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日印関係最新情報

月間インドニュース(2018年2月)

2018年3月15日掲載


1.内政

【連邦政府/連邦議会】
2月9日
予算国会(前半会期)が閉会した(後半会期は3月5日から開始される)。
2月23日
政府は、長期に亘り保留となっているロークパル(反汚職オンブズマン)指名に関する会議を開催するにあたり、ロークパル法で定められた野党代表者(注)に代わり、最大野党の代表者を同会議に招くことを決定した。
(注:2014年下院議員選挙以降、下院最大野党のコングレス党が規定の議席数を満たしていないため空席となっている。)
選挙管理委員会は、本年4月から5月にかけて任期終了となる16州58議席の連邦上院議員選挙を3月23日に実施することを発表した。

【農民団体による抗議運動】
2月6日
全国の複数の農民団体が、2018年度予算(「2.経済」参照)を「反農民的」であるとして、12日から1週間、全国の約1000箇所で、農業ローンの帳消し等を求める抗議運動を行うと発表した。
2月22日
農業借入金の包括的免除を求める全インド農民連合(AIKS。インド共産党マルクス主義派(CPI(M))系農業団体)のメンバー等が州議会場を包囲する抗議運動を行うためにジャイプール市内への侵入を試みたが、州警察はこれを阻止し、数百人を逮捕した。

【アヨーディヤ問題】
2月8日
ミシュラ長官を含む最高裁は、アヨーディヤ問題(注)を「土地問題」として扱う旨述べたほか、次の審議は3月14日実施予定であり、本事案を日常的に(day-to-day basis)審議を行うことを拒否した。
(注:アヨーディヤ問題とは、16世紀にムガール帝国が現在のUP州アヨーディヤに所在する、ラーマ神の生誕地のヒンドゥー寺院を破壊しモスクを建設したとされることに起因し、ヒンドゥー教徒とムスリムが対立している問題。1949年にヒンドゥー活動家がモスク内にラーマ神像を設置した後、係争が激化。1992年に多数のヒンドゥー教徒によりモスクが破壊された。土地の所有権を争う裁判では、2010年にアラハバード高裁が、所有権を争う3者で土地を3分割するとの判決を下している。)

【ハリヤナ(HR)州】
2月2日
中央捜査局(CBI)は、フーダ元HR州首相(コングレス党)他33人をマネサール工業団地の土地収用を巡る汚職容疑で起訴した。

【ラジャスタン(RJ)州】
2月1日
1月29日に実施された2議席の下院議員補欠選挙、1議席の州議会議員補欠選挙が開票され、3議席ともコングレス党がBJPに大勝した。これを受け、パイロット・コングレス党州部長は、ラジェRJ州首相の道義的辞任を求めた。
2月2日
パンデイ・コングレス党幹事長(RJ州担当)は、本年末頃実施予定の州議会選挙においては州首相候補を立てずに、ラーフル・ガンディー・コングレス党総裁の総体的な指揮の下に戦うと述べた。
2月12日
ラジェRJ州首相は、州議会で一人当たり5万ルピーを上限とする小規模農民を対象としたローンの一括免除(one-time loan waiver)等を含む本年度州予算案を発表した。

【西ベンガル(WB)州】
2月2日
1月29日に実施された1議席の下院議員補欠選挙が開票され、草の根国民会議派(AITC)が勝利した。BJPは同選挙区での得票率を前回より大幅に伸ばし、インド共産党マルクス主義派(CPI(M))候補を大きく上回ったものの、AITCには大差で敗北した。

【トリプラ(TR)州】
2月1日
BJPと連立しているトリプラ先住民戦線(IPFT)内の一派であるIPFTティプラハ派が、BJPに合併した。

【ナガランド(NL)州】
2月27日
対立候補無しで当選者が確定したNL州の1選挙区除く各59選挙区で、州議会選挙が実施された。投票率は約75%であった。3月3日開票予定。

【カルナタカ(KA)州】
2月8日
ジャナタ・ダル世俗派(JDS)及び大衆社会党(BSP)はKA州議会選挙に向けて選挙前協力することを発表。BSPは全224議席中20議席で候補者を、クマラスワミ元州首相(JDS・KA州部長)を州首相候補としてする旨述べられた。

【ケララ(KL)州】
2月12日
コングレス党青年部指導者が4名のギャングによりカンヌール県で殺害された。コングレス党は本件の背後には州与党CPI(M)が関わっているとし、13日にカンヌール県で12時間のストライキを呼びかけた。

【デリー(DL)準州】
2月20日
アンシュー・プラカーシュDL準州首席次官が、ケジリワル準州首相宅において、庶民党(AAP)所属の12名のDL準州議会議員による計画的な攻撃を受けたと訴えた。これを受け、準州警察は、12名の準州議会議員に対するFIR(注)を登録した。シン内相は、本件に関する報告をするようDL準州知事に要請した。また、DL準州官僚等は、本件に関しケジリワリル準州首相が謝罪するまで、政治家とのコミュニケーションは文書によるものに限定することを決定した。
(注:インドでは、捜査機関はFIR(First Information Report)を作成・登録しなければ、捜査を開始することができない。)
2月23日
DL準州首席次官に対する暴行疑惑に関し、準州警察はケジリワル州首相宅の監視カメラ映像を押収した。

【メガラヤ(ML)州】
2月18日
州議会選挙において、民族主義会議派(NCP)のN.サングマ候補者を含む3名が爆発物により殺害された。
2月27日
候補者が殺害されて投票が延期となった1選挙区を除く59選挙区で、州議会選挙が実施された。投票率は約75%であった。3月3日開票予定。

【トリプラ(TR)州】
2月18日
州議会選挙が実施された。投票率は約79%となった。3月3日開票予定。

【グジャラート(GJ)州】
2月18日
アーメダバードにおいて、ダリット活動家が当局への抗議として焼身自殺したことを受け、市内で抗議運動が発生した。治安を乱したとしてGJ州内のダリット指導者であるメワニ州議会議員含む70名が拘束された。
2月17日-18日
州内各地の地方自治体選挙が実施され19日開票された。BJPは75自治体のうち47自治体(前回59自治体)で勝利した。コングレス党は16自治体で勝利した。

【タミル・ナド(TN)州】
2月21日
映画俳優のカマル・ハサン氏が、人民正義中央党(MNM:Makkal Needhi Maiam)を立ち上げた。



2.経済

【インド2018年度予算案の発表】
2月1日
ジャイトリー財務大臣は、2018年度予算案を国会に提出し、財政演説を行った。
ジャイトリー大臣は演説の中で、「モディ政権は一連の重要な構造改革を成功裏に推し進め、結果として、インドは世界で最も高い成長率の国の一つとして傑出している」と述べる等、モディ政権の政策の実績を強調しつつ、2018年度予算においては農業・農村対策やインフラ整備、医療・高齢者政策、教育の質の改善などを推進する考えを強調した。
ここ数年の経済改革は難しいものであったが、有益であったとし、海外からの投資(FDI)が増加したことや世界銀行ビジネス環境ランキングの大きな改善を挙げつつ、物品サービス税(GST)の導入は課税ベースの拡大に繋がり経済のデジタル化を大きく進めたこと、その他の破産法施行や国営銀行への資本注入を例に、モディ政権による一連の経済改革はインドの長期的な力強い成長に寄与すると強調。更に、インドは現在世界第7位の経済大国であるが、近い将来には第5位の経済大国となるとされていることや、PPP(purchasing power parity購買力平価)ベースでは既に第3位であることを挙げ、インド経済の成長と発展を強調。
また、演説の中で、貧困層向けに配慮する姿勢を示すとともに貧困層向け電化政策や住宅政策等の推進や、モディ政権が一連の経済改革と同時に腐敗撲滅等に努めてきた実績を強調した。
予算の内容については、農作物の生産コストの1.5倍の最低支持価格を保証する対象品目の拡大や貧困層向けの無償事業の拡充(50万ルピーを限度とする1億の貧困家庭向け医療保険提供等)、交通インフラの整備の増加など、インド経済の課題となっているインフラ整備に加えて農村や貧困層対策、雇用創出を意識した予算となっており、全体の歳出の伸びに対して、交通関係、社会福祉、年金、農業関係等の予算が上回っている。また、国防予算について「Defense Industrial Promotion Corridor」の立ち上げを表明する等、民間・中小企業等による国防生産の拡大を表明した。
財政規律については、2017年度の財政赤字は対GDP比3.5%となるとの見通しを示し、当初目標としていた3.2%は達成できない見込みであることを表明するとともに、2018年度財政赤字目標を2017年度予算提出時に表明していた対GDP比3.0%から3.3%へ修正し、2017年度の目標よりも後退した形となっている。

【アシガバット協定への参加】
2月1日
インド外務省は、インドがアシガバット協定へ参加することを発表した。アシガバット協定は、2011年4月25日にイラン、オマーン、トルクメニスタン、及びウズベキスタンの間で結ばれた国際輸送回廊(International Transport and Transit Corridor)の設立に関する協定であり、このたび、同協定へのインドの参加が認められた。アシガバット協定の寄託国であるトルクメニスタンは2月1日、設立メンバーである全4カ国がインドの参加に同意したこと、及びインドの参加は2018年2月3日から効力が発生することをインドに通知した。

【RBI2017年度第6回金融政策決定会合】
2月7日
インド準備銀行(RBI)は、金融政策委員会(MPC)会合を開催し、政策金利(レポ・レート)を6.0%で維持、2017年度第4四半期のインフレ見通しを5.1%(注:前回(12月会合)時点の今年度下半期見通しは4.3~4.7%)、2018年度のインフレ見通しを、年度前半が5.1~5.6%、年度後半が4.5~4.6%と見込んだ。また、経済成長率(GVA、粗付加価値)の見通しについて、2017年度のGVA成長率見通しを6.6%へ引き下げ(注:前回時点は6.7%)、2018年度のGVA成長率見通しを、7.2%と見込んだ(年度前半は7.3%~7.4%、年度後半は7.1%~7.2%)。

【ナビ・ムンバイ国際空港の起工式】
2月18日
モディ首相はムンバイで二つ目の空港となるナビ・ムンバイ国際空港の起工式を実施した。報道によれば、同空港の総工費は、1998年の計画初期の約5倍にあたる670億ルピーに肥大している。また、総工費471億9000万ルピーのジャワーハルラール・ネルー港(JNPT)における国内最大のコンテナ・ターミナルの起工式も同時に行われた。

【ベンガルール市初の公共電気自動車充電ステーションの開設】
2月19日
バンガロール電力供給公社(BESCOM)がベンガルール市内で初となる電気自動車の公共充電ステーションを開設した。報道によれば、BESCOMは、市内に合計11か所の公共電気自動車充電ステーションを設置予定であり、6か月以内に、インディラナガル、エレクトロニクス・シティー、コラマンガラ、バナスワディ、ジャヤナガル、バナシャンカリで開設する予定。

【アンドラ・プラデシュ(AP)州におけるKIAモーターズの工場建設起工式】
2月22日
AP州アナンタプール県においてKIAモーターズの工場建設起工式が執り行われ、ナイドゥAP州首相が出席した。同工場の建設費用は1、300億ルピーで、当初年間30万台の自動車が製造される予定で、将来的には年間40万台に増産する。工場では、2021年までに総額20億米ドルが投資される予定で、4000人の直接雇用と7000人の間接雇用が見込まれている。工場建設は2019年第1四半期に完了予定で2019年後半より操業予定。

【アンドラ・プラデシュ(AP)州CIIパートナーシップ・サミット2018】
2月24日-26日
AP州ヴィシャカパトナムにおいて、インド工業連盟(CII)パートナーシップ・ミット2018が開催され、ヴェンカイヤ・ナイドゥ副大統領がナイドゥAP州首相とともに24日の開会式に出席した。報道によれば、サミット初日だけで航空宇宙防衛、繊維、エネルギー、食品加工、保健衛生、IT産業等285社と1兆7、400億ルピー相当の投資約束を交わし、3日間で合計734件の覚書(MOU)を締結、投資約束額は約4兆4000億ルピーに達し、直接・間接の雇用創出効果は110万人に上った。主要投資では、アダニグループが太陽光及び風力発電施設整備を含め今後5年間で900億ルピーの投資を約束し、また、リライアンスグループは、2020年までに原油及びガス分野において4、000億ルピー、IT分野において1、500億ルピーの投資を行うことを約束した。ソフトバンクはAP州のエネルギー分野に60億米ドルの投資プロジェクトを提案した。

【インド高速鉄道事業におけるムンバイ駅建設用地引き渡し式】
2月27日
ムンバイ市のインド中央鉄道(Central Railways)本部において、ピユーシュ・ゴヤル鉄道大臣及びファドナヴィスMH州首相立会いのもと、UPSマダン・ムンバイ大都市圏開発機構(MMRDA)長官からカレー高速鉄道公社(NHSRCL)総裁へ、書面の手交を以て、ムンバイ・アーメダバード間高速鉄道のムンバイ駅建設予定地であるバンドラ・クルラ・コンプレックス(BKC)の土地引き渡し式が執り行われた。



3.外交

【ガイアナ】
1月29日-2月2日
グリーニッジ・ガイアナ副大統領兼外務大臣が訪印し、スワラージ外相等と会談した。

【ネパール】
2月1日-2日
スワラージ外相はネパールを訪問し、バンダリ・ネパール大統領及びデウバ・ネパール首相を表敬したほか、ダハール(プラチャンダ)前首相(ネパール共産党マオイスト・センター(MC)議長)及びKPオリ元首相(ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派(UML)議長)と会談した。

【ウクライナ】
2月6日
貿易、経済、科学、技術、産業及び文化協力に関する第6回印ウクライナ政府間委員会が実施され、インド側の代表をアクバル外務担当閣外相、ウクライナ側の代表をクービウ第一副首相兼経済発展・貿易大臣が務めた。

【サウジアラビア】
2月6日-8日
スワラージ外相がサウジアラビアを訪問し、サルマン・サウジ国王を表敬、ジュベイル・サウジ外務大臣と会談したほか、主賓国としてジャナドリア祭開会式に出席した。
2月23日
ファーレフ・サウジアラビア・エネルギー産業鉱物資源大臣がモディ首相を表敬した。

【米国】
2月9日(米国時間の8日夜)
モディ首相はトランプ米大統領と首脳電話会談を行った。

【モディ首相による中東訪問】
2月9-12日
9日、モディ首相はパレスチナ訪問へのトランジットに際してヨルダンを訪問し、アブドッラー・ヨルダン国王と会談した。
10日、モディ首相はパレスチナを訪問し、アッバース・パレスチナ大統領と会談した後、プレスステートメントが発出された。
10日-11日、モディ首相はUAEを訪問し、ムハンマド・アブダビ皇太子及びムハンマドUAE副大統領兼首相兼ドバイ首長と会談したほか、合意文書の署名及び印UAE共同声明が発出された。また、ドバイ訪問中、モディ首相は、湾岸協力理事会(GCC)のビジネス・リーダーと会談したほか、第6回世界政府サミット(WGS)で演説を行い、そのサイドラインでイサコフ・キルギス首相及びフィリップ仏首相と会談した。
11日-12日、モディ首相はオマーンを訪問し、カブース・オマーン国王の表敬及びアスアド・オマーン国際関係・協力担当副首相と会談したほか、合意文章の署名及び印オマーン共同声明が発出された。また、モディ首相は印オマーンビジネス会議に出席したほか、インド人コミュニティーに対して演説を行った。

【ウズベキスタン】
2月11日-12日
カミーロフ・ウズベキスタン外務大臣が訪印し、スワラージ外相と会談した。

【モザンビーク】
2月12日-13日
VKシン外務担当閣外相はモザンビークを訪問し、ニュシ・モザンビーク大統領の表敬及びパシェコ・モザンビーク外務協力大臣等と会談したほか、共同プレスステートメントが発出された。

【クウェート】
2月14日
アクバル外務担当閣外相は、クウェートで実施されたイラク再建のための国際会議(International Conference for Reconstruction of Iraq)に出席し、インドがイラク再建のために関与することを述べたほか、グローバル・テロリズムの終焉を呼びかけた。

【イラン】
2月15日-17日
ローハニ・イラン大統領が訪印し、コヴィンド大統領及びモディ首相と会談したほか、ナイドゥ副大統領及びスワラージ外相から表敬を受けた。また、訪印中、合意文書の署名及び印イラン共同声明が発出された。

【ロシア】
2月15日-16日
第二回情報通信技術使用におけるセキュリティーに関する印露協議(India-Russia Consultations on Security in the use of Information and Communication Technologies (ICTs))が実施された。

【ブータン】
2月20日-23日
ドルジ・ブータン外務大臣が訪印し、スワラージ外相と会談した。また、21日、スワラージ外相は、印ブータン外交関係樹立50周年を記念した特別行事の一環として、第5代国王陛下の誕生日を祝う記念行事に出席した。

【カナダ】
2月18日-24日
トルドー加首相が訪印し、モディ首相と会談及び代表団協議を行ったほか、合意文章の署名及び印加共同声明が発出された。また、トルドー加首相は、コヴィンド大統領を表敬したほか、スワラージ外相からの表敬を受けた。
2月21日-24日
フリーランド加外務大臣が訪印し、スワラージ外相と会談した。

【TAPIパイプライン・プロジェクト】
2月22日
アクバル外務担当閣外相は、トルクメニスタンのマルィで実施されたTAPIパイプライン・プロジェクト遂行に関する第25回運営委員会(Steering Committee on Implementation of TAPI Pipeline project)においてスピーチを行った。
2月23日
アクバル外務担当閣外相は、アフガニスタンのヘラートで実施されたTAPIパイプライン建設のための開始式でスピーチを行ったほか、トルクメニスタンのセルヘタバットで実施されたTAPIガス・パイプライン・プロジェクトの起工式に参加した。

【中国】
2月23日-24日
ゴーカレ外務次官は、中国政府高官との外交協議を行うために、北京を訪れ、孔鉉佑中国外交部副部長と会談したほか、王毅外交部長及び楊潔チ国務委員を表敬した。

【イラン】
2月26日-28日
イラン・インド友好議連(Iran-India Parliamentary Friendship Group)メンバー4名からなる代表団が訪印し、スワラージ外相を表敬したほか、エネルギー議会常設委員会と会談した。またサイドラインで、代表団はインド農業研究機関プサ・キャンパス(ニューデリー)を訪問した。

【アフガニスタン】
2月27日-28日
ゴーカレ外務次官はアフガニスタンを訪問し、ガーニ・アフガニスタン大統領を表敬しモディ首相からの書簡を手交したほか、アトマル国家安全保障担当大統領補佐官(NSA)及びラバニ外務大臣の表敬、カルザイ副外務大臣との会談を行った。



4.日印関係

【クマール・インド・ビハール州首相の訪日】
2月19―22日
ニティシュ・クマール・ビハール州首相(Mr. Nitish Kumar, Chief Minister of Bihar, India)が外務省の招へいにより訪日した。訪日中、クマール州首相は、安倍総理、河野外務大臣を表敬訪問すると共に、中根外務副大臣、日印友好議員連盟等と意見交換を行った。会談では、潜在性の高いビハール州の更なる発展に向けて、日本が引き続き協力していくこと、ビハール州は仏教ゆかりの地であり、観光分野で日本との連携をさらに深めていくこと等について意見交換が行われた。クマール州首相は滞在中、東京にて、ビハール州への日本企業誘致のためのビジネス・セミナーに出席した。また、奈良県を訪問し、東大寺を視察した他、荒井県知事に表敬訪問を行った。さらに、広島県を訪問し、平和記念資料館及び原爆ドームを視察すると共に、慰霊碑に参拝・献花を行った。

【レーキー・インド下院議員による中根外務副大臣表敬】
2月19日
中根外務副大臣は、外務省の招へいで来日中のミーナクシー・レーキー(Ms. Meenakshi Lekhi, Member of Parliament Lok Sabha)印下院議員(与党インド人民党スポークスパーソンの一人)の表敬を受けた。中根外務副大臣から、帰国後は日本とインドの架け橋となって活躍してほしい、日本の「自由で開かれたインド太平洋戦略」とインドの「アクト・イースト」政策をさらに連携させ、日印両国でインド太平洋地域と世界の安定と繁栄を牽引していきたい旨述べた。レーキー議員からは、今次訪日招へいに対する謝意が表明されると共に、日本はインドにとって非常に重要な国であり、インドの高速鉄道計画を含む経済関係をはじめ、防衛分野等でも日本との協力を一層深め、地域の平和と安定に貢献していきたい旨述べた。その他双方は女性の活躍推進等についても意見交換を行いました。

【平木経済産業・大臣政務官のインド出張】
2月21日―27日
平木経済産業・大臣政務官は、OECD中小企業大臣会合及びインド・パートナーシップ・サミットに出席するために、メキシコ合衆国及びインドを訪問した。インドでは、インド商工省及びアンドラ・プラデシュ州(AP州)主催のパートナーシップ・サミット2018の中で、開催されたジャパン・カントリー・セッション(2月25日開催)に出席したほか、ナイドゥAP州首相やイスワラン・シンガポール第二貿易産業大臣とAP州新州都アマラバティの開発、同開発における日本・シンガポールの連携について意見交換を行い、アマラバティを訪問して現在の新州都の開発状況を確認した。他にも、プラブー商工大臣と、日印投資促進ロードマップの推進など、日印間の貿易・投資の現状やさらなる推進のための課題に関して、意見交換を行った。



今月の注目点:インド2018年度予算案の概要

(1)歳出
ア 総額は、対前年度(改訂後ベース)比10.1%増の24.4兆ルピー。
イ 上記歳出の増加要因としては、大きな割合を占める補助金(特に食料品)、国防費、年金が引き続き拡大していることが挙げられ、それぞれ2.95兆ルピー(同10.9%増)、2.83兆ルピー(同5.8%増)、1.68兆ルピー(同14.3%増)。また政権が重要視するインフラ分野(特に交通関係)、農業分野、社会福祉・健康分野(女性、子供、社会的弱者向け含む)、IT分野向けの経費支出も拡大傾向にある。
ウ 利払い費は、同8.5%増の5.76兆ルピーとなっており、引き続き歳出硬直化の一因となっている。

(2)歳入
ア 税収総額(地方交付分含む)は対前年度比16.7%増の22.7兆ルピー。うち直接税については、法人税が同10.2%増の6.2兆ルピー、所得税が同19.9%増の5.29兆ルピー。他方、間接税については、物品税が6.3%減の2.60兆ルピーとなる一方、GSTは67.3%増の7.44兆ルピー(注1)。また関税については、16.8%減の1.13兆ルピー。
イ 税外収入のうち、政府保有株式の売却などによる収入(資本収入の「その他収入」)は、同20%減となる8、000億ルピーを見込んでいる。
ウ 州への財源移譲額は、同13.8%増の12.69兆ルピーとなり、引き続き州政府へ財源を移譲する方向性が示された。

(3)財政規律(Fiscal Discipline)
 財政赤字については、2017年度の水準(対GDP比)は3.5%と予想され、目標水準の3.2%を達成できない見込み。来年度(2018年度)の目標水準は3.3%に修正(注:昨年度予算案では3.0%に設定)。また今後の財政健全化に向けたロードマップに関し、FRBM委員会の提言(注2)に基づき、①中央政府の債務残高(対GDP比)を40%まで低下させること及び、②財政赤字(対GDP比)を財政健全化における主要な評価指標(key operational parameter)として重視する意向を示した。