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月間インドニュース(2016年12月分)

内政・経済・外交・日印関係を分かり易くお届けいたします。

1.内政
【アンドラ・プラデシュ州の新州都】
12月2日
アンドラ・プラデシュ州政府が新州都のアマラヴァティに移転した。前日にナイドゥ州首相の執務室の新州都仮庁舎への移転が完了し、2日初めての閣議が行われた。州首相執務室が完全に機能を移転したことにより、州政府は新州都の仮庁舎で機能することとなる。なお、本格的な州政府政庁が完成するには少なくともあと2年はかかる見込み。

【ジャヤラリタ・タミルナドゥ州首相死去】
12月5日
ジャヤラリタ・タミルナドゥ(TN)州首相が、入院先のチェンナイ市内アポロ病院で死亡した。6日、パンニールセルバムTN州蔵相(故「ジャ」首相入院中州首相職務代行)が州知事公邸でビジャヤサガルTN州知事を前に州首相就任宣言。
(注:州首相(Chief Minister)は州民の選挙により多数政党の党首が就任、州知事(Governor)は大統領の各州における代表で内務省が任命。前者が実質的な州行政府の長、後者は通常は儀礼的な職であるが、州の政治が乱れた際は大統領の直轄統治となり実質的には知事が代行する。)

【冬期国会関連】
12月8日~12月16日
8日、国会下院が補正予算を可決。
10日、モディ首相は、グジャラート州で演説し、「私は(野党の審議妨害のため)議会で発言を許されていないので、下院(Lok Sabha)ではなく人々の会議(Jan Sabha、すなわち直接国民に訴えること)で話す」と述べた。
14日、上院(Raj Sabha)は、「体の不自由な人のための権利法案(Rights of Persons with Disabilities Bill 2014)」を可決した。
11月16日に開会した冬期国会は、12月16日に閉会。
メモ:31日間で、21の審議が実施された。期間中、10法案(全て下院)が提出された。下院は4法案を、上院は1法案を可決した。

【サイクロン】
12月12日~13日
12日、チェンナイ市を含むタミルナド州北部を襲ったサイクロンVardahは、13日未明にはチェンナイ市周辺を抜け、その後天候は回復。同市では12日午後3時~5時のピーク時には風速110~120Km/hを記録し、過去22年間で最大規模のサイクロンとなり随所に大きな被害をもたらした。人的被害としては、チェンナイ、ティバルール、カンチープラム、ヴィルプラムおよびナガパッティナムで計16名が死亡。海抜の低い地区の住民1万7千人以上が避難。インフラ関係被害としては、チェンナイ、ティルヴァルールおよびカンチープラムにおいて、電柱1万本以上、変圧器450基および通信設備24カ所が損傷。州被害総額見積もりは100億ルピー。

【ガンディー・コングレス党副総裁発言】
12月14日
ラーフル・ガンディー・コングレス党副総裁は記者会見で、モディ首相が恐れる個人的な汚職に関する情報を握っており、そのために自分は議会で発言することを許されていないと述べた。具体的な内容について聞かれたガンディー副総裁は、発言は議会ですると返答。


2.経済
【物品・サービス税(GST)】
12月11日、23日
11日、GST委員会の6回目の会合が開催されたが結論に至らず、GST委員会は、法案に関する合意が得られていないとして、委員会を12月22日~23日まで延期すると述べた。これにより、冬期国会に法案を提出することはできなくなった。23日、ジャイトリー財務相は記者会見で、GST委員会が、CGST(国税)法案とSGST(地方税)法案を承認したと述べた。1月に開催されるGST委員会で詳細を詰めたのち、予算国会で提出される見込み。
メモ:中央政府と地方政府が査定者(assesse)の二重管轄(dual control)という議論のある問題を解決できておらず、2017年4月1日からのGSTの実施は今や実質的に不可能な模様。GST委員会の第6回会合では査定者の二重管轄について決める予定となっていたが、2日間の会合は半分に短縮され、11日についても膨大な法案を条項毎に議論することに時間が費やされたため同問題を議論することができなかった。モデル法案と二重管轄についての議論がまだ残っているため、今回の冬期国会ではGST立法(Central GST法案、Integrated GST法案及び補償法案)は提出されずに終わった。


3.外交
【インド・カタール関係】
12月2日~3日
モディ首相の招待を受け、アブドッラー・カタール首相兼内相が、インドを公式訪問した。アブドッラー首相には、財務相、運輸・通信相、地方自治・環境相を含む上級相に加え、カタール商工会議所及びカタール航空のCEOやカタール投資機関(QIA)の副CEOのほか数名の経済界の代表が同行。本訪問は、2016年6月4月~5日のモディ首相によるカタール訪問において合意された二国間関係における主要トラックの進捗をレビューするという文脈において実施された。

【インド・ベトナム関係】
12月5日、及び8日~11日
デリーで行われたパリカル国防大臣とゴー・スアン・リック越国防大臣による印越国防相会談において、インド空軍がベトナム空軍戦闘機パイロットにSu-30MKI戦闘機での訓練を提供することで合意した。
8日~11日、グエン・ティ・キム・ガン・ベトナム国会議長が訪印し、アンサリ副大統領と会談した。

【インド・米国関係】
12月8日
カーター米国防長官が訪印し、パリカル国防大臣と7回目となる国防相会談を実施。二国間の防衛協力の大きな前進を確認するとともに、将来の米印安全保障協力について議論した。会談において両者は、テロの脅威を含む地域の安全保障について意見交換した。両者は、対テロにおける協力をさらに強化することで合意するとともに、如何なる国もテロ組織を支援することがないようにする必要性を強調した。

【インド・インドネシア関係】
12月11日~12日
ジョコ・インドネシア大統領はモディ首相の招待により国賓としてインドを訪問した。これはジョコ大統領にとって初めてのインドへの二国間訪問であった。同大統領は、12日、ムカジー印大統領と面会後、公式晩餐会に出席した。

【インド・バングラデシュ関係】
12月10日
アクバル外務担当閣外相は、ダッカにおいてハシナ・バングラデシュ首相と会談した。

【インド・オマーン関係】
12月14日
アクバル外務担当閣外相は、マスカットにおいて第5回インド・アラブ・パートナーシップ会議に出席した。


4.日印関係
【在ベンガルール日本国総領事館開設】
12月28日
2017年1月1日から、在ベンガルール日本国総領事館が開設される。ベンガルールは、急成長するインドの情報技術(IT)産業の中心地であり、在留邦人数及び進出企業数が急増しており、同地域の邦人・日系企業が恒常的に、迅速かつきめ細やかな邦人援護・領事・企業支援サービスを受けられる体制を構築する必要が生じている。なお、今回の公館の開館により、日本の在外公館数は220(大使館149、総領事館63、政府代表部8)となる。

今月の注目点:高額紙幣の廃止の影響
11月8日、モディ首相は500ルピー札及び1,000ルピー札の廃止、新500ルピー札と新2,000ルピー札の導入を、前触れなく突然発表した。この措置の狙いとして国内ブラックマネー対策とテロ資金対策が主目的とされている。インド国内では現金取引が多く、富裕層は節税策として現金による蓄財を利用。統計上の経済活動に補足されない不正資金はGDP(2015年:約230兆円)の約20%に上るとされる。不正資金が一部政治家の資金源になっていることは、国民の不満の源となっており、モディ政権はこうした問題へ対応することで「低所得者層の支持」の拡大を狙ったものと考えられる。
印国民からは、発表当初は賞賛をもって迎えられたものの、その後の対応が遅れた結果、銀行には長蛇の列ができる等、市民生活は混乱。特に現金取引に依存する農村部の経済への影響が懸念され、新紙幣の流通が遅れると国民の不満が高まる可能性もある。
短期的な経済への影響としては、経済活動の停滞や、現金不足による消費の冷え込み等により、マクロ経済にマイナスの影響を及ぼすと見込まれる。現金が十分に流通するまでには4~5ヶ月を要するとの指摘もあり、現金不足の状況には注視が必要である。
また、次の理由から中長期的にはプラスの方向に働くと考えられる。①統計上の補足範囲が拡大し、GDP成長率が高まること、②銀行預金が拡大し、貸出金利が低下、銀行融資が増大すること、③財政・金融政策に好影響が及ぶこと。但し、不確実性の高まりが中長期的に民間投資を抑制するとの見方もあり、今後の混乱収束・経済活動正常化のスピードが鍵である。
冬期国会では、野党からの批判が相次ぎ、頻繁に停会。BJPが2017年4月に導入を目指す物品・サービス税関連法案(中央GST法案等)は依然提出に至っていない。さらに、同年の州議会選挙への影響として、モディ政権としては、本措置による混乱を早期に沈静化させ、同年初頭に実施予定の州議会選挙(ウッタルプラデシュ州等)では、不正資金根絶に対する強い実行力をアピールし、議席増に繋げたい思惑があるものと考えられる。