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月間インドニュース(2016年11月分)

内政・経済・外交・日印関係を分かり易くお届けいたします。

1.内政
【核の先制不使用に関するパリカル国防大臣発言】
11月10日
10日、パリカル国防大臣は、デリーで開かれたイベントで演説し、「核の先制不使用は予言できるものではない」とインドの核政策に疑問を呈するかのような発言。他方,この発言が「インドの核政策を変更するものではない」とも述べた。

【インド冬期国会】
11月14日-16日
14日、コングレス党を始めとする野党各党幹部は会合を開き、新紙幣発行を冬期国会の議題として扱うよう政府に求めることで合意。
15日、モディ首相、ジャイトリー財務相、アナント・クマール議会相は、冬期国会開会に先立ち全党会議を開催し、各党に協力を呼びかけた。新紙幣発行を冬期国会における議題として扱うようにとの野党側の求めに対し、与党関係者はこれに応じる用意があると述べた。
16日、モディ首相は、冬期国会開会に先立ち記者会見を開き、各党に対し、「政府は全ての問題について開かれた議論を行う用意があり、そうした議論が重要で実りのある決定をもたらす良好な空気を作り上げることを期待している」と呼びかけた。
16日、冬期国会が開会し、上院議会では新紙幣発行について議論された。

【スワラージ外相入院】
11月16日
16日、スワラージ外相は、自身の容態に関し、「腎臓の問題により現在入院中で、腎臓移植のための検査を受けている」とツイートした。

【インド鉄道事故】
11月20日
20日午前3時(現地時刻)ごろ、ウッタル・プラデーシュ州のカンプール(Kanpur)から100kmほど離れた地点で、インドール・パトナエクスプレス(Indore-Patna Express)の脱線事故が発生。14両が脱線し、そのうち2車両に犠牲者が集中し、少なくとも115名が死亡、150名以上の負傷者が出た。線路の破断が原因である可能性が高い。21日,安倍総理よりモディ首相宛にお見舞いのメッセージが発出された。

2.経済
【新紙幣発行】
11月8日
8日夜,モディ首相は,「汚職とブラックマネーを排除するため、我々は、現在使われている500ルピー及び1,000ルピー紙幣を、今夜、即ち11月8日12時から法定通貨ではなくすことを決定した。これは、これらの紙幣が今夜12時以降の取引のために、受容可能なものではなくなることを意味する。反国家・反社会的分子によって保有される500ルピー札、1,000ルピー札は、ただの無価値な紙切れとなるだろう。善良で勤勉な人々の権利や利益は、完全に保護される。」と述べ,「新しい500ルピー札及び2,000ルピー札は、全く新しいデザインで導入される。」旨発表した。
17-18日及び21-23日、上下両院は野党からの新紙幣発行に係る批判により停会が相次いだ。
18日より,銀行等の窓口において旧高額紙幣を新紙幣等に交換する際の上限が、4,500ルピーから2,000ルピーへと引き下げられた。交換は1人につき1回限り可能。

メモ:インド系メディアや金融機関による,インド経済への短期・中長期的影響分析等については以下のとおり。
【ソナル・ヴァルマ野村證券エコノミスト】
 今回の措置は、短期的には消費者需要を下げる可能性が高いが、中期的には経済にプラスの方向に働くと考えている。具体的には①ブラックマネーや汚職を壊滅する政府の努力において、中期的に大きなプラスの影響があること、②銀行の預金成長率が拡大し、貨幣流通量が落ち着き、銀行の流動性が増加すること、③農村地域の家庭が新しい銀行口座を開設することにより、政府の金融包摂の取組が後押しされること、④ブラックマネーが大きな役割を果たす不動産市場において、価格が大幅に下落する可能性があること、⑤政府による税の徴収が改善されること、⑥インフレ見通しの改善につながること、等の影響が考えられる。
 【エコノミック・タイムス紙】
投資家が不動産に現金を振り向けることできなくなり、土地の価格も含め、不動産価格が押し下げられる。また、手元流動性が悪化する中、ディベロッパーが建設を遅らせることになり、停滞するプロジェクトが増加する可能性がある。旅行・観光業や訪印観光客に混乱がおき,特に、現金支払いを受け入れる小規模のホテルやレストラン、食料飲料品店の取引に大きな不確実性を与え得る。




3.外交 
【インド・ネパール関係】
11月2日
プラナーブ・ムカジー大統領は2日から4日にかけてネパールを訪問した。インド大統領のネパール訪問は1998年以来18年振り。今次訪問では,バンダリ大統領やダハール首相ら政府関係者等との二国間関係の強化に向けた会談や地方視察等を行った。

【インド・スリランカ関係】
11月6日-7日
シリセーナ・スリランカ大統領は,2年に一度開催される「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約に関する協議」に出席するため,2日間にわたりインドを訪問した。6日には,プラナーブ・ムカジー大統領と会談し,両国の友好関係の強化について意見交換を行った。

【インド・英国関係】
 11月6日-8日
11月6日から8日、メイ英首相はモディ首相の招待を受けインドを訪問した。インド訪問は,メイ首相の首相就任後初めてのヨーロッパ外への二国間訪問。メイ首相は,デリーで開催された印英テック・サミットに参加した他,ムカジー大統領及びモディ首相と会談した。首脳会談後,共同声明「India-UK Strategic Partnership looking forward to a renewed engagement: Vision for the decade ahead」が発表され,ビジネス環境改善及び知的財産分野における協力の促進に向けた2つの覚書が署名された。8日にはベンガルールを訪問した。

メモ:今回の共同声明では,印英両国は貿易・投資関係を更に深化させ,両国政府やビジネス界のダイナミックかつ効果的な連携を強化し,英国がEUを離脱することも念頭により緊密に協力するための機会を利用するとし,英国がEUを離脱する際に可能な限り最も緊密な商業的経済関係を築くことが両国の最優先事項である点に同意した。
グローバル・パートナーシップでは,メイ首相は,改革された安保理におけるインドの常任理事国入り及び国連システムにおけるインドの更なる役割についての英国のコミットメントを再確認し,インドの安保理入りを積極的に支援するとした。また,両首相はアフリカに特別な焦点を当てたパートナーシップを追求することで合意した。

【インド・イスラエル関係】
11月14日
14日,リヴリン・イスラエル大統領が訪印し,15日にムカジー大統領,アンサリ副大統領,モディ首相と会談を行った。リヴリン大統領のインド訪問は初。

メモ:モディ首相が会談後に発表したメディア・ステートメントによれば,2017年は,両国にとって外交関係樹立25周年であり,この大きな節目に向けて,両国は,様々な分野における取り決めの推進にコミットするとともに,地域及びグローバルな問題に関する両国の関心及び懸念における意見の一致と共通性を構築するとし,以下について協力していくとされた。
・農業分野における生産性及び効率性の促進
・研究及びイノベーション分野における連携の促進
・両国社会に寄与する科学技術の応用
・強固な貿易関係及び投資関係の構築
・両国の人々を守るための防衛協力の構築
・より強固な文化及び観光のつながりを通じた人と人との関係の促進
・教育交流の促進

【インド・タイ関係】
11月20日-26日
シリントン・タイ王女殿下は20日から26日にかけて訪印し,ムカジー大統領及びアンサリ副大統領と会談した。同王女殿下は第1回世界サンスクリット賞(1st World Sanskrit Award)を受賞したほか,マディア・プラデシュ州ボーパールを訪問した。


4.日印関係 
【モディ首相の訪日】
11月10日-12日
日本を訪問したモディ首相は、11日,安倍総理との間で首脳会談を行い共同声明を発表。12日には,安倍総理とともに兵庫県を訪問した。


今月の注目点: 日印首脳会談概要(外務省HPより抜粋)
1.冒頭
安倍総理より,今回の首脳会談は,「日印新時代」を大きく飛躍させる大変素晴らしい会談になった,「自由で開かれたインド・太平洋戦略」と「アクト・イースト」の連携により,インド太平洋地域の繁栄と安定を主導したい旨述べました。
モディ首相より,暖かいおもてなしに感謝。日印のグローバル・パートナーは順調に進展し、その成果がでていることを嬉しく思う旨述べました。
2.日印原子力協定
安倍総理より,本日、日印原子力協定の署名は、大変喜ばしい,今後原子力協力を進めていく上で、核実験の一方的かつ自発的なモラトリアムに関するインドのコミットメントが前提であり、これが維持されていることを評価する,「核兵器のない世界」の実現という目標は既にインドと共有しており、軍縮・不拡散の分野での協力を深めていきたい,日本はNPT(注1)の普遍化、CTBT(注2)の早期発効、FMCT(注3)の早期交渉開始を重視しており、これらの進展に向け対話を続けたい旨述べました。
モディ首相より,日印原子力協定の署名が実現したことに対する安倍総理の努力に敬意を表する,日印の協力は,インドのエネルギー安全保障に資するものであり,世界へのメッセージになる,NPT,CTBT,FMCTに関する日本の考えは理解している,インドは,核実験の自発的モラトリアムを実施しており,国内の輸出管理体制は世界で最も優れている,日印の原子力協力が早期に動き始めることを期待する旨述べました。
3.安全保障
安倍総理より,戦略的に重要なUS-2をはじめ,防衛装備・技術協力を更に推進したい旨述べました。
モディ首相より,アジアの海洋をめぐる安全保障環境の変化はハイペースで進んでおり,日本との海洋安全保障協力を重視する,特に,海洋分野は挑戦であり,同志国と取り組むことが大事である,アクト・イースト政策に基づき,インドはASEAN諸国に協力を進めており,連結性のプロジェクトを日印で進めることが重要と考えている旨,US-2は技術的に印象的であるところ,具体的ニーズ,ライフサイクルコストという観点から検討中,日印両当局でさらに協議を進めたい旨述べました。
4.高速鉄道
「日印新時代」の象徴案件であるムンバイ・アーメダバード間高速鉄道について,安倍総理より,ムンバイ・アーメダバード高速鉄道計画の着実な進展を,「進捗報告」として両国民に示すことができ,嬉しく思う,将来の路線でも新幹線方式が採用されれば,高速鉄道の技術移転,メイク・イン・インディアをより強力に進めることができる,さらに議論を深めたい,明日,神戸の新幹線工場にご案内するが,世界一安全かつ先進的な技術を見ていただきたい旨述べました。
モディ首相より,高速鉄道協力の着実な進捗を歓迎する,ムンバイ・アーメダバードの高速鉄道は,一つの良い機会である,高速鉄道の更なる路線可能性は多くあり,日本の技術には高い期待がある,来年の高速鉄道のプロジェクトの式典を行いたく,両国での作業を加速化したい,明日の新幹線搭乗を楽しみにしている旨述べました。
なお,高速鉄道の設計業務は年内に始まり,2018年に工事を始め,2023年の開業を目指すことで合意しました。
5.人材育成,経済・経済協力
安倍総理より,インドの製造業基盤の底上げを図るための日本式ものづくり学校の設立,ODAを活用した人材育成事業"Innovative Asia"の開始等について述べました。
その他の経済・経済協力分野について,安倍総理より,日本工業団地への投資刺激策導入の早期決定の要請,エコカー普及の現地生産拡大のための支援に係る協議の要請,ヴァラナシ国際会議場の建設支援等について述べました。
モディ首相より,インドにとって経済改革が大事であり,日本に対して,日本工業団地にインセンティブを与える協力を進めている,日本企業によるものづくり学校の設立を大いに歓迎,より多くのインドの学生が日本語を学ぶ意欲につながることを期待する,ヴァラナシ国際会議場への支援検討に感謝,引き続き協力して進めたい旨述べました。
6.人的交流
安倍総理より,インド人観光客数の増加に向けた更なる査証緩和やデリーにおける政府観光局の設置,兵庫県・グジャラート州の交流覚書署名を含む姉妹都市交流,有識者交流等について述べました。
これに対しモディ首相より,自分の出身地のグジャラート州と兵庫県の関係強化の動きを歓迎する旨述べました。

(注1)核兵器不拡散条約、(注2)包括的核実験禁止条約、(注3)核兵器用核分裂性物質生産禁止条約