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月間インドニュース(2017年4月分)

内政・経済・外交・日印関係を分かり易くお届けいたします。

1.内政
【連邦議会・連邦政府】
4月6日
既に下院で可決されている4つの物品サービス税(GST)関連法案が、上院で可決された。
4月12日
予算国会が閉会。今般の予算国会ではGST関連法案を含む18法案が通過した。
4月13~17日
9日から13日にかけて実施された連邦下院議員補欠選挙(2州:ジャンム・カシミール(JK)州、ケララ州)及び州議会議員補欠選挙(9州:アッサム州、ヒマチャル・プラデシュ州、マディヤ・プラデシュ州、西ベンガル州、ラジャスタン州、カルナタカ州、ジャールカンド州、シッキム州、デリー準州)の開票が13日から17日にかけて行われた。
メモ:連邦下院議員補欠選挙については、JK州においてBJPと連立を組む人民民主党PDP(JK州の地域政党)候補が敗北、ケララ州においては現有のインド統一ムスリム連盟(IUML)が議席を維持した。各州議会補欠選挙については、BJPが11選挙区のうち5選挙区の議席を確保(前回は3議席)。ラジャスタン州やアッサム州において強さを維持しつつ、西ベンガル州においても勢力を拡大している傾向がうかがえる。
一方で、来年州議会選挙が予定されるカルナタカ州においては伝統的に強いコングレス党が議席を維持。庶民党(AAP)がデリー準州で第3位に転落、苦戦している傾向がうかがえる。


2.経済
【National Institution for Transforming India Aayog(NITI Aayog:行政委員会)運営審議会】
4月23日
モディ首相の招致のもと、各州首相が参集して第3回NITI Aayogの運営審議会(Governing Council)が開催された。
メモ:インド政府発表プレスリリース
(モディ首相による開会挨拶のポイント)
 ア. 「新しいインド」のビジョンは、全ての州及び州首相の協力によってのみ実現が可能である。
 イ. 独立75周年となる2022年のインドを描くことは、この会合の連帯責任(collective responsibility)である。
 ウ. NITI Aayogはインドの変革のために精力的に歩みを進めてきた。政府、民間、市民社会が協働して取り組まなければならない。NITIはその強みが行政や財政上の権限にあるというよりも、そのアイデアにある、協働的連邦体(Collaborative federal body)である。
 エ. 各州に資金支出とインフラ創出を迅速化することを求める。歴史的な予算案提出日程の変更に関し、年度の開始時に資金がタイムリーに用意できるようになった。
 オ. 物品サービス税(GST)の導入合意は連邦構造の強みと決意を示した。イデオロギーや政治スタンスの違いを超えて、この目的のために一つのプラットフォームに合意したことは州首相のおかげである。GSTは「ひとつの国、ひとつの願望、ひとつの決意」精神を反映している。
 カ. NITI Aayogは現在、国の15年ビジョン、7年の中間戦略、3年の行動指針の起案に取り組んでいる。この努力は州のサポートを必要とし、州に便益が反映されるものである。


3.外交
【インド・マレーシア関係】
4月1~4日
3月30日~4月4日にかけて、ナジブ・マレーシア首相が国賓としてインドを訪問した。ナジブ首相のデリー訪問は、2009年の首相就任以来3度目。本年はインド・マレーシア外交関係樹立60周年にあたり、これを記念して共同声明を発表した。このほか、ナジブ首相はチェンナイを訪問した。
メモ:共同声明では、文化的及び社会的な両国と人々の繋がりを通じて進展してきた強力な友好関係が、マレーシアにおけるインド系コミュニティによってさらに緊密化されたとし、両国の多文化、民主主義及び多元主義への強力なコミットメントを強調するとともに、相互の平和、発展、地域及びそれを超えた安全保障の促進にかかる両国の責任を認知したと言及。モディ首相との首脳会談では、ニューデリーのインド大学協会(AIU)とマレーシア資格認証機構(MQA)による相互学位認証に関する覚書(MOU)など、7つの覚書や協力覚書に署名した。
マレーシアのメディアは、本件訪問を、昨年11月の同首相による中国訪問に匹敵する注目度で報道し、各種新聞も大きく取り上げた。たとえば、同首相のインド訪問中に成立させた経済取引の規模は360億ドル(1,593億リンギット)(これに対して、中国訪問時の取引は、1,430億リンギット規模であった由)に上るとの報道があった。

【インド・バングラデシュ関係】
4月7~10日
ハシナ・バングラデシュ首相が国賓としてインドを訪問し、ムカジー大統領を表敬するとともに、モディ首相と首脳会談を行った。首脳会談では、対テロについて、あらゆる形態及び思想のテロと闘う強いコミットメントを強調。経済面では、インドによる45億米ドルの融資によって実施されるプロジェクト(港湾建設、鉄道、道路、空港等)を歓迎するとともに、水力発電分野におけるバングラデシュ、ブータン及びインド間の三カ国覚書(MOU)の検討を歓迎した。このほか、防衛協力の強化、BIMSTEC(ベンガル湾多国間技術経済協力イニシャティブ)の枠組みにおけるコミットメント、安保理の包括的な改革について協議が行われた。特にハシナ首相は、国連安保理のインドの常任理事国入りを改めて支持した。
メモ:懸案事項であるティースタ川の水使用に関する議論として、ハシナ首相がティースタ川の水共有に関する暫定合意の妥結を求めたのに対し、モディ首相は、同暫定合意の早期妥結に向けてインド政府が全てのステークホルダーとともに取り組んでいることを改めて述べた。両首相は、政府関係者に対して、周辺の川の水共有に関する議論の終結を指示した。

【インド・オーストラリア関係】
4月9~12日
ターンブル・豪州首相がインドを国賓として訪問し、ムカジー大統領を表敬するとともに、モディ首相と首脳会談を行った。また、インドのビジネス・リーダーとの会合等のためムンバイを訪問し、マハーラーシュトラ州知事と意見交換を行った。
メモ:共同声明では、経済的に繁栄するインド太平洋地域が、安定と安全により支えられていることを認識し、国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく海洋の法秩序を尊重する重要性を強調した。また、海洋安全保障及びシーレーンの安全確保、航行及び上空飛行の自由、妨げられない合法な商業、 UNCLOSを含む国際法に基づく海洋紛争の平和的解決の重要性を認識した。さらに、主要な地域的枠組みである東アジア首脳会議(EAS)強化、インドのアジア太平洋経済協力会議(APEC)参加に関するオーストラリアの支持、オーストラリアによるインドの安保理常任理事国入りに対する支援、インドの原子力供給国グループ(NSG)参加についての豪の支持について確認された。

【インド・パキスタン関係】
4月10日
ジャイシャンカル外務次官は、パキスタンにおいてスパイ容疑で拘束されていたインド人が、パキスタン軍事法廷において死刑宣告を受けたことに関し、駐印パキスタン大使に対する申し入れを行った。

【インド・英国関係】
4月11日~14日
ファロン英国防大臣が訪印し、ムンバイに所在する印海軍西部コマンドを訪れ、純国産艦艇となる「コルカタ」を訪問した。またデリーで、ジャイトリー財務兼国防相と英印戦略対話を行った。ファロン大臣は、英国は米国に次ぐ最大の武器輸出国である点を強調しつつ、技術移転のための政府間におけるフレームワークの設置を考えている旨を述べた。

【インド・米国関係】
4月17日~18日
マクマスター米国家安全保障担当大統領補佐官がデリーを訪問。モディ首相を表敬し、アフガニスタン、西アジア及び北朝鮮を含む、広範な地域の安全保障環境に関する意見交換を行った。このほかドヴァル国家安全保障担当補佐官及びジャイシャンカル外務次官とも協議を行った。
メモ:マクマスター補佐官のインド訪問は、アフガニスタンのカブール及びパキスタンのイスラマバードへの訪問を含む地域的協議の一環。政府要人と防衛及びテロ対策分野の協力強化に係る両国共通の関心を含む、様々な二国間及び地域の問題について議論を行った。

【インド・ネパール関係】
4月17~21日
バンダリ・ネパール大統領が国賓としてインドを訪問。18日には、ムカジー大統領及びモディ首相と会談したほか、アンサリ副大統領、ラージナート・シン内相、スワラージ外相及びジャイトリー財務兼国防相の表敬を受けた。このほかグジャラート州、オディシャ州を訪問した。

【インド・スリランカ関係】
4月25~29日
ウィクラマシンハ・スリランカ首相がインドを実務訪問し、モディ首相との首脳会談を行ったほか、スワラージ外相、ラージナート・シン内相、ガドカリ道路交通海運相の表敬を受けた。首脳会談では、二国間経済協力のアジェンダを形作る「経済プロジェクトにおける協力」のための覚書(MOU)が署名されたほか、国連人権理事会における決議の共同提案国となったこと、漁民に対する合同作業部会の歓迎等が表明された。


4.日印関係
【セーフガード措置に対するWTO紛争】
4月3日
世界貿易機関(WTO)紛争解決機関(DSB)は、インドの鉄鋼製品に対するセーフガード措置について、我が国の要請を受け、WTO協定に基づきパネル(小委員会)を設置した。今後、問題とされる措置と協定との整合性についてパネルで争われ、パネルによって法的判断が下される予定。

【軍縮・不拡散協議】
4月10日
東京において、日印軍縮・不拡散協議が開催された。日本側議長は相川一俊軍縮不拡散・科学部長が、インド側議長はパンカジ・シャルマ・インド外務省軍縮・国際安全保障局長が務め、核軍縮・不拡散、輸出管理制度、通常兵器に対する取組、地域情勢等、軍縮・不拡散分野における現下の主要課題について幅広く意見交換が行われた。双方は、今後も両国間で協議を継続していくことで一致した。

【海洋対話】
4月11日
東京において、第3回日・インド海洋に関する対話が開催された。日本側議長は飯島俊郎政策企画・国際安全保障担当大使、インド側議長はパンカジ・シャルマ外務省軍縮・国際安全保障局長が務め、海洋分野での二国間協力や海洋を巡る地域的・グローバルな諸課題について意見交換が行われた。

【シタラマン商工閣外大臣(専管)訪日】
4月14日
シタラマン商工閣外大臣(専管)は4月12日から16日まで日本を訪問し、東京や名古屋で日本企業関係者や政府要人と意見交換を行った。14日には、東京で日本貿易振興機構(JETRO)が在京インド大使館と共催でインド投資セミナーを開催し、シタラマン閣外大臣は基調講演で、インド政府が2025年までにGDPの25%を製造業で占める目標を明らかにするとともに、日本企業による対印投資を呼びかけた。

【日豪印次官協議】
4月29日
豪州・キャンベラにおいて、杉山晋輔外務事務次官、フランシス・アダムソン豪外務・貿易省次官及びジャイシャンカル印外務次官との間で、第3回日豪印次官協議が開催され、基本的価値と戦略的利益を共有する日豪印で、インド太平洋における法に基づく自由で開かれた秩序の確保に向けて協力していくことで一致した。三次官は、北朝鮮や海洋安全保障を含むインド・太平洋地域の戦略環境に関する意見交換を実施し、日豪印の連携を確認するとともにEAS、G20等の国際場裡における日豪印の連携につき議論するとともに、日豪印の今後の更なる協力の可能性に関して協議した。

今月の注目点:インド・中国関係
4月1日~11日、ダライ・ラマはインド北東部のアッサム州及びアルナチャル・プラデシュ(AR)州を訪問した。これを巡って、インド・中国両政府との間で激しい応酬が繰り広げられた。
4日、インド外務省は報道発表を掲載し、ダライ・ラマがこれまで6度もAR州を訪問していること、インド政府は、ダライ・ラマが畏敬された宗教リーダーであり、インド国民にも深く尊敬されていること、ダライ・ラマの宗教的・精神的活動、及びインド各州への訪問にはいかなる追加的な色彩も追加されるべきではないこと、したがってダライ・ラマの今次のAR州訪問によりいかなる人工的な論争も作られるべきではない旨を主張した。またキレン・リジジュ内務担当閣外相(注:リジジュ閣外相はAR州出身)は、ダライ・ラマのAR州訪問に政治的な背景はなく、それは純粋に宗教的なものである、AR州は分かつことのできないインドの一部であり、中国はダライ・ラマの訪問に反対すべきではなく、インドの国内事情に干渉すべきではない、インドは、北京による「一つの中国」政策を尊重しており、中国がそれに報いることを期待している旨述べた。
これに対して、5日、中国外交部は、ゴカレ駐中国インド大使を召致し、ダライ・ラマのAR州タワン訪問について抗議した。また同日に行われた中国外交部定例記者会見で、担当報道官は、インド側が中国側の懸念を顧みずに中印国境東部の係争地でのダライ・ラマの活動を手配し、中国側の利益と中印関係を著しく損ねた、中国側はこれに断固反対するとともに、インド側に厳正な申し入れを行う、中印国境東部地域に対する中国側の立場は一貫しており明確である、中国側は必要な措置を講じ、自国の領土主権と正当な権益を確固として擁護していく旨述べた。
上記「必要な措置」として、14日、中国民政部は、AR州内の6カ所の地名の「標準化(standardised)」を発表した。中国は、AR州を自国領南チベットとして主張しており、上記6カ所の地名の公式名称(ローマ字)は、Wo'gyainling、Mila Ri、Qoid ngarbo Ri、Mainquka、B mo La、Namkapub Riである由。表記の標準化により、AR州、特にタワンにおける中国の立場と主張をより強固にするものと言える。中国メディアは、「これらの地名は古代から存在していたが、今まで標準化されたことは一度もなかった。故に、地名を発表することはある種の修復(remediation)である」、文化的及び地理的観点から地名を標準化することは、将来の中印国境交渉の際に、参考になりうる」との専門家の発言を引用して報じた。
他方、インドのバグライ外務省報道官は、20日、「隣国の州の地名を新たに又は改めて名付けることによって、不法占領が正当化されるわけではない」と述べ、AR州は分かつことのできないインドの一部である旨を繰り返した。