ホーム > 日印関係 最新情報 > 月間インドニュース(2017年1月分)

月間インドニュース(2017年1月分)

内政・経済・外交・日印関係を分かり易くお届けいたします。

1.内政
【州議会選挙日程】
1月4日
・インド選挙管理委員会は、3月初旬から5月末に任期満了となる5つの州議会の選挙日程を発表した。開票日は5州とも3月11日の予定。
(1)ゴア州(40選挙区) 投票日:2月4日   
(2)パンジャブ州(117選挙区) 投票日:2月4日
(3)ウッタル・プラデシュ(UP)州(403選挙区)
      投票日(7つのフェーズにわけて実施):
      ①2月11日②2月15日③2月19日④2月23日⑤2月27日⑥3月4日⑦3月8日
(4)ウッタラカンド州(70選挙区) 投票日:2月15日
(5)マニプール州(60選挙区)
      投票日(2つのフェーズにわけて実施):①3月4日②3月8日

【タミル・ナド(TN)州情勢】
1月16日~24日
・16日、TN州の伝統行事であるジャリカットゥ(注:南インドの収穫祭(ポンガル祭)におけるタミルの伝統的牛追い祭り。動物虐待を理由として最高裁が2014年に実施禁止の判決を出した。)が開かれ、2014年に最高裁判所判決に対する抗議のため、州内で暴動が発生した。
・18日、アンナ・ドラビダ進歩連盟(AIADMK)のサンカラ党首は、モディ首相とジャリカットゥの処遇について協議するため、デリーを訪問した。19日、パンニールセルヴァムTN州首相がモディ首相と面会した。
・23日、TN州議会は、「動物愛護法(タミル・ナド改正)法案」(注:既存の動物愛護法を改正し、ジャリカットゥの実施を特例として認めたもの)を全会一致で可決した。他方、抗議者の一部が暴徒化し、投石及び火焔瓶を投じて警察車両等に放火、警察当局も抗議者を離散させるため催涙ガスを使用、威嚇発砲を行って応酬するなど、緊張が高まった。これにより警察官70名を含む160名以上が負傷した。周辺の主要道路は数時間にわたり閉鎖されたが、24日夕刻には閉鎖は解除された。

【予算国会関連】
1月5日~31日
・5日、野党各党は、選挙管理委員会に対し、2月1日に予定されている予算発表が州議会選挙の結果に影響を及ぼす恐れがあるとして、行動規範に抵触しているとの陳情書を提出した。また6日、ザイディ選挙管理委員長はシンハ内閣次官に対し、予算発表の時期をUP州議会選挙投票日以降にずらすよう要請した。
・7日、国会が予定通り1月31日に開幕することが正式に決定された。
・31日、予算国会が開幕し、ムカジー大統領が上・下院合同会議において演説した。
メモ:今予算国会から、予算案が2月1日に発表され、予算はこれまでより1ヶ月前に発表されることになった。また、鉄道予算が一般予算に含まれることになった。


2.経済
【物品・サービス税(GST)】
1月16日
・16日、GST委員会の第9回会合が開催された。ジャイトリー財務大臣は記者会見をひらき、同委員会において、GSTの実施時期につき、2017年4月1日開始は容易ではなく、2017年7月1日が現実的な目標であるとの見解が示された旨発表した。
メモ:今回の会合での合意事項は以下の通り。
1.物品及びサービスの両方の税務調査に関して、年間売上1,500万ルピー以下の小規模の納税者については、9対1の比率でそれぞれ州政府と中央政府の管轄に分けられる。
2.年間売上1,500万ルピーを超えるすべての納税者については、5割ずつ州政府と中央政府の管轄に分けられる。インテリジェンスに基づく査定(intelligence-based assessments)に関しては、中央政府及び州政府の両方に調査権限が与えられる。
3.統一GST(Integrated GST:州をまたぐ物品及びサービスに課されるもの)についても、法律の特別規定を通して、上記の比率に基づき州政府は納税者を管理する権限が与えられる。

【高額紙幣廃止に関する政府の対応】
1月30日
・インド準備銀行(RBI)は、現金引き出し上限額の一部撤回を以下のとおり行う旨発表した。
(1)当座預金口座等(Current accounts/ Cash credit accounts/ Overdraft accounts)からの現金引き出しについては、上限額を撤回。一方、普通預金口座(Savings Bank accounts)からの現金引き出しについては、1週間の上限額23,000ルピーを引き続き維持。
(2)ATMからの現金引き出しについては、2月1日を以て1日の引き出しに対し設定されていた上限額を撤回。但し、銀行が独自の判断で上限額を設定することは可能。(注:これに先立ち、1月16日、インド準備銀行(RBI)は、①当座預金等からの現金引き出し上限額を1週間5万ルピーから10万ルピーに引上げ、②ATMからの現金引き出しカード1枚当たりの上限を、1日4,500ルピーから10,000ルピーへと引き上げ、といった緩和措置を既に実施。)


3.外交
【インド・ポルトガル関係】
1月7日~13日
・サントス・ダ・コスタ・ポルトガル首相が訪印し、ムカジー大統領、アンサリ副大統領、モディ首相と会談した。印ポルトガル共同声明及び第三国における協力に係る印ポルトガル共同宣言が発出された他、両国間で7つの覚書が交換された。

【インド・ケニア関係】
1月10日~12日
・ケニヤッタ・ケニア大統領が訪印し、印ケニア共同声明が発出された。

【ヴァイブラント・グジャラート】
1月10日~13日
・グジャラート州主催第8回ヴァイブラント・グジャラートのサイドラインで、モディ首相は、世耕経産相のほか(日印関係参照)、イスラエル農相、スウェーデン高等教育相、デンマーク・エネルギー・気候相、セルビア首相、ポーランド副首相、ロシア副首相等と会談した。
(注)ヴァイブラント・グジャラートは,躍動するグジャラートと称する大型見本市・投資促進会

【インド・ネパール関係】
1月16日~18日
・マハト・ネパール外相が訪印し、V.K.シン外務担当閣外相と会談した。
(注)スワラジ外相は病気療養中。

【ライシナ対話】
1月17日~19日
・印外務省及び当地シンクタンクORFの共催により第2回ライシナ対話が開催され、モディ首相、ジョンソン英外相、ハリス米太平洋軍司令官、ハーパー前カナダ首相、ラッド元豪首相、カルザイ前アフガニスタン大統領等が基調講演を行った。我が国からは武井外務大臣政務官が出席して、基調講演を行った(日印関係参照)。
(注)ライシナは、大統領官邸や首相府、外務省、財務省、内務省があるニューデリーの小高い丘地帯を指す。

【インド・英国関係】
1月18日
・ライシナ対話のため訪印中のジョンソン英首相は、モディ首相及びアクバル外務担当閣外相と会談した。

【インド・UAE関係】
1月20日
・第1回印UAE戦略対話がデリーで開催された。
1月24日~26日
・ムハンマド・アブダビ皇太子兼連邦軍副最高司令官が、共和国記念日パレードの主賓として訪印した。同皇太子は、ムカジー大統領、アンサリ副大統領、モディ首相とそれぞれ会談した。同皇太子の訪印中、両国間で14の覚書が交換された。

【インド・ロシア関係】
1月31日
・印露間で対テロに関する協議が行われた。インド側はサラン外務省東担当次官(Secretary East)が、ロシア側はシロモロトフ外務副大臣が代表を務めた。両国は、能力構築強化、専門家会合の開催、知見・経験の共有に焦点を当てた共同行動計画に合意した。


4.日印関係
【世耕経済産業大臣のインド訪問】
1月8日~10日
・世耕経済産業大臣は、インドを訪問し、モディ首相、ゴヤル電力大臣、シタラマン商工大臣、グジャラート州ルパニ首相といった政府要人と会談を行うと共に、日印エネルギーフォーラム2017及びヴァイブラント・グジャラート2017投資式典に出席した。
(モディ首相との会談)
・産業人材育成、エネルギー分野における協力、経済連携の促進、日本工業団地等の投資促進などの幅広い話題について意見交換を行った。国際秩序の変革が起こる可能性を踏まえて、アジアの安定化に向けた日印協力については、RCEP(東アジア地域包括的経済連携協定)をASEANが主導し、幅広く質の高い協定にするため、日印で協力を強化すべきこと、また、アジア・アフリカ大動脈構想を具体化していくことを提案し、モディ首相から賛同を得た。
・原子力協力については、先般、モディ首相から我が国の原子力防災対策を評価されたため、今般、インド政府関係者を、福島第一原発をはじめ日本の原子力施設の視察に招待したいとモディ首相に提案したところ、モディ首相から謝意が表明された。
(シタラマン商工大臣との会談)
・知的財産分野における協力、質の高いRCEPによる経済連携の促進などについて意見交換を行った。
・投資促進に不可欠な知的財産制度の整備においては、ハイレベル会合の創設や研修の拡充等を通じた権利付与の迅速化など、インドの知財制度の改善への協力の提案を行い、シタラマン大臣から高い評価を受けた。

【武井外務大臣政務官のインド訪問】
1月17日~18日
・18日、武井政務官は,インドのニューデリーにおいて,インド外務省及びインドの主要シンクタンクであるオブザーバー・リサーチ基金(ORF)共催の第2回ライシナ対話に出席し、250人を超える聴衆を前にして自由で開かれたインド太平洋戦略や海洋安全保障、法の支配の重要性等に関する我が国の見解について対外発信するスピーチを行った。
・武井政務官はこの機会を利用して、1月17日、V.K.シン印外務担当閣外大臣と二国間会談を行い、日印間の更なる協力の重要性や地域情勢について議論を深めた。
・さらに、1月18日、武井政務官はヤーダヴ印日議員フォーラム会長(上院議員)と日印関係について意見交換を行い、引き続き議員交流、人的交流に取り組むことの重要性について一致した。ヤーダヴ会長からは、早期の日本訪問の意思が表明され、今後につながる有意義な意見交換となった。
・また、同日、武井政務官は、ハーパー前カナダ首相と会談し、日カナダの政治、経済面での緊密な連携について確認した。また、ハリス米太平洋軍司令官との会談では、日米同盟を基軸とした更なる関係強化について意見交換を行い、両国が引き続き緊密に協力していくことの重要性を確認した。ハリス司令官からは、引き続き日米同盟が米国外交の中心である旨伝えられた。
・この他、武井政務官は、在インドの高速鉄道に関わる現地進出日本企業関係者と意見交換を行い、事業の推進において日本企業がインドで抱える課題等を聴取した他、日本のODAにより整備されデリー首都圏において交通混雑の緩和と交通公害減少に大きく貢献しているデリーメトロと、同メトロの建設、運行に関する展示が行われているメトロ博物館の視察を併せて行った。また、現地の日本人会幹部との意見交換においては、インドにおける日本人社会の現状や課題を聴取した。

【第9回日印科学技術合同委員会】
1月30日
・第9回日・インド科学技術協力合同委員会がデリーにおいて開催され、日本側からは、中根猛・科学技術協力担当大使を共同議長として、外務省、内閣府、文部科学省、日本医療研究開発機構(AMED)、科学技術振興機構(JST)、日本学術振興会(JSPS)、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、産業技術総合研究所(AIST)等の関係者が参加した。
・インド側からは、アラビンダ・ミトラ・インド科学技術庁顧問兼二国間協力部長を共同議長として、科学技術庁(DST)、バイオテクノロジー庁(DBT)、外務省、地球科学省(MOES)、宇宙研究機関(ISRO)等の関係者が参加した。
・合同委員会は、両国の科学技術イノベーション政策に関し、インドの若手科学者の能力開発を目的とした「INSPIRE」プロジェクト及び「IMPRINT」等のイニシアティブ、日本における第5期科学技術基本計画及び同計画で提唱された「Society5.0」など、両国の新しい取組や今後の展望につき情報を共有した。
・合同委員会は、ライフサイエンス、健康医療、宇宙、海洋、エネルギー、ICTをはじめとする協力分野における取組の現状を確認し、今後の課題や一層効果的な協力のあり方ついて議論を行った。この中で特に、重粒子線がん治療の技術・装置に関する日印協力の現状について共有し、今後のあり方について意見交換を行った。また、日本とインドの代表らは、戦略的日印関係の強化に向けた科学技術分野における協力の重要性に留意しつつ、両国間の協力を更に強化させ深化させていくとの認識で一致した。
・さらに、合同委員会は、IoT、人工知能、ビッグデータの日印共同研究推進に資する、ICT分野における国際共同研究拠点事業(日印共同ラボ事業)のキックオフ・セミナーが翌日デリーで開催されることを歓迎し、ICT分野において日印両国が一層協力していくことの重要性を強調した。
・加えて、合同委員会は、「日本・アジア青少年サイエンス交流事業」等を通じて日印両国間の若手研究者の交流が拡大していることを確認して歓迎した。また、科学分野の研究者同士の交流は極めて重要との認識を確認し、今後の交流の促進のあり方について意見交換を行った。
・次回の合同委員会を日本で開催することが提案され、具体的な期日は外交経路を通じて調整されることとなった。

今月の注目点:インド州議会選挙
3月初旬から5月末に任期満了となる5つの州議会が、2月4日から3月8日にかけて行われる。そのなかでも、有権者数が、日本の総人口を優に超える1億3800万人を有するウッタル・プラデシュ(UP)州の情勢が最も注目されている。同州は、コングレス党とBJPという全国政党のみならず、有力な地域政党が多く存在し、それぞれの党首は首相候補にも名を連ねるほどである。同時に、選挙資金を巡る問題や、汚職もはびこっていることで有名なため、モディ政権としては、クリーンな政治をアピールすることで、2014年総選挙では、同州で圧倒的な勝利を収めた(80議席中71議席を獲得)。ウッタル・プラデシュ州は、人口比で上院議員議席数が最も多い州(245議席中31議席)であり、州議会議員による投票が行われる上院で過半数を持っていないBJPとしては、同州の州議会選挙は、上院の過半数獲得によるねじれ国会の現状の打開と、2019年総選挙の前哨戦として、最も重要な州議会選挙であると言える。
UP州の州議会与党である社会主義党(SP)は、ムラヤム・シン・ヤダヴ党首とその息子アキレシュ・ヤダヴ州首相との間で候補者選定を巡って対立が続き、一時期、党が分裂状態に陥った。SPと長年、州政権を取り合ってきた大衆社会党(BSP)は、2014年総選挙で大敗したが、復権を狙って支持基盤であるダリットや、浮動票となりやすいムスリム票の獲得に力を入れている。他方で、選挙資金として多額のブラックマネーを保有するとされるBSPは、旧高額紙幣廃止により大きく力を削がれたとの見方も多く聞かれる。コングレス党はSPと選挙協力をにおわせているが、ラフル・ガンディー副総裁のBJP批判は支持率に結びついておらず、現有議席の維持も困難とも言われている。
次に注目されるパンジャブ州では、シロマニ・アカリ・ダル(SAD)とBJPの連立政権に対する反現職感情が高まっており、これまでSADと交互に政権を担ってきたコングレス党が、州民の6割近くを占めるシーク教徒を取り込み、10年ぶりに政権奪還できるかが注目点となっている。州連立政権はSADが主体ではあるが、政権を失うことになれば、BJPに一定の痛手を与えることになる。また,同州では、デリー準州政権を担う庶民党(AAP)も勢力を有しており、2014年総選挙で13議席中4議席を獲得した同党が、キャスティング・ボートとして,SAD、BJP、およびコングレス党の3党にどれだけ食い込めるかが焦点となっている。