アイキャッチ画像
Japan-India News

Japan-India News (September 2022)

Posted October 21, 2022


1 内政
【中央政府・BJP】
 9月8日、モディ首相は、大統領官邸からインド門に至る大街路とその周辺の公園区画「セントラル・ビスタ・アベニュー」の落成式を実施した。大統領官邸からインド門を結ぶ大通り「ラージ・パト(王の道の意)」の名称が「カウタヴャ・パト(義務の道)」に改められたほか、インド門の敷地内にチャンドラ・ボースの像が設置された。
9月14日、モディ内閣は、チャッティースガル州、カルナータカ州、タミル・ナド州、及びウッタル・プラデシュ州において、複数の部族コミュニティを指定部族(ST)に加える事を承認した。
9月15日、アッサム州において、自らのコミュニティへのST枠の適応を求める複数の団体が、14日にチャッティースガル州等においてST枠への追加があった事に対する抗議活動を実施、モディ首相やサルマ・アッサム州首相の肖像画が燃やされた。
9月17日、モディ首相が72歳の誕生日を迎えた。誕生日当日、同首相は、マディヤ・プラデシュ州に於いて、チョウハン同州首相同席のもと、ナミビアから運ばれた8頭のチーターを自然公園に放した他、全ての物流手段において貨物を迅速かつシームレスに移動させるための基礎整備に向けた国家物流政策(National Logistics Policy)を発表した。
9月27日、印内務省は、イスラム系政治組織Popular Front of India(PFI)とその関連組織を、テロリストグループや政府転覆活動との繋がりが見られたことを理由に、5年の間、禁止組織に指定した。
9月28日、モディ首相は2日間の日程でグジャラート州を訪問し、CNGターミナルの定礎式や、アーメダバードメトロの開通式など、2900億ルピー相当の各種開発計画の開所式典に出席した。

【コングレス】
9月7日、ラーフル・コングレス前総裁は、インド団結の行進(Bharat Jodo Yatra)を開始した。タミル・ナドゥ州からジャンム・カシミール州まで10州・2連邦直轄領を横断し、合計150日をかけた全長3500kmの行進を行う。
9月17日、ラジャスタン州コングレス支部は、10月に予定されている同党総裁選挙に関し、ラーフル前コングレス総裁による同党総裁への就任を求める決議を開き、全会一致で可決した。8日、チャッティースガル州、及びグジャラート州のコングレス支部も、ラーフル前コングレス総裁による同党総裁への就任を求める決議を行った。
9月23日、ゲーロット・ラジャスタン州首相が、コングレス総裁選への出馬を表明した。
 9月24日、シャシ・タルール下院議員が、コングレス総裁選への出馬を表明した。なお、総裁選挙は10月17日に行われ、同月19日に新総裁が選出される予定。
 9月25日、コングレス総裁選に出馬するゲーロット・ラジャスタン州首相の後任として、同州首相候補として名前の挙がっているサチン・ピロット同州議会議員に関し、コングレス及びその友党に所属する少なくとも92名のラジャスタン州議会議員が、ピロット氏が過去にゲーロット州首相への造反を企てたことがあることを理由に、仮にピロット氏が同州首相に就任した場合、コングレスを離党する旨発表した。
 9月29日、ゲーロット州首相が党総裁選への出馬を取り消す旨発表した。
 9月30日、マリカルジュン・カルゲ上院議員(元鉄道相)が、他のコングレス指導者からの指名状を党本部に提出し、総裁選への出馬を表明した。
【グジャラート州】
 9月2日、ケジリワル・デリー(DL)準州首相・庶民党(AAP)党首が、GJ州を訪れ、BJPが2017年の州議会選挙で議席獲得に苦戦したとされるサウラシャトラ地域を訪問した。この1ヶ月間で、ケジリワルDL準州首相がGJ州を訪問するのは5回目。

【ジャンム・カシミール準州】
 9月4日、(コングレスを離党し新党立ち上げを表明している)アーザード元ジャンム・カシミール(JK)州首相が、新党のアジェンダを、JK州の州権回復、州民土地所有権及び雇用の保護、カシミール・パンディット*の帰還とする意向と述べた。(*1990年頃の州内情勢悪化により州外への避難を余儀なくされたカシミール州出身者のヒンドゥー教徒)
 9月26日、元コングレス所属のグラム・ナビ・アーザード元JK準州首相が、民主自由党(Democratic Azad Party)を設立し党首に就任した。アーザード氏は「新党は誰とも競争せず、平和の取り組みを強化し、JKに平穏を取り戻すことに重点を置く」と述べた。

【ビハール州】
 9月5日、デリー訪問中のクマール・ビハール(BR)州首相・人民党統一派(JDU)党首は、ラーフル・コングレス前総裁と面会し、野党結束維持について協議するとともに、コングレスがJDUと連立を組みBR州政権成立に貢献したことに感謝の意を表した。

【メガラヤ州】
 9月5日、チュバ・アオ、BJP国家副総裁・ML州担当は、サングマML州首相率いる州政権与党連合から1か月以内に離脱する意向である旨述べた。(ML州議会60議席中、BJPは2議席を有する一方、サングマ州首相率いる与党連合(MDA)は23議席有しているが、)MDA州政権下における違法行為及び汚職に関する多くの苦情が寄せられており、証拠が揃い次第、財務省監査局(ED)及び中央捜査局(CBI)がML州へ送られると述べた。

【北東州】
 9月12日、シャー内相は、ニューデリーにおいて、リウ・ナガランド州首相及び同州政治団体の指導者らと会談し、同州における和平合意について多岐にわたる話し合いを行った。会談の後、内務省は声明を発出し、「インド政府の努力はナガ協議に関わる多くの複雑な問題を解決することである」と述べた。
 9月15日、中央政府はシャー内相立ち会いのもと、アッサム州政府、AS州内で活動を行う8つの武装部族集団との間で3者間の和平協定を締結した。シャー内相は、連邦政府は2024年までに北東部の全ての州境紛争を終結させるべく取り組んでいると発言した。
 9月15日、シン・マニプール州首相は、今後5年間で同州内に於ける反政府勢力の活動を終結させる旨述べた。
 9月17日、ナガランド民族社会主義評議会(NSCN)が、中央政府との和平交渉を再開することに合意した。
 9月21日、サルマ・アッサム州首相とゾラムタンガ・ミゾラム州首相がデリー市内で会合を行い、両州の州境で発生する紛争事案につき協議を行った。

2 経済
インド統計・計画実施省より、2022年度第1四半期(2022年4-6月期)のGDP(速報値)が発表された。2022年度第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比+13.5%となった(前年同期(2021年度第1四半期)は同+20.1%)。市場予測は+13.0%~17.8%であり、予測範囲内。なおRBI(インド中央銀行)による予測は+16.2%で、これは下回る形となった。報道では財政措置や強い個人需要等を成長の背景に指摘する一方、ルピー安や中央銀行の利上げ等で下半期の成長が減速する懸念も見られた。
3 外交
(印UAE関係)
9月2日
ジャイシャンカル外相が、ムハンマドUAE大統領と会談。

(印イラン関係)
9月4日
ジャイシャンカル外相が、アミール・アブドラヒアン・イラン外相と電話会談。
9月16日
モディ首相が、SCOのサイドラインでライースィ・イラン大統領と会談。

(印バングラデシュ関係)
9月5日
ハシナ・バングラデシュ首相が訪印し、ムルムー大統領、ダンカル副大統領、モディ首相、ジャイシャンカル外相と会談。

(印ノルウェー関係)
9月9日
モディ首相が、ストーレ・ノルウェー首相と電話会談。

(印英関係)
9月10日
モディ首相が、トラス・英首相と電話会談。

(印仏関係)
9月13日
コロンナ・フランス欧州外相が、訪印し、モディ首相やジャイシャンカル外相と会談。

(上海協力機構)
9月15日
モディ首相が、ウズベキスタンを訪問し、上海協力機構(SCO)首脳会合に出席。

(印露関係)
9月16日
モディ首相が、SCOのサイドラインでプーチン大統領と会談。

(印ウズベキスタン関係)
9月16日
モディ首相が、SCOのサイドラインでミルジヨーエフ・ウズベキスタン大統領と会談。

(印トルコ関係)
9月16日
モディ首相が、SCOのサイドラインでエルドアン・トルコ大統領と会談。

(印米関係)
9月18日
ジャイシャンカル外相が訪米し、国連ハイレベルウィークに出席。

(印シンガポール関係)
9月19日
ウォン・シンガポール副首相兼財務相、キムヨン・シンガポール貿易産業大臣が、シタラマン財務相の陪席により、モディ首相を表敬。

(印・ブラジル・南ア)
9月21日
第10回インド・ブラジル・南ア (IBSA) 対話フォーラム大臣会合を、ニューヨークで開催。印からジャイシャンカル外相が出席。

(BRICS)
9月22日
ジャイシャンカル外相が、BRICS外相会合に出席。

(日米豪印)
9月23日
ニューヨークで日米豪印外相会合が開催された。

(印カリコム関係)
9月24日
第4回印カリコム外相会合を国連総会のサイドラインで開催。

4 日印関係
9月8日
東京で、第2回日印外務・防衛閣僚会合及び第14回日印外相間戦略対話を開催。
9月9日
訪日中のジャイシャンカル印外相とシン印国防相が岸田総理大臣を表敬。
9月27日
故安倍晋三国葬儀出席のため、モディ首相が訪日し日印首脳会談を実施。

<ピックアップ:第2回日印外務・防衛閣僚会合>
9月8日、午後3時から約2時間、東京において、林芳正外務大臣及び浜田靖一防衛大臣は、スブラマニヤム・ジャイシャンカル・インド外務大臣(H.E. Dr S. Jaishankar, External Affairs Minister of India)及びラージナート・シン・インド国防大臣(H.E. Mr. Rajnath Singh, Defence Minister of India)との間で、日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を対面形式で実施したところ、概要は以下のとおりです。なお、同会合開催後、共同声明が発出されました。
1. 総論
四大臣は、日印国交樹立70周年の本年、3月の岸田文雄内閣総理大臣訪印、5月のナレンドラ・モディ・インド首相(H.E. Mr. Narendra Modi, Prime Minister of India)訪日に続き、第2回日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)が開催されたことを歓迎しました。四大臣は、首脳年次相互訪問として今後あり得べきモディ首相訪日も念頭に、地域・国際情勢、二国間安保・防衛協力、有志国間の連携について議論しました。また、来年は、各々G7、G20の議長国であることも見据え、両国が緊密に連携し国際社会を共にリードしていくことを確認しました。

2. インド太平洋地域における協力
(1)四大臣は、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」実現という共通の目標に向けて協力していくことを確認しました。また、インド太平洋のみならず、いかなる地域においても力による一方的な現状変更は認められず、国際法に基づき紛争の平和的解決を求める必要があることを改めて確認しました。
(2)四大臣は、ASEANとの協力の重要性について議論し、引き続きASEAN一体性・中心性を支持していくことや、FOIP及びインドの「インド太平洋海洋イニシアティブ(IPOI)」と「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」との具体的協力の重要性を確認しました。
3. 二国間安全保障協力
(1)四大臣は、日印間の安保・防衛分野における協力の飛躍的拡大を確認した上で、今後も二国間・多国間の共同訓練を重層的に実施していくこと等で一致しました。
(2)四大臣は、防衛装備・技術協力の分野における具体的な協力の実現に向けて議論を続けていくことで一致しました。
(3)四大臣は、統合幕僚監部と印統合国防参謀本部の連携強化に一致し、「統合幕僚協議」の立ち上げに向けた調整を歓迎しました。
(4)四大臣は、長官級会談を含め海上保安当局間の協力進展を歓迎しました。
(5)四大臣は、3月の岸田総理大臣訪印に際してサイバーセキュリティー覚書が発表されたこと、6月に日印サイバー協議が行われたことを歓迎し、引き続きサイバーを含め経済安全保障分野において議論を強化していくことを確認しました。
4. 地域・国際情勢
 四大臣は、ウクライナ情勢及び東シナ海・南シナ海、北朝鮮、南アジアを含む地域情勢についても意見交換を行いました。


<ピックアップ:第14回日印外相間戦略対話>
9月8日、午後5時40分から約80分間、林芳正外務大臣は、訪日中のスブラマニヤム・ジャイシャンカル・インド外務大臣(H.E. Dr S. Jaishankar, External Affairs Minister of India)との間で日印外相間戦略対話を開催したところ、概要は以下のとおりです。

1. 二国間関係
(1)両大臣は、3月の岸田総理大臣訪印の際に掲げた、今後5年間における対印官民投融資5兆円の目標に向けて双方が努力していくこと、また、日印の旗艦プロジェクトである高速鉄道事業や、インド北東部を含む連結性強化のプロジェクトを引き続き推進していくことを確認しました。
(2)両大臣は、5G/Beyond5Gを始め、経済安全保障の面で協力を深めていくことで一致しました。
(3)両大臣は、エネルギー安全保障や気候変動対策が喫緊の課題との認識を共有し、閣僚級の日印エネルギー対話や日印環境政策対話等を通じ、「日印クリーン・エネルギー・パートナーシップ」に基づく協力や包括的な環境協力を強化していくことが必要との認識で一致しました。また、林大臣から、二国間クレジット制度(JCM)構築に向けた関係当局間の議論の進展への期待を表明しました。
(4)両大臣は、コロナ禍への対応での教訓を踏まえ、保健・医療面での国際的な連携が重要との認識を共有し、ヘルスケア分野での協力を強化していくことで一致しました。
(5)両大臣は、引き続き、インドの優秀なIT人材や特定技能人材の活用を含め、人的・文化交流を進めていくことで一致しました。
(6)林大臣から、日印首脳間年次相互訪問としてのモディ首相の訪日への期待を表明し、今後事務レベルで詳細を調整していくことを確認しました。
(7)両大臣は、来年日本がG7議長国、インドがG20議長国をそれぞれ務めることから、これらの成功のために緊密に連携していくことを確認しました。

2. 地域情勢・国際場裏での協力
(1)両大臣は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日印や日米豪印で緊密に連携していくことを改めて確認しました。
(2)両大臣は、透明で公正な開発金融の重要性についての認識を共有したほか、スリランカの債務問題についても意見交換を行いました。
(3)両大臣は、ウクライナ情勢について意見交換を行い、林大臣から、ロシアによるウクライナ侵略に国際社会で協調して対応していく必要性について述べました。
(4)両大臣は、国連全体の機能強化の重要性を確認するとともに、G4を含め安保理改革に向け連携していくことを確認しました。
(5)林大臣から、軍縮・不拡散問題についての我が国の考えを説明し、日印で対話を続けていくことで一致しました。


<ピックアップ3:日印首脳会談>
9月27日、午前11時40分から約25分間、岸田文雄内閣総理大臣は、故安倍晋三国葬儀に参列するため訪日中のナレンドラ・モディ・インド首相(H.E. Mr. Narendra Modi, Prime Minister of India)と首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

冒頭、岸田総理大臣から、故安倍晋三国葬儀への参列のための訪日に謝意を表した上で、安倍元総理大臣の外交的な業績を更に発展させ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、モディ首相と引き続き連携していきたい旨述べました。モディ首相からは、安倍元総理の下で日印関係は新たな次元に入った、安倍元総理にインド人は温かい印象を有していたとして、安倍元総理大臣の逝去に対し、心からの哀悼の意が示されました。

岸田総理大臣から、日印国交樹立70周年の本年から、日印がそれぞれG7、G20の議長国を務める来年にかけては、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」を更に強化する絶好の機会である旨述べました。両首脳は様々な分野において協力を推進していくことを確認しました。

両首脳は、ウクライナ情勢を含む地域情勢について意見交換を行い、紛争の平和的解決の重要性や、透明で公正な開発金融の重要性についての認識を改めて共有するとともに、日印両国がそれぞれ議長を務める来年のG7やG20も念頭に、引き続き連携していくことを確認しました。