡を送ったと報じた。

 【印豪関係】
6月1日:現地メディアは、モディ首相がモリソン豪首相によるサモサのツイートを引用して豪州とのサモサ外交活性化させている旨報じた。モディ首相は、「インド洋で繋がり、サモサ外交で団結する!(サモサ)が美味しそうである。新型コロナウイルスに打ち勝った後、サモサを一緒に食べよう。6月4日のテレビ会談を楽しみにしている」とツイートした。
6月4日:インド外務省は、モディ首相がモリソン豪首相と電話会談を実施した旨発表した。
【印・イスラエル関係】
6月10日:インド外務省は、モディ首相がネタニヤフ・イスラエル首相と電話会談を実施した旨発表した。

【中露印】
6月23日:中露印外相テレビ会議が実施され、インド外務省は同会議におけるジャイシャンカル印外相の冒頭発言トランスクリプトを発表した。

【国連】
6月17日:国連総会において、安保理非常任理事国選挙(任期2021年1月-22年末)の投票が実施され、インド、メキシコ、ノルウェー、アイルランドが当選した。なお、アフリカグループの1議席については決着がつかず、翌18日にケニアとジブチとの間で第2回目投票が実施されることとなった。

【その他】
6月4日:インド外務省は、モディ首相がグローバル・ワクチン・サミット2020にヴァーチャル出席した旨発表した。インド政府はワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)に1500万ドルを提供する旨保証した。モディ首相は、この困難な時においてインドは世界と連帯する旨述べた。

4 日印関係
6月27日:海上自衛隊は、インド海軍との相互理解及び信頼関係の促進を目的とし、インド海軍と親善訓練を実施した。
今月の注目点(その1):新型コロナウイルス関係(モディ首相によるスピーチ(6月30日))

1.我々はアンロック第二弾に入るが、同時に咳や熱などが増える季節も始まる。皆が十分注意するようにお願いする。コロナによる致死率に関し、インドは世界の多くの国々に比し、比較的良いポジションにある。時宜を得たロックダウンは何十万もの命を救った。しかし、アンロック第一弾以降、人々や社会に緩みがでている。これは懸念すべきことであり、より厳しく取り締まる必要がある。

2.ロックダウン中、国の最優先事項は、飢えに苦しむ人を出さないことであった。ロックダウン開始後すぐに、首相貧困層福利計画(PMGKY)が開始され、総計1兆7500億ルピーのパッケージが貧困層に提供された。過去3か月間で、貧困層の2億世帯が、3,100億ルピーの直接支給を受けたほか、1,800億ルピーが農民の口座に振り込まれた。同時に、就業保障を行う首相貧困層福利就業運動が迅速に開始され、労働者に対して5,000億円が支払われた。

3.また、8億人以上に3か月間の食糧、一人当たり5キロの麦または米が供給された。また一家庭当たり一か月に1キロの豆も支給された。今後、農繁期や各種の祭りの時期を迎えるに当たって人々の支出も増加することを踏まえ、9,000億ルピーかけて首相貧困層福利穀物計画(PMGKAY)が、11月末まで継続されることが決定された。同スキームにこれまでに費やされた費用を合計すると1兆5,000億ルピーとなる。全国一律の配給カードが発行される。これによって州外で暮らす出稼ぎ労働者が大きな利益を受けることができる。これらの事業が行えるのは、勤勉な農民及び誠実な納税者のおかげである。

4.今後も弱者のエンパワーメントを更に強化する。予防措置をとりながら、我々は経済活動を拡大していく。自立したインドのため、弛みなく努め、人々を代表する声となる。この誓約とコミットメントをもって、13億の国民はともに働き前進しなくてはならない。最後にもう一度、皆に、健康を保ち、一尋の距離を保ち、口を覆うマスクなどを身に着け、油断しないようにお願いする。


今月の注目点(その2):中露印(RIC)3か国外相テレビ会議におけるジャイシャンカル外相冒頭発言
 
1.第二次世界大戦終結及び国連創設75周年を記念する今回の特別RIC外相会議を歓迎。
 
2.ナチス及びファシズムに対する勝利は、多くの国の数多の戦場における犠牲を通して達成された。インドも大規模な貢献を行い、230万人の市民が兵役につき、更に1400万人が戦時生産に携わった。トブルク、エル・アラメイン、モンテ・カッシーノからシンガポール、コヒマ、ボルネオに至るまで、世界各地の戦場でインド人の血が流れた。我々(インド)は一方はペルシャ回廊を通じて、もう一方はヒマラヤのこぶを越えて、(露中)両国への重要な供給線を確保することを助けた。もしインド人が(ソ連の)赤星勲章を授けられるなら、コトニス医師が率いた医師団は中国で伝説であった(当館注:ドワルカナート・シャンタラム・コトニス医師は、1938年に日中戦争下の中国共産党からの要請で印政府により派遣された医師団の一人として渡中。1939年に毛沢東率いる八路軍の従軍医師として前線に参加し、献身的な手当で800名以上の兵士の命を救ったとして、中国で尊敬されている。)。従って、明日(24日)我々の軍隊が赤の広場を行進するときには、我々(中露印)が生み出した違いを確認するものになるだろう。
 
3.(第二次世界大戦の)勝者たちが今後の国際秩序を形成するために集まったとき、当時の政治情勢はインドに相応しい認知を与えなかった。この歴史的な不公正(historical injustice)は、世界が変わったにも拘らず、75年間正されることなく継続した。従って、この記念すべき機会に、インドが果たした貢献と過去を正す必要性の双方を世界が認識することが重要である。
 
4.しかし歴史を越えて、国際関係はまた、目下の現実とも折り合いをつけなければならない。国連は50の加盟国から始動したが、今日では193の加盟国を有する。確実に、国連の意思決定は、この事実を無視し続けることはできない。我々、RIC諸国は、グローバルアジェンダを形作る積極的な参加者であり続けてきた。我々(中露印)が改革された多国間主義の価値について結集することが、インドの希望である。
 
5.今回の特別会合は、国際関係に関する時の試練をへた我々の信条を強調する。しかし、今日の挑戦は、コンセプトや規範に関するものだけではなく、同時に実行(practice)によるものでもある。世界の主要国は、あらゆる面で模範とならなければならない。国際法を尊重し、パートナーたちの正当な利益を認識し、多国間主義を支援し、共通の利益(common good)を促進することだけが、耐久性のある国際秩序(durable world order)を築く唯一の道である。
 
6.今回の会合を開催してくれたロシアに謝意を述べ、議論に期待する。