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月間インドニュース(2017年8月分)

内政・経済・外交・日印関係を分かり易くお届けいたします。

1.内政
【副大統領選挙】
8月5日
第15回インド副大統領選挙の投開票が実施され,BJP率いる与党国民民主連合(NDA)が擁立したM.ヴェンカイア・ナイドゥ候補がインド副大統領に選出された。
8月11日
ナイドゥ副大統領が就任宣誓を行った。

【独立記念式典】
8月14日
コヴィンド大統領が独立記念日に先立って演説を行い,独立75周年を迎える2022年までに性別や宗教などによる差別の無い新しいインドを創るために,国民と政府とが協力するよう望むと述べた。
8月15日
モディ首相はレッドフォートで独立記念日のスピーチを行った。

メモ:独立記念日におけるモディ首相スピーチ
モディ首相は,冒頭,本年は,独立70周年のみならず,クイット・インディア運動(独立運動)開始の75周年であり,チャンパラン・サティヤグラハ(独立運動)100周年であり,バール・ガンガーダール・ティラク・フリーダム・ファイターにより創刊されたサルヴォジャニク・ガネーシャ・ウトサヴ紙創刊125周年記念であるという特別な年。クイット・インディア運動での標語は「バーラト・チョーロー」(インドを手放せ)であったが,今日の標語は「バーラト・ジョーロー」(インドを一つに)である。我々は「新しいインド」を創るという決意を持って国を前進させねばならないと述べ,安全保障,GST・経済,テロ,カシミール情勢,コミュナリズム,北東部の開発,農民政策等について述べた。

【最高裁判所長官就任】
8月28日
ディーパク・ミシュラ最高裁判事が第45代最高裁判所長官に就任した。

【地域政党・地域情勢】
(ケララ州)
8月2日
レーキー連邦下院議員は下院で,インド共産党ケララ州政権樹立後17か月間に,同州内で17人のBJP及びRSS関係者が殺害されたとして,政敵殺害事件が頻発している問題を提起した。
8月6日
ジェイトリ国防相が,先週殺害されたRSSメンバーの遺族を訪問した。同大臣は,州政府が事態を収拾し正常化させるための政治的意思を示すべきだと述べた。ヴィジャヤン・ケララ州首相は全党会議を開催し,州内の政争をハイライトすることが,ケララ州の発展に悪影響を与えていると,懸念を表明した。

(ハリヤナ州/パンジャブ州)
8月25日
新興宗教団体デラ・サッチャ・ソウダ教(DSS)の指導者グルミート・ラーム・ラヒーム・シン被告に対する有罪判決を契機として,その支持者等による暴動がインド北部の複数の地域で発生し,38名が死亡,200名以上が負傷した。28日,同被告は懲役20年を宣告され,ハリヤナ州ロータクの刑務所に収監された。
8月30日
カッタル・ハリヤナ州首相はニューデリーでシャーBJP総裁と面会した後の記者会見で,暴動の責任を取って辞任することを否定した。


2.経済
【物品・サービス税(GST)】
8月5日
GST委員会の第20回会合が開催され、物品の移動を監視する電子貨物運送状(e-way bill)が原則的に承認された。また、企業が仕入税額控除(input tax credit)の便益を消費者に転嫁することを確保するため、すべての州及び中央の政府に不当利得防止委員会(anti-profiteering committee)を15日以内に設置することが承認された。また,多くの物品及びサービスのGST税率が修正され,繊維産業では刺繍や図案などの賃仕事への税率18%は税率を5%に引き下げたほか,トラクターの部品を28%から18%に、政府との請負契約を18%から12%に引き下げることも決定された。次回会合は9月9日にハイデラバードで開催され,その他の品目の税率の修正について議論される予定。

【インド行政委員会・副委員長の交代】
8月1日
パナガリヤ行政委員会(NITI Aayog)副委員長が、米コロンビア大学の教授職に戻るためとして、辞表を提出した。
8月7日
パナガリヤNITI Aayog副委員長の後任として、政府がラジブ・クマール(Rajiv Kumar)氏(元FICCI事務局長等)を指名した。

【金融政策委員会の開催】
8月2日
インド準備銀行(RBI)は、金融政策委員会(MPC)会合を開催し,政策金利を0.25%引下げ、6.0%とすることを決定した。また,同委員会を,金融政策に対する中立的(neutral)なスタンス,今年度上半期のインフレ率を2.0~3.5%、下半期のインフレ率を3.5~4.5%とするインフレ見通し,2017年度のGVA(粗付加価値)の7.3%の見通しを維持することとした。

【鉄道省次官の交代】
8月23日
A.K.ミタル(A.K.Mital)鉄道委員会委員長は,一身上の都合により辞職した。後任として,アシュワ二・ロハ二(Ashwani Lohani)エア・インディア会長が,同日,後任に任命された。

【2017年度第1四半期のGDP成長率】
8月31日
インド政府統計・計画実施省(MOSPI)傘下の中央統計局(CSO)が2017年度第1四半期のGDP成長率を発表。今四半期の実質GDP成長率は、GST導入直前の企業による在庫圧縮の動きなども影響し、市場の予想に反して、約3年ぶりの低水準である5.7%(前年同期比)となった。
2017年度第1四半期の実質GDPは31.10兆ルピーで、2016年度第1四半期の29.42兆ルピーに比した実質GDP成長率は5.7%。
産業別の実質GVA(粗付加価値)は、29.04兆ルピーで、2016年度第1四半期の27.51兆ルピーに比した実質GVA成長率は5.6%。農林水産業は前年同期比2.3%(2016年度第4四半期は同5.2%)。鉱工業部門では、鉱業が同▲0.7%(同6.4%)、製造業は同1.2%(同5.3%)、電気・ガス・水供給等は同7.0%(同6.1%)、建設業は同2.0%(同▲3.7%)となった。サービス業部門では、貿易・ホテル・運輸・交通等が同11.1%(同6.5%)となり、金融・不動産等は同6.4%(同2.2%)となった。公共行政・防衛等は同9.5%(同17.0%)。


3.外交
【印ネパール関係】
8月10日-11日
スワラージ外相はネパールを訪問し,バンダリ大統領及びデウバ首相を表敬したほか,第15回BIMSTEC閣僚級会合に参加した。
8月18日
モディ首相はデウバ・ネパール首相と電話会談を行い,同国の洪水災害による死亡者に追悼の意を表したほか,あらゆる可能な救済援助を行う準備ができていることを表明した。
8月23日-27日
モディ首相の招待により,デウバ・ネパール首相が訪印し,モディ首相との会談及び代表団レベル協議を行った後,合意文書の署名及び印ネパール共同声明が発出された。また,訪印中デウバ首相は,コヴィンド大統領及びナイドゥ副大統領を表敬したほか,スワラージ外相からの表敬を受けた。

【印イラク関係】
7月10日-15日
V.K.シン外務担当閣外相はイラクを訪問し,クルディスタン地域政府高官らと会談したほか,ジャアファリー・イラク外務大臣,アラク・イラク閣僚評議会議長(Secretary General of Council of Ministers of Iraq),ファイヤード・イラク国家安全保障担当顧問,ハイラッラー・イラク外務次官それぞれと会談した。今次イラク訪問は,ISからのモースル解放を受け,ISの人質となっているとされている39名のインド人の捜索のために行われた。
7月16日
スワラージ外相は,3年前にイラクでISにより誘拐された39名の家族と会合し,シン外務担当閣外相によって集められた情報をブリーフした。同外相は,39名のインド人はバドゥシュ(Badush)で収監されている可能性があり,24日にジャアファリー・イラク外務大臣が訪印する際に最新の情報が得られるだろうと述べた。
7月24日-26日
ジャアファリー・イラク外務大臣が訪印し,24日,スワラージ外相と会談した。両外務大臣は二国間,地域間,国際情勢に関する相互利益の問題について議論したほか,スワラージ外相は,2014年6月にモースルで誘拐された39名のインド人の捜索及び右に関してイラク政府からの助力の継続を再び要請した。また,同日,ジャアファリー・イラク外務大臣は,プラダン石油・天然ガス大臣と会談したほか,アンサリ副大統領を表敬した。

【印シンガポール関係】
7月22日
シャンムガラトナム・シンガポール副首相はモディ首相を表敬した。モディ首相は,投資,都市開発,民間航空,技術開発等のセクターにおける親密な二国間協力を高く評価したほか,両リーダーはバンキング,デジタル・ファイナンス,観光,イノベーションにおける二国間協
【印トルクメニスタン関係】
8月14日
ニューデリーにて,第6回印トルクメニスタン貿易・経済・科学技術協力に関する政府間委員会(IGC)が開催され,スワラージ外相及び訪印中のメレドフ・トルクメニスタン副首相兼外相が共同議長を務めた。また,訪印中のメレドフ副首相兼外相は,ナイドゥ副大統領を表敬したほか,ジャイトリー財務兼国防相,ガドカリ道路交通・海運相,プラダン石油・天然ガス相と会談した。

【印ウズベキスタン関係】
8月20日-23日
カミーロフ・ウズベキスタン外務大臣率いるハイレベル代表団が訪印した。訪印中カミーロフ外務大臣は,ナイドゥ副大統領を表敬したほか,スワラージ外相及びアクバル外務担当閣外相と会談した。


4.日印関係
【日・インド包括的経済連携協定に基づき設置された合同委員会の第4回会合の開催】
8月4日
東京において,「日本国とインド共和国との間の包括的経済連携協定」(日インドCEPA)に基づき設置された合同委員会の第4回会合が開催された。
この会合では,日本側は山﨑外務審議官が,インド側は・テオティア商工省商務次官が共同議長を務めたほか,両国から関係省庁の関係者が出席した。
日・インド双方の出席者は,この会合において,発効後6年が経過する日インドCEPAの運用と実施について,意見交換を行った。また双方は,この会合に先立ち開催された原産地規則に関する小委員会,強制規格,任意規格及び適合性評価手続並びに衛生植物検疫措置(TBT・SPS)に関する小委員会,サービスの貿易に関する小員会,自然人の移動に関する小委員会,並びに,ビジネス環境の整備に関する小委員会での議論を含め,日インドCEPAの主要な論点について議論した。
4 双方は,日インドCEPAに基づき,両国の経済関係を一層拡大させるよう引き続き緊密に協力していくことで一致した。

【第2回日インド・サイバー協議の開催】
8月17日
日・インド両国はニューデリーにおいて第2回日インド・サイバー協議を行った。
日本側からは大鷹正人外務省総合外交政策局審議官兼サイバー政策担当大使をはじめ,内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター,内閣官房内閣情報調査室,警察庁,JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)から代表者が出席した。インド側からは,ヴェルマ外務省Eガバナンス・IT・サイバー外交担当局長をはじめとする,内務省,国家安全保障会議事務局,中央捜査局,電気通信総局,国家重要情報インフラ保護センター,国家捜査庁から代表者が出席した。
両国は,経済成長とイノベーションを可能にするため,自由で開かれ,安全,安定してアクセス可能なサイバー空間の実現に向けて取り組んでいくこと,特に,両国は,既存の国際法が一般的にサイバー空間にも適用されることを再確認した。また,いずれの国も,企業または商業部門に競争上の優位性を与えることを意図して,情報通信技術(ICT)により可能となる,営業上の秘密その他の企業秘密に係る情報を含む知的財産の窃取を実行したり,支援したりすべきでないことを再確認した。あわせて,両国は,本件協議が既存の及び将来の協力に向けた,強い基礎となることを再確認した。
今回の協議では,国内におけるサイバー政策,サイバー空間に対する脅威とその軽減,二国間の協力の枠組み,国際場裡における様々なフォーラム及び本年8月に設立が合意された,サイバーセキュリティに関するARF会期間会合(ARF ISM on ICTs Security)をはじめとする地域的なフォーラムにおける協力の可能性について,意見交換を行った。また,インド側代表は,本年11月23日から24日にかけてニューデリーにおいて開催される第5回サイバーに関する国際会議(Global Conference on Cyber Space)について説明を行った。両国は,本件協議を含め,今後様々なレベルで対話を深めることで一致した。
両国は,次回日インド・サイバー協議を2018年に東京で開催することで一致した。

【河野外務大臣とスワラージ・インド外務大臣との電話会談】
8月22日
河野外務大臣は,スワラージ・インド外務大臣との間で電話会談を行った。
河野大臣から,スワラージ外務大臣からの大臣就任への祝辞に対して謝辞を述べるとともに,早期にお会いして外相間戦略対話を行うほか,国連総会の機会にもお目にかかる機会を持ちたい旨述べた。また,国連安保理改革においては,日・インドの連携を重視しており,来たる安倍総理大臣のインド訪問に向け,高速鉄道等をはじめ,日・インドの両国の取組みを共に進展させていきたい旨述べた。
スワラージ外務大臣から,河野大臣に対し,外務大臣就任に改めて謝辞を述べるとともに,外相間戦略対話を含め,河野大臣とのあらゆる対話に前向きであり,国連総会の機会やデリーで早期にお会いしたい旨述べた。また,国連安保理改革について具体的推進の必要性に同意する旨,また,日・インド両国はインド太平洋地域の安定に大きな役割を果たすことが可能であり,政治,経済等の様々な関係をさらに強化していきたい旨述べた。さらに,日本がインドの様々な優先課題のために行ってきた経済協力に対して改めて謝意を申し上げたい旨述べた。


今月の注目点:鉄道安全
 インドでは現在、鉄道在来線における安全確保が急務となっている。
8月19日にインド北部ウッタルプラデシュ州ムザファルナガル付近において、列車の脱線事故が発生し、24 名の死者が出た。同月23日にも、特急列車が線路内で立ち往生したトラックとの衝突により脱線して70人以上が負傷。同日、インド鉄道委員会のミタル委員長(鉄道次官)が辞任を表明した。
鉄道事故による惨事は昨年も起こっており、昨年11月にも、インド北部ウッタルプラデシュ州カンプール付近において、線路の破断が原因とみられるインド国鉄の急行列車の脱線事故が発生し、約140名もの死者が出た。12月にも同地域で脱線事故が発生。
 昨年の大規模脱線事故を受けてインド政府より日本政府に対し鉄道安全に関する支援要請があり、本年2月、田端国土交通審議官とミタル鉄道次官(当時)との間で、鉄道安全に関する協力覚書に署名。日本政府は、日本が誇る高い鉄道技術を活かして協力を行っていくことを表明した。
 本年8月には、インド鉄道省の要請を受けて、鉄道安全に関するJICA調査団がインドに派遣された。国土交通省、JICAその他鉄道関連団体から成る調査団は、インド鉄道関係者との協議や現場視察等を行った。今後も調査団の派遣やその他協力が見込まれる。
 現在、日本の全面支援によるインド高速鉄道計画が注目を浴びている。その高速鉄道技術を支える在来線の安全確保の分野においても、日印は着実に協力を進めている。